この記事では、薬剤師を目指す新卒学生が履歴書の志望動機欄を書く際に採用担当者が実際にチェックしているポイントと、調剤薬局・病院・ドラッグストア・製薬会社別の例文を解説します。実習経験を志望動機に変換するフレームワークと、採用担当者が即落とすNG例も紹介します。
薬剤師新卒の志望動機で採用担当者が最初に確認すること
採用担当者が履歴書の志望動機欄を読んで最初に確認するのは、「なぜ薬剤師か」ではなく「なぜここか」が書けているかどうかです。薬剤師免許を取得して働く理由は応募者全員に共通している前提なので、どの職場にも通じる内容では選考を通過できません。
「患者の役に立ちたい」だけでは通らない理由
志望動機の中で最も頻繁に登場する表現が「患者さんの役に立ちたい」「人の健康を支えたい」です。この内容自体は間違いではありませんが、採用担当者にとっては応募者のほぼ全員が書いてくる定型句です。
採用担当者が本当に知りたいのは、その志望動機の先にある「あなたがこの職場で具体的に何をしたいのか」です。患者の役に立ちたいなら病院でも薬局でもドラッグストアでも同じはずです。その中でなぜここを選んだのか——その答えがなければ、書類は通過点として扱われます。
採用担当者が30秒で見切る志望動機の3パターン
新卒薬剤師の志望動機で採用担当者が「この書類は弱い」と即座に判断するパターンは、大きく3つに分類できます。
- 抽象パターン:「患者さんに寄り添いたい」「社会に貢献したい」など具体的な行動が一切ない
- 使い回しパターン:どの職場にも当てはまる内容で、法人名・施設の特徴・地域性が一切反映されていない
- 実習丸写しパターン:「実習で〇〇を学びました」で終わり、そこから何を課題として感じ、この職場で何を解決したいのかが書かれていない
採用担当者はここを見ている
- 「なぜ薬剤師か」ではなく「なぜこの職場か」が書けているか
- 実習・インターン・家族の治療経験など、具体的なエピソードがあるか
- 志望動機の内容と入職後のキャリアビジョンが一致しているか
- 当法人・施設の特色(在宅医療・専門科・OTC・研修体制等)に言及しているか
志望動機を作る前に整理すべき「3つの問い」
志望動機を書く前に、以下の3つの問いに対する答えを用意してください。この3つが揃って初めて「説得力のある志望動機」が完成します。
①なぜ薬剤師という職業を選んだのか
家族の通院・服薬経験、実習中に患者から感謝された体験、薬の作用機序を学ぶ中で感じた達成感——薬剤師を志した原体験を一つ選びます。
ここで重要なのは「薬学部に入ったから」「国家資格が取れるから」ではなく、自分が薬剤師でなければならなかった理由を言語化することです。この原体験が浅いほど、志望動機全体の説得力が下がります。
②なぜ「この業態」を選んだのか
調剤薬局・病院・ドラッグストア・製薬会社では、薬剤師の仕事内容が大きく異なります。以下の表で各業態の主な特色を確認し、自分の志向と照らし合わせてください。
| 業態 | 主な業務 | 志望理由の核心ポイント |
|---|---|---|
| 調剤薬局 | 処方箋調剤・服薬指導・薬歴管理 | かかりつけ薬剤師・在宅医療への継続的な関与 |
| 病院薬剤師 | チーム医療・注射剤混注・TDM | 専門性の高い薬学管理・多職種連携への参加 |
| ドラッグストア | OTC販売・健康相談・調剤 | 予防医療・セルフメディケーション推進への貢献 |
| 製薬会社・CRO | MR・薬事・開発・安全管理 | 創薬から流通まで医薬品全体のライフサイクルへの関与 |
「患者と直接関わりたいのか」「研究・開発側から医療を支えたいのか」「予防段階のセルフメディケーションに貢献したいのか」——この方向性が定まれば、業態選択の理由は自然に言語化できます。
③なぜ「この法人・施設」なのか(最重要)
3つの問いの中で採用担当者が最も重視するのが「なぜここか」です。同じ調剤薬局でも、地域密着型か門前薬局か、在宅医療に注力しているかOTC販売を重視しているかで、求める人材像が異なります。
採用担当者が志望動機から確認したいのは、応募者がしっかりと自社を調べてきたかどうかです。ホームページ・採用ページ・求人票に記載された経営理念・力を入れている領域・地域での役割を必ず事前に読み込んでおいてください。
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新卒薬剤師の最大の武器は、薬学実習での体験です。しかし、多くの応募者がこの経験を「見学した」「学んだ」で終わらせてしまいます。採用担当者が評価するのは、その先にある「課題発見」と「行動意欲」です。
実習経験→志望動機への変換ステップ
- ステップ1:気づき・問題意識——実習中に「こうすればよかった」「これが足りないと感じた」という具体的な場面を一つ選ぶ
- ステップ2:課題の言語化——その気づきから「薬剤師としてこういう役割が必要だ」と感じた内容を一言にまとめる
- ステップ3:この職場との接続——その課題を解決できる環境・仕組み・理念が、この法人・施設にある理由を具体的に述べる
良い変換例とNG変換例
NG例:実習経験を「学んだ」で終わらせる
調剤薬局での実習で服薬指導の大切さを学びました。患者さんに薬の説明をする薬剤師の姿に感銘を受け、私もそのような薬剤師になりたいと思い志望しました。
→ 「感銘を受けた」だけで終わり、なぜこの薬局でなければならないかが書かれていない。どの薬局への応募にも使い回せる内容。採用担当者には「自社を選んだ積極的な理由がない」と読まれる。
良い例:課題発見→この職場への必然性
実習中、複数の慢性疾患を抱える高齢患者が処方薬を正しく管理できていない場面に複数回立ち会いました。原因を確認すると、薬の種類が多く日常的な管理が難しいことが主な理由でした。この経験から、薬剤師が処方時だけでなく継続的に患者の服薬状況を確認する体制の必要性を強く感じています。貴局が推進する在宅訪問薬剤管理指導に参加し、処方後のフォローアップを担う薬剤師として成長したいと考え、志望しました。(224文字)
調剤薬局を志望する新卒向け例文と書き方
調剤薬局は新卒薬剤師の就職先として最も多いカテゴリです。ただし、「調剤薬局を志望する理由」だけでは不十分で、「なぜこの薬局法人か」「なぜこの地域・業態特性か」まで踏み込んだ内容が求められます。
採用担当者はここを見ている(調剤薬局編)
採用担当者はここを見ている
- かかりつけ薬剤師・在宅医療・専門薬局など自社の特色への言及があるか
- 門前の診療科・地域医療圏に対する理解が見えるか
- 同じ地域で長く働く定着意向が感じられるか
- 「調剤薬局ならどこでもいい」という印象を与えていないか
例文①:地域密着型・かかりつけ薬剤師志向
良い例文
薬学実習の際、かかりつけ薬剤師制度を活用して担当患者の服薬管理を継続している薬剤師の姿を見て、薬の「出口」だけでなく「その後」に関わる必要性を実感しました。貴局が展開している地域包括ケア連携と在宅訪問サービスは、患者の生活に根ざした薬剤管理を実現する体制として高く評価しています。入職後はかかりつけ薬剤師の認定取得を目指し、地域の方々が長く薬を正しく使い続けられる支援を担いたいと考えています。(228文字)
NG例
地域の方々の健康を支えたいという思いから、調剤薬局を志望しました。患者さんとのコミュニケーションを大切にしながら、薬剤師として成長していきたいです。
→「地域の方々の健康を支えたい」は全薬局が対象になる。「コミュニケーションを大切に」はどこでも使える定型句。この法人を選んだ具体的な理由がゼロ。
例文②:在宅医療・専門薬局志向
良い例文(在宅医療特化)
高齢化が進む中で薬剤師が患者の自宅を直接訪問して服薬管理に関わる仕組みに可能性を感じています。実習では外来患者の調剤業務が中心でしたが、退院後の患者が服薬継続に苦労している実態を目にし、施設の外での支援の重要性を痛感しました。在宅訪問に積極的に取り組んでいる貴局で、入職初年度から在宅チームに加わり、地域の医師・ケアマネジャーと連携できる薬剤師を目指したいと考えています。(220文字)
なお、医療系施設への履歴書では「入職」「退職」「貴院」「貴局」など医療業界固有の表記ルールを正確に使う必要があります。医療法人向けの履歴書の書き方も合わせて確認しておきましょう。

病院薬剤師を志望する新卒向け例文と書き方
病院薬剤師を志望する場合、採用担当者が特に重視するのは「チーム医療への理解」と「専門性へのコミットメント」です。高い専門性が求められる分、志望動機の中に「何を学び、どう貢献するか」の具体性が問われます。
採用担当者はここを見ている(病院編)
採用担当者はここを見ている
- チーム医療(医師・看護師・リハビリとの連携)への理解と参加意欲があるか
- 認定薬剤師・専門薬剤師などの資格取得意欲が見えるか
- 当院が注力している診療科・治療領域への関心が具体的に伝わっているか
- 「病院薬剤師なら何でも」ではなく、この病院を積極的に選んだ理由があるか
例文と書き方
良い例文
薬学実習で病棟薬剤師のチームカンファレンスに同席した際、医師の処方に対して薬物相互作用の観点から薬剤師が具体的な提案を行い、処方が変更された場面を経験しました。薬剤師がより直接的に治療に関与できる環境として、病院薬剤師の役割に強く惹かれています。貴院はがん領域に特化した化学療法センターを有しており、がん専門薬剤師の資格取得を見据えたキャリアパスが整っている点に魅力を感じています。入職後は専門性を高め、チーム医療に貢献したいと考えています。(260文字)
NG例
病院でチーム医療に参加したいと考え、志望しました。医師や看護師と連携しながら、患者さんの治療に貢献したいと思っています。
→「チーム医療に参加したい」「医師・看護師と連携」はすべての病院で同じ。この病院を選んだ理由がゼロ。認定資格・診療科・研修体制への言及がない。
志望動機と合わせて、医療法人向けの履歴書では書き方のルールが通常と異なる箇所があります。医療法人の志望動機の書き方で職種別の例文も確認しておくと、書類の質をさらに高められます。

ドラッグストアを志望する新卒向け例文と書き方
ドラッグストアへの志望動機は、「薬局や病院と迷ったうえでここを選んだ積極的な理由」が必要です。採用担当者の一部には「他が無理だからドラッグストアに来たのでは」という見方をする人もいます。予防医療・OTC・セルフメディケーションへの明確な志向を示すことが、その疑念を払拭する鍵になります。
採用担当者はここを見ている(ドラッグストア編)
採用担当者はここを見ている
- OTC医薬品・健康食品・セルフメディケーションへの関心が本物かどうか
- 処方箋がなくても薬剤師として価値を発揮できるという認識があるか
- 健康相談窓口・地域の予防医療推進への役割に前向きかどうか
- 当社の店舗展開・調剤併設率・健康サポート薬局としての強みへの言及があるか
例文と書き方
良い例文
薬剤師の役割は処方箋調剤だけでなく、処方箋を持たない方の健康相談に応じる「予防段階」にも大きく広がっていると考えています。実家近くにある貴社の健康サポート薬局で、OTC医薬品の選び方について薬剤師から丁寧な説明を受けた経験が、薬剤師としてのキャリアを具体的に考えるきっかけになりました。貴社が推進する健康相談拠点の構想に共感しており、処方箋に頼らない「日常の健康管理」を担う薬剤師として地域に根ざした支援を行いたいと考えています。(240文字)
NG例
ドラッグストアでは多くの方と関わることができると考え、志望しました。コミュニケーション能力を活かして、患者さんに貢献したいと思います。
→ OTCや予防医療への関心が一切見えない。「多くの方と関われる」という理由は接客業全般に当てはまる。薬剤師としての専門性への言及がない。
製薬会社・MR・CROを志望する新卒向け例文と書き方
製薬会社や医薬品開発受託機関(CRO)を志望する場合、「患者と直接関わらない選択」に対して明確な理由が必要です。採用担当者は「患者に直接関わりたくないからここに来たのか、それとも創薬・開発に本気でコミットしたいのか」を志望動機から読み取ろうとしています。
採用担当者はここを見ている(製薬・企業薬剤師編)
採用担当者はここを見ている
- なぜ「臨床薬剤師ではなく製薬・開発側」なのかの積極的な理由があるか
- 当社のパイプライン・治療領域・開発戦略への理解があるか
- MR職なら医師や医療機関との専門的なコミュニケーション適性が言語化されているか
- 大学院・卒業研究の内容と志望動機が自然につながっているか
例文と書き方(MR志望)
良い例文
大学での卒業研究で糖尿病治療薬の薬物動態を研究した経験から、医薬品の作用メカニズムをより多くの医療従事者に正確に伝えることの重要性を強く感じています。MRとして医師に医薬品情報を提供することで、処方選択の質向上に薬剤師の専門知識を活かしたいと考えています。貴社が注力している糖尿病・循環器領域は、アンメットメディカルニーズが高く、研究開発への継続的な投資が業界内でも高く評価されています。薬剤師出身MRとして医師との専門的な対話ができる人材を目指し、志望しました。(265文字)
志望動機を200〜300文字に収める書き方
志望動機欄の文字数は履歴書のフォーマットによって異なりますが、200〜300文字が実質的な目安です。内容を詰め込みすぎると読みにくくなり、短すぎると熱意が伝わりません。
PREP法で構成する
採用担当者が読みやすいと感じる志望動機の構造は、PREP法に近い形です。以下の表を参考に各パートの文字数を配分してください。
| 構成要素 | 内容 | 目安文字数 |
|---|---|---|
| 結論(Point) | この職場を志望する一言の核心 | 30〜40文字 |
| 理由(Reason) | なぜそう考えるに至ったか(背景) | 30〜40文字 |
| エピソード(Example) | 実習・経験・研究での具体的な場面 | 80〜100文字 |
| 入職後の意欲(Point) | この職場でやりたいこと・目指すキャリア | 60〜80文字 |
削ってよい「水増し表現」7選
文字数が膨らみすぎた場合、以下の表現を削ることで内容を損なわずコンパクトにできます。
- 「〜と感じているため」→「〜のため」に短縮
- 「〜ということを学びました」→「〜を学びました」
- 「〜ができる薬剤師になりたいと考えています」→「〜できる薬剤師を目指します」
- 「このような背景から」→削除(前後の文脈で伝わる)
- 「患者さんとのコミュニケーションを大切にしながら」→具体的な行動に置き換える
- 「日々成長していきたいと思っています」→削除(就活中の当然の前提)
- 「貴社(貴院・貴局)の理念に共感しました」→どの理念かを必ず具体化する
同じ医療系の新卒向け履歴書でも、業態・職種によって志望動機の書き方は大きく変わります。他の医療系職種の志望動機の作り方も参考にすると、自分の志望動機に何が足りないか客観的に把握できます。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 採用担当者が志望動機で最初に確認するのは「なぜここか」の具体的な理由
- 「患者の役に立ちたい」「コミュニケーションを大切に」は定型句として見切られる
- 実習経験は「気づき→課題→この職場での解決意欲」の構造で志望動機に変換する
- 業態ごとに採用担当者が重視するポイントが異なる——調剤薬局は定着意向・在宅対応、病院はチーム医療と専門資格取得意欲、ドラッグストアはOTC・予防医療への具体的志向が問われる
- 文字数は200〜300文字を目安にPREP法で構造化すると読みやすくなる
志望動機は採用担当者への最初のメッセージです。「この職場を具体的に調べ、自分の経験と結びつけた上で入職したい」という誠実さが伝わる内容を目指してください。
薬剤師新卒の履歴書 志望動機に関するよくある質問
- 調剤薬局・病院・ドラッグストアで志望動機の内容はどう変えればいいですか?
-
業態ごとに採用担当者が重視するポイントが異なります。調剤薬局では「かかりつけ薬剤師・在宅医療への関与意欲」と「定着意向」、病院では「チーム医療への理解と専門資格取得の意欲」、ドラッグストアでは「OTC・セルフメディケーションへの具体的な関心」を中心に書きましょう。共通して重要なのは、「なぜここの法人・施設か」の具体的な理由を必ず含めることです。
- 実習経験しかない新卒でも志望動機で差をつけられますか?
-
実習経験は差をつける最大の武器になります。重要なのは「経験した」で終わらず、実習中に気づいた課題・問題意識を言語化し、「その課題をこの職場でどう解決したいか」まで書くことです。実習で出会った患者の状況、薬剤師の働き方、施設が抱えていた課題などを一つ具体的に取り上げ、それを志望先の特色と結びつけると説得力が増します。
- 国家試験が合格見込みの段階で就職活動する場合、志望動機の書き方に影響はありますか?
-
志望動機の内容は合格見込みの段階でも変わりません。資格欄に「薬剤師免許 取得見込み」と記載し、志望動機では「入職後に〇〇を実現したい」という前向きな表現で構成します。採用担当者は国試合格を前提として内定を出すため、「合格したら〜」という条件付きの表現は避け、入職後のビジョンを積極的に語る姿勢で書いてください。
- 志望動機の文字数はどのくらいが適切ですか?
-
履歴書の志望動機欄は200〜300文字が目安です。短すぎると熱意が伝わらず、長すぎると要点が読み取りにくくなります。内容はPREP法(結論→理由→エピソード→入職後のビジョン)で構成すると、採用担当者が読みやすいコンパクトな文章にまとまります。記載欄が小さいフォーマットの場合は200文字程度でも問題ありません。


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