この記事では、薬剤師の履歴書に書く志望動機の例文を職場別・状況別に紹介します。調剤薬局・病院・ドラッグストアそれぞれの例文と、採用担当者が実際に書類選考で落とすNG例との対比を通じて、書類通過率を上げる具体的な書き方がわかります。
薬剤師の志望動機、採用担当者はここを見ている
志望動機を書く前に、採用担当者が何を確認したいのかを知っておく必要があります。薬剤師は慢性的な人手不足の職種であり、採用ハードルは他職種より低い傾向があります。それでも志望動機が選考の重要な基準になるのは、採用担当者が「採用後に辞めるリスク」を事前に見極めようとしているためです。
採用担当者が志望動機で確認する3つのこと
採用担当者はここを見ている
- 定着性:この職場で長く働いてくれるか。「とりあえず受けた」「待遇目的で来ただけ」の人を事前に除外するための確認
- 活躍性:この職場の業務内容・環境で力を発揮できるか。過去の経験と志望先の業務がつながっているかを確認
- 志望先への具体的な理由:「なぜほかの薬局・病院でなく、ここなのか」が言語化されているかを確認
この3つを意識せずに書いた志望動機は、読み終えても「どこにでも出せる文章」に見えます。「なぜここなのか」が具体的に書かれているかどうかが、通過する志望動機とそうでない志望動機を分ける最大のポイントです。
薬剤師ならではの志望動機の難しさ
薬剤師の志望動機には、他職種にはない難しさがあります。調剤業務の内容は職場が違っても大きく変わらないため、「経験を活かしたい」という理由が職場を問わず使い回せてしまいます。
また、転職理由の本音が「給与アップ」「残業を減らしたい」「人間関係のリセット」であることも多く、それをそのまま書くわけにはいきません。だからこそ、「本音を別の言葉に置き換える技術」と「この職場でないといけない理由を見つける作業」が必要になります。
書類選考を通過する薬剤師の志望動機の書き方
基本の構成:4つのステップで組み立てる
志望動機は以下の4ステップで組み立てると、論理的で読みやすい文章になります。
| ステップ | 内容 | 目安の文量 |
|---|---|---|
| ① 結論 | 志望理由を一言で述べる | 1〜2文 |
| ② 理由 | なぜそう思ったか(過去の経験・現職での課題) | 2〜3文 |
| ③ 具体的根拠 | この職場ならではの特徴との一致点 | 1〜2文 |
| ④ 入職後の抱負 | 採用後にどう貢献したいか | 1〜2文 |
全体の文量は200〜300文字が目安です。志望動機欄のスペースによっては150文字程度に収める必要があることもありますが、「結論から書く」原則はいずれの場合も変わりません。
「この職場でなければいけない理由」を見つける方法
志望動機を書く前に、応募先の情報収集が欠かせません。ホームページ・求人票・口コミサイトから以下の点を調べ、自分の経験や目標と重なる部分を探します。
- 調剤薬局:門前科目の特徴(在宅・小児科門前・漢方など)、患者1人あたりの応対時間、OTC販売への注力度
- 病院:得意とする診療科・治療領域(がん・循環器・ICUなど)、NSTや薬剤師の病棟関与の度合い
- ドラッグストア:調剤比率、在宅訪問の有無、セルフメディケーション支援への姿勢
これらの特徴と自分の「やりたいこと」「これまでの経験で得たもの」を照らし合わせると、どこにでも使える志望動機から抜け出せます。
採用担当者が落とすNG志望動機と改善例
どれだけ一般的なアドバイスを参考にしても、NGパターンを踏んでしまっていると書類通過は難しくなります。採用担当者が実際に「これは落とそう」と判断する典型的な志望動機を3パターン紹介します。
NG例①「理念に共感しました」型
NG例
「貴社の『患者様第一』という理念に深く共感し、志望いたしました。薬剤師として貴局で経験を積みたいと考えています。」
「患者様第一」はほぼすべての医療機関が掲げる言葉。採用担当者には「どこにでも送れる文章」と映ります。
「患者様第一」「地域医療への貢献」といったフレーズは、多くの薬局・病院が自社のホームページや求人票に掲載しているものです。理念への共感で始まる志望動機は、「本当に調べて応募したのか」という疑問を持たれやすくなります。
改善例
「貴薬局が月50件以上の在宅訪問を行い、特に認知症患者の服薬管理に力を入れていることを求人票と説明会で知り、志望いたしました。」
理念への共感ではなく、具体的な事業内容への反応として書くことで、「本気で調べた」ことが伝わります。
NG例②「経験を活かしたい」だけで終わる型
NG例
「これまでの調剤経験を活かし、貴局でさらに成長したいと考えております。」
「経験を活かしたい」は薬剤師の志望動機で最も多いワンパターン。「どんな経験を、どう活かして、何をしたいのか」がありません。
採用担当者は「どんな経験」「どう活かして」「何をしたいのか」の3点がそろっていないと、具体的なビジョンを持たない応募者と判断します。「成長したい」という言葉も、誰でも使える抽象的な表現として受け取られます。
改善例
「前職では循環器内科の処方を多く扱い、抗凝固薬の用量管理と服薬指導を経験しました。貴院では心臓血管外科に特化した薬物療法管理に携わることができると知り、より専門性を深めたいと考えて志望いたしました。」
「この経験」「この職場でできること」「だから志望した」の流れが明確で、採用担当者が具体的なイメージを持ちやすくなります。
NG例③「立地・年収・勤務条件」を理由にする型
NG例
「自宅から通いやすく、給与水準が高いと聞いたため志望いたしました。」
待遇・立地だけの理由は「条件が変われば辞める人」と判断されます。仕事内容への共感がゼロに見える志望動機です。
待遇や立地への魅力は、実際の動機として持っていてかまいません。ただ、履歴書の志望動機欄に書く場合は「サブの理由」として位置づけ、必ず「メインの理由(仕事内容・職場の特徴への共感)」とセットで書きます。
【職場別】薬剤師の履歴書に書く志望動機の例文
職場の種類が変わると、採用担当者が見るポイントも変わります。同じ「薬剤師」でも、調剤薬局・病院・ドラッグストアでは求める人物像が異なるため、志望動機の方向性も変える必要があります。
調剤薬局への志望動機例文
採用担当者はここを見ている(調剤薬局)
- 門前科目への関心や、在宅医療・かかりつけ薬剤師への意欲があるか
- 患者とのコミュニケーション・継続的なかかわりへの姿勢
- チェーン薬局の場合:異動・転勤への対応力
例文(在宅医療に注力する調剤薬局への転職)
貴局が在宅訪問業務に注力し、医師・介護士との多職種連携を積極的に進めていることに魅力を感じ、志望いたしました。前職では処方箋枚数が多く、患者様と継続的にかかわる時間を確保しにくい環境でした。在宅医療の現場では、患者様の生活背景を踏まえた服薬管理が可能であると考えており、その環境を整えている貴局で力を発揮したいと考えています。採用された際はまずかかりつけ薬剤師として患者様との信頼関係の構築に注力いたします。
例文(小児科・皮膚科門前の調剤薬局)
貴局が小児科・皮膚科を中心に処方をお受けしており、地域の子育て家庭への服薬指導に力を入れていることを知り、志望いたしました。前職では内科・循環器科の処方が多く、乳幼児への用量管理や保護者への説明スキルを身につける機会が限られていました。子どもとその保護者に寄り添った服薬指導を実践できる環境に転職したいと考え、貴局を志望いたしました。
病院(病院薬剤師)への志望動機例文
採用担当者はここを見ている(病院薬剤師)
- 病棟業務・薬剤管理指導への意欲(調剤業務だけでなく医療チームへの参画意識)
- 専門的な薬学知識への向上心(抗がん剤・TPN・血液製剤など専門領域への関心)
- 医師・看護師との連携意識。処方提案・疑義照会を積極的に行う姿勢
病院薬剤師への転職は調剤薬局経験者に人気が高い選択肢ですが、「病院では幅広い経験ができる」という理由は採用担当者に刺さりません。「どの診療科・治療領域に関心があるか」まで書いた志望動機が通過しやすい傾向があります。
例文(調剤薬局から病院薬剤師への転職)
調剤薬局での3年間の経験を通じて、患者様の入院後の治療経過や薬物療法の変更に直接かかわりたいという気持ちが強くなり、志望いたしました。貴院は消化器外科・腫瘍内科に特化しており、抗がん剤レジメン管理や副作用モニタリングに薬剤師が積極的に参加していることをウェブサイトで確認しました。専門性の高い薬物療法に病棟薬剤師として携わることで、患者様の治療アウトカム向上に貢献したいと考えています。
医療法人・病院への履歴書では「入職・退職」「貴院・貴法人」など医療業界固有の表記ルールがあります。記載マナーについては医療法人の履歴書の書き方も合わせてご確認ください。

ドラッグストアへの志望動機例文
採用担当者はここを見ている(ドラッグストア)
- OTC医薬品・健康食品への知識・関心(調剤だけでなく店舗全体への貢献意識)
- 接客・販売への積極性(調剤室内にこもらず売り場でも活躍できるか)
- セルフメディケーション推進・健康相談への関心
例文(調剤薬局からドラッグストアへの転職)
貴社がOTC医薬品の相談窓口を調剤と一体化させ、受診前の段階から地域の方々の健康をサポートする取り組みを進めていることに魅力を感じ、志望いたしました。調剤薬局での勤務では処方薬の服薬指導を中心に行ってきましたが、「薬をもらう前」の段階で患者様の不安を解消する機会が限られていることを課題に感じていました。ドラッグストアで調剤とOTC販売の両方に携わることで、より幅広い形で地域の健康に貢献できると考えています。
在宅・訪問薬剤師への志望動機例文
採用担当者はここを見ている(在宅・訪問薬剤師)
- 多職種連携(医師・訪問看護・ケアマネ)への積極的な関与意欲
- 高齢者・認知症患者への服薬管理・ポリファーマシー対応への関心
- 一人で患者宅に訪問するための主体性・行動力
例文(訪問薬剤師・在宅専門への転職)
貴局が居宅への訪問調剤を主軸に事業展開しており、ケアマネジャーや訪問看護ステーションとの連携体制を整えていることに強く引かれ、志望いたしました。前職の外来服薬指導の中で、「在宅での飲み方がわからない」「誰も管理してくれない」という声を多く受けてきました。訪問薬剤師として患者様の生活環境に直接かかわる仕事が、その課題への一つの答えだと考えています。採用された際は在宅専門のスタッフの方々から学びながら、早期に独立して訪問対応できる薬剤師を目指します。
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転職者(調剤薬局から調剤薬局)の場合
同業種・同職種からの転職は、採用担当者に「前の職場で何かあったのか」と思われやすいパターンです。転職理由の本音(給与・人間関係・残業)は書かず、「この職場でできること」を軸に書き直すのが基本です。
例文(調剤薬局から別の調剤薬局へ・在宅医療へのシフト)
これまで内科・整形外科の処方を中心に扱う薬局で3年間勤務してきました。業務の中で在宅医療に携わる機会が徐々に増え、訪問調剤・居宅療養管理指導の業務をより専門的に経験したいと考えるようになりました。貴局が在宅専門の体制を整え、月60件以上の訪問実績を持つことを求人票で確認し、志望いたしました。
新卒・薬学部出身者の場合
新卒の場合、実務経験がないため「なぜこの職場を選んだか」の理由がより重要になります。実習経験や学業で関心を持った領域を具体的に挙げながら、「この職場だからこそ」を明確にします。
例文(薬学部新卒・調剤薬局志望)
学内実習で在宅患者様の訪問調剤に同行した経験から、薬剤師が患者様の生活に直接かかわる重要性を強く実感しました。貴局はかかりつけ薬剤師の推進に力を入れており、新卒でも早い段階から患者様を継続的に担当できる体制を整えていることを、会社説明会でお聞きしました。患者様との長期的な信頼関係を軸にした薬剤師として成長できる環境を求め、志望いたしました。
ブランクあり・復職者の場合
産休・育休・介護・療養などでブランクが生じた場合、採用担当者が最も気にするのは「また辞めるのではないか」という定着性への懸念です。ブランクの理由を正直に書いたうえで、「今後は継続して働ける環境・体制が整っている」ことを示すのが重要です。
例文(育児によるブランクからの復職)
育児のため約2年間休職しておりましたが、子どもが保育園に入園したことで復職を決意いたしました。貴局が時短勤務制度を整えており、育児と仕事を両立している薬剤師が複数在籍されていることを、求人票と担当者へのご相談の中で確認できました。復職後は調剤・服薬指導の感覚を早期に取り戻すことを優先し、将来的にはかかりつけ薬剤師として地域の患者様を長期的にサポートしていきたいと考えています。
パート・アルバイト希望者の場合
パートでの志望動機は、「なぜフルタイムではなくパートなのか」を正直に書く必要があります。家庭の事情・体調・介護など、理由を明確にしたうえで「その中でできることに前向きに取り組む」という姿勢を見せると好印象です。
例文(育児中のパート希望)
現在、小学生の子どもを育てており、学校の時間帯に合わせた勤務が必要な状況です。貴局が扶養内勤務・週3日からの勤務に対応していることを確認し、志望いたしました。調剤薬局での実務経験が7年ございます。限られた勤務時間の中でも、即戦力として調剤・服薬指導の両方でお役に立てると考えています。
医療法人での志望動機の書き方については、医療法人の志望動機|採用担当者が通過させる書き方と例文も参考にしてください。病院・クリニック・薬局を含む医療法人全般での志望動機の書き方を詳しく解説しています。

採用担当者が「ぜひ会いたい」と思う志望動機にする3つのコツ
例文を参考にしながら、もう一段差をつけるための視点を3つまとめます。
- コツ①「薬局・病院の固有名詞・数字」を入れる:「在宅訪問に力を入れている」ではなく「月60件以上の在宅訪問実績(求人票より)」など、調べた形跡がわかる情報を入れると「本気で応募している」ことが伝わります。
- コツ②「前職での課題 → この職場で解決できる」という構造にする:転職理由をネガティブに書くのではなく、「前職でこんな課題を感じた → だからこそこの職場を選んだ」という構造にすると、前向きな転職理由として読まれます。
- コツ③「入職後の具体的な貢献イメージ」を書く:「成長したい」で終わらせず、「採用いただいた際は〇〇に注力し、△△を目指したい」という形で入職後のビジョンを書くと、採用担当者に「この人なら活躍してくれそう」と感じさせます。
志望動機を書いたあとは、薬剤師専門の転職エージェントに添削を依頼することも一つの手段です。職場別の求人の特徴についても詳しい情報を持っており、「どう書けば通るか」の具体的なアドバイスをもらえます。
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- 採用担当者は志望動機で「定着性・活躍性・この職場への具体的な理由」の3点を確認している
- 「理念に共感しました」「経験を活かしたい」だけの志望動機はどこにでも送れる文章と見なされ、落とされやすい
- 職場別(調剤薬局・病院・ドラッグストア)に採用担当者が見るポイントが異なるため、職場に合わせた方向性で書く
- 「この職場の具体的な特徴」「前職での課題」「入職後のビジョン」の3要素を組み合わせると、採用担当者の印象に残る志望動機になる
志望動機は、採用担当者に「この人に会ってみたい」と思わせる最初の手段です。
薬剤師の履歴書の志望動機に関するよくある質問
- 転職理由がネガティブ(給与・人間関係)な場合、志望動機はどう書けばいいですか?
-
転職理由の本音をそのまま書く必要はありません。「前職では〇〇の経験が積めなかった」「新たに〇〇に挑戦したい」という形で、キャリアアップやスキル習得の観点に置き換えると採用担当者に好意的に受け取られます。ただし、面接では詳しく聞かれることが多いため、「前向きな転職理由」を事前に整理しておく必要があります。
- 調剤薬局から調剤薬局への転職で「この薬局でないといけない理由」がどうしても見つかりません。
-
業種・職種が同じ場合、「理由の違い」はその薬局の固有の特徴(門前科目・在宅比率・研修体制・専門領域)から見つけます。求人票だけでなく、ウェブサイト・口コミ・担当者への質問を通じて「ここにしかない情報」を収集してください。「調べた形跡」があるだけで採用担当者の印象は大きく変わります。
- 志望動機の文字数はどのくらいが適切ですか?
-
履歴書の志望動機欄の広さによりますが、一般的には200〜300文字が目安です。スペースが小さい場合は150文字程度でも問題ありません。文量より「採用担当者が知りたい情報(定着性・活躍性・具体的な理由)が含まれているか」のほうが重要です。
- 例文を参考にしてもいいですか?
-
参考にすることは問題ありませんが、そのままコピーするのは避けてください。採用担当者は多数の書類を見るため、ネット上の例文をほぼそのまま使った志望動機はすぐに見抜かれます。例文の「構成・流れ」を参考にしながら、自分の職場・経験・志望する理由に置き換えた内容に書き直してください。


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