この記事では、医師の転職活動で使う履歴書のフォーマットの選び方と、採用担当者が書類選考で確認する5つのポイントを解説します。医局人事による異動の記載方法や医籍登録番号の扱いなど、医師特有のルールもあわせて紹介します。
医師の履歴書フォーマットは3種類──どれを選ぶべきか
医師の転職活動では、応募先から「履歴書のフォーマットはこちらをお使いください」と指定されることは多くありません。「何を使えばいいか分からない」まま手が止まる医師が多いのが実情です。
現在、医師が転職活動で使う履歴書フォーマットは大きく3種類に分類されます。それぞれの特徴と、どの場面で選ぶべきかを整理します。
| フォーマット | 特徴 | こんな場合に適する |
|---|---|---|
| 厚生労働省様式例 | 性別欄が任意・扶養欄なし。2021年改訂の現行標準様式 | 応募先からの指定なし・汎用的に使いたい場合 |
| JIS規格(B規格) | 旧来の標準様式。性別欄あり・通勤時間欄あり | 応募先から「JIS規格で」と明示指定された場合のみ |
| 医師専用テンプレート | 専門分野・手技・担当業務欄が充実した医師向け構成 | 医師転職エージェント経由・複数施設に並行応募する場合 |
厚生労働省様式例が「現在の標準」
2021年に厚生労働省が改訂したこの様式は、「性別欄の任意記載」「通勤時間・扶養家族数・配偶者欄の削除」が特徴です。プライバシーに配慮した現代的な設計になっており、応募先からフォーマット指定がない場合の第一選択肢として機能します。厚生労働省の公式サイトからPDF・Word形式で無料ダウンロードが可能です。
ただし、この様式はあくまでも汎用フォーマットです。「専門分野」「可能な手技」「担当疾患」を詳細に記載するスペースが設けられておらず、医師としてのキャリアを十分にアピールしきれない場面があります。
JIS規格様式との違いは何か
JIS規格(B規格)は従来から広く使われてきた書式で、通勤時間・扶養家族数・配偶者欄が設けられています。現在は厚生労働省様式例への移行が推奨されており、応募先から明示的に指定されない限り、JIS規格を選ぶ理由はありません。
医師専用テンプレートが有利なケース
民間医局・リクルートドクターズキャリアなどの医師向け転職エージェントは、医師特有の職歴を整理しやすい専用テンプレートを無料提供しています。こうしたテンプレートには「専門分野・対応疾患」「可能な手技・手術内容」「担当業務の割合」を記載する専用欄が設けられており、採用担当者が即戦力を判断するために必要な情報をひとつの書類で整理できます。
複数の病院・クリニックに並行して応募する場合は、日付と志望動機のみ変更して使い回せる点でも効率的です。
採用担当者はここを見ている
- フォーマット自体よりも「記載内容の具体性」が選考を左右する
- 医師専用テンプレートは専門分野・手技情報が整理されており、採用側の確認作業が短縮される
- 「応募先の指定 > 医師専用テンプレート > 厚生労働省様式例」の優先順位で選択する
応募先から指定があれば必ずそちらを使う
病院・クリニックによっては「当院所定の様式を使用すること」と明記している場合があります。この指定を無視して別のフォーマットを提出すると、採用担当者に「指示を読んでいない」という印象を与えてしまいます。履歴書の内容以前に、この時点でマイナス評価がつく可能性があるため、応募要件は必ず確認してください。
なお、履歴書テンプレートの選び方についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →採用担当者が医師の履歴書でチェックする5つのポイント
「フォーマットより中身が大切」とはよく言われますが、採用担当者が書類選考で確認している項目は意外と明確です。医師ならではのチェック項目を押さえることで、書類選考の通過率は大きく変わります。
①医籍登録番号が記載されているか
一般的な職種の履歴書では不要な項目ですが、医師の場合は医師免許の取得とあわせて医籍登録番号を記載することが基本マナーです。採用担当者が医師免許の有効性を確認する際、医籍登録番号があれば照合作業が一段階省略されます。
良い記載例
医師免許(医籍登録番号:○○○○○○番) △△年△月取得
NG例
医師免許 △△年△月取得
登録番号が省略されていると、採用担当者が別途確認作業を行う手間が生じる。
②医局異動が「退職」に見えていないか
医師のキャリアには、医局人事による短期異動が多く含まれるケースがあります。この異動を「退職→入職」の繰り返しとして記載すると、採用担当者の目には「転職を繰り返している不安定な医師」として映るリスクがあります。
良い例文
○○年○月 △△医科大学附属病院 内科 医員 入職(後期研修)
○○年○月 ■■病院 内科 医員(医局人事による異動)
○○年○月 ◆◆クリニック 内科 常勤医師(医局人事による異動)
NG例
○○年○月 △△医科大学附属病院 退職
○○年○月 ■■病院 入職
○○年○月 ■■病院 退職
○○年○月 ◆◆クリニック 入職
退職を繰り返しているように見え、「定着しない医師」という誤解を与えてしまう。
「(医局人事による異動)」の一文を添えるだけで、採用担当者の見方は大きく変わります。
③専門医・認定医・指導医の資格が整理されているか
採用担当者が医師の履歴書で確実に確認するのが、専門医・認定医・指導医の有無です。これらの資格は採用後の年俸交渉や役職付与に直結するため、漏れなく正確に記載することが必要です。
- 資格名は正式名称で記載する(例:「日本内科学会 認定内科医」)
- 専門医・認定医・指導医は取得順に並べる
- 記載スペースが足りない場合は、応募する診療科への関連度が高いものを優先し、残りは職務経歴書に記載する
- 学会会員資格と専門医資格を混在させない(専門医・認定医資格のみ記載が基本)
④志望動機が応募先の診療方針と矛盾していないか
採用担当者が最も注視するのが志望動機です。医師の志望動機でよく見られる失敗は、複数の応募先に同じ文章を使い回すこと。どの病院に出しても違和感がない、当たり障りのない志望動機は、採用担当者には見抜かれます。
採用担当者が「この医師は本気だ」と判断するのは、「応募先の診療方針・専門領域・患者層と、自分のキャリアビジョンが具体的につながっている」志望動機です。
採用担当者が「本気」と判断する志望動機の構造
- 応募先の具体的な特徴(診療科の強み・地域の患者層・在宅医療への取り組みなど)に触れている
- 自分のこれまでの専門領域・経験が、応募先でどう活かせるかを説明している
- 入職後に「どういう医師として貢献したいか」という具体的なビジョンがある
⑤写真と全体の視認性
「写真は完璧でなくても、貼付なしよりはるかにいい」という採用担当者の感覚は、多くの医療機関で共通しています。スーツまたは白衣に準じた清潔感のある服装で、正面から撮影した証明写真が基本です。
全体の視認性についても、フォントは明朝体かゴシック体を統一して使用し、文字サイズは10.5〜12ポイントを目安にします。採用担当者は1枚の履歴書を30〜60秒で確認することが多く、視認性の低い書類は内容に関わらず印象が下がります。
フォントの選び方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
履歴書のフォントは明朝体が基本|サイズと採用担当者が見るポイント

フォーマット選択後に書くべき各欄のポイント
学歴欄:高校卒業から記載し、正式名称を使う
医師の学歴欄は「高校卒業」から記載します。大学名・学部名は正式名称を使い、略称を用いないことが原則です。医学部付属の大学院に進学した経歴がある場合は、大学院名と修了区分(修了・中退など)もあわせて記載します。
- 高校名・大学名・大学院名はすべて「正式名称」で記載する
- 入学年度と卒業年度を両方記載する
- 医学部の場合は「△△大学医学部医学科 卒業」と学科名まで明記する
- 年号は「西暦」か「和暦」のどちらかに統一する(混在はNG)
職歴欄:医局異動の表記が採用担当者の誤解を防ぐ
職歴欄は、医師キャリアの整理が最も重要なセクションです。初期研修・後期研修・常勤勤務・医局人事異動の各フェーズを時系列で整理します。医局人事による異動には「(医局人事による異動)」と明記することで、転職歴ではなく組織内異動であることを採用担当者に正確に伝えられます。
診療科・役職(医員・医長・部長など)は省略せず記入してください。どのような規模の病院でどのような症例を経験してきたかが、採用判断の根拠になります。
職歴欄の記載例(内科医師・医局人事異動あり)
○○年○月 △△医科大学附属病院 初期研修 入職
○○年○月 △△医科大学附属病院 初期研修 修了
○○年○月 △△医科大学病院 内科 医員 入職(後期研修)
○○年○月 ■■病院 内科 医員(医局人事による異動)
○○年○月 ◆◆クリニック 内科 常勤医師(医局人事による異動)
現在に至る
研修医の履歴書の書き方についてはこちらの記事も参考にしてください。
研修医の履歴書の書き方|採用担当者が見るポイントと例文を徹底解説

免許・資格欄:医籍登録番号まで必ず記載する
免許・資格欄には、医師免許を筆頭に取得順で記載します。スペースに限りがある場合は、応募する診療科・ポジションへの関連度が高いものを優先し、残りは職務経歴書に記載してください。
| 優先順位 | 記載すべき資格 | 記載内容 |
|---|---|---|
| ① | 医師免許 | 医籍登録番号・取得年月 |
| ② | 専門医資格 | 学会名+正式資格名・取得年月 |
| ③ | 認定医資格 | 学会名+正式資格名・取得年月 |
| ④ | 指導医資格 | 学会名+正式資格名・取得年月 |
| ⑤ | その他の資格 | 職務経歴書への記載でも可 |
志望動機欄:診療方針との「つながり」を示す書き方
志望動機欄は「文字数の70〜80%を埋める」ことを意識してください。空欄が多すぎると熱量が低い印象を与えます。一方で、文字を極端に小さくして無理に詰め込むのも読みにくく、採用担当者に読んでもらえないリスクがあります。
医師の志望動機で採用担当者に響く書き方は、「応募先の具体的な特徴に言及し、自分のキャリアとの接続を示すこと」です。医療法人への応募では、以下の記事も参考になります。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →履歴書と職務経歴書──どちらを提出するのか
医師の転職では「履歴書だけでいいのか?」「職務経歴書は必要か?」という疑問が多く見られます。常勤転職の場合は、履歴書と職務経歴書の両方を提出するのが原則です。
常勤転職は両方提出が原則──書類の役割分担
履歴書と職務経歴書は、採用担当者に対して異なる情報を提供します。
| 書類 | 目的 | 主な記載内容 |
|---|---|---|
| 履歴書 | 事実の証明 | 学歴・職歴・免許資格・連絡先 |
| 職務経歴書 | 能力・経験のアピール | 専門領域・手技・症例数・実績・自己PR |
履歴書は「あなたが医師免許を持ち、どこでいつ働いてきたか」という客観的な事実を証明する書類です。職務経歴書は「どんな経験・スキル・専門性を持つ医師か」をアピールするための書類です。両者は補完関係にあり、どちらか一方では伝えきれない情報があります。
非常勤・スポット応募は職務経歴書のみも可
非常勤やスポット勤務の応募では、職務経歴書のみの提出で受け付けてもらえるケースが増えています。ただし、応募先から「履歴書も提出してください」と言われた場合に速やかに対応できるよう、常に更新しておくことを推奨します。
採用担当者がNGと判断する医師の履歴書5パターン
どれほど優秀な医師でも、履歴書の書き方が原因で書類選考を通過できないケースがあります。採用担当者が実際にNGと判断するパターンを5つ整理します。
- 医籍登録番号が記載されていない:採用担当者が手動で確認する手間が生じる。資格の記載自体を疑われるリスクもある。
- 医局異動を「退職・入職」と記載している:短期転職を繰り返す不安定な医師に見える。「(医局人事による異動)」の一文で解消できる。
- 専門医・認定医資格の漏れ:年俸・役職の交渉根拠が採用担当者の目に入らない。資格があるのに書かないのは損するだけ。
- 志望動機が汎用的すぎる:「貴院の理念に共感しました」「患者さんに寄り添いたい」のみでは、本気度が伝わらない。応募先の特徴に言及した記述が必要。
- 誤字・脱字・修正液の使用:医師として「記録の正確性」が求められる職種で誤字があると信頼性が下がる。手書き提出の場合、修正液・修正テープは絶対NG。
採用担当者はここを見ている
- 履歴書の「不備」は、医師としての業務の丁寧さと結びついて判断される場合がある
- 採用担当者が書類選考で履歴書を確認する時間は30〜60秒程度。視認性の低い書類は正しく読まれない
- フォーマットの正しさよりも「採用担当者が迷わず読めるか」を優先して設計する
医療法人の履歴書には独自のルールがある場合もあります。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 医師の履歴書フォーマットは「応募先の指定 > 医師専用テンプレート > 厚生労働省様式例」の優先順位で選ぶ
- 採用担当者が重視するのは、医籍登録番号の記載・医局異動の表記・専門医資格の網羅・志望動機の具体性の4点
- 医局人事による異動は「(医局人事による異動)」と明記することで、転職歴との誤解を防げる
- 常勤転職は履歴書と職務経歴書の両方を提出する。非常勤・スポット応募は職務経歴書のみでも可
- 誤字・脱字・修正液の使用は、医師の書類としての信頼性を著しく下げる
採用担当者の視点から見ると、「良い履歴書」と「よくある履歴書」の差はフォーマットではなく、記載情報の正確さと読みやすさにあります。
医師の履歴書フォーマットに関するよくある質問
- 医師の履歴書に決まったフォーマットはありますか?
-
応募先から指定がない限り、フォーマットに決まりはありません。厚生労働省様式例(2021年改訂版)が現在の標準として広く使われており、医師転職エージェントが提供する医師専用テンプレートも利用できます。最優先は「応募先の指定に従うこと」です。
- 医局人事による異動が多い場合、職歴欄はどう書けばいいですか?
-
各病院・施設への異動の末尾に「(医局人事による異動)」と記載することで、転職ではなく組織内の人事異動であることが明確になります。短期異動が多い場合でも省略せず、すべての施設名・診療科・役職を時系列で記載することで、どのような規模の医療機関でどんな経験を積んできたかが伝わります。
- 医師の履歴書はパソコン作成と手書き、どちらが望ましいですか?
-
パソコン作成が推奨されています。複数の応募先に出す際の修正が容易で、フォント・レイアウトが統一されるため視認性が高まります。応募先から手書きの指定がある場合を除き、パソコン作成で問題ありません。手書きの場合は、修正液・修正テープの使用は不可です。
- 医師免許の医籍登録番号は必ず記載する必要がありますか?
-
法的に必須ではありませんが、記載することが強く推奨されます。採用担当者が医師免許を確認する際、医籍登録番号があると照合作業が省略され、採用プロセスがスムーズに進みます。記載スペースがない場合は、職務経歴書の資格欄に明記してください。


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