この記事では、医師転職で実際に使える履歴書の見本と各欄の書き方を解説します。医師免許番号の記載方法、職歴の詳細度、採用担当者が落とす志望動機のNG例まで採用現場の視点でまとめています。
医師の履歴書が一般と違う3つのポイント
一般のビジネスパーソンが書く転職用履歴書と、医師が書くものには明確な違いがあります。この3点を把握せずに書いた履歴書は、採用担当者に「確認作業が必要な書類」と認識され、それだけで評価が下がります。
採用担当者はここを見ている
- 医師免許番号の有無:番号がない履歴書は、別途免許証のコピーや厚生労働省データベースで確認が必要になる
- 職歴の診療科・役職の明記:病院名だけでは専門分野も役職も判断できない。最初の書類確認の段階で「使える医師かどうか」を見ている
- 志望動機の固有性:どの病院にも使い回せる文章かどうかは、採用担当者には一目でわかる
相違点①:医師免許番号の記載
医師転職では、免許・資格欄に「医師免許取得(医籍登録番号 第○○○○○号)」と登録番号を必ず記載します。これがないと、採用担当者は厚生労働省の「医師等資格確認検索」で別途確認しなければならなくなります。番号は医師免許証の表面に「登録番号 第○○○号」と印字されています。
相違点②:職歴の詳細度
一般の転職者なら「○○株式会社 入社」で通ることも多いですが、医師の場合は病院名だけでは採用に必要な情報が伝わりません。診療科・役職・常勤か非常勤かを必ず明記します。採用担当者が面接当日まで「内科なのか外科なのか」を知らない状態で迎えることになれば、書類の段階で評価は下がっています。
相違点③:医局関係の記載
大学医局に所属しながら関連病院に派遣されていた経験を持つ医師の多くが、職歴欄の書き方で迷います。「医局在籍中の派遣」と「各病院での勤務」をどう整理するかは、後述の職歴欄の書き方で詳しく解説します。
【見本付き】医師の履歴書 各欄の書き方
①日付・氏名・年齢・写真欄
日付は郵送なら投函日、持参なら面接当日、メール送付なら送信日を記載します。写真は3か月以内に撮影したものを使用します。
採用担当者はここを見ている
- 写真で見ているのは「清潔感」と「真剣な表情」。スーツを着て白または薄いグレーの背景で撮影したものが基本
- 白衣での写真は、指定がない限り避ける。面接用の印象管理を優先すること
- 日付のミス(面接日と実際の日付がずれている)は意外と多い。提出直前に必ず確認する
②住所・電話番号・メールアドレス
住所は省略せず都道府県から記載します。電話番号は日中に連絡が取れる携帯電話番号を記載してください。
メールアドレスはGmailなどのフリーメールで問題ありませんが、現在の病院や大学のメールアドレス(@○○-hosp.jp 等)は絶対に使用しないこと。転職活動していることが職場に知られるリスクがあります。転職活動専用のフリーメールを1つ用意するのが無難です。
③学歴欄の書き方(医学部・研修・医師国家試験)
医師の学歴欄は記載量が多くなります。スペースに余裕があれば高校卒業から書くのが丁寧ですが、用紙のスペースによっては大学入学から書き始めても問題ありません。
良い例文
平成○年○月 ○○高等学校 卒業
平成○年○月 ○○大学医学部医学科 入学
平成○年○月 ○○大学医学部医学科 卒業
医師国家試験の合格は学歴欄には書きません。「免許・資格欄」に「医師免許取得」として記載するのが正しい書き方です。「医学部」か「医科大学」かは自分の出身校の正式名称に合わせてください。大学によって「医学部医学科」「医学部医学課程」など表記が異なります。
初期研修(2年間)の記録は職歴欄に記載します。研修先病院・期間・修了の旨を必ず書いてください。
研修医として初めて履歴書を作成する場合は、研修医の履歴書の書き方もあわせて参考にしてください。

④職歴欄の書き方(病院名・診療科・役職)
職歴欄は医師の履歴書のなかで採用担当者が最も時間をかけて確認する部分です。病院名・診療科・役職・常勤か非常勤かをセットで記載することを徹底してください。
採用担当者はここを見ている
- 病院の規模感(大学病院・急性期病院・クリニックなど)
- 診療科と担当してきた患者層
- 役職の推移(医員→医長→部長など)でキャリアの成長を確認
- 常勤・非常勤の別(非常勤のみのキャリアは詳細な理由の説明が必要)
良い例文
平成○年○月 ○○大学医学部附属病院 初期研修医として入職
平成○年○月 初期臨床研修 修了
平成○年○月 ○○病院 内科 勤務医(常勤)として入職
平成○年○月 ○○病院 内科 医長に昇任
令和○年○月 一身上の都合により退職
現在に至る
NG例
平成○年○月 ○○病院 医師として勤務
診療科・役職・常勤非常勤の別がすべて不明。採用担当者が書類審査でジャッジできない状態になる
在籍中の場合は最後に「現在に至る」と書きます。退職済みで次の就職が決まっていない場合は退職日を書いて「以上」と締めてください。西暦・和暦はどちらでも構いませんが、履歴書全体で統一します。
⑤免許・資格欄(医師免許番号の書き方)
医師免許番号(医籍登録番号)は採用担当者が資格確認をするための最初の手がかりです。番号は医師免許証の表面に「登録番号 第○○○号」と印字されています。記載する際は以下の形式が一般的です。
良い例文
平成○年○月 医師免許取得(医籍登録番号 第○○○○○号)
平成○年○月 日本内科学会 認定内科医 取得
令和○年○月 日本消化器病学会 消化器病専門医 取得
専門医資格は取得した順に古いものから記載します。資格名は略称ではなく正式名称で書くのがルールです(例:「内科専門医」ではなく「日本内科学会 総合内科専門医」)。学会所属は資格欄の下に別記するか、職務経歴書にまとめる形が一般的です。
採用担当者はここを見ている
- 医師免許番号があるかどうか:ない場合は別途確認が必要になり書類処理が遅れる
- 専門医の種類:応募科と専門医が一致しているかを確認している
- 取得年:何年目で専門医を取得したかでキャリアの計画性を見ている
⑥志望動機・自己PR欄
採用担当者が最初に目を通すのがここです。医師の転職では志望動機の「固有性」が合否を大きく左右します。
NG例
「貴院の地域医療への取り組みと患者様への真摯な姿勢に深く共感し、ぜひ貴院で医師として貢献したいと考え応募いたしました。」
どの医療機関にも使い回せる内容。採用担当者には「本当にウチを選んでいるのか?」という疑問が生まれる
良い例文
「消化器内科医として8年間、上部・下部内視鏡検査を年間500件以上担当してまいりました。貴院は地域唯一の消化器専門外来を持ち、内視鏡センターの整備にも取り組んでいると伺っています。私の内視鏡経験を活かしながら、貴院の消化器診療の質向上に貢献できると考えて応募いたしました。」
良い例文には「自分のスキル・実績」と「その医療機関の具体的な特徴」の両方が入っています。志望動機の書き方について詳しくは医療法人の志望動機も参考にしてください。

⑦本人希望欄
特別な希望がなければ「貴院の規定に従います」で問題ありません。診療科や勤務形態(常勤・非常勤)に希望がある場合は、ここに明記します。希望条件が多すぎると採用側に敬遠されるケースもあるため、絶対に外せない条件だけを書くのが得策です。
採用担当者が落とす、医師の履歴書よくある3つのNG
書類選考を担当する側から見ると、医師の履歴書には特有のNGパターンがあります。実力があっても書類審査で落とされている医師の多くが、以下の3点でつまずいています。
NG①:医師免許番号が書かれていない
「医師免許取得」とだけ書いて番号を書かない医師は少なくありません。採用担当者の立場では、番号がないと厚生労働省の「医師等資格確認検索」で確認する必要があります。小さなことに見えますが、「書き方を知らない」という印象を与えます。
NG②:職歴が「○○病院 医師として勤務」だけ
病院名だけでは診療科も役職もわかりません。採用担当者が面接当日まで「内科なのか外科なのか」「医員なのか医長なのか」を把握できない状態になります。履歴書は採用担当者が事前に読む書類です。読み手が判断できる情報を揃えることが最低限のマナーです。
NG③:複数の医療機関に使い回せる志望動機
「地域医療に貢献したい」「患者様に寄り添いたい」で終わる志望動機は、どの医療機関の採用担当者も「本当にウチを選んでいるのか?」と感じます。その医療機関ならではの要素(診療実績・特化外来・教育体制・法人規模など)を1つ以上盛り込むことで、選ばれる確率が大きく変わります。
医療法人への転職全般の書類作成については、医療法人の履歴書の書き方で詳しく解説しています。

志望動機で差がつく書き方(採用担当者視点)
志望動機は履歴書の中でもっとも差がつく欄です。転職の目的別に、採用担当者に刺さる書き方のポイントと例文を紹介します。
年収・条件アップを目指す転職の場合
「年収アップのために転職する」という本音を志望動機にそのまま書くのは避けます。ただし採用側も「それなりの条件を提示しないと来てもらえない」ことは理解しています。ポイントは「自分が貢献できるスキルを提示しながら、待遇への期待も合理的に伝える」ことです。
良い例文
「整形外科医として10年間、人工関節手術を年間150件以上担当してまいりました。現在の勤務先は研究・学術業務の比重が高く、臨床件数を増やしながら外科技術をさらに磨きたいという希望とのギャップが生じています。貴院は年間手術件数が豊富と伺っており、クリニカルな医師として成長できる環境を求めて応募いたしました。」
専門性・キャリアアップを目指す転職の場合
特定の手技習得や専門医取得を目的とした転職では、「なぜこの医療機関でなければならないのか」を明確に示す必要があります。医療機関の特色と自分の目標をリンクさせてください。
良い例文
「消化器内科医として3年のキャリアの中で、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の技術をさらに向上させたいと考えています。貴院の内視鏡センターは年間1,200件以上のESDを実施しており、指導体制も整っていると伺っております。貴院での臨床経験を通じて高度な内視鏡技術を習得し、地域の消化器疾患医療に貢献したいと考えております。」
ワークライフバランスを重視する転職の場合
「当直回数を減らしたい」「育児と両立したい」という事情は、採用担当者の立場では「条件が変われば辞めてしまうのでは」という懸念につながることがあります。ライフスタイル上の理由を伝える場合は、その医療機関への貢献意欲を必ずセットで示してください。
良い例文
「子育て期間中も外来診療を通じてキャリアを継続したいと考えています。貴院は育児短時間勤務制度を整備されており、非常勤・常勤の切り替えも柔軟に対応していただけると伺いました。子育てが落ち着いた後は常勤に戻り、長期的にお世話になりたいと考えています。」
研修医として初めて就職活動する場合の志望動機の書き方は、研修医の志望動機で詳しく解説しています。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →医局人事・病院合併があった場合の職歴の書き方
大学医局に所属しながら関連病院に派遣されていた医師、または勤務していた病院が合併・改称された経験がある医師は、職歴欄の書き方で迷いやすいです。採用担当者が経緯を理解できるよう、丁寧に記載することが重要です。
医局人事による派遣の書き方
良い例文
平成○年○月 ○○大学医学部附属病院 外科 医員として入職
平成○年○月 ○○大学医局より△△病院 外科に派遣(常勤)
平成○年○月 △△病院 外科 医長に昇任
平成○年○月 △△病院 退職(医局人事により帰局)
平成○年○月 ○○大学医学部附属病院 外科 助教として昇任
令和○年○月 一身上の都合により退職
派遣先での役職も忘れずに記載してください。「医局人事により帰局」と明記することで、自己都合退職と区別でき、採用担当者に余計な疑問を持たれずに済みます。
病院の合併・名称変更があった場合
良い例文
平成○年○月 ○○中央病院 内科 勤務医(常勤)として入職
(平成○年○月 △△医療センターに合併・改称)
令和○年○月 △△医療センター 内科 医長
令和○年○月 一身上の都合により退職
名称変更の年月を括弧書きで添えると採用担当者が経緯を理解しやすくなります。採用担当者が知らない病院名が突然出てくると確認の手間が増えます。変更事実を積極的に補足するのがプロとしての書き方です。
提出前の最終チェックリスト
完成した履歴書は提出前に以下の項目を必ず確認してください。採用担当者が最初の書類確認で引っかかるポイントがほぼ網羅されています。
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 免許・資格欄 | 医籍登録番号が記載されているか |
| 専門医の資格名 | 略称ではなく正式名称で書かれているか |
| 職歴欄 | 病院名・診療科・役職・常勤非常勤の別が明記されているか |
| 志望動機 | その医療機関固有の情報が1つ以上含まれているか |
| メールアドレス | 現在の病院・大学のメールを使っていないか |
| 日付 | 郵送なら投函日、持参なら面接当日になっているか |
| 写真 | 3か月以内に撮影したスーツ姿か |
| 年号表記 | 西暦・和暦が履歴書全体で統一されているか |
| 誤字・脱字 | 特に病院名・医師名・資格名を目視確認したか |
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 医師の履歴書は医師免許番号・診療科・役職の3点が一般の履歴書と最も異なる
- 職歴欄は病院名だけでなく診療科・役職・常勤非常勤の別をセットで記載する
- 志望動機はその医療機関固有の情報(診療実績・特化外来・教育体制など)を1つ以上盛り込む
- 医局人事や病院合併があった場合は括弧書きで経緯を補足すると採用担当者に親切
- 現在の病院・大学のメールアドレスは使わず、転職活動専用のフリーメールを用意する
書類選考を通過するための履歴書は、採用担当者が「確認の手間なく判断できる書類」であることが前提です。免許番号・職歴の詳細・志望動機の固有性という3点を意識するだけで、多くの医師の履歴書と差別化できます。
医師の履歴書に関するよくある質問
- 医師免許番号はどこに書けばいいですか?
-
履歴書の「免許・資格欄」に「医師免許取得(医籍登録番号 第○○○○○号)」と記載するのが一般的です。番号は医師免許証の表面に印字されています。なお、医師免許番号を記載する義務はありませんが、採用担当者が資格確認をするための情報として記載するのがマナーです。
- 研修医時代の職歴は書く必要がありますか?
-
必ず記載してください。初期研修(2年間)は医師としてのキャリアの出発点であり、採用担当者にとっても重要な確認事項です。省略すると職歴に空白が生じ、採用担当者が「この期間は何をしていたのか?」と疑問を持ちます。研修先病院名・研修期間・修了の旨を明記してください。
- 手書きとパソコン作成、どちらがいいですか?
-
パソコン作成が主流です。医師の履歴書は学歴・職歴・資格の量が多く、手書きで規定のスペースに収めるのが難しいケースも多いです。応募先から「手書き指定」がある場合のみ手書きで作成してください。指定がなければパソコン作成でも評価に影響しません。
- 医局在籍中に複数の病院に派遣された場合、すべて書くべきですか?
-
原則としてすべて記載します。勤務期間が短い場合でも省略すると職歴に空白が生じます。短期派遣の場合は「○○大学医局より△△病院に短期派遣(○か月)」などと補足すると、採用担当者に経緯が伝わりやすくなります。


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