この記事では、履歴書を間違えたまま提出してしまった方に向けて、内定取り消しになるミスとならないミスの境界線を採用担当者の視点から整理します。気づいた後にすぐやるべき報告の手順と、電話・メールの文例まで具体的に紹介します。
履歴書を間違えたまま提出しても、内定取り消しは基本的に起こりにくい
提出した履歴書に誤りを見つけると、頭に浮かぶのは「これで内定が消えるのではないか」という不安だと思います。まず知っておいてほしいのは、誤字や書き間違いといった軽微なミスだけで内定が取り消されるケースは、法律上も実務上もかなり稀だという事実です。
採用内定は、法律上「始期付・解約権留保付の労働契約」と扱われます。内定を出した時点で会社と応募者の間には労働契約が成立しており、内定取り消しはその契約を会社側から解約する行為にあたります。そのため取り消しには、客観的に合理的な理由と、社会通念上の相当性が求められます。単なる書き損じでこの高いハードルを越えることは、ほとんどありません。
採用担当者はここを見ている
- ミスがあったかどうかより、気づいた後にどう動いたかを見ている
- 自分から早めに申告してくる人は「正直で仕事も丁寧そうだ」と受け取られやすい
- 逆に、指摘されるまで黙っていた場合は「隠す人かもしれない」という疑いに変わる
採用担当者が本当に評価しているのは、ミスそのものではなく発覚後の対応です。この記事の対処法は、すべてこの一点に沿って組み立てています。
内定取り消しになるミス・ならないミスの分かれ目
同じ「間違い」でも、内定への影響はミスの中身で大きく変わります。分かれ目になるのは、それが故意の詐称なのか、うっかりの誤記なのか。そして採否の判断に影響したかどうかです。まずは自分のミスがどこに当てはまるかを確認してください。
| リスク | ミスの例 | 基本の対応 |
|---|---|---|
| ほぼ影響なし | 誤字脱字、住所の番地違い、日付の1〜2か月ズレ | 訂正できれば十分。取り消しはまず起きない |
| 報告した方がよい | 入社・退社年月の年単位の間違い、企業名の誤記、資格の取得年月違い | 気づいた時点で自己申告して訂正する |
| 取り消しリスクあり | 学歴・職歴の詐称、持っていない資格の記載、懲戒解雇歴の隠蔽 | 意図的な詐称は取り消し・解雇の理由になり得る |
下段の「取り消しリスクあり」に当たるのは、応募者を採用するかどうかの判断を左右するような、重大かつ意図的な虚偽です。裁判例でも、業務適性や採否の決定に直結する経歴詐称は取り消しが認められる一方、業務と関係の薄い誤記や過失によるミスは処分が制限される傾向にあります。
誤字や記載ミスがどこまで採用に響くのかは、履歴書の誤字は即不採用になるのかを扱った記事でも詳しく解説しています。あわせて確認しておくと、過度に不安を抱え込まずに済みます。

間違いに気づいたら最初にやるべきこと
ミスに気づいた直後は、慌ててすぐ電話をかけたくなります。ただ、順番を間違えると「何をどう伝えるか」が定まらないまま話してしまい、かえって印象を悪くします。まずは落ち着いて、次の順で状況を整理してください。
提出済みかと、ミスの重大度を確認する
最初に確認するのは、その履歴書がすでに相手の手元にあるかどうかです。郵送やデータ送信を済ませていれば、原則として差し替えではなく「訂正の連絡」で対応します。次に、先ほどの表で自分のミスがどのリスクに当たるかを見極めます。ここで対応の重さが決まります。
報告するかどうかの判断基準
すべてのミスを報告する必要はありません。判断に迷ったら、次の基準で切り分けてください。
- 報告した方がよい:職歴の年月、企業名、資格の取得情報など、採用判断に関わる事実の誤り
- 報告しなくても問題になりにくい:面接で持参して差し替えられる誤字、送付後すぐ気づいた軽微な書き損じ
迷ったときの原則はシンプルで、採用担当者が「知っていたら判断が変わったかもしれない」情報なら報告する、というものです。具体的なミスの種類ごとの線引きは、履歴書を間違えたときの対処法とやばいミスの基準も参考になります。

内定取り消しを防ぐ正しい報告の手順
報告が必要だと判断したら、電話・メール・再提出の3ステップで進めます。この順番と伝え方さえ守れば、ミスがあっても評価はむしろ上がることさえあります。要点は、早さと簡潔さ、そして言い訳をしないことの3つです。
まず電話で一報を入れる
最初の連絡は電話が基本です。メールだけだと後回しにされたり、事務的に受け取られたりします。声で誠実さを伝えられる電話を先に入れ、担当者の指示を仰ぐのが確実です。長い説明はいりません。事実と訂正内容を、次の例のように端的に伝えます。
電話でそのまま使える伝え方
「お世話になっております。先日履歴書を提出いたしました◯◯と申します。提出した履歴書の職歴欄に誤りがあり、前職の入社年月を1年間違えて記載しておりました。正しくは20◯◯年◯月です。訂正した書類を改めてお送りしたいのですが、いかがいたしましょうか。」
メールで訂正内容を記録に残す
電話で話した内容は、そのままメールでも送って記録に残します。口頭だけだと「言った・聞いていない」が起きやすく、双方にとって不利です。件名で用件が分かるようにし、どこをどう直したかを明確に書きます。
訂正メールの文例
件名:履歴書記載内容の訂正について(氏名)
◯◯株式会社 採用ご担当者様
先ほどお電話でお伝えした履歴書の訂正の件、改めてご連絡いたします。職歴欄の前職入社年月に誤りがあり、正しくは「20◯◯年◯月」です。訂正した履歴書を添付いたしますので、ご確認いただけますと幸いです。ご迷惑をおかけし申し訳ございません。
訂正した書類を再提出する
担当者から再提出の指示があれば、間違いを直した新しい履歴書を用意します。すでに送った紙の書類に手を入れて修正液や二重線で直すのは避け、書き直して出すのが基本です。訂正の作法については履歴書の二重線訂正はNGなのかで詳しく整理しています。

NG例(かえって評価を下げる対応)
- 指摘されるまで黙っておく。後から発覚すると「隠していた」と受け取られ、経歴詐称を疑われる
- 「テンプレートが悪くて」など責任転嫁の言い訳を並べる
- 謝罪だけで、正しい情報と訂正方法を伝えないまま電話を切る
正直に言うべきか黙っておくべきか、で迷ったときの考え方
一番悩むのが、報告すれば自分から傷を広げるようで、黙っていればバレないかもしれない、というジレンマだと思います。ここでの判断基準は「バレるかどうか」ではありません。後から発覚したときに、どちらの立場でいたいかで考えると答えが出ます。
自己申告していれば、たとえ内容に誤りがあっても「正直に直そうとした人」です。黙っていて後から入社書類や前職への確認で判明すれば、同じミスでも「隠していた人」に変わります。前者は信頼が積み上がり、後者は信頼が崩れます。この差が、内定を維持できるかどうかの実質的な分かれ目になります。
採用担当者はここを見ている
- 入社後にトラブルを自分から報告できる人かどうかを、この対応で見ている
- 軽微なミスの自己申告で内定を取り消せば、会社側こそ不当な取り消しを問われる立場になる
- だからこそ、誠実に申告してくる応募者を無理に落とす動機は担当者側にほとんどない
提出前に間違いを防ぐチェックポイント
一度提出したものを直すより、出す前に防ぐほうが精神的にも楽です。ミスが起きやすいのは、記憶に頼って書く欄です。特に次の4項目は、書き終えた後に資料と突き合わせて確認してください。
- 学歴・職歴の年月:入学・卒業・入退社の西暦を、卒業証書や雇用契約書で照合する
- 企業名・部署名:正式名称で記載しているか。「(株)」などの略称になっていないか
- 資格・免許:取得年月と正式名称。持っていない資格を書いていないか
- 応募先の企業名:志望動機の中で別会社の名前を書いていないか
提出直前に一晩置いて翌朝に読み返すと、書いた直後には気づけない誤りが見つかります。可能なら、家族や知人にも一度目を通してもらうと、思い込みによるミスを拾いやすくなります。
まとめ
- 誤字や軽い書き間違いだけで内定が取り消されることは、法律上も実務上もまず起きない
- 取り消しにつながるのは、学歴・職歴・資格などの意図的で重大な詐称に限られる
- 採用担当者が見ているのはミスの有無より、気づいた後の対応の速さと誠実さ
- 報告が必要なら、電話で一報→メールで記録→訂正書類の再提出の順で動く
間違いに気づいた今の段階なら、まだ十分に挽回できます。黙って不安を抱えるより、早めの一報が内定を守る一番の近道です。
履歴書の間違いと内定取り消しに関するよくある質問
- 提出後に誤字に気づきました。必ず報告すべきですか?
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誤字脱字や住所の番地違いなど軽微なミスであれば、必ずしも報告は必要ありません。面接に履歴書を持参する場合は、その場で訂正版と差し替えれば十分です。一方、職歴の年月や資格情報など採用判断に関わる誤りは、気づいた時点で報告することをおすすめします。
- 面接で履歴書の間違いを指摘されたら、どう答えればよいですか?
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言い訳をせず、事実を認めて正しい情報を伝えるのが基本です。「記載を誤っておりました。正しくは◯◯です。確認が不十分でした」と簡潔に謝罪し、訂正内容を明確に述べます。慌てて取り繕うより、落ち着いて訂正する姿勢のほうが好印象につながります。
- 一度提出した履歴書を取り消して、出し直すことはできますか?
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提出済みの書類を回収することは基本的にできません。差し替えではなく「訂正の連絡と再提出」で対応します。まず採用担当者に電話で事情を伝え、訂正版を送ってよいか確認してから、直した履歴書を改めて提出してください。
- 内定後に間違いが発覚すると、取り消される確率は高いですか?
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軽微な誤記であれば、内定後に発覚しても取り消される可能性は低いままです。取り消しには客観的で合理的な理由が必要で、うっかりのミスはこれに該当しにくいためです。ただし、意図的な経歴詐称が判明した場合は、内定後でも取り消しや入社後の解雇の理由になり得ます。

