この記事では、理学療法士の職務経歴書の書き方を採用担当者の視点から解説します。急性期・回復期・生活期別の記載例、よくあるNG表現、数値で伝えるコツ、自己PRの例文まで、書類選考を通過するための具体的なポイントを紹介します。
理学療法士の職務経歴書が採用に左右する理由
履歴書との役割の違い
履歴書と職務経歴書は、採用担当者に提出する書類として混同されがちですが、採用担当者が読む目的がまったく異なります。
| 書類 | 採用担当者が確認すること |
|---|---|
| 履歴書 | 氏名・住所・学歴・保有資格の有無など基本情報 |
| 職務経歴書 | どんな環境でどんな経験を積んできたか(即戦力かどうか) |
理学療法士の場合、履歴書の資格欄に「理学療法士免許取得」と書くだけでは、どんな現場経験があるかはまったく伝わりません。職務経歴書で初めて「この人は自院の患者層に対応できる経験を持っているか」が判断されます。
採用担当者が職務経歴書で確認する3つのこと
リハビリ部門の採用担当者が職務経歴書を手に取ったとき、最初の30秒で確認するのは次の3点です。書類全体を読む前に、この3点に目が行きます。
採用担当者はここを見ている
- 施設規模と病棟種別:50床のクリニックと400床の急性期病院では経験の質が大きく異なる。病床数と病棟の種別(急性期・回復期・生活期)を最初に確認する
- 1日の担当単位数:業務量と処理能力の指標として単位数を確認する。急性期では14〜18単位が一般的な相場で、これより大きく少ない場合は理由が問われることがある
- 担当疾患・専門領域:整形外科系か脳血管系か、または生活期中心かを確認し、自院の患者層と照合する
この3点が職務経歴書から読み取れない場合、採用担当者は「経歴の判断ができない書類=選考見送り」と判断することがあります。書き方ひとつで、同じ経験でも評価が変わります。
職務経歴書に記載する6つの項目と書き方
理学療法士の職務経歴書には定まった様式はありませんが、採用担当者が知りたい情報を漏らさず記載するために、以下の6項目を必ず盛り込みます。
- ①職務要約
- ②職務経歴(各施設の詳細)
- ③保有資格・免許
- ④スキル・得意領域
- ⑤研修・学会参加歴
- ⑥自己PR
①職務要約:最初に読まれる3〜5行
職務要約は、書類全体の「つかみ」になる重要な部分です。採用担当者がもっとも先に目を通す箇所で、ここで「続きを読みたい」と思わせることが書類通過の第一条件になります。
「どんな施設で・何年間・何の専門領域を・どの程度の業務量で経験してきたか」を3〜5行に集約します。読んだだけで経歴の全体像がつかめる密度が理想です。
NG例
「病院に勤務し、リハビリ業務全般を担当してきました。患者様の回復に向けて日々努力しており、チームワークを大切にしています。」
施設規模・病棟種別・担当単位数がどこにも書かれておらず、採用担当者は経験の中身をまったく把握できません。
良い例
「急性期総合病院(450床)に6年間勤務後、回復期リハビリ病棟(80床)に転職し現在3年目。整形外科・脳血管障害を中心に、平均14〜16単位/日を担当。多職種カンファレンスへの参加・在宅復帰支援に注力してきました。」
②職務経歴:施設情報と業務内容を数値で記載
職務経歴は、施設ごとに「施設情報」と「業務内容」の2段構成で記載します。時系列順(古い順)が原則ですが、直近の経験を強調したい場合は逆年代順を使う場合もあります。施設情報として記載すべき項目は以下のとおりです。
| 記載項目 | 記載例 |
|---|---|
| 施設名・種別 | ○○総合病院(450床/急性期病院) |
| 在籍期間・雇用形態 | 2016年4月〜2022年3月(6年間)正社員 |
| 担当病棟・部署 | 整形外科病棟・ICU・HCU |
| リハビリスタッフ数 | PT15名・OT8名・ST4名 |
| 1日の担当単位数 | 平均14〜16単位/日 |
業務内容の記載では、「〇〇を行いました」という動詞で終わる羅列ではなく、数値・疾患名・担当件数をセットで書くことで採用担当者への情報密度が上がります。
③保有資格:認定・専門資格も漏らさず記載
理学療法士の免許は正式名称「理学療法士」で記載します。日本理学療法士協会の生涯学習制度で取得する上位資格は、専門性の証明として採用担当者への強いアピールになります。
- 登録理学療法士:2018年度以降に卒業した方は取得状況を記載
- 認定理学療法士:「認定理学療法士(脳卒中)」など専門分野を必ず明記
- 専門理学療法士:最上位資格。「専門理学療法士(神経)」のように記載
- 関連資格:福祉住環境コーディネーター・呼吸療法認定士など業務に関連する資格も記載
④自己PR:スキル・経験・熱意の3軸で構成
自己PRは「性格の良さ」を伝える場所ではありません。採用担当者が知りたいのは「入職後に何をしてくれるか」です。スキル・経験・熱意の3軸で、実績と今後のビジョンを結びつけて記載します。
- スキル軸:「整形外科疾患の術後早期離床プログラムの立案・実施を得意としています」
- 経験軸:「急性期6年・回復期3年の計9年間で、急性期から在宅復帰支援まで多様な病期に対応してきました」
- 熱意軸:「退院後の生活を見据えた在宅復帰支援に力を入れており、貴施設でもその経験を活かしたいと考えています」
採用担当者が落とす3つのNG表現と通過する書き方
書き方の「型」を知っていても、特定のNG表現が職務経歴書に混入していると書類選考で落とされます。実際の選考現場で頻繁に見られる3つのNGと、改善後の書き方を紹介します。
NG①「リハビリ業務全般を担当しました」
NG例
「整形外科・神経・呼吸器など幅広い疾患のリハビリ業務全般を担当しました。」
「全般」という言葉は、専門性の薄さを露呈します。何をとくに得意とするのかが伝わらず、採用担当者は判断を保留します。
改善後の書き方
「整形外科(骨折術後・脊椎術後・人工関節置換術後)を中心に、平均15単位/日を担当。ICUでの呼吸理学療法も経験し、術後翌日からの早期離床対応を担当するケースも多数。」
NG②施設の規模・病棟種別の記載なし
NG例
「○○病院に5年間勤務し、リハビリを担当しました。」
施設規模の記載なし。10床のクリニックなのか500床の急性期病院なのかで、経験量は天と地ほど異なります。規模を書かないと経験が正しく伝わりません。
改善後の書き方
「○○病院(380床/急性期・回復期混合型病院)リハビリテーション科に5年間勤務。PT12名体制の中で整形・神経疾患を中心に担当。1日平均14単位。」
NG③「コミュニケーション能力があります」で終わる自己PR
NG例
「コミュニケーション能力があり、チームワークを大切にして働いています。患者様に寄り添うことを心がけています。」
どのPTの職務経歴書にも書いてある表現です。具体的なエピソードがなければ採用担当者の記憶に残りません。
改善後の書き方
「回復期病棟での多職種カンファレンス(週2回)において、PT代表として退院調整の調整役を担当。在宅復帰困難事例に対し、家屋改修提案と福祉用具選定を行い、在籍3年間で担当患者の在宅復帰率を76%から84%に向上させました。」
施設タイプ別 職務経歴書の書き方と記載例
急性期病院・回復期リハビリ病棟・生活期施設のそれぞれで、採用担当者が重視するポイントは異なります。転職先の施設タイプに合わせて、自院のニーズに刺さる書き方を選ぶことが書類通過率を高める直接的な要因になります。
急性期病院での書き方
急性期では「早期離床への対応力」「単位数の処理能力」「術後翌日からのリハビリ経験」が評価されます。ICUやHCUでの経験がある場合は必ず明記してください。
採用担当者はここを見ている
- 術後早期離床・ICU/HCUリハビリの経験有無
- 1日の担当単位数(急性期では14単位以上が一般的な相場)
- 多職種連携(回診・カンファレンス参加)の有無
記載例(業務内容)
「整形外科疾患(骨折術後・脊椎術後・人工関節置換術後)を中心に、平均15単位/日を担当。ICU・HCUにおける早期リハビリテーションを経験(人工呼吸器装着患者の早期離床含む)。週3回の多職種回診・カンファレンスに参加し、退院調整に関与。」
回復期リハビリ病棟での書き方
回復期では「在宅復帰率への貢献」「FIM評価の実施経験」「多職種連携の深さ」が重視されます。担当患者数(月あたり)と在宅復帰実績を数値で示すと説得力が増します。
記載例(業務内容)
「脳血管障害(脳梗塞・脳出血後)および大腿骨頸部骨折術後を中心に担当(月平均12〜15名)。FIM評価によるゴール設定と週1回多職種カンファレンス(医師・看護師・OT・ST・MSW)への参加が定例業務。家屋改修提案・福祉用具選定を担当し、在宅復帰率85%の病棟に貢献。」
生活期(老健・デイサービス)での書き方
生活期では「ADL維持・向上への取り組み」「家族・ケアマネとの連携」「グループリハビリの経験」が評価ポイントになります。急性期と比べて単位数は少なめでも、個別対応の密度と連携の深さを具体的に伝えることが差別化になります。
記載例(業務内容)
「入所者のADL維持・向上を目的とした個別リハビリ(平均10単位/日)を担当。通所リハビリ(定員20名)でのグループリハビリおよびADL評価を実施。ケアマネジャーと連携し、居宅サービス計画にリハビリニーズを反映する取り組みを担当。転倒リスクの高い利用者に対する住環境の改善提案も実施。」
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →転職回数が多い・ブランクがある場合の書き方
転職回数が多い場合:経験の多様性として積極的に提示する
理学療法士はキャリアの中で複数の施設を経験するケースが少なくありません。転職回数が多い場合でも、職務要約で「複数の病期を経験したことで、急性期から在宅復帰支援まで対応できる幅を培ってきた」と積極的に意味づけします。
各施設の在籍期間が短い場合でも、職務経歴の省略は厳禁です。ただし、記述量を調整してA4用紙2枚以内に収めます。在籍1年未満の施設は業務内容を箇条書きに絞り、長期在籍の施設に紙面の重点を置く方法が有効です。
ブランクがある場合:事実を正確に、前向きに書く
育児・介護・疾病などによるブランク期間がある場合は、職務経歴書に正直に記載します。「空白を隠した書類」は面接で必ず確認され、逆に印象が悪化します。ブランク理由と現在の状態を一言添えると採用担当者の不安が和らぎます。
| ブランクの理由 | 職務経歴書への記載例 |
|---|---|
| 育児・育休 | ○年○月〜○年○月 育児に専念(第一子出産に伴う離職) |
| 介護 | ○年○月〜○年○月 家族の介護のため離職・専念 |
| 疾病(回復済み) | ○年○月〜○年○月 体調不良により休養(現在は完全回復・就業に支障なし) |
| 資格取得・研修 | ○年○月〜○年○月 認定理学療法士取得に向けた研修・受験期間 |
職務経歴書を効率よく仕上げるための2つの方法
自分で1から作成するのが難しい場合は、以下の2つの方法を活用することで作業時間を大幅に短縮できます。
①自動作成ツールでフォーマットと構成を整える
職務経歴書の自動作成ツールは、フォーマットの準備や構成の悩みを解消するのに役立ちます。必要事項を入力するだけで見やすいレイアウトに整えてくれるため、「書き方はわかったけれど、ゼロから作るのが大変」という方に向いています。
ただし、ツールが生成したままの文章は一般的で抽象的な表現になりがちです。本記事で紹介した数値化のポイントを参考に、職務経歴書の自動作成ツールを使ったうえで、必ず自分の言葉で具体化する仕上げ作業が必要です。

②転職エージェントの添削で客観的な評価を得る
完成した職務経歴書をそのまま提出する前に、第三者の目で確認してもらうことが書類通過率を高める最も確実な方法です。リハビリ職専門の転職エージェントに相談すれば、採用担当者目線での改善点を具体的に指摘してもらえます。
有料の添削サービスを活用する選択肢もあります。費用はかかりますが、複数施設に同時応募する際の精度向上に特に効果的です。職務経歴書の有料添削サービスの選び方は別記事で詳しく解説しています。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 採用担当者が職務経歴書で最初に確認するのは「施設規模・病棟種別・担当単位数・専門疾患」の4点
- 職務要約は3〜5行で全経歴を集約し、採用担当者が「続きを読みたい」と思わせる内容にする
- 業務内容は「〇〇を行いました」ではなく、「平均単位数・担当疾患・施設規模」をセットで数値化して記載する
- 急性期・回復期・生活期で採用担当者が重視するアピールポイントが異なるため、転職先の施設タイプに合わせて書き方を調整する
- 転職回数の多さやブランクは隠さず記載し、経験の多様性として前向きに表現する
職務経歴書は、履歴書では伝えきれない経験・専門性・熱意を採用担当者に届ける唯一の書類です。書き方ひとつで評価が変わることを念頭に、時間をかけて具体的な内容に仕上げてください。
理学療法士の職務経歴書に関するよくある質問
- 理学療法士の職務経歴書はPC・手書きどちらで作成すればよいですか?
-
PC作成を推奨します。修正・複写がしやすく、採用担当者にとって読みやすいレイアウトを整えやすいためです。手書きの場合は読みにくさや修正歴が目立つリスクがあり、特に理由がない限りWordやGoogleドキュメントなどのPC作成を選んでください。
- 職務経歴書はA4何枚まで作成してよいですか?
-
A4用紙2枚以内が基本です。経験が豊富でも3枚以上になると採用担当者が読みきれないケースがあります。在籍期間が短い施設は記述量を絞り、最も伝えたい経験に紙面の重点を置いて1〜2枚にまとめてください。
- 認定理学療法士・専門理学療法士は職務経歴書に書くべきですか?
-
はい、必ず記載してください。認定理学療法士・専門理学療法士・登録理学療法士はいずれも専門性の証明として採用担当者への強いアピールになります。資格欄への記載に加え、自己PRでもその専門性をどう活かしてきたかを具体的に補足することが効果的です。
- 在籍中に担当していた単位数を忘れた場合はどうすればよいですか?
-
正確な数字が思い出せない場合は「平均約〇〇単位/日」という推計値で問題ありません。「多かった」という抽象表現は避け、当時の記録や給与明細・施設のパンフレット等を参照して、できるだけ具体的な数値に近い値を記載してください。


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