この記事では、デザイナーが転職活動で使う履歴書の書き方を採用担当者の視点から解説します。志望動機・自己PR・スキル欄の例文と、ポートフォリオとの役割分担、職種別の書き分け方まで紹介します。
デザイナーの転職に履歴書が必要な理由
「ポートフォリオを作り込めば書類選考は通過できる」——デザイナーの転職ではこの思い込みが根強くあります。実際には、採用プロセスに関わる全員が必ずしもポートフォリオを見るわけではありません。人事担当者はポートフォリオを開く前に、まず履歴書で基本的な条件を確認します。
ポートフォリオがあっても履歴書で落とされるケース
デザイナーの書類選考は通常「履歴書 → 職務経歴書 → ポートフォリオ」の順に確認されます。人事担当者がポートフォリオを開くのは、履歴書の段階で「面接に呼んでもいい人材」と判断してからです。つまり履歴書の内容が不十分であれば、どれほど優れたポートフォリオを用意しても採用担当者の目に触れません。
実際に履歴書で落とされやすいケースを整理すると、次のようなパターンが浮かび上がります。
- 志望動機が一般的すぎて、なぜこの会社でなければならないかが伝わらない
- 職歴の書き方が簡略すぎて、実務レベルが判断できない
- スキル欄がツール名の羅列だけで、何がどの程度できるかが読み取れない
- 自己PRがポートフォリオの補足説明になっており、人物像が伝わらない
採用担当者が履歴書とポートフォリオに求めている役割の違い
採用担当者にとって、履歴書とポートフォリオはそれぞれ異なる情報源です。
| 書類 | 確認したいこと | 見る担当者 |
|---|---|---|
| 履歴書 | 基本情報・経歴の整合性・人柄・志望度 | 人事・採用担当・現場責任者の全員 |
| ポートフォリオ | デザインスキル・センス・技術レベル | デザインマネージャー・現場クリエイター |
履歴書は「どんな人間か」を伝える書類、ポートフォリオは「どんな仕事ができるか」を見せる書類です。この役割分担を意識しないと、どちらの書類も中途半端になります。履歴書では、ポートフォリオでは伝えられないコミュニケーション力・プロジェクト管理能力・志望理由を中心に記述することが重要です。
採用担当者がデザイナーの履歴書で見る5つのポイント
デザイナーの書類を毎月数十件以上確認する採用担当者が、実際に何を確認しているかをまとめました。
採用担当者はここを見ている
- 職歴の一貫性:どのような業種・規模の会社でデザイン業務に携わってきたかを確認する。「制作会社出身か、事業会社出身か」で担当できる業務の幅が異なるため、職歴欄での記載が重要
- 使用ツールと経験年数:Illustrator・Photoshopなどは「使える」というだけでは不十分。どの業務でどの程度使ってきたかを読み取ろうとする
- 転職理由と志望理由の整合性:「前職を辞めた理由」と「この会社を選んだ理由」が矛盾していないかを確認する。特に短期離職が複数回ある場合は注視される
- 数字による成果:「バナー制作を担当」より「月20〜30本のバナーを単独で制作・入稿まで対応」のように規模感を数字で示しているかどうか
- 志望動機の具体性:「御社のデザインに魅力を感じた」という抽象的な表現ではなく、「御社のプロダクトが持つ○○という方向性が、自分のデザインアプローチと合致している」という具体性があるかどうか
デザイナーの採用では「センスはポートフォリオで判断する」という現場の意識があります。だからこそ、採用担当者が履歴書で確認したいのは「一緒に働けるか」「コミュニケーションが取れるか」「この会社で働く理由があるか」という人間的な側面に絞られます。
【項目別】デザイナー転職の履歴書の書き方
学歴・職歴欄の書き方
学歴欄は最終学歴から記載します。デザイン系の大学・専門学校の場合は、学科名をできるだけ正確に記載してください。「美術学部デザイン学科」と「芸術学部映像学科」では採用担当者が受け取る情報がまったく異なります。
職歴欄では、以下の3点を各社ごとに記載するのが基本です。
- 会社の事業内容・規模(従業員数・設立年数):「制作会社勤務」だけでなく「Webデザインを専業とする制作会社(従業員30名)」と書くことで、担当できる業務の幅が具体的に伝わる
- 役職・担当業務:何を、どの規模で担当していたかを簡潔に記載する
- 退職理由:「一身上の都合により退職」で問題ありませんが、退職理由が前向き(スキルアップ・専門性の深化)であれば、簡潔に添えると好印象につながります
良い職歴記載例
株式会社〇〇デザイン(Webデザイン専業・従業員25名)
2020年4月 入社
Webデザイナーとして、コーポレートサイト・ECサイトのUI設計とビジュアルデザインを担当。主にPhotoshop・Figmaを使用し、月3〜5案件のデザインを一人で完結させていた。
2024年3月 一身上の都合により退職(スキルの幅を広げるため)
NG例
株式会社〇〇
2020年4月 入社
デザイナーとして勤務
2024年3月 退職
NG理由:事業内容・規模・担当業務が不明で、採用担当者が実務レベルを判断できない
スキル・使用ツール欄の書き方
デザイナーの履歴書でもっとも差がつくのがスキル欄です。多くの応募者が「Illustrator・Photoshop・Figma使用可」と書いて終わりにしますが、採用担当者はそれだけでは熟練度を判断できません。
スキル欄に書くべき情報は「ツール名」「使用年数・頻度」「業務での使用範囲」の3点です。
| ツール | 使用歴 | 使用範囲 |
|---|---|---|
| Adobe Illustrator | 5年(業務使用) | 印刷物・バナー制作・ロゴデザイン |
| Adobe Photoshop | 5年(業務使用) | 画像加工・バナー制作・Web用画像書き出し |
| Figma | 2年(業務使用) | UIデザイン・プロトタイプ作成・チーム共有 |
| HTML / CSS | 3年(業務補助レベル) | コーディング確認・簡単な修正対応 |
上記のような表形式で記載するか、履歴書のスペースが限られている場合は「Illustrator(5年・業務使用)、Figma(2年・UIデザイン中心)」のように括弧書きで補足します。「使用可」という表現は避け、使用期間と用途を必ず添えてください。
資格欄に書けるもの
デザイナーの転職で履歴書の資格欄に記載できる主な資格は以下のとおりです。
- 色彩検定(1〜2級):カラーコーディネートの知識を証明。グラフィック系・ファッション系のデザイナーに有効
- ウェブデザイン技能検定(1〜3級):国家資格。1・2級は実務経験が必要で、保有していると専門性のアピールになる
- DTPエキスパート認証試験:印刷・出版系の職場では評価されることがある
- 普通自動車運転免許:取材・ロケハン対応が求められる制作会社では記載しておくと良い場合がある
資格がない場合でも、資格欄に「特になし」と書くのは避けてください。「Adobeツール各種(Illustrator・Photoshop・InDesign)を業務で日常的に使用」のような形でソフトウェアのスキルを補足するか、空欄にしておく判断が適切です。
志望動機の書き方と職種別例文
採用担当者が落とす志望動機のNG例
デザイナーの志望動機でもっとも多い落選理由は「なぜこの会社でなければならないのかが伝わらない」という点です。「デザインを通じて社会に貢献したい」「御社のクリエイティブな環境に魅力を感じた」のような表現は、どの会社にも応用できる文章のため、志望度が低いと判断されます。
NG例
デザインを通じて多くの人に価値を届けたいと思い、御社を志望しました。御社はクリエイティブな文化があると伺っており、自分のスキルを活かせると感じています。
NG理由:「御社でなければならない理由」がゼロ。会社名を変えてもそのまま使える文章
採用担当者が「この人から会いたい」と感じる志望動機には、以下の3つの要素が含まれています。
- 現職での経験・課題:なぜ転職を決意したか(スキルの限界・やりたい方向性との乖離など)
- この会社を選んだ具体的な理由:会社のプロダクト・文化・案件の特徴を具体的に指摘する
- 入社後の展望:この会社で何を実現したいか(抽象的すぎない範囲で)
Webデザイナーの志望動機例文
良い例文(Webデザイナー・経験者)
現職ではWebデザイナーとしてLP制作を中心に担当してきましたが、UX設計の上流工程に関わる機会がほとんどなく、ユーザー調査から入るデザインプロセスを身につけたいと考えるようになりました。御社がユーザーインタビューをデザイン工程に組み込んでいる点と、サービス単位でデザイナーがオーナーシップを持てる体制に魅力を感じています。入社後はUIデザインのスキルを活かしながら、UXリサーチの知識を深め、プロダクト全体の体験設計に貢献していきたいと考えています。
グラフィックデザイナーの志望動機例文
良い例文(グラフィックデザイナー・経験者)
制作会社で4年間、主に食品・生活雑貨メーカーのパッケージデザインを担当してきました。案件の幅は広い一方、一つのブランドに深く関わる機会が少ないことに課題を感じていました。御社はブランドの立ち上げから中長期の展開まで一貫してグラフィックデザイナーが関与できると伺っており、自分が強みとするブランドの世界観構築の力を存分に発揮できると判断しました。これまでの経験を活かしながら、御社のブランドの一貫したビジュアルコミュニケーションに貢献したいと考えています。
自己PRの書き方と例文
デザイナーの自己PRで犯しやすい3つのミス
デザイナーの自己PRに多い失敗パターンを整理します。いずれも採用担当者が毎回見かける「採用を見送る理由」になっています。
- ミス①:ポートフォリオの説明を書いてしまう:「バナー制作、LP制作、パッケージデザインを担当してきました」という羅列は自己PRではありません。自己PRは「自分の強み(能力・姿勢)」を伝える欄です
- ミス②:「デザインが好き」しか伝わらない:好きであることはほぼすべての応募者が持っている前提条件。「何がどう得意か」「それが会社にどう貢献できるか」まで書く必要があります
- ミス③:数字がない:「多数の案件を経験」より「月平均15本の制作案件を担当し、1件あたりの所要時間を2日から1.5日に短縮」のように数字で示すと、採用担当者の頭に実務レベルが具体的に浮かびます
経験者向け自己PR例文
良い例文(Webデザイナー・経験者)
制作スピードを落とさず品質を維持する「段取り力」が強みです。前職では月20〜25本のLPデザインを単独で担当し、クライアントからの修正対応も含めて1本あたり平均2日以内で完結させる体制を構築しました。スピードだけでなく、制作前にワイヤーフレームの確認とフィードバックを徹底することで、大幅な手戻りを防ぐ運用を自ら提案し実施しました。新しい環境でも、現場のワークフローを早期に把握し、チームの制作効率に貢献できます。
未経験・異業種転職向け例文
デザイン未経験で転職を目指す場合や、他業種からデザイン職へのキャリアチェンジの場合は、前職での経験がデザイン業務にどう活かせるかを軸に自己PRを組み立てます。
良い例文(異業種からWebデザイナーへ転職)
販売職で5年間、接客を通じて「伝わるコミュニケーション」の重要性を学びました。どんな情報を、どの順番で、どのように提示するかによって相手の行動が変わることを実感し、視覚的なコミュニケーションであるデザインに強い関心を持ちました。独学でHTMLとCSS、Figmaを習得し、3ヶ月でポートフォリオ用のWebサイトを3件制作しました。ユーザーに伝わる設計を意識するスタンスは、デザインの現場でも発揮できると考えています。
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →転職先の種類別・履歴書で変えるべきポイント
デザイナーが転職する先は大きく「制作会社」「事業会社(インハウス)」「スタートアップ」の3パターンに分かれます。採用担当者が見るポイントは職場の種類によって異なるため、志望動機と自己PRの切り口を変えることが重要です。
| 転職先の種類 | 採用担当者が重視するポイント | 履歴書で強調すべき内容 |
|---|---|---|
| 制作会社 | 制作スピード・案件の幅広さ・対応力 | 月の制作本数・納期対応の実績・扱えるツールの多様性 |
| 事業会社(インハウス) | ブランド理解・長期的な関与・事業への貢献意識 | ブランド全体を考えた経験・KPIへの関与・チームとの連携実績 |
| スタートアップ | 変化への適応力・自走力・幅広い対応範囲 | 少人数環境での経験・ゼロからの制作・提案から納品までの一貫経験 |
たとえば「月20本のLP制作をこなせる」という実績は制作会社への応募では強いアピールになりますが、インハウスデザイナーを求める事業会社では「数をこなすことが目的の人材」と取られる可能性があります。同じ経験でも、志望先によって切り口を変えることが通過率の差を生みます。
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- デザイナーの転職でもポートフォリオと同様に履歴書が重要。人事担当者はポートフォリオを開く前に履歴書で判断する
- スキル欄はツール名の羅列ではなく、使用期間・業務での使用範囲を添えることで採用担当者に伝わる
- 志望動機は「なぜこの会社か」の具体的な理由を入れる。どの会社にも使い回せる文章は落選の原因になる
- 自己PRはポートフォリオの補足にならないよう、強みや姿勢を数字で表現する
- 転職先の種類(制作会社・事業会社・スタートアップ)によって、強調すべき実績の切り口を変える
履歴書はデザイナーの人物像を伝える唯一の書類です。採用担当者に「会ってみたい」と思わせる一枚を、今回紹介した視点で見直してみてください。転職活動の準備を同時進行で進めたい方は、履歴書作成サービスの選び方も参考にしてください。

デザイナーの転職履歴書に関するよくある質問
- ポートフォリオがあれば履歴書は簡単でいいですか?
-
いいえ、履歴書は手を抜いてはいけません。採用プロセスではまず人事担当者が履歴書を確認し、条件を満たしていると判断した場合にポートフォリオへ進みます。履歴書の段階で弾かれてしまうと、ポートフォリオが見られることなく書類選考が終わります。志望動機・職歴・スキル欄をそれぞれ丁寧に作成することが重要です。
- デザイナーの履歴書は手書きとPC作成のどちらがよいですか?
-
デザイナー職ではPC作成が一般的です。手書きが禁止されているわけではありませんが、採用担当者はデザイナーとしての整理・表現力もある程度評価します。PCで作成した整ったフォーマットの履歴書のほうが、ツール習熟度や情報整理力を間接的にアピールできます。フォントはMicrosoftなら「游明朝」、Macなら「ヒラギノ明朝」が読みやすく一般的です。
- デザイン系の資格がない場合、資格欄はどうすればよいですか?
-
資格欄が空欄になる場合は「特になし」と書くか、業務で使用しているツール・スキルを補足として記載するという方法があります。たとえば「Adobe Illustrator・Photoshop・Figmaを業務で5年以上使用」のような形です。資格がないこと自体はデザイナー採用において致命的な不利になりませんが、スキル欄や職歴欄でツール経験を具体的に伝えることが重要です。


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