この記事では、人事・採用担当として転職する際の職務経歴書の書き方と例文を解説します。採用担当者が職務経歴書のどこを見るかを踏まえ、職種別(採用担当・労務・人事企画・総務兼任)の例文と、採用担当者が思わず通過させたくなる書き方のポイントを紹介します。
人事職の職務経歴書が「難しい」本当の理由
採用する側だからこそ陥るトラップ
人事・採用担当者が自分の職務経歴書を書くとき、最初につまずくのが「自分が書類を見る立場だからこそ、何を書けばいいかかえってわからなくなる」という問題です。
採用担当として毎日書類を審査してきた経験があるため、「薄い書類」の典型パターンは熟知しています。しかし、いざ自分が書く側に回ると、「人事の実績って何を書けばいいんだろう」「採用人数○名以外に書くことがない気がする」と手が止まる人が多いのが実態です。
採用担当者が職務経歴書に感じる難しさの本質は、業務の性質にあります。人事の仕事は「誰かを動かした」「制度を整えた」「組織を変えた」という無形の成果が多く、数字で表しにくい業務が多い。それが「書くことがない」という錯覚を生み出します。
「人事の実績」は何を書けばよいのか
人事職の実績は、次の3つの軸で数値化できます。これらをひとつでも書けると、書類の説得力が大きく変わります。
- 量的指標:年間採用人数・採用充足率(採用目標に対する実績)・研修受講者数・管理対象従業員数
- 効率指標:採用コスト削減額・採用リードタイムの短縮日数・内定辞退率の推移
- 組織変化指標:離職率の変化・従業員エンゲージメントスコア・制度導入前後の数値比較
正確な数値を覚えていない場合は、在籍中に確認するか「約○%」「年間○名規模」のような概算表記を使うことも可能です。数字がゼロより、概算でも根拠のある数字があるほうが採用担当者にははるかに判断しやすくなります。
採用担当者が人事の職務経歴書で最初に確認する3つのこと
人事職の書類選考において、採用担当者(書類を見る側)がまず把握しようとするのは次の3点です。これを理解したうえで職務経歴書を設計すると、読み手に伝わりやすい構成になります。
採用担当者はここを見ている
- ①どのくらいの規模の組織で、どの領域を担当してきたか:社員数5名のスタートアップと3,000名の上場企業では、同じ「人事」でも業務の深さと幅がまったく異なります。組織規模と担当業務の範囲を明確に記載することが出発点です。
- ②オペレーション型か企画型か:採用・入退社手続き・給与計算などの「オペレーション業務」と、採用戦略の立案や制度設計などの「企画業務」では、採用ポジションのマッチング判断が変わります。両方の経験がある場合はその両方を、片方の場合は深さをアピールします。
- ③数字で成果が示せるか:採用人数・定着率・コスト削減額など、具体的な数値実績があると読み手が業務のボリュームと貢献度を正確にイメージできます。数字がないと「どの程度の規模感なのか判断できない」という理由で評価が下がりやすくなります。
人事職は「採用業務」と一口にいっても、求人票作成・スカウト配信・面接設計・採用ブランディングなど担当範囲が広い。採用担当者が30秒で書類を判断できるかどうかは、この3点が冒頭で読み取れるかどうかにかかっています。
人事の職務経歴書の構成と各項目の書き方
職務経歴書は「職務要約→職務経歴→保有スキル・資格→自己PR」の4ブロック構成が標準です。人事職ならではの書き方のポイントを項目別に解説します。
職務要約(冒頭150字)の書き方
職務要約は採用担当者が最初に読む箇所です。150〜200字以内で「キャリアの全体像+強みの一言」をまとめます。ここで興味を持たれれば、後段の経歴欄を精読してもらえます。
良い例文(採用担当者向け)
IT系ベンチャー〜上場企業にて新卒・中途採用業務を計8年担当。エンジニア・営業職を中心に年間採用目標20〜30名規模のオペレーション全般(求人票作成・エージェント管理・面接設計・内定者フォロー)を担当し、採用充足率は年平均98%。採用チャネルを7社→3社に最適化しエージェント費用を年間270万円削減。採用広報(SNS・オウンドメディア)の立ち上げにより応募者数を前年比1.4倍に改善。
NG例
人事部門において新卒・中途採用業務をはじめとした人事業務全般を担当してきました。採用目標の達成に向けて日々取り組んでいます。「全般を担当」「取り組んでいます」は何の情報もない。規模感・実績・強みがゼロ。
職務経歴欄の書き方(業務内容と実績)
職務経歴欄は「会社概要→在籍期間→担当業務→実績」の順で記載します。業務内容は箇条書きで具体的に、実績は数値を伴って記載するのが基本です。
| 項目 | 記載のポイント | 記載例 |
|---|---|---|
| 会社概要 | 事業内容・従業員数を1〜2行で | IT系SaaS企業(従業員150名、東証グロース上場) |
| 在籍期間 | 正確に記載(〇年〇月〜〇年〇月) | 2018年4月〜2024年3月(6年間) |
| 担当業務 | 業務ごとに箇条書きで。採用目標人数や対象職種を明記 | 中途採用:年間目標20名(エンジニア15名・営業5名) |
| 実績 | 数値+変化(前年比・達成率)を記載 | 採用充足率105%達成、内定辞退率を15%→8%に改善 |
複数社経験がある場合は、直近の会社を最も詳しく書くのが原則です。3社以上ある場合、古い会社は簡潔にまとめて構いません。
保有スキル・資格欄
人事職で記載できる主なスキル・資格は次の通りです。使ったことがあるツール名は積極的に記載すると、採用担当者が「即戦力かどうか」を判断しやすくなります。
- 資格:社会保険労務士(社労士)・産業カウンセラー・衛生管理者・メンタルヘルス・マネジメント検定など
- 採用管理ツール:Talentio・Greenhouse・HRMOS採用・SmartHR・HRBrainなど
- その他スキル:Excelでのデータ分析(ピボットテーブル・VLOOKUP)・ATS(応募者追跡システム)の設定・管理・Google Workspace
自己PR欄の書き方
自己PRは「強みの一言→裏づけとなるエピソード→入社後の再現性」の3段構成が有効です。人事職の場合、強みは「課題設定の精度」「ステークホルダーとの合意形成」「実務の再現性」の3軸で整理すると採用担当者に伝わりやすくなります。詳細は後述のH2-6で例文とあわせて解説します。
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人事職は担当領域によって書き方が大きく変わります。自分の担当業務に近いパターンを参考にしてください。
採用担当者(新卒・中途採用)の例文
採用担当者の職務経歴書で最も評価されるのは「採用充足率」「採用コスト」「内定辞退率」の3つの数値実績です。この3点を揃えると、採用担当者が「この人は採用の数値感覚を持っている」と判断できます。
採用担当者の職務経歴書 例文(職務要約)
IT系ベンチャー〜上場企業にて新卒・中途採用業務を計8年担当。エンジニア・営業職を中心に年間採用目標20〜30名規模のオペレーション全般を担当し、採用充足率は年平均98%。採用チャネルを7社→3社に最適化しエージェント費用を年間270万円削減。採用広報(LinkedIn・Wantedly・自社ブログ)の立ち上げにより年間応募者数を前年比138%に改善。
採用担当者の職務経歴書 例文(職務経歴欄)
【株式会社〇〇〇〇(IT系SaaS企業、従業員数180名)】2020年4月〜2024年12月
担当業務:
- 新卒採用:年間目標15名(全学部対象)。インターン企画・合同説明会運営・一次面接ファシリテーション・内定者フォロー(内定式・懇親会)
- 中途採用:年間目標20名(エンジニア12名・ビジネス職8名)。エージェント3社管理・スカウト媒体運用・カジュアル面談実施・採用サイト更新
- 採用管理:Talentio導入・設定・データ集計(月次採用レポート作成)
実績:
- 2023年度採用充足率:新卒107%(目標15名→実績16名)、中途95%(目標20名→実績19名)
- エージェント窓口7社→3社に集約し年間採用費270万円削減
- 採用広報(LinkedIn・Wantedly・自社ブログ月4本)立ち上げにより年間応募者数390名→540名(前年比138%)
労務担当者の例文
労務担当の職務経歴書では「法令対応の正確さ」と「管理対象の規模感」が評価の軸です。給与計算の対象者数・手続き件数・法改正への対応実績などを具体的に記載します。
労務担当者の職務経歴書 例文(職務要約)
製造業(従業員数350名)にて労務管理業務を7年担当。給与計算・社会保険手続き・就業規則改定・勤怠管理システムの運用を一手に担い、月次給与の支払い遅延ゼロを継続。2024年の育児・介護休業法改正対応では社内制度整備と全従業員向け説明会(4回・延べ280名参加)を実施し、産休・育休取得率100%を維持。SmartHRを活用した手続き電子化により、事務処理工数を月間約30時間削減。
人事企画・制度設計担当の例文
人事企画担当の職務経歴書では「課題特定→施策設計→実行→成果」のプロセスを明確に書くことが差別化のポイントになります。「検討しました」で終わる書き方は採用担当者から評価されません。
人事企画担当の職務経歴書 例文(職務要約)
コンサルティング会社(従業員数600名)にて人事企画・制度設計を5年担当。MBO→OKRへの評価制度移行(全社導入・管理職200名対象)を主導し、制度変更翌年の従業員エンゲージメント調査で「評価の透明性」スコアが65pt→82ptに向上。採用要件定義・ジョブグレーディング整備など制度インフラ構築を担当し、離職率を12%→8%に改善(2年間)。役員・部門長へのプレゼンテーションも独力で実施。
総務兼任型人事の例文
スタートアップや中小企業では「総務・人事を1人で兼務」というケースが多くあります。この場合、業務の広さと対応力をアピールしつつ、「何を優先して対応してきたか」という判断軸を見せることが重要です。
総務兼任型人事の職務経歴書 例文(職務要約)
15〜50名規模のスタートアップにて、採用・入退社手続き・給与計算・総務(備品管理・オフィス移転・社内規程整備)を1名で担当。急成長フェーズ(社員数15名→50名)において採用業務のオペレーション設計から構築まで担い、採用充足率80%を1人でカバー。SmartHRを主導して導入し、月次人事事務工数を25時間削減。複数業務の優先順位付けと進行管理を得意とします。
人事の職務経歴書でよくあるNGと改善例
採用担当者として書類を見てきた立場からいうと、人事職の書類で評価が下がる原因には共通したパターンがあります。3つのNGと改善例を確認してください。
NG①:業務の羅列だけで数字がない
NG例
新卒採用・中途採用・研修企画・労務管理など人事業務全般を担当。採用活動では複数のエージェントやナビサイトを活用し、採用目標の達成に向けて取り組みました。数値が一切なく「どの程度の規模感か」「成果を出したのか」が不明。
改善例
新卒採用(年間目標25名)・中途採用(年間目標20名)を担当。エージェント4社・ナビサイト2媒体を活用し、採用充足率は年平均94%。研修受講者数は年間延べ200名、労務管理対象は従業員数260名規模。
NG②:「採用業務全般を担当」という抽象的な表現
NG例
採用業務全般を担当していました。会社の採用活動を積極的にサポートし、人材確保に貢献しました。「全般」「積極的に」「サポート」「貢献」——何もわからない表現の集合。
改善例
中途採用を主担当として、求人票作成・エージェント対応(3社)・書類選考・一次面接ファシリテーション・内定後フォローを担当。2023年度は目標15名に対して実績18名(充足率120%)を達成。面接設計の見直し(質問集の整備・評価シートの統一)を行い、面接担当者間での評価ぶれを削減。
NG③:企画・立案経験を「検討しました」で終わらせる
NG例
離職率の高さが課題であったため、新しい評価制度の導入について検討・提案を行いました。役員に対してプレゼンも実施しました。「検討」「提案」「実施」——プロセスも成果も不明確。企画担当者として最も評価されにくい書き方。
改善例
離職率12%という課題(業界平均8%)に対し、「評価基準の不透明さ」と「マネジメントのばらつき」が主因と特定。MBO→OKR移行案を3ヶ月かけて設計し、役員会での承認を経て全社導入。管理職160名向けOKR研修(6回)を実施し、翌年の離職率を12%→8%に改善。
人事が自己PRで差がつく書き方と例文
自己PRで書く「強み」は、採用担当者が「この人は入社後に何で活躍してくれるか」をイメージできるかどうかを左右します。人事職は担当領域によって強みのアピール方法が変わります。
採用・選考担当で使える強みの表現
採用担当者として採用側の目線を持ちながら、候補者のエンゲージメントを高める動き方ができることが採用担当者としての最大の強みになります。「選ぶ」だけでなく「選んでいただく」プロセスの設計力をアピールできると、他の候補者との差別化になります。
採用担当者の自己PR 例文
採用担当として気をつけてきたのは、「選ぶプロセス」ではなく「選んでいただくプロセス」の設計です。面接から内定承諾までの連絡頻度と内容を見直した結果、内定辞退率を15%から7%に低下させました。これは年間採用コストに換算すると約180万円の削減に相当します。採用を「人材を確保する業務」ではなく「候補者体験を設計する業務」として捉えた視点を、入社後も採用ブランドの強化に活かしていきたいと考えています。
労務・制度担当で使える強みの表現
労務担当の強みは「正確性」と「法令対応力」ですが、これだけでは競合との差がつきにくい。「どのような問題を特定し、どう解決したか」というプロセスを加えることで採用担当者の印象が大きく変わります。
労務・制度担当の自己PR 例文
法令改正のたびに「とりあえず対応する」ではなく、「改正の趣旨から自社に必要な対応範囲を特定する」ことを意識してきました。2024年の育児・介護休業法改正では法令テキストを読み込んだうえで自社への影響を洗い出し、現場管理職30名へのヒアリングを経て制度設計を完了。説明会(4回実施)後のアンケートでは95%の従業員が「制度内容を理解できた」と回答しました。法律の解釈から現場への落とし込みまで一気通貫で対応できる点が強みです。
職務経歴書の作成に時間がかかる場合は、職務経歴書の自動作成ツールを活用するのも一つの方法です。入力した情報を整形してくれるため、構成を考える手間を省けます。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 人事職の職務経歴書は「採用する側の視点があるからこそ手が止まる」という特有の難しさがある
- 採用担当者が最初に確認するのは「組織規模」「オペレーション型か企画型か」「数字で実績が示せるか」の3点
- 「採用業務全般を担当」「検討しました」のような抽象的な表現は評価が下がる。具体的な数値・プロセス・成果の3点セットで書く
- 職種別(採用担当・労務・人事企画・総務兼任)で強調ポイントが異なる。自分の担当領域に合わせた構成で書く
- 自己PRは「強みの一言→エピソード→再現性」の3段構成で書くと採用担当者に伝わりやすい
書き終えた後に第三者に見てもらうことで、客観的な改善点が見つかることがあります。職務経歴書の有料添削サービスや、転職エージェントの無料添削を活用するのもひとつの手段です。

人事の職務経歴書に関するよくある質問
- 人事の職務経歴書はA4何枚が適切ですか?
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経験年数が3年以上であればA4で2枚が標準です。1枚だと情報が不足しがちで、3枚以上は読み手の負担になります。キャリアが1〜2年程度の方は1枚でも問題ありません。大切なのは「余白が多い1枚」ではなく、具体的な実績と業務内容が充実した2枚です。
- 採用実績の数字を正確に覚えていない場合はどうすればよいですか?
-
概算表記で問題ありません。「年間採用目標20名前後」「採用充足率は約90〜95%程度」のように幅を持たせた表現を使います。確認できる数字は在籍中に人事システムや採用レポートを確認して記録しておくことを推奨します。まったく数字がない書類よりも、概算でも根拠のある数字がある書類のほうが採用担当者には伝わります。
- 社労士資格がなくても人事の転職は不利になりますか?
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採用担当や人事企画の職種であれば、社労士資格は必須ではありません。労務管理専任のポジションでは保有していると有利に働くケースが多いですが、なくても実務経験と具体的な実績があれば評価されます。社労士の勉強中であれば「勉強中」と記載することで学習意欲をアピールできます。
- 人事職から他職種への転職で職務経歴書を書く場合、何を強調すべきですか?
-
人事職から他職種への転職では、「対人折衝力」「データを使った意思決定」「プロジェクト管理」などの汎用スキルを強調します。採用業務であれば「人を見る目」「コミュニケーション設計力」、人事企画であれば「課題分析と制度設計の思考プロセス」は多くの職種で評価されます。応募ポジションの「求める経験・スキル」と自分の経歴を照らし合わせ、一致する部分を前面に出す構成にしてください。


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