この記事では、医療事務の志望動機を未経験で書く方法を採用担当者の視点から解説します。職歴別の例文6選とNG例3パターンをセットで紹介するほか、病院・クリニック・歯科医院別の書き分けポイントも解説します。
採用担当者が志望動機で本当に見ていること
医療事務の採用担当者が志望動機を読むとき、最初に確認するのは「この人は医療事務の仕事を正しく理解しているか」という点です。受付・会計・レセプト業務の3つで構成される医療事務は、患者対応と正確な事務処理が同時に求められる職種です。「医療が好きだから」という理由だけでは、仕事の本質を理解していないと判断されます。
「なぜ医療事務か」と「なぜこの医療機関か」の2軸で評価される
採用担当者が志望動機で確認する軸は2つです。
- なぜ医療事務か:他の職種や業界ではなく、医療事務を選ぶ理由
- なぜこの医療機関か:他の病院やクリニックではなく、ここに応募する理由
この2軸のどちらかが欠けている志望動機は、採用担当者の目には「どこにでも送れる文章」に映ります。未経験でも、この2軸を満たしていれば書類を通過できる可能性は十分にあります。
採用担当者はここを見ている
- 患者対応に必要な「気遣い・丁寧さ」が過去の経験から読み取れるか
- 医療機関の規模・診療科・理念に合わせた理由が書かれているか
- 未経験ならではの「学ぶ姿勢」が自然に伝わる文章になっているか
未経験者でも通過できる書類の条件
医療事務は、未経験からの採用が非常に多い職種です。採用担当者も「未経験だから落とす」とは考えていません。採用担当者が評価するのは、過去の経験をどう医療事務の業務に結びつけているかという一点です。
接客業でのコミュニケーション経験、事務職でのパソコンスキル、介護職での患者・利用者対応——これらはすべて医療事務で直接活かせる経験です。「未経験だから書くことがない」と感じている方は、自分が積んできた経験の価値を正しく評価できていないケースがほとんどです。
医療事務認定実務者や診療報酬請求事務能力認定試験などの資格を在職中・求職中に取得した場合は、積極的に志望動機に触れてください。資格取得そのものより「なぜ取ろうと思ったのか」という動機が、採用担当者には響きます。
医療法人への応募では、履歴書に「入職・退職」「貴院・貴法人」など医療業界固有の表記ルールも求められます。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

未経験者の志望動機の書き方:3つのステップ
実際にどう書けばいいか、3つのステップで整理します。まず自分の経験を棚卸しすることから始めます。何も書けない志望動機のほとんどは「経験がない」のではなく「経験の活かし方を知らない」だけです。
ステップ1:自分の経験を医療事務の業務と結びつける
医療事務の業務は大きく3つです。下の表を見ながら、自分の職歴がどこに当てはまるかを確認してください。
| 業務 | 主な内容 | 活かせる経験例 |
|---|---|---|
| 受付・会計業務 | 患者の受付、問診票対応、会計処理 | 接客業、販売職、受付経験 |
| クラーク業務 | カルテ管理、診察・検査のサポート | 事務職、データ入力、PC操作 |
| レセプト業務 | 診療報酬請求書の作成・審査 | 経理・数字を扱う業務経験 |
完全にすべてが未経験でも、「丁寧な接客経験がある」「パソコン操作に慣れている」「数字を扱う仕事をしていた」という部分があれば、それを起点に志望動機を組み立てられます。
ステップ2:「なぜこの医療機関か」を具体的に書く
ここが最も差がつくポイントです。応募先の医療機関について、以下の点を事前に調べてから書いてください。
- 診療科目・専門領域(内科・整形外科・皮膚科など)
- 地域への貢献・アクセスの良さ
- 医療機関の理念・クリニックの雰囲気(ホームページで確認)
- 在宅医療・検診センターなど特色ある取り組み
「地域の患者さんに長く寄り添う医療を実践している貴院の方針に共感した」「在宅医療にも注力していると知り、より深く患者を支える現場で働きたいと思った」——このような具体的な文章が、採用担当者に「うちを選んでくれた理由がある」と伝わります。
ステップ3:入職後のビジョンを一文添える
志望動機の締めくくりは、入職後に何をしたいか・どう成長したいかを一文で添えます。「まずはレセプト業務を習得し、患者対応もできる医療事務スタッフとして貢献したい」など、具体的な業務名を入れると説得力が増します。
「頑張ります」「学ばせていただきます」だけで終わる締めは弱いです。「何を習得して、どう貢献するか」という行動ベースで書くと、採用担当者の印象に残ります。
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →【職歴別】未経験者の志望動機 例文6選
以下の例文はすべて「未経験から医療事務へ」という状況を想定しています。自分の職歴に近いものを参考に、応募先の医療機関の情報を加えて書き換えてください。例文をそのまま提出すると採用担当者に伝わるため、必ず自分の言葉に直すことが前提です。
例文①:接客・販売業からの転職
小売・飲食・販売の経験は、患者対応の多い医療事務で直接活きます。「患者さんへの気遣い」「待ち時間への配慮」「クレーム対応の経験」を具体的に結びつけてください。
良い例文
前職では衣料品の販売員として5年間、接客業務に携わりました。幅広い年代のお客様に対応する中で、相手の状況を先読みして動く接客を心がけてきました。医療事務の受付業務では体調の優れない患者さんに接することが多く、この経験が活かせると感じています。貴院が地域の高齢者医療に積極的に取り組んでいると知り、患者さんの不安を少しでも和らげる受付対応ができるスタッフとして貢献したいと考え、応募しました。入職後はまず受付・会計業務を確実に習得し、将来的にはレセプト業務も担えるよう努めます。
接客業の経験をどの医療機関にも書けるように書かないのがポイントです。「貴院が〜している」という応募先への言及を必ず入れてください。接客業から志望動機を書く際の考え方は、以下の記事も参考になります。

例文②:一般事務・経理からの転職
パソコン操作・データ入力・数字管理の経験は、クラーク業務やレセプト業務に直結します。「正確性」「スピード」「処理量」の実績を数字で示せるなら積極的に使ってください。
良い例文
前職では製造業の事務として、受発注データの入力・管理を3年間担当しました。月次の締め作業で200件以上のデータを処理するなかで、ミスなく正確に業務を進める習慣が身につきました。医療事務のレセプト業務は正確性と期日管理が特に重要と知り、この経験を活かしたいと考えました。貴院の電子カルテ導入による効率化の取り組みに関心を持ち、システムに早期に慣れてチームに貢献できると感じています。まずは業務を確実に覚え、処理精度の面でお役に立てるよう努めます。
例文③:介護・福祉職からの転職
介護職の経験は医療事務で特に評価されやすい経験のひとつです。患者・利用者への接し方、家族への対応、医療職との連携経験はそのまま強みになります。
良い例文
介護施設で4年間、高齢者の日常生活支援に携わりました。日常的に医療職の方と連携する機会があり、医療の現場をより深く支えたいと感じるようになりました。医療事務として患者さんの受診から会計までをサポートする仕事に魅力を感じ、転職を決意しました。貴院が特別養護老人ホームと連携して在宅医療を行っていることを知り、介護現場での経験が直接活かせる環境だと確信しています。入職後は医療事務の専門知識を積極的に学び、患者・ご家族の不安を減らす受付対応ができるよう努めます。
例文④:子育て後の再就職(ブランクあり)
育児・出産によるブランクは、正直に述べた上で「この期間に何をしたか」を添えます。ブランク期間に医療事務の資格を取得していれば必ず書いてください。取得していない場合でも、育児を通じて身についた「忍耐力」「気遣い」「段取り力」は伝えられます。
良い例文
以前は一般事務として勤務しており、出産・育児のため5年間ブランクがありました。子どもの通院をきっかけに医療事務の仕事に関心を持ち、育児が落ち着いてからは医療事務認定実務者の資格を取得しました。社会復帰にあたり、子どもを連れて何度も通った貴院の温かい受付対応が印象に残っており、自分もその一員になりたいと思い志望しました。パソコン操作・基本的な事務処理は問題なく対応できます。医療機関での実務は未経験ですが、一日も早く戦力になれるよう努めます。
「その医療機関を直接体験した」という実体験は、採用担当者に強く響きます。通院経験や家族の受診体験があれば積極的に使ってください。
例文⑤:身近な医療体験がある場合
家族の長期通院のサポート、自身の入院経験など、医療機関と深く関わった体験は志望動機の説得力を高めます。ただし「辛かった」という感情だけにならず、「だからこそ患者側を支えたい」という具体的な動機につなげてください。
良い例文
父が数年前に大きな手術を受けた際、通院・入院の手続きをほぼ私が担いました。その経験を通じて、医療事務スタッフの方が患者家族の不安を的確にケアしてくださったことに強く感謝し、自分もその立場で働きたいと思うようになりました。前職は飲食業ですが、体調の優れない患者さんへの気遣いは接客と共通する部分があると感じています。貴院の整形外科・リハビリ部門が地域のリハビリ需要に応えていることを知り、長期通院の患者さんに寄り添える受付担当者として貢献したいと考えています。
例文⑥:医療事務資格を取得して応募する場合
資格を取得してから応募する場合は、「なぜその資格を取ろうと思ったか」が鍵です。「資格があるから即戦力です」ではなく、「この仕事に就くために自分から動いた」という姿勢を見せることが重要です。
良い例文
前職退職後、医療事務への転職を目指して医療事務認定実務者の資格を取得しました。学習を通じてレセプト業務の仕組みや医療保険制度の基礎を理解でき、この仕事の責任の重さと専門性の高さを実感しました。貴院の小児科・内科の複合クリニックで、幅広い患者層の対応ができる医療事務スタッフを目指したいと考えています。資格取得で得た知識を実務の中でしっかり定着させ、チームの一員として早期に貢献できるよう努めます。
採用担当者がすぐ落とす 志望動機のNG例3パターン
どれだけ丁寧に書いても、以下の3パターンに当てはまると書類通過が難しくなります。自分の志望動機と照らし合わせて確認してください。
NG①:「安定しているから」「医療に関心があるから」だけ
NG例
「医療業界に以前から関心があり、医療事務として働きたいと考えていました。安定した職場環境で長く働きたいと思っています。」
なぜこの仕事か・なぜこの医療機関かが何ひとつ書かれていません。「関心があった」「安定している」は、何の仕事にも当てはまる理由です。採用担当者は「どうせ他にも同じ文章を送っているのだろう」と感じます。
NG②:「患者さんのお役に立ちたい」で終わる文章
NG例
「患者さんの笑顔のために働きたいと思い、医療事務を志望しました。困っている方の力になれる仕事に就きたいです。」
この文章だけでは、気持ちがあることしか伝わりません。自分の過去の経験と医療事務の業務との接点が書かれていないため、採用担当者は「なぜ他の職種ではなく医療事務なのか」を判断できません。
NG③:どこにでも送れる使い回しの文章
NG例
「御院の採用情報を拝見し、ぜひ医療事務として働かせていただきたいと考え、志望しました。未経験ではありますが、一生懸命取り組む所存です。」
医療機関名をどこに差し替えても成立する文章は、採用担当者に「応募先を選んでいない」と映ります。診療科・規模・地域・理念など、その医療機関だけに当てはまる情報を1つ以上入れることが最低条件です。
履歴書全体の書き方については以下の記事も参考にしてください。

医療機関タイプ別の書き分けポイント
「なぜこの医療機関か」の理由は、医療機関のタイプによって変わります。大病院・クリニック・歯科医院では求める人材像が異なるため、それぞれに合わせた視点を志望動機に盛り込んでください。
大病院・総合病院への応募
大病院は診療科が多く、患者数・業務量ともに規模が大きい職場です。採用担当者が重視するのは「業務を正確に処理できるか」「多科連携のある環境でミスなく動けるか」という点です。
- 「専門性の高い医療に関わる環境で幅広い知識を身につけたい」という成長動機が有効
- 「チーム医療の一員として、縁の下の力持ちとして貢献したい」という協調性のアピールも評価される
- シフト制・当直対応のある病院では「勤務時間への柔軟な対応が可能」という一文も加えると良い
クリニック・診療所への応募
クリニックはスタッフの人数が少なく、受付から会計・電話対応まで幅広く担当するケースが多いです。「何でもできる人材」を求める傾向があります。
- 「少人数のチームで幅広い業務を担いながら成長したい」という柔軟性アピールが響く
- クリニックの診療科(内科・皮膚科など)と自分の経験・関心の接点を具体的に書く
- 「地域に根ざした医療機関で、顔なじみの患者さんに長く寄り添いたい」という継続性のアピールも有効
歯科医院・調剤薬局への応募
歯科医院の受付は、会計・予約管理・患者への治療説明補助など、クリニックよりも細かいコミュニケーションが求められます。調剤薬局では、調剤補助の基礎知識や服薬指導のサポートも関係します。
- 歯科医院:「患者さんの不安を和らげるきめ細かい接遇ができる」という点をアピール
- 調剤薬局:「医薬品・医療保険への学習意欲がある」という点が評価されやすい
歯科医院や調剤薬局での医療事務は、大病院やクリニックとは異なる専門知識が必要です。事前にどのような業務があるかを調べ、「この施設の特性をわかって応募している」という姿勢を伝えることが採用担当者への説得力につながります。なお、歯科衛生士の履歴書の書き方とあわせて参照すると、歯科医院での書類作成イメージがつかみやすくなります。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 採用担当者は「なぜ医療事務か」「なぜこの医療機関か」の2軸で志望動機を評価する
- 未経験者は過去の接客・事務・介護経験を医療事務の業務と具体的に結びつけることが通過の鍵
- 「医療に関心がある」「安定しているから」「患者のお役に立ちたい」だけでは書類通過できない
- 応募先の診療科・規模・理念を調べ、その医療機関だけに当てはまる理由を1つ以上盛り込む
- 医療機関タイプ(大病院・クリニック・歯科医院)によって求める人材像が異なるため、タイプ別に書き分ける
志望動機は長さより「自分の経験と応募先の接点をどれだけ具体的に書けているか」で評価が決まります。
医療事務の志望動機に関するよくある質問
- 医療事務の志望動機は何文字で書けばいいですか?
-
履歴書の志望動機欄は200〜300文字が目安です。内容を詰め込みすぎず、「なぜ医療事務か」「なぜこの医療機関か」「入職後のビジョン」の3点を軸に、読んで判断しやすい文章量にまとめてください。文字数よりも「採用担当者が読んで判断できる情報が入っているか」のほうが重要です。
- 未経験なのに「即戦力になれます」と書いてもいいですか?
-
医療事務の実務経験がない状態で「即戦力」と書くのは採用担当者に伝わりにくい表現です。資格取得済みや関連業務経験がある場合は、具体的なスキルや業務内容を根拠として示した上で「早期に戦力になれる」と書くと説得力が増します。経験がない場合は「一日も早く業務を習得できるよう努めます」という表現が適切です。
- 複数の医療機関に同時に応募する場合、志望動機はどう書けばいいですか?
-
各医療機関ごとに「なぜこの医療機関か」の部分を書き換えることが基本です。診療科・理念・地域への貢献など、応募先ごとに異なる特徴を調べて差し替えてください。使い回しの文章は採用担当者に必ず伝わります。面倒でも個別に対応することが通過率を上げる最も確実な方法です。


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