社内SE・情シス・インフラ担当の職務経歴書は、「業務知識」「テクニカルスキル」「担当フェーズ」が一目で伝わる書き方が正解です。保守・運用が中心の経歴でも、課題発見から改善までのプロセスを数字で示せば通過率は上がります。この記事では経験タイプ別の記載例と、採用担当者が実際にチェックしている視点を解説します。
社内SE・情シス・インフラの職務経歴書の書き方と例文【結論】
結論:3つの軸を数字と業務プロセスで示す
社内SE・情シス・インフラの職務経歴書は、「担当しました」の羅列ではなく、課題→取り組み→成果の3点セットで書くことが最短の通過ルートです。特にインフラ・運用系は成果が数字化しづらいと感じやすい領域ですが、障害件数・コスト・作業時間などは必ず数値化できます。
- 業務知識:社内の各部門の業務を理解した上でシステムを語れているか
- テクニカルスキル:自社の環境に対応できる技術が具体的に書かれているか
- 担当フェーズ:要件定義から運用・保守までどこを担ってきたか
インフラ運用・保守が中心の場合の記載例
サーバ・ネットワーク・セキュリティの運用保守が中心の経歴でも、「なぜその改善が必要だったか」から書くと成果が伝わります。
良い例文
小売業(全国50店舗・従業員1,200名)の情報システム部門にて、社内インフラ全般の運用・保守を担当。障害対応の属人化という課題に対し、監視ルールの整備と一次対応手順書の作成を主導し、平均復旧時間を45分から12分へ短縮。物理サーバの仮想化(VMware)からAWSクラウド移行にも参画し、インフラ運用コストを年間800万円削減しました。
NG例
社内インフラの運用・保守を担当してきました。サーバ管理やネットワーク管理を行い、障害対応にも従事しました。「何を担当したか」だけで「何を変えたか」が書かれていないため、指示待ちの実務者という印象しか残りません。
情シス(ヘルプデスク・社内システム企画)が中心の場合の記載例
ヘルプデスクや社内システムの企画・導入が中心の場合は、現場との調整力と業務改善への貢献を軸にします。
良い例文
物流会社の情報システム部にて、社内ヘルプデスク(月間問い合わせ約200件)と基幹システムの導入・改修を兼任。問い合わせ内容を分析して頻出トラブルのFAQ化とマニュアル整備を実施し、一次解決率を58%から82%へ改善。並行して外注先3社のベンダー管理をPMOとして統括し、要件定義から受け入れテストまで一貫して担当しました。
NG例
社内のヘルプデスク業務を担当し、社員からの問い合わせに対応してきました。コミュニケーション能力を活かして丁寧に対応しています。「丁寧に対応」だけでは根拠のない自己評価にしか見えず、具体的な改善実績が伝わりません。
SIer・受託開発から社内SE/情シスへ転職する場合の記載例
SIer出身者は「なぜ社内SEなのか」という転換理由を職務要約の時点で示すことが、書類選考通過の分かれ目になります。
良い例文
大手SIerにてERP導入・基幹システム開発プロジェクトを8年担当。金融・製造の2業種で要件定義から関与した経験から、エンドユーザーの業務改善に直接関わる社内SEへの転換を志望しています。複数業種での上流工程経験を活かし、ユーザー部門との調整から導入後の運用改善まで一貫して担える点が強みです。
NG例
SIerで多くのプロジェクトを経験した後、社内SEへの転職を希望しています。安定した環境で長く働きたいと考えています。「安定志向」だけでは受け身の転職理由に映り、事業会社側からは積極性を疑われます。
採用担当者はここを見ている
- 技術の羅列ではなく「何を解決したか」が数字で書かれているか
- SIer出身者は「なぜ事業会社の社内SEなのか」が具体的に語られているか
採用担当者が職務経歴書で見る3つのポイント
社内SE・情シスの採用担当者は、職務経歴書を開いた最初の30秒で「業務知識」「テクニカルスキル」「担当フェーズ」の3点を確認しています。この3軸が読み取れない書類は、経験があっても選考の初期段階で見送られやすくなります。
| 確認軸 | 採用担当者が見ているポイント |
|---|---|
| 業務知識 | 社内の各部門が何をしているかを理解し、業務改善の文脈でシステムを語れているか |
| テクニカルスキル | OS・DB・言語・ネットワーク機器など、自社の環境に対応できる技術が具体的か |
| 担当フェーズ | 要件定義・設計・構築・運用・保守のどこまで関わってきたか |
「社内システムの保守・運用を担当しました」という記述は、業務の事実を伝えているだけです。「どの業務プロセスを改善し、何を解決したのか」がないと、指示を待って動く人にしか見えません。技術力があっても、書類でその価値が伝わらなければ面接の機会自体を得られない点に注意が必要です。

「保守・運用ばかりで書くことがない」を実績に変える方法
インフラ・情シス職の相談で最も多いのが「開発と違って保守・運用は書くことがない」という悩みです。実際は「トラブルの再発防止」「作業の標準化」「コスト削減」の3つの切り口で棚卸しすれば、必ず実績は見つかります。
- トラブルの再発防止:同じ障害が何度も起きていた業務を、原因分析と手順化で発生件数を減らした経験
- 作業の標準化:属人化していた作業をマニュアル化・自動化し、対応できる人を増やした経験
- コスト削減:ライセンスの見直し、クラウド移行、保守契約の再交渉などで削減した金額
これらは日々の運用の中で「当たり前」になっているため、本人が実績だと気づいていないケースがほとんどです。1年前・3年前の状態と現在を比較するだけで、変化を数字で語れるようになります。
採用担当者はここを見ている
- 地味な運用業務でも「改善のきっかけ」が自分発信だったかを重視する
- 「安定運用の継続」も、障害件数の推移などで数値化されていれば十分な実績になる
職務経歴書の基本構成と書き方
社内SE・情シス・インフラの職務経歴書は、以下の4パートで構成するのが基本です。それぞれの分量目安と書き方のポイントを確認しておきましょう。
| 項目 | 内容 | 目安の分量 |
|---|---|---|
| 職務要約 | 経歴と強みを3〜5行で凝縮 | 全体の10%以内 |
| 職務経歴(プロジェクト一覧) | 在籍企業ごとのプロジェクト詳細 | 全体の60〜70% |
| テクニカルスキル | OS・言語・DB・ツール一覧 | 1〜1.5ページ分 |
| 自己PR | 強みとキャリアの方向性 | 200〜300文字程度 |
職務要約|「作業記録」から「成果報告」に変える
職務要約は採用担当者が最初に読む部分です。「○○を担当しました」ではなく、「○○という課題を発見し、△△の改善施策を主導することで××という成果を出した」という構造で書くのが原則です。この一文で「続きを読みたい」と思わせられるかが決まります。
職務経歴(プロジェクト一覧)の書き方
在籍企業ごとに、関与したプロジェクトを以下の項目でまとめます。小規模なものも漏らさず記載し、業務の幅広さをアピールしてください。
- プロジェクト名・概要:何のシステムか、規模(ユーザー数・サーバ台数など)を具体的に
- 担当フェーズ:要件定義/設計/構築・実装/テスト/運用・保守から該当するものを明示
- 役割・体制:PM・PMO・メンバー・ベンダー管理など。チーム規模も記載
- 技術環境:OS・サーバ・DB・言語・ツール類を漏れなく
- 成果・実績:処理時間○%短縮、障害件数○件削減、コスト○万円削減など数値で
「開発はベンダーに委託し、自分は要件定義と社内調整のみ」というケースも多いですが、それは社内SE・情シスの中心業務なので堂々と書いてください。「要件定義・ベンダー管理・品質確認・受け入れテスト主導」と細かく書けば、業務の深さが伝わります。
テクニカルスキル・スキルシートの書き方
技術スタックはカテゴリ別に整理して一覧化します。採用担当者が自社の技術環境と照合しやすい形にすることが重要です。
| カテゴリ | 記載例 |
|---|---|
| OS | Windows Server 2019/2022、Linux(CentOS 8、Ubuntu 22.04) |
| クラウド | AWS(EC2/S3/RDS)、Microsoft Azure(AD/Intune) |
| DB | Oracle 19c、MySQL 8.0、SQL Server 2019 |
| ネットワーク | Cisco(Catalyst)、Fortinet(FortiGate)、VLAN設計・構築経験 |
| ツール・監視 | Zabbix、Datadog、ServiceNow、Jira、Confluence |
「使ったことがある」と「本番環境で運用できる」は、採用担当者にとって異なる印象を与えます。経験年数や習熟レベル(「本番環境で3年運用」「設計から担当」など)を添えると信頼度が上がります。テンプレートを使って形式を整えたい場合は、エンジニアの職務経歴書テンプレートを活用すると、スキルシートの項目立てがしやすくなります。

自己PRの書き方と例文
自己PRは職務経歴書の中で唯一、自分の言葉でキャリアへの姿勢を伝えられるセクションです。社内SE・情シスの場合、伝えるべきは技術スキルの詳細ではなく「どう動く人か」という行動スタイルです。200〜300文字程度にまとめるのが適切で、長すぎると自己分析が整理できていない印象を与えます。
採用担当者はここを見ている
- 問題発見力:現場から課題を拾い上げ、システム的な解決策を提案できたエピソードがあるか
- 調整力・折衝力:ベンダーや現場部門との利害が対立した場面で、どう着地させたか
- 主体性:指示を待つのではなく、自ら気づいて動いたことが一言で伝わるか
インフラ・運用系経験者の自己PR例文
良い例文
8年間、インフラ整備と社内IT環境の改善を担当してきました。単なるシステム運用ではなく、現場部門と定期的に対話しながら「業務上の不満がどのインフラ課題と繋がっているか」を特定し、優先順位をつけて改善提案を行ってきました。クラウド移行では複数部門の意見を調整しながら社内稟議をまとめ上げ、予算内での移行を実現しています。
SIer→社内SE転換者の自己PR例文
良い例文
SIerでの8年間を通じて金融・製造と業種を横断した上流工程に関わり、業務プロセスを理解した上でシステムを設計する力を磨いてきました。エンドユーザーの声を直接聞きながら迅速に業務改善に取り組めるポジションとして社内SEを志しています。プロジェクトマネジメントの経験を活かし、ベンダー管理・品質管理まで一貫して担えることが強みです。
社内SE・情シスの職務経歴書でよくあるNG例と改善策
実際の書類選考でよく見られる失敗パターンと、その改善方法を紹介します。自分の職務経歴書と照らし合わせて確認してください。
NG①:技術スキルの羅列だけになっている
NG例
【スキル】Windows Server、Linux、AWS、Oracle、Python、Cisco……(以下20項目)【業務内容】社内システムの保守・運用、ヘルプデスク対応、ネットワーク管理。技術一覧はあるが「何をやり遂げたか」が見えません。
良い例文
AWSを活用した社内ファイルサーバのクラウド移行を主導(2023〜2024年)。オンプレミスからS3+CloudFrontへの移行により、ストレージコストを年間300万円削減。移行期間中もゼロ停止を実現しました。Linuxサーバの構築・運用は6年の実績があり、本番環境の監視・障害対応を担当しています。
NG②:コミュニケーション力のアピールが漠然としている
NG例
社内SEとして、各部門との連携を密にしながら業務を進めてきました。コミュニケーション能力を活かしてシステム導入をサポートしてきました。「どんな場面で、誰と、どう解決したか」が一切ありません。
良い例文
基幹システム刷新プロジェクトで営業部門とシステム部門の要件が対立し、スケジュールが2ヶ月遅延する状況が生じました。両部門の責任者と個別に面談して優先事項を整理し、段階リリース案を提案。最終的に初期リリース範囲を絞ることで合意形成し、予定通りの導入を実現しました。
NG③:社内SEへの転換理由が書かれていない(SIer出身者向け)
SIerから社内SEへ転職する場合、転換理由を書かないと「なんとなく安定を求めて来た人」という印象を持たれます。採用担当者は必ず「なぜ受託開発から事業会社の社内SEへ移るのか」を確認しています。
良い例文
SIerでの業務を通じて、システム導入後のユーザーが定着できず追加改修が繰り返されるケースを多く経験しました。エンドユーザーと継続的に関わりながら業務プロセスそのものを改善し、システムを育てていける社内SEの役割に魅力を感じ、転職を決意しました。
提出フォーマットに迷った場合は、ハローワーク用の職務経歴書テンプレートのようなシンプルな形式から自分に合うものを選ぶと、内容の整理がしやすくなります。

職務経歴書とあわせて履歴書を用意する場合、志望動機なしの履歴書テンプレートを土台にすると、職務経歴書側に志望動機や実績を厚く書く形で役割分担できます。
まとめ
- 社内SE・情シス・インフラの書類選考では「業務知識」「テクニカルスキル」「担当フェーズ」の3軸が確認される
- 職務要約は「○○を担当しました」ではなく「○○という課題を解決し、××という成果を出した」の形に変える
- 保守・運用中心の経歴も「再発防止・標準化・コスト削減」の3視点で棚卸しすれば実績になる
- SIer出身者は技術スキルだけでなく「なぜ社内SE・情シスなのか」という転換理由を自己PRに明確に書く
社内SE・情シス・インフラへの転職では、技術的な実力と同じくらい「書類の見せ方」が選考結果を左右します。採用担当者の目線で「この人なら任せられる」と思わせる職務経歴書を作れるかどうかが、書類選考通過の分岐点です。
社内SE・情シス・インフラの職務経歴書に関するよくある質問
- 社内SE・情シスの職務経歴書は何枚が適切ですか?
-
2〜3枚が一般的な目安です。キャリアが5年未満の場合は2枚でコンパクトにまとめることが推奨されます。キャリアが長い場合でも、プロジェクトを取捨選択して3枚以内に収めましょう。枚数よりも「読みやすさ」と「成果の具体性」の方が採用担当者の評価に大きく影響します。
- スキルシートは必ず必要ですか?
-
必須ではありませんが、インフラ系・情シス系のポジションへの応募では、テクニカルスキルを一覧できるシートがあると採用担当者の確認が容易になります。応募先企業の技術環境と自分のスキルセットを照らし合わせやすい形で提示すると効果的です。使用技術が職務経歴欄に散在している場合は、スキルシートとして独立させた方が読みやすくなります。
- SIerからの転職で職務経歴書を書く際の注意点は?
-
SIer時代の経験をそのまま書くと「受託開発経験はあるが社内SEとして通用するか」という疑念を持たれることがあります。要件定義・ユーザーヒアリング・ベンダー管理など「事業会社の社内SE・情シスが担う業務に近い経験」を前面に出し、転換理由も「積極的な魅力を感じている」という形で記載することが重要です。複数業種への理解を「多様な業務プロセスへの知見」としてアピールすると差別化になります。
- 資格は職務経歴書に書いたほうがよいですか?
-
積極的に書くことをお勧めします。特に情報処理技術者試験(基本情報・応用情報・ネットワークスペシャリストなど)、AWS認定資格、情報セキュリティマネジメント試験などは社内SE・情シスの採用担当者が評価する資格です。資格欄には正式名称と取得年月を明記してください。保有資格が複数ある場合は、応募先の業務内容と関連の高いものから順に記載するのが効果的です。

