この記事では、介護職の職務経歴書の書き方を項目別に解説します。採用担当者が通過させたくなる書類と落とされる書類の違い、施設タイプ別の例文、転職回数が多い場合の対処法まで、採用現場の視点から具体的に紹介します。
介護の職務経歴書が書類選考で落ちる3つの理由
採用担当者が職務経歴書で確認していること
介護施設の採用担当者が職務経歴書を見るのは、「この人は即日どこまで任せられるか」を判断するためです。面接の前に書類だけで絞り込む時間的制約があるため、確認できる情報は限られています。
採用担当者が30秒の書類確認で見るのは次の3点です。
- どんな施設タイプで経験を積んできたか(特養・老健・デイ・訪問介護など)
- 利用者数・規模感・担当業務(夜勤対応の有無・医療連携の経験など)
- 資格と実務経験の組み合わせ(介護福祉士の有無・研修修了の種類)
逆に言えば、この3点が職務経歴書から読み取れない書類は、面接に進む前に候補から外れます。
「介助全般を担当していました」では伝わらない
介護の職務経歴書で最もよく見られるNGは、業務内容が「介助全般を担当」「利用者様のケアを行っていました」という一言で終わっているケースです。採用担当者からすると、「介助全般」という表現は何も語っていないに等しいです。
身体介助ができるのか、認知症ケアの経験はあるか、夜勤に入れるか——これらが書かれていなければ、採用担当者は人員配置の計算さえできません。書いていない情報は「経験なし」と同じ扱いになります。
採用担当者はここを見ている
- 施設の種別と入居者数・利用者数(規模感の把握)
- 担当した業務の具体的な種類(身体介助・生活援助・認知症ケア・医療連携など)
- 勤務体制(日勤のみか、夜勤あり3交代かなど)
- 自己PRのエピソードに「結果・変化」があるかどうか
通過する書類と落ちる書類の差は「数字と具体性」
書類選考を通過する職務経歴書には、必ず数字と固有名詞が入っています。同じ特養経験でも、以下の2つでは採用担当者の印象がまったく違います。
NG例
特別養護老人ホームで介護業務全般を担当していました。利用者様の日常生活のサポートを行い、チームで連携しながら丁寧なケアを心がけていました。数字・施設規模・具体的な業務が一切書かれていない点がNG
良い例文
特別養護老人ホーム(入居者80名規模)にて、身体介助・生活援助・認知症ケアを担当。夜勤含む3交代勤務に対応し、看護師との医療連携を日常的に行っていました。ユニットリーダーとして、新人スタッフ2名のOJT指導を担当した経験もあります。
介護の職務経歴書の書き方【項目別解説】
職務経歴書には決まったフォーマットはありませんが、採用担当者が読みやすいよう、主に4つの項目を含めます。職務経歴書の基本的な書き方については、こちらも参考にしてください。

①職務要約:3行以内で「誰に何をした人か」を伝える
職務要約は採用担当者が最初に目にするセクションです。「何年間、どんな施設で、どんなケアを担当してきたか」を3行以内にまとめることを意識してください。長くなりすぎず、端的に経歴の全体像が伝わる文章を目指します。
職務要約の例文
特別養護老人ホームと訪問介護事業所での通算8年の経験を持ちます。入所施設では身体介護・認知症ケア・ターミナルケアを担当し、訪問介護では高齢者の在宅生活を支える一人担当制の業務に従事しました。介護福祉士資格を取得しており、次のキャリアステップとして介護リーダー職を目指しています。
②職務経歴:施設タイプ・規模・担当業務を数字で表現する
職務経歴欄は、各施設での勤務期間・施設概要・担当業務をまとめます。介護の場合、施設規模(入居者数・訪問件数)と勤務体制(日勤のみか夜勤ありか)を必ず数字で書くことが書類通過率を上げる最大のポイントです。
| 記載項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 施設名 | 社会福祉法人○○会 特別養護老人ホーム△△苑 |
| 在籍期間 | 2019年4月〜2022年3月(3年間) |
| 施設概要 | 定員80名、ユニット型 / 夜勤含む3交代制 |
| 担当業務 | 身体介助全般(入浴・排泄・食事・移乗)、認知症ケア、看護師との医療連携、OJT指導(2名) |
複数の職場がある場合は、最新のものから時系列を遡る「逆編年体形式」で書くと、直近の経験が先に目に入るため採用担当者が読みやすくなります。
③保有資格欄:省略・略称は厳禁
介護系の資格は正式名称が複雑で、ミスが起きやすい項目です。「ヘルパー2級」「初任者研修」などの略称ではなく、資格欄には正式名称を記載してください。正式名称の一覧は後述の「介護系資格の正式な書き方一覧」にまとめています。
④自己PR:スキルの羅列ではなく「職場で起きた変化」を語る
自己PRで最もよく見られるNGは、「コミュニケーション能力があります」「思いやりを持ってケアできます」という抽象的な表現だけで終わるパターンです。採用担当者が自己PRに求めるのは、「この人が入ったらどんな変化が起きるか」をイメージできる具体的なエピソードです。
NG例
私はコミュニケーション能力が高く、利用者様一人ひとりに寄り添ったケアができます。思いやりを持ち、チームワークを大切にして業務に取り組みます。エピソードなし・結果なし・どの施設でも使い回せるテンプレ表現がNG
良い例文
認知症フロアでの勤務中、利用者Aさんの夕方の不穏行動が続いていました。記録を見直した結果、特定の時間帯に過去の習慣を思い出しているパターンに気づき、その時間帯に一緒に野菜の皮むきをするケアを導入しました。不穏行動が週5回から週1回に減少し、この取り組みを他のスタッフにも展開できました。
介護職の履歴書「職業欄」の書き方も合わせて確認しておきましょう。

施設タイプ別 職務経歴書の例文
施設の種別によって、採用担当者が重視するポイントが異なります。自分の経験に近い施設タイプの例文を参考にしてください。
特別養護老人ホーム・老健(入所施設)
入所施設では、重度の要介護者へのケア経験と夜勤対応が採用担当者の関心を集めます。ターミナルケアや看護連携の経験があれば積極的に記載しましょう。
職務経歴(入所施設・例)
施設名:社会福祉法人○○会 特別養護老人ホーム△△苑(定員80名 / ユニット型)
在籍期間:2018年4月〜2023年3月(5年間)
勤務体制:夜勤あり・3交代制(月6〜8回の夜勤担当)
- 要介護3〜5の高齢者(担当20名)に対する身体介助全般(入浴・排泄・食事・移乗)
- 認知症利用者のBPSD対応・ユニット別ケア計画の実施
- 看護師と連携した医療処置補助・服薬管理のサポート
- ターミナルケア対応(家族への説明補助を含む)
- 新入職員OJT指導(3名担当)
デイサービス・グループホーム(通所・居住系施設)
通所・居住系施設では、レクリエーション企画や利用者・家族とのコミュニケーション能力が評価されます。担当した利用者数や稼働状況も数字で書けるものは記載しましょう。
職務経歴(デイサービス・例)
施設名:株式会社○○ 介護老人デイサービス△△(定員40名)
在籍期間:2021年4月〜2023年12月(2年8ヶ月)
勤務体制:日勤のみ(8:00〜17:00)
- 要支援〜要介護3の利用者(1日あたり30〜35名)への身体介助・生活援助
- 月次レクリエーション企画・運営(季節行事を含む年間12回)
- 家族への連絡帳作成・送迎時のコミュニケーション対応
- 介護計画書の進捗管理補助・サービス担当者会議への参加
訪問介護
訪問介護では、一人担当制での対応力と自己判断能力が重視されます。1日あたりの訪問件数と担当利用者数を具体的に書くと、業務量と対応力が伝わります。
職務経歴(訪問介護・例)
施設名:○○訪問介護事業所(登録ヘルパー70名規模)
在籍期間:2020年10月〜2023年9月(3年間)
勤務体制:日勤(1日4〜5件訪問、担当固定利用者20名)
- 独居高齢者・重度障がい者宅への身体介助・生活援助
- 服薬確認・緊急時の家族・ケアマネジャーへの連絡対応
- サービス提供責任者補佐として新人ヘルパーの同行研修実施(5名)
- 訪問記録の作成・ヒヤリハット報告書の提出
転職回数が多い介護職の職務経歴書の書き方
介護業界の転職実態と採用担当者の本音
介護職の離職率は他の職種に比べて高く、採用担当者もその実態をよく把握しています。転職回数が3〜4回あっても、それだけで書類を落とすことはほとんどありません。
採用担当者が転職回数以上に注目するのは、「転職のたびに何を学び、どんなスキルが積み上がっているか」です。各施設での在籍期間が極端に短い(3ヶ月以内の退職が複数ある)場合は説明が必要ですが、そうでなければ転職歴を過度に気にする必要はありません。
転職回数が多くても通過する書き方のルール
転職回数が多い場合の職務経歴書では、次の3つのルールを意識してください。
- 各施設での「経験の幅」を整理する:入所→通所→訪問と施設タイプが変わっているなら「幅広い施設形態での経験」として前向きに整理できます
- 職務要約で転職の流れに一貫性を持たせる:「特養での基礎を固め、デイで家族支援を学び、現在は在宅分野に専門を広げてきた」という文脈があると一貫性が伝わります
- 在籍期間が短い職場はまとめる方法も検討する:6ヶ月未満の経験が複数ある場合、面接時に説明する前提でコンパクトにまとめることも選択肢のひとつです
複数の施設を経験している場合の職務経歴書の書き方は、こちらの記事でより詳しく解説しています。

病気療養やブランクがある場合の書き方については、履歴書の空白期間の書き方も参考にしてください。

介護系資格の正式な書き方一覧
介護系の資格は正式名称が長く、略称で書いてしまうケースが多い項目です。以下の表を参考に、資格欄には正式名称を記載してください。
| よくある略称・通称 | 資格欄への正しい書き方 |
|---|---|
| ヘルパー2級 | 訪問介護員2級養成研修課程 修了(※2013年廃止の旧資格。現在も有効) |
| 初任者研修 | 介護職員初任者研修 修了 |
| 実務者研修 | 介護福祉士実務者研修 修了 |
| 介護福祉士 | 介護福祉士(国家資格) |
| ケアマネ・ケアマネジャー | 介護支援専門員(ケアマネジャー) |
| 認知症ケア専門士 | 認知症ケア専門士 |
| 社会福祉士 | 社会福祉士(国家資格) |
| 福祉用具専門相談員 | 福祉用具専門相談員指定講習 修了 |
資格欄には取得年月も合わせて記載します。「令和〇年〇月 介護職員初任者研修 修了」という形式が一般的です。職務経歴書を効率よく作りたい場合は、自動作成ツールを活用する方法もあります。

まとめ
- 採用担当者は職務経歴書で「施設タイプ・規模・担当業務の具体性」を30秒で確認する
- 「介助全般を担当」では何も伝わらない。利用者数・夜勤体制・担当業務を数字と固有名詞で記載する
- 自己PRはスキルの羅列ではなく「職場で起きた変化+結果」のエピソードにする
- 転職回数が多くても、各施設での学びに一貫性を持たせれば通過できる
- 資格欄は必ず正式名称(「介護職員初任者研修 修了」など)で記載する
書類作成で手が止まったときは、まず「自分が働いた施設の規模と担当業務」を箇条書きにするところから始めると、思ったよりも書ける内容が多いことに気づけます。
- 介護の職務経歴書はA4何枚にまとめればいいですか?
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基本は1〜2枚です。経験が浅い場合は1枚で十分で、複数施設を経験している場合でも2枚を目安にまとめてください。3枚以上になると読まれる前に候補から外れるリスクがあります。各施設の職務経歴は箇条書きでコンパクトに記載し、重要な経験に絞り込むことを意識してください。
- 無資格の介護職は職務経歴書に何を書けばいいですか?
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資格がない場合でも、実務経験の年数と担当業務の具体性が最大のアピールポイントです。「○年間の実務経験」「身体介助・生活援助の両方に対応可能」「介護職員初任者研修を受講予定」といった記載でカバーできます。自己PRでは資格取得に向けた行動(勉強中・受講済みなど)を書くと意欲が伝わります。
- 手書きで職務経歴書を提出してもいいですか?
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介護職の職務経歴書はパソコンで作成するのが基本です。手書きが禁止されているわけではありませんが、採用担当者が複数の書類を比較する際にパソコン作成の方が読みやすく、印象が良くなります。スマホやパソコンが使えない環境にある場合を除き、原則はパソコン作成です。無料の作成ツールを活用すると短時間で整った書類が作れます。


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