この記事では、理学療法士が転職時に提出する履歴書の書き方を、採用担当者が実際に確認するポイントから逆算して解説します。資格欄の正式名称から、施設タイプ別の志望動機例文、採用担当者が落とすNGパターンまで網羅します。
理学療法士の転職履歴書で採用担当者が最初に確認する3つのポイント
採用担当者は、1日に多数の履歴書を確認します。その最初の30秒〜1分で「読み続けるか」「書類選考で落とすか」の判断が大まかに決まります。理学療法士の転職では、一般的なビジネスマナーに加えて、医療・福祉現場特有の確認ポイントがある点を理解しておく必要があります。
採用担当者はここを見ている
- 資格欄に「理学療法士免許 取得」と正式名称で書かれているか
- 職歴欄から「施設タイプ(急性期・回復期・老健等)」と「在職年数」が読み取れるか
- 志望動機に施設固有の情報が入っているか(使い回し感がないか)
①資格欄の正式名称:「理学療法士」だけでは不正確
資格欄に「理学療法士」とだけ書く応募者は少なくありません。しかし、これは職種名の記載であり、国家資格を取得したことを示す正確な表現ではありません。
理学療法士免許は「理学療法士及び作業療法士法」に基づいて交付される国家資格です。資格欄には取得年月とともに以下のように記載します。
正しい書き方
○○年○月 理学療法士免許 取得
認定理学療法士や専門理学療法士を取得している場合は、理学療法士免許の次の行に「認定理学療法士(○○分野)取得」と続けて記載します。普通自動車免許など他の資格・免許は、取得年月の古い順に並べるのが基本です。
②職歴欄の「施設タイプ」と「在職年数」から即戦力かどうかを判断する
採用担当者が職歴欄で確認するのは施設名だけではありません。どの施設タイプで何年勤務し、どの患者層を担当してきたかを読み取り、自施設での即戦力になれるかを判断しています。
| 施設タイプ | 採用担当者が期待する経験 |
|---|---|
| 急性期病院 | 術後早期リハビリ、クリティカルケア、多職種連携の実績 |
| 回復期リハビリ病棟 | 脳卒中・骨折後の集中リハビリ、ADL改善、在宅復帰支援 |
| 老健・特養 | 維持期リハビリ、生活支援、家族・介護スタッフとの協働 |
| クリニック | 外来リハビリの継続サポート、患者説明力、幅広い対応力 |
| 訪問リハビリ | 在宅環境の評価、家族指導、自立した判断・行動力 |
在職年数が1〜2年以下の転職が複数回続いている場合、「長く続かないのでは」と判断されるリスクがあります。転職理由を職歴欄ではなく志望動機や面接で説明できるよう、別途準備しておきましょう。
③志望動機に「使い回し感」があると30秒で落とされる
採用担当者が最も落胆するのが、「施設名を変えれば他のどこでも使える志望動機」です。以下の表現が含まれていると、使い回しと判断されやすくなります。
- 「貴施設の理念に共感し」→ 施設名を変えれば別の施設にも使える
- 「充実したリハビリ環境で」→ どの施設にも当てはまる表現
- 「患者様のリハビリに貢献したい」→ 志望動機ではなく目的の表明にすぎない
応募先のホームページ・求人票に記載されている設備・方針・理念の具体的なワードを引用し、「なぜこの施設なのか」を1文で答えられる志望動機を作ることが、書類選考を通過する最短ルートです。
【項目別】転職用履歴書の正しい書き方
日付・写真・氏名・住所・連絡先の基本
日付は「郵送の場合は投函日、持参の場合は面接当日」の日付を記入します。写真は3ヶ月以内に撮影したもの(サイズ:縦3.6〜4.0cm × 横2.4〜3.0cm)を用意し、裏面に名前と連絡先を記入しておくと紛失対策になります。
採用担当者はここを見ている
- 清潔感のある服装と髪型(医療・福祉職として適切か)
- 表情が自然かどうか(暗すぎる・明るすぎるはどちらもNG)
- スマホ自撮りでないか(光量・背景の乱れで判断される)
西暦と和暦は必ずどちらかに統一します。学歴・職歴欄が和暦なのに資格欄だけ西暦、というケアレスミスは「丁寧さに欠ける」と判断されやすいため注意が必要です。
学歴・職歴欄の書き方(転職回数が多い場合の対処法)
学歴は高校入学から記載するのが基本です。理学療法士養成校(専門学校・大学・大学院)は正式名称で書きます。職歴欄は入職・退職を時系列で記載し、各施設名の下に「担当病棟・部門」を添えると、採用担当者が読みやすくなります。
良い例(職歴欄の書き方)
○○年○月 ○○病院 整形外科・リハビリテーション科 入職
(担当:術後整形外科患者・外来運動器リハビリ)
○○年○月 一身上の都合により退職
転職回数が5回以上ある場合、直近3〜5施設を詳しく書き、それ以前の職歴は「○○年○月 ○○病院ほか複数施設に勤務(合計○年間、急性期・回復期リハビリを担当)」と簡潔にまとめる方法もあります。ただし、アルバイトや短期の非常勤は省略可能ですが、常勤勤務はすべて記載するのが原則です。
免許・資格欄の正式名称と記載順
資格欄は取得年月の古い順に記載します。理学療法士以外にも、以下のような資格を持っている場合は正式名称で記入します。
| 資格名 | 資格欄の記載例 |
|---|---|
| 理学療法士免許 | ○○年○月 理学療法士免許 取得 |
| 認定理学療法士 | ○○年○月 認定理学療法士(運動器)取得 |
| 専門理学療法士 | ○○年○月 専門理学療法士(基礎系:神経理学療法)取得 |
| 普通自動車免許 | ○○年○月 普通自動車第一種運転免許 取得 |
「理学療法士及び作業療法士法」という法律名の記載は不要です。「理学療法士免許 取得」で十分に正確な表現です。免許取得見込みの場合は「○○年○月取得見込み」と記載します。
本人希望欄の書き方
本人希望欄は「特になし」と書いてしまうと、やる気がないと判断されるケースがあります。希望がある場合は必ず記入します。書いてよい内容と避けるべき内容は以下の通りです。
本人希望欄に書いてよい内容
- 勤務形態の希望(常勤希望、非常勤可など)
- 勤務地の制限(転居不可、○○市内希望など)
- 入職希望時期(現職の退職予定と合わせて記載)
NG例
「給与○○円以上希望」「週3日以上勤務希望」といった細かすぎる条件の記載。給与や詳細な条件は面接の場で確認すべき内容です。履歴書に書くと「条件ばかり主張する人」という印象を与えるリスクがあります。
採用担当者が「落とす」志望動機のNGパターン3選
志望動機は履歴書の中で最も採用担当者が重視する項目です。同時に、多くの応募者が同じパターンの失敗を繰り返している項目でもあります。以下の3つのNGパターンに自分の文章が当てはまっていないか確認してください。
NG① 「患者様のために」で終わる志望動機
NG例
「患者様のリハビリに真摯に向き合い、一日も早い回復をサポートしたいと思い、貴施設を志望しました。」
この文章の問題は「どの施設でも同じことが言える」という点です。採用担当者が志望動機から確認したいのは「なぜ他でなく、うちの施設なのか」という点です。患者様のために働きたいという気持ちは当然として、そこから先に何も書かれていないと、施設への関心がないと判断されます。
NG② 前職への不満が透ける書き方
NG例
「前職は急性期のみの対応であったため、在宅に近い生活リハビリを経験できませんでした。そのため、より幅広い経験ができる貴施設を志望しました。」
前職環境への不満(急性期のみで経験が積めなかった)が明確に透けています。採用担当者は「うちでも同じ不満を持って辞めるのでは」と考えます。転職理由は「前職への不満」ではなく「次の職場でやりたいこと・活かしたい経験」に変換して書くことが鉄則です。
良い例(同じ動機をポジティブに変換)
「急性期病院で5年間、術後の早期離床から退院支援まで担当してきました。退院後の生活まで継続的に関われる在宅リハビリの現場でも貢献したいと考え、訪問リハビリに特化した貴施設を志望しました。」
NG③ どの施設でも使い回せる内容
NG例
「貴施設の充実したリハビリ環境と地域医療への積極的な取り組みに共感し、ぜひ貴施設でスキルを磨きたいと考え志望しました。」
「充実したリハビリ環境」「地域医療への取り組み」は、どの施設の求人票にも書いてある表現です。施設名を変えれば別の応募先にそのまま使えます。採用担当者が「この人はうちを選んでくれた」と感じるためには、施設のホームページや求人票から拾った具体的なワード(施設名・設備名・診療方針)を必ず1つは入れる必要があります。
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →【施設タイプ別】採用に通る志望動機の書き方と例文
理学療法士の転職では、志望する施設のタイプによって「採用担当者が何を求めているか」が変わります。以下に施設タイプ別の例文を示します。記載の施設名・期間・専門領域は自身の経歴に合わせて変更してください。
急性期病院・回復期リハビリ病棟
急性期病院では術後早期リハビリやICU・HCUでの対応経験が評価されます。回復期リハビリ病棟では、集中的なリハビリプログラムの立案・実践力と、在宅復帰を見据えたゴール設定能力が求められます。
良い例文(回復期リハビリ病棟への転職)
「急性期病院に5年間勤務し、整形外科・神経内科の術後患者を中心に早期離床から外来リハビリまで担当してきました。○○病院の回復期リハビリ病棟では、退院後の生活を見据えた集中的なゴール設定と多職種チームによる在宅復帰支援が実践されていると拝見しました。急性期での早期介入の経験を回復期の集中リハビリに活かし、患者様の在宅生活再建に一貫して関わりたいと考え、志望しました。」
医療法人が運営する病院への応募時は、履歴書の表記ルール(「入職・退職」「貴院・貴法人」など)にも注意が必要です。
医療法人の履歴書では、病院か法人本体かによって「貴院」と「貴法人」の使い分けが必要です。詳細は以下の記事も参考にしてください。

クリニック・整形外科診療所
クリニックでは、外来リハビリで同じ患者と長期間関わる継続性が特徴です。採用担当者は「患者・家族への説明力」「運動療法と物理療法の両方に対応できるか」「少人数スタッフの中でも主体的に動けるか」を重視します。
良い例文(整形外科クリニックへの転職)
「病院勤務5年間で急性期・外来リハビリの両方を経験し、特に外来では同じ患者様との継続的な関係を通じて回復をサポートする点に大きなやりがいを感じてきました。○○整形外科クリニックでは運動器疾患を中心とした外来リハビリに力を入れ、患者様一人ひとりに合わせた個別プログラムを実践されていると求人票で拝見しました。患者様と長期的に向き合いながら地域の整形外科医療を支えたいという考えから、志望しました。」
介護老人保健施設(老健)・特別養護老人ホーム
老健・特養での理学療法士には、機能回復だけでなく「生活の継続」を支える視点が求められます。採用担当者は多職種(介護士・ケアマネ・看護師)との連携経験と、利用者・家族への丁寧な説明能力を重視します。
良い例文(老健への転職)
「回復期リハビリ病棟に4年間勤務し、脳卒中・骨折後患者の在宅復帰支援に多数携わってきました。退院後の生活の場でも継続的に関われる環境を求め、在宅復帰率の高さと生活リハビリに注力されている○○老健施設を志望しました。病棟で培ったADL改善のアプローチを施設の場で活かしつつ、多職種と連携しながら利用者様が自分らしく過ごせる生活の実現に貢献したいと考えています。」
訪問リハビリテーション
訪問リハビリは、1対1で患者宅へ赴き、在宅環境を直接評価しながらリハビリを行います。採用担当者は「自律的な判断・行動力」「家族・介護者への指導経験」「運転免許の有無」を確認します。
良い例文(訪問リハビリへの転職)
「急性期病院に3年、回復期病棟に2年勤務し、退院後の生活を想定したリハビリを意識してきました。病棟では「退院後にどうなるか」を見届けられない場面が多く、在宅での生活を直接サポートしたいという気持ちが強くなりました。○○訪問リハビリステーションでは、多職種ケアチームの一員として在宅での自立支援に取り組まれており、病院での経験を在宅の文脈で活かせると考え志望しました。普通自動車免許は取得済みです。」
医療法人が運営する訪問リハビリ事業所に応募する場合、志望動機の書き方と採用担当者が見るポイントについては以下の記事も参考になります。

自己PR欄で差がつく書き方|専門性を実績で伝える
専門領域・資格を「数字で語る」
自己PR欄で最も多い失敗パターンは、抽象的な性格・姿勢の羅列です。「患者様に寄り添い、コミュニケーションを大切にしています」という内容は、理学療法士ならほぼ全員が書ける表現であり、差別化になりません。
NG例
「患者様一人ひとりに寄り添い、丁寧なコミュニケーションを心がけながらリハビリに取り組んできました。チームワークを大切にし、多職種と積極的に連携することを意識しています。」
良い例(同じ経験を数字と実績で表現)
「急性期病院5年間で整形外科・脳外科を中心に延べ150名以上の患者様を担当し、病棟の早期離床プロトコル見直しプロジェクトにも参加しました。その経験から、認定理学療法士(運動器)の資格を取得し、臨床研究発表も2回経験しています。即戦力として急性期リハビリに貢献できます。」
数字化できる情報の例として、「担当患者数(延べ人数・月間数)」「勤務年数・施設数」「取得資格・専門認定の分野」「院内プロジェクトへの参加経験」「学術発表・研修講師の経験」などがあります。
ブランクあり・転職回数が多い場合の自己PRの組み立て方
ブランク期間(育休・介護・休職など)がある場合、黙っていると採用担当者が疑問を持ちます。自己PR欄かカバーレターで、ブランク期間中の取り組みを1〜2文で添えると印象が変わります。
ブランクありの場合の自己PR例文(育休後)
「1年間の育休取得後、復職に向けて認定理学療法士の更新単位取得と最新のガイドライン確認を継続しました。産前の経験(回復期リハビリ・外来整形外科)をそのまま活かせる状態で現場に戻れます。現在は保育所の利用が確定しており、常勤での勤務が可能です。」
転職回数が多い場合は「多様な施設・患者層を経験した」という強みとして捉え直すことがポイントです。自己PRの冒頭で「急性期から維持期まで○施設で経験を積んだことで、患者状態に応じた柔軟な対応力を身につけました」という形で軸を示すと、転職回数の多さをネガティブに捉えさせない効果があります。
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 資格欄の正式名称は「理学療法士免許 取得」。「理学療法士」だけは職種名であり不正確
- 職歴欄には施設タイプと担当患者の種別を添えると、採用担当者に経験の深さが伝わりやすい
- 志望動機は応募先ごとに作成。施設名・設備・方針を引用した「使い回しではない」文を書く
- 「患者様のために」で終わる志望動機は差別化にならない。「なぜこの施設か」を必ず1文で答える
- 自己PRは数字と実績で書く。担当患者数・勤務年数・取得資格・プロジェクト参加を具体的に示す
- ブランクや転職回数が多い場合も、期間中の取り組みや経験の多様性を強みとして表現できる
書類選考は「採用担当者に会いたいと思わせるかどうか」を決めるステップです。この記事で紹介した採用担当者の視点を参考に、応募先ごとに丁寧に作成した履歴書で転職活動を進めてください。
理学療法士の転職履歴書に関するよくある質問
- 資格欄に「理学療法士」と書いてはいけませんか?
-
「理学療法士」だけでは職種名の記載にとどまります。資格欄には「○○年○月 理学療法士免許 取得」と取得年月とともに正式名称で記載してください。認定理学療法士や専門理学療法士を保有している場合は、その次の行に続けて記入します。
- 手書きとパソコン作成、採用への影響はありますか?
-
どちらでも採用への影響は大きくありません。ただし転職では一般的にパソコン作成が多く、読みやすさ・修正のしやすさでパソコン作成が効率的です。手書きの場合は黒のボールペンを使用し、間違えたら修正液ではなく新しい用紙に書き直してください。どちらの場合も誤字・脱字がないことが最低条件です。
- 転職回数が多い場合、職歴はすべて書かなければいけませんか?
-
常勤として勤務した施設はすべて記載するのが原則です。アルバイト・非常勤勤務は省略可能です。転職回数が5回を超える場合、直近3〜5施設を詳しく書き、それ以前の職歴は「複数施設に勤務(合計○年間)」と簡潔にまとめる方法もあります。転職回数の多さは「多様な施設タイプを経験した」という強みとして志望動機・自己PR欄で積極的に言及してください。
- 応募先ごとに志望動機を書き直す必要はありますか?
-
必須です。採用担当者は同じ業界で多数の応募書類を見ているため、使い回しかどうかはすぐに判断できます。施設のホームページや求人票から「施設名・設備名・診療方針・理念」の具体的なワードを1つ以上志望動機に入れ、「なぜここなのか」が伝わる文章を応募先ごとに作成してください。


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