この記事では、病院・クリニックへ医療事務として応募する際の履歴書送付状の書き方を解説します。採用担当者が実際に確認しているポイントと、医療事務職に特化した例文もあわせて紹介します。
病院への履歴書に送付状は必要か
送付状(添え状)は、応募書類を郵送するときに同封するビジネスレターです。「どんな書類を送ったか」を伝える実務的な役割と、「丁寧な応募姿勢」を示す印象面の役割の2つを担います。
病院・クリニックへの応募であっても、送付状の必要性は一般企業と変わりません。医療事務は患者さんとの窓口業務が中心であるため、「気配りができるか」「丁寧さがあるか」を採用担当者は応募書類の段階から見ています。送付状を省略することは、そのままマイナス評価につながる可能性があります。
送付状が必要な理由と採用担当者への印象
採用担当者は、1日に何十通もの応募書類に目を通します。書類が封筒に入った状態で届いたとき、まず目に入るのが送付状です。送付状がないと「同封書類の確認」から始めることになり、受け取る側の負担が増えます。
送付状を同封すると、以下のような印象を与えられます。
- 書類の内容を事前に把握できるため、担当者が確認しやすい
- 「ビジネスマナーを理解している」という印象を与える
- 病院・クリニック名や応募職種を明記することで、書類の管理が容易になる
手渡し・メール提出の場合は省略できる
送付状が必要なのは郵送の場合のみです。手渡しの場合は封筒ごと渡すので同封不要。メールで応募する場合は、メール本文が送付状の代わりとなります。
| 提出方法 | 送付状 |
|---|---|
| 郵送 | 必要 |
| 手渡し | 不要 |
| メール添付 | 不要(メール本文が代替) |
病院に送る送付状の書き方(項目別)
送付状はビジネス文書のフォーマットに沿って作成します。病院・クリニック宛てで特に注意が必要な点は、各項目の解説の中で詳しく触れます。
日付の書き方(投函日が正解)
日付は送付状の右上に記入します。書くべきは「投函した日(郵便局やポストに出した日)」です。作成日や履歴書の日付に合わせる必要はありませんが、同封する履歴書と大きくずれないように注意します。
和暦(令和○年○月○日)でも西暦(20○○年○月○日)でも構いません。履歴書と表記を統一しておくと整合性が保たれます。
なお、封筒に書く日付の正確な考え方については、履歴書の封筒に書く日付はいつ?郵送・手渡し別の書き方も参考にしてください。

宛名の書き方(「御中」と「様」の使い分け+「貴院」の注意点)
宛名の敬称は「御中」と「様」を状況で使い分けます。担当者名がわかる場合は「様」、部署名・役職名のみの場合は「御中」が基本ルールです。
| 宛先の状況 | 使う敬称 | 記載例 |
|---|---|---|
| 部署・組織宛て | 御中 | ○○病院 採用担当部門 御中 |
| 担当者名がわかる場合 | 様 | ○○病院 採用担当 山田太郎 様 |
| 院長宛て(クリニック) | 先生 または 様 | ○○クリニック 院長 山田 先生 |
医療事務志望者が最も多く犯すミスが、病院・クリニックを「貴社」と書いてしまうことです。医療機関に対して使う言葉は「貴院」です。普段から「貴社」という表現に慣れていると、うっかり混同してしまいます。送付状を書き終えたら、必ず「貴社」が残っていないか確認してください。
採用担当者はここを見ている
- 「貴社」と書いてある送付状は、それだけで「病院への応募に慣れていない」と判断される
- 病院名・部署名の正式名称を略していないかも確認される(「○○メディカルセンター」を「○○病院」と略するなど)
- 宛名に「〇〇病院御中」と「担当者様」が混在しているのも即座に目につく
本文の書き方(医療事務らしさを1行で添えるコツ)
本文の基本構成は以下のとおりです。
- 時候の挨拶(「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」など)
- 応募の旨(「このたび、貴院の医療事務職に応募させていただきたく、書類をお送りいたします」など)
- 自分のアピールを1〜2行(任意だが差別化になる)
- 書類確認のお願いと結びの言葉
競合と差をつけるのが「自分のアピールを1〜2行添える」部分です。送付状の本文に志望動機や自己PRを詳しく書く必要はありませんが、病院やクリニックへの思いを一言添えるだけで、採用担当者の記憶に残ります。
たとえば次のような表現が有効です。
- 「受付業務での接客経験を活かし、患者さんが安心して受診できる環境づくりに貢献したいと考えております。」
- 「医療事務として4年間の経験を持ち、レセプト業務や電子カルテ操作を担ってまいりました。貴院の地域医療への取り組みに共感し、応募いたしました。」
ただし、送付状に志望動機や自己PRを書きすぎることは逆効果です。詳細は履歴書に任せ、送付状は「書類の一覧と短い自己紹介」に留めるのがビジネスマナーです。
同封書類の書き方
同封書類の一覧は、本文の後ろに記載します。書類名と部数を正確に記入し、実際に封筒に入れた書類と一致させます。記載漏れや実物との不一致は、採用担当者の確認作業を増やします。
記載例:
同封書類の記載例
記 一
- 履歴書 1部
- 職務経歴書 1部(経験者の場合)
- 資格証明書の写し 1部(保有資格がある場合)
以 上
採用担当者が送付状で実際に見ているポイント
病院の採用担当者が送付状を手にしたとき、実際に確認しているのは「書き方のルール通りかどうか」よりも、むしろ別の部分です。
採用担当者が送付状で見ている3つのこと
- 病院名・部署名が正確か:略称を使っていないか、正式名称で記載されているか
- 「貴院」「入職」など医療機関向けの言葉を使っているか:「貴社」「入社」は即座に目につく
- 応募者の人となりが伝わるか:添えられた一言から「患者さんへの意識」や「医療への姿勢」が見える
医療事務職は、患者さんや医師・看護師など多くの人と関わる仕事です。採用担当者は「礼儀正しい人か」「相手への配慮があるか」を書類から推測しています。送付状は、その判断材料の一つになります。
一方で、送付状の出来が多少粗くても、それだけで不合格になるわけではありません。しかし、明らかなミスや無礼な表現があれば、それは確実にマイナス材料になります。「合否を左右するものではないが、落選に直結するミスはある」という認識で準備するのが現実的です。
なお、医療法人向けの履歴書の書き方全体については医療法人の履歴書の書き方|入職・貴院・職種別例文でまとめています。送付状とあわせて確認してください。

医療事務の履歴書送付状 例文
医療事務として病院・クリニックへ応募する際に、実際に使用できる例文を状況別に紹介します。コピーして使う場合も、病院名・日付・氏名は必ず自分のものに書き換えてください。
未経験から医療事務に応募する場合の例文
前職が小売・接客・一般事務などで、医療事務は初めての場合の例文です。医療経験がなくても、コミュニケーション力や事務スキルをアピールできます。
良い例(未経験・接客経験あり)
令和○年○月○日
○○病院
採用担当部門 御中
氏名 山田 花子
住所 ○○県○○市○○町○-○
電話 000-0000-0000
メール hanako@example.com
履歴書送付のご挨拶
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
このたびは、貴院の医療事務職の求人を拝見し、ぜひ応募させていただきたくご連絡申し上げます。前職では接客業に5年間従事し、幅広い年代のお客様に対応してまいりました。窓口業務を通じて患者さんの受診をサポートしたいという思いから、医療事務職を志望しております。
ご多忙中誠に恐れ入りますが、同封書類をご査収いただけますようお願い申し上げます。
敬具
記
- 履歴書 1部
以上
医療事務の経験者・転職の場合の例文
すでに医療事務として働いた経験がある場合の例文です。レセプト業務や電子カルテなど、即戦力となる具体的なスキルを一行で触れることで、採用担当者の関心を引きます。
良い例(医療事務経験者・転職)
令和○年○月○日
○○クリニック
院長 ○○○○ 先生
氏名 鈴木 恵
住所 ○○県○○市○○○-○
電話 000-0000-0000
履歴書ご送付のご挨拶
拝啓 時下ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。
このたびは、貴院の医療事務職に応募させていただきたく、書類をお送りいたします。前職では総合病院の受付・会計窓口において4年間勤務し、レセプト業務および電子カルテ(ORCA)の操作を担当してまいりました。患者さんが安心して受診できる受付環境をつくることへの思いを持ち続けており、地域密着型の貴院の診療方針に共感し応募いたしました。
ご多忙のところ恐れ入りますが、同封書類をご確認いただけますと幸いです。何とぞよろしくお願い申し上げます。
敬具
記
- 履歴書 1部
- 職務経歴書 1部
以上
なお、医療法人向けの志望動機については医療法人の志望動機|採用担当者が通過させる書き方と例文8選で詳しく解説しています。本文のアピール部分の参考にしてください。

NG例—よくある失敗パターン
送付状で実際に多く見られるミスを紹介します。どれも「うっかりやりがち」なものばかりです。
NG例(よくある失敗)
❌ 「貴社のますますのご発展を…」
→ 病院・クリニックには「貴院」が正解。「貴社」はそのまま選考マイナスになり得る。
❌ 「入社できましたら精一杯努力します」
→ 「入職」または「採用されましたら」が正しい表現。「入社」は一般企業向けの言葉。
❌ 希望条件(給与・勤務時間)を記載する
→ 送付状に希望条件を書くのはマナー違反。それは履歴書の「本人希望欄」に書く内容。
❌ 宛名が「採用ご担当者様」のみで病院名がない
→ 複数の病院に同じ送付状を使い回しているように見える。採用担当者の印象が悪い。
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →手書きかPC作成か—病院の種類別の正解
「送付状は手書きとPC作成、どちらが良いか」は、応募する病院・クリニックの種類によって使い分けるのがベストです。
総合病院・大学病院の場合
規模の大きい総合病院や大学病院では、PC作成が標準です。採用担当部門が設置されており、複数の応募者の書類を組織として管理します。統一されたフォーマットで読みやすい書類を提出するほうが、書類を確認する側の負担を減らせます。
字の丁寧さよりも、内容の正確さと読みやすさが優先されます。特別な事情がない限り、総合病院・大学病院への応募はPC作成で問題ありません。
個人クリニック・診療所の場合
院長が採用を直接担当することが多い個人クリニックや診療所では、手書きが好印象につながるケースがあります。これは「丁寧さや誠実さ」が採用判断に直接影響しやすい規模であるためです。
ただし、手書きが有利なのは「字が丁寧で読みやすい」ことが前提です。乱雑な字で書いた手書きより、整ったPC作成のほうが好印象です。字に自信がなければ、PC作成で問題ありません。
| 病院の種類 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 総合病院・大学病院 | PC作成 | 複数の応募を組織で管理するため、読みやすさを優先 |
| 個人クリニック・診療所 | 手書き(字に自信があれば)またはPC | 院長直接の採用が多く、手書きの誠実さが伝わりやすい |
送付状をスマートフォンで作成してコンビニ印刷する方法については、履歴書の送付状をスマホで作ってコンビニ印刷する手順で詳しく解説しています。

封筒の選び方・書き方・入れる順番
送付状を作成しても、封筒の準備が不適切では印象が損なわれます。郵送の基本として確認しておきましょう。
封筒のサイズと色
履歴書と送付状を折らずに入れるには「角形2号(A4サイズが入る白封筒)」が基本です。茶封筒(クラフト封筒)は日常的な書類のやり取りに使うもので、医療機関への応募書類には白い封筒を選ぶのが一般的なマナーです。
封筒はコンビニエンスストアでも購入できます。詳しくは履歴書の封筒はコンビニで買える?選び方から書き方までをご覧ください。

封筒への書き方
封筒への記載で押さえるべき点は以下の3つです。
- 宛先(表面):病院名・部署名・担当者名(または「御中」)を中央に大きく記載。右上に郵便番号、左下に「応募書類在中」と朱書きまたはスタンプ
- 差出人(裏面):自分の住所・氏名・電話番号を左下に記載
- 「〆」の封字:封筒の封じ目に「〆」と記入する(開封済みでないことを示すマナー)
表面の文字は黒のボールペンまたは筆ペンで丁寧に記入します。鉛筆・シャープペンシルは不可です。封筒の書き方の詳細は履歴書の封筒と印刷|コンビニ手順・折り方・宛名まで解説でも確認できます。

書類の入れ方(クリアファイル・折り方)
封筒に入れる際は、書類が折れたり汚れたりしないようクリアファイルに挟んでから封入することをすすめます。封筒のサイズが角形2号であれば、A4書類を折らずにそのまま入れられます。
封筒に入れる順番は以下のとおりです。
- 一番上(最初に取り出される):送付状
- 2枚目:履歴書
- 3枚目以降:職務経歴書・資格証明書の写しなど
すべてをクリアファイルに挟んでまとめると、採用担当者が開封したときに書類が散らばらず、整理された印象を与えられます。
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 郵送の場合、送付状の同封は必須。手渡し・メールでは不要
- 宛名の敬称は「担当者名あり→様」「部署名のみ→御中」で使い分ける
- 病院・クリニックには「貴院」「入職」を使う。「貴社」「入社」は即座に目につくNG
- 本文に医療事務らしいアピールを1〜2行添えると採用担当者の記憶に残る
- 手書きかPCかは病院の規模・種類で選ぶ。字に自信がなければPC作成で問題ない
- 封筒は白・角形2号。クリアファイルに挟んで、送付状を一番上に入れる
送付状は書類の「顔」です。内容の正確さと丁寧さが、採用担当者が受ける最初の印象を作ります。
送付状に関するよくある質問
- 送付状は手書きとPC作成、どちらが良いですか?
-
総合病院・大学病院への応募ではPC作成が一般的です。個人クリニック・診療所では、字が丁寧であれば手書きが好印象になる場合もあります。ただし、字に自信がない場合はPC作成で問題ありません。「手書きかPC作成か」よりも、内容の正確さと丁寧さのほうが重要です。
- メールで履歴書を提出する場合、送付状は必要ですか?
-
メールで応募する場合、送付状の同封は不要です。メール本文が送付状の役割を果たします。メール本文には「応募の旨」「添付書類の内容」「簡単な自己紹介」を盛り込み、件名には「医療事務職応募書類送付 山田花子」のように氏名と職種を明記しましょう。
- 送付状に志望動機を詳しく書いてもいいですか?
-
送付状に志望動機を詳しく書く必要はありません。詳細な志望動機は履歴書に記載するのがビジネスマナーです。送付状の本文には「応募の旨」と「1〜2行の簡単なアピール」に留め、詳細は「別紙履歴書をご参照ください」と促すのが適切な書き方です。
- クリニックと病院で送付状の書き方は変わりますか?
-
書き方の基本は同じですが、宛名の書き方が変わります。院長宛てに送る個人クリニックでは「○○クリニック 院長 山田 先生」と記載するのが一般的です。大病院の採用担当部門宛てでは「○○病院 採用担当 御中」の形式になります。また、クリニックの規模や雰囲気に合わせ、丁寧で親しみやすいトーンの本文にするのが有効なケースもあります。


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