この記事では、介護職の職務経歴書のフォーマット選びから、職務要約・職務経歴・自己PRの書き方まで採用担当者の視点で解説します。施設タイプ別の例文とNG例も紹介します。
職務経歴書と履歴書はどう違うのか
履歴書が「基本情報の証明書類」であるのに対し、職務経歴書は「現場での実力を伝えるための書類」です。採用担当者が履歴書で確認するのは、資格・学歴・勤務先の社名まで。職務経歴書ではじめて「その方が介護の現場でどう働いてきたか」が見えてきます。
採用担当者が職務経歴書で確認したいこと
介護施設の採用担当者が職務経歴書で最初に目を向けるのは、次の3点です。
採用担当者はここを見ている
- 施設の規模・サービス種別:特養・老健・グループホーム・訪問介護など、どんな環境で働いてきたか
- 担当利用者の状態:要介護度・担当人数・ユニット数など、即戦力かどうかを測る材料
- 保有資格と業務の一致:介護福祉士・ヘルパー資格が記載業務と矛盾していないか
職務経歴書は、採用担当者に「自社の施設で即戦力として活躍できるか」を判断させるための書類です。履歴書の補足ではなく、選考の独立したもう一つの判断軸として機能します。
介護職の職務経歴書フォーマットは3種類
職務経歴書のフォーマットは「編年体式」「逆編年体式」「キャリア式」の3つがあります。法律上の決まりはなく、自分の経歴をもっとも伝えやすい形式を選べば問題ありません。
| 形式 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 編年体式 | 過去から現在の順に職歴を記載 | 経歴に一貫性がある・職歴が少ない |
| 逆編年体式 | 直近の職歴から逆順に記載 | 直近の施設経験を強くアピールしたい |
| キャリア式 | 施設種別・職種別にグループ化 | 複数施設を渡り歩いて多様なスキルがある |
編年体式 — 介護職の転職で最もよく使われる形式
社会人経験を積んだ順に記載する形式で、採用担当者にとっても読みやすい構成です。介護職で初めて職務経歴書を書く方や、1〜3施設の職歴がある方に向いています。転職回数が少なく、経歴に一貫性がある場合はこの形式がもっとも評価されやすいです。
逆編年体式 — 直近の施設経験を前面に出したい方に
最新の職歴から書き始めるため、採用担当者が最初に目にする情報が「直近の経験」になります。過去よりも現在のスキルの方が応募施設のニーズに近い場合、または施設の種別・規模が徐々にステップアップしている経歴の場合に有効です。
キャリア式 — 複数の施設で多様な経験を積んだ方に
「特養での身体介護」「訪問介護でのホームヘルプ」「グループホームでの認知症ケア」など、施設種別ごとにスキルをグルーピングして記載する形式です。転職回数が多い方でも「経験の幅広さ」として評価されやすい構成になります。ただし、各項目に必ず見出しを付けないと読みにくくなるため注意が必要です。
介護職の職務経歴書の基本構成と各項目の書き方
フォーマットが決まったら、次は各項目の中身を埋めます。介護職の職務経歴書に必要な項目は以下の5つです。
①標題・日付・氏名
書類の冒頭に「職務経歴書」と明記し、作成日(提出日)と氏名を記載します。作成日は西暦・和暦どちらでも可ですが、同じ書類内で統一することが必要です。
記載例
職務経歴書
2026年〇月〇日現在
氏名:〇〇 〇〇
②職務要約 — 採用担当者が最初に読む150文字
職務要約は書類全体の「要約欄」です。採用担当者が最初に目を向ける場所でもあり、ここで「読み続けるかどうか」が決まります。「どんな施設で・何年・何をしてきたか」を150文字程度で簡潔にまとめることが鉄則です。
良い職務要約の例
特別養護老人ホームで5年間、身体介護・生活援助を担当しました。ユニットリーダーとして10名の利用者をケアしつつ、新人スタッフのOJT指導も担当。介護福祉士の資格を活かした認知症ケアにも注力してきました。
NG例
介護の仕事を長年にわたって行ってきました。「どんな施設で何年」「何名を担当」という具体情報がなく、採用担当者が現場での実力を判断できません。
③職務経歴 — 施設情報と業務内容をセットで書く
職務経歴は最もボリュームのある項目です。在籍期間・施設名・施設情報・業務内容の4点をセットで記載します。
| 記載項目 | 書き方のポイント |
|---|---|
| 在籍期間 | 〇〇〇〇年〇月〜〇〇〇〇年〇月(〇年〇ヶ月)の形式で記載 |
| 施設名 | 法人名と施設名を両方記載(例:社会福祉法人〇〇会 〇〇特別養護老人ホーム) |
| 施設情報 | 施設種別・入居者数・居室数・職員体制・ユニット数などを具体的に |
| 業務内容 | 「動詞+数値」で箇条書きにする |
④保有資格・スキル一覧
介護職に関連する資格はすべて記載します。取得年月順に並べ、正式名称で記入することが必要です。
- 介護福祉士:登録番号まで書ける場合は記載。正式名称は「介護福祉士」のみ(「国家資格」などの修飾語は不要)
- 介護職員初任者研修:修了年月を記載。旧称「ホームヘルパー2級」「訪問介護員2級課程修了」は修了時の正式名称を使用する
- 介護職員実務者研修:正式名称は「介護職員実務者研修修了」
- 介護支援専門員(ケアマネジャー):「介護支援専門員実務研修受講試験合格」と「介護支援専門員証交付」を区別して記載
- 認知症介護実践者研修修了など施設内研修の修了歴も記載すると加点材料になる
⑤自己PR — 「どう役立つか」を応募施設に向けて書く
自己PRは「自分のスキル・経験が応募先施設でどう役立つか」に焦点を当てて書きます。単なる経験の羅列ではなく、「前職での〇〇という経験が、貴施設の〇〇に活かせます」という構造で書くことで、採用担当者の「採りたい」という気持ちを引き出せます。具体的な書き方は後述の「状況別例文」を参照してください。
採用担当者が通過させたくなる「職務経歴」の書き方
他の応募者と差がつくのは、職務経歴の「書き込みの深さ」です。採用担当者が「この人に会いたい」と思う書類には共通した特徴があります。
施設情報を具体的に書く
施設名だけでは、採用担当者は「どんな規模の現場で働いていたか」を把握できません。以下の情報をセットで記載することで、即戦力かどうかの判断ができます。
採用担当者が確認する施設情報
- 施設の種別(特養・老健・グループホーム・デイサービス・訪問介護など)
- 入居者数・定員数(例:入居者数60名、定員90名など)
- ユニット型か従来型か(特養の場合は必須)
- 配属フロア・担当ユニット(例:2階認知症専門フロア担当)
- 担当利用者の要介護度(例:要介護2〜5の利用者20名を担当)
業務内容は「動詞+数値」で表現する
「介護全般を担当していました」という書き方では、採用担当者が現場での実力を測れません。具体的な業務を「何を・どのくらい・どのようにしていたか」で書くことが、通過への近道です。
良い例
- 要介護3〜5の利用者15名に対し、食事・入浴・排せつの身体介護を担当
- 認知症の利用者を中心に、個別ケアプランに沿ったレクリエーションを週3回実施
- 介護記録システム(ワイズマン)を使用した日報・ケア記録の入力
- 新人スタッフ2名のOJT指導担当(マニュアル作成・実技指導を含む)
NG例
- 介護全般を担当していました
- 利用者さんのお世話をしていました
- 日常業務をこなしていました
何人・どんな状態の利用者を・どんな方法で担当したかが書かれていないと、採用担当者はスキルを判断できません。
採用担当者が落とす職務経歴書のNGパターン一覧
| NGパターン | なぜ落とされるか | 改善策 |
|---|---|---|
| 施設情報がない(社名のみ) | どんな規模・環境か不明 | 施設種別・定員数・ユニット体制を追加 |
| 業務内容が抽象的 | 即戦力かどうか判断不能 | 担当利用者数・要介護度・具体的業務を記載 |
| 資格名が不正確 | 公的資格への知識に疑問 | 正式名称・取得年月を確認して記載 |
| 自己PRが前職の業務内容の再掲 | 応募施設への貢献イメージが湧かない | 「応募先でどう活かすか」を1文追加する |
施設タイプ別 職務経歴書の書き方と例文
介護施設によって求められるスキルや業務内容が異なります。応募施設のタイプに合わせた書き方を確認してください。
特別養護老人ホーム(特養)の場合
特養は「重度介護・看取りケア・ユニット体制」が採用担当者の注目ポイントです。要介護度が高い利用者を担当していた実績と、ユニット型か従来型かを必ず記載します。
特養 職務経歴 記載例
【施設情報】
社会福祉法人〇〇会 〇〇特別養護老人ホーム(ユニット型)
定員:60名 / 2階・要介護3〜5フロア担当
雇用形態:正社員 / 2021年4月〜2025年3月(4年間)
【業務内容】
- 要介護3〜5の利用者10名に対する食事・入浴・排せつ介助
- 認知症の利用者へのユニットケア(個別レクリエーション月4回以上実施)
- ケアプランに基づいたサービス提供と介護記録の入力(ワイズマン使用)
- 看取り期の利用者および家族への対応(3名の看取りケアを経験)
- 夜勤帯の業務(月6〜8回)、緊急時の医療機関連携
訪問介護(ホームヘルパー)の場合
訪問介護は「担当件数・移動対応・単独判断力」が採用担当者の確認ポイントです。1日の担当件数と対応した利用者の状況を具体的に書きます。
訪問介護 職務経歴 記載例
【施設情報】
〇〇訪問介護ステーション(運営:〇〇株式会社)
登録利用者数:約50名 / 担当エリア:〇〇市全域
雇用形態:登録ヘルパー / 2022年6月〜2026年3月(3年9ヶ月)
【業務内容】
- 1日あたり3〜5件、要介護1〜4の利用者宅を単独訪問
- 身体介護(入浴・排せつ・移乗)および生活援助(調理・掃除・買い物代行)
- 利用者の体調変化をサービス提供責任者へ随時報告・記録
- 新規利用者のサービス開始時の事前確認・環境整備対応
グループホームの場合
グループホームは「認知症ケアの専門性」と「家庭的な環境での対応力」が問われます。認知症の種類別対応の経験や、夜勤帯の一人対応など、グループホームならではの業務内容を記載することが有効です。
グループホーム 職務経歴 記載例
【施設情報】
認知症対応型共同生活介護 〇〇グループホーム
定員:18名(1ユニット9名×2) / 要介護1〜4の利用者担当
雇用形態:正社員 / 2023年4月〜2026年3月(3年間)
【業務内容】
- 認知症(アルツハイマー型・レビー小体型)の利用者9名のケア全般
- 個別の認知症ケアプランに沿った日常生活支援(食事・入浴・排せつ)
- 家族との連絡調整・面会対応・ケアカンファレンスへの参加
- 夜勤帯の一人対応(月4〜6回)、緊急時の医療機関連携
職務経歴書の作成自体に行き詰まった場合は、職務経歴書の自動作成ツールを活用する方法もあります。AIが質問に答える形式で書類を仕上げてくれるサービスも増えています。

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自己PRは書き方次第で通過率が変わります。自分の状況に近いパターンを参考に、応募先施設に合わせて内容を調整してください。
介護福祉士として施設介護の経験がある方
自己PR例文
特別養護老人ホームにおいて介護福祉士として5年間、要介護3〜5の利用者10名を担当しました。認知症の方が多いユニットで個別ケアを実践し、利用者の生活リズムに合わせたアプローチで問題行動の軽減に取り組みました。ユニットリーダーとして新人スタッフのOJT指導も担い、定着率の向上に貢献してきました。貴施設でも重度介護の経験と後輩育成力を活かし、即戦力として貢献できます。
無資格・未経験から介護職に転職する方
自己PR例文
前職では接客・サービス業に5年間従事し、利用者一人ひとりのニーズに対応するコミュニケーション力を磨きました。転職にあたり介護職員初任者研修を修了し、基本的な身体介護の技術も習得しています。前職で培った観察力と傾聴スキルを介護現場で発揮したいと考えています。貴施設のOJT研修制度のもとで確実にスキルを積み上げていきます。
ブランクがあって介護職に復帰する方
自己PR例文
出産・育児のため2年間介護現場を離れていましたが、復帰前に介護職員実務者研修を受講し、認知症介護の知識をあらためて整理しました。育児を通じて相手の体調や感情の変化を素早く察知する力が高まり、利用者への観察力も強化されたと感じています。ブランク中も専門誌や研修動画で情報収集を続けており、即戦力として業務に入れる状態です。
書類が完成した後にプロの視点でチェックを受けたい場合は、職務経歴書の有料添削サービスも選択肢の一つです。また、作成そのものを依頼したい場合は職務経歴書の代行サービスという手もあります。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 介護職の職務経歴書フォーマットは「編年体式」「逆編年体式」「キャリア式」の3種類。転職経験が少ない方は編年体式が使いやすい
- 採用担当者が見るのは「施設種別・定員・担当利用者数・要介護度」など現場の具体情報
- 業務内容は「動詞+数値」で書く。「介護全般を担当」という抽象的な表現は選考で不利になる
- 自己PRは前職の経験を「応募先でどう活かすか」に結びつけて書く
フォーマットを整えることも大切ですが、通過する職務経歴書の本質は「採用担当者が現場での実力を想像できるかどうか」です。施設情報と業務内容を具体的に書くことで、他の応募者との差が生まれます。
介護職の職務経歴書に関するよくある質問
- 職務経歴書は手書きとパソコン、どちらで作成するべきですか?
-
パソコンでの作成が一般的です。修正・コピーが容易で、採用担当者も読みやすい書類に仕上がります。ただし、応募先が手書きを指定している場合はその指示に従ってください。手書きの場合は消せるボールペン(フリクション)は使用不可で、黒か青のボールペンを使います。
- 施設情報はどこまで詳しく書けばいいですか?
-
施設の種別・定員数・担当利用者の要介護度・ユニット体制(特養の場合)は最低限記載してください。さらに「1日の平均担当者数」「使用していた介護記録システム名」「認知症専門フロアかどうか」なども書けると、採用担当者が現場を具体的にイメージしやすくなります。ただし、施設名や法人名を書けない守秘義務がある場合は「社会福祉法人(非開示)」などの表記も可能です。
- 介護未経験でも職務経歴書は必要ですか?
-
求人票で求められている場合は必ず提出が必要です。未経験の場合は前職での経験・スキルから介護に活かせる強みを自己PRに記載します。接客・医療事務・保育など「人に接する仕事」の経験は、コミュニケーション力や観察力として介護現場でも評価されます。取得済みの介護資格(初任者研修修了など)は必ず記載しましょう。
- 職務経歴書の枚数はA4何枚が適切ですか?
-
介護職の場合、A4用紙1〜2枚が基本です。経験年数が3年未満の場合は1枚にまとめ、5年以上の複数施設経験がある場合は2枚まで可。3枚以上は採用担当者の負担になり、読まれないリスクがあります。枚数を減らすため、「介護全般」などの抽象的な記述を削り、具体的な数値・実績に絞り込むと内容の密度が上がります。


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