この記事では、人事・労務職への転職で使う職務経歴書の書き方を採用担当者の視点から解説します。給与計算・採用・社会保険手続き別の例文と、書類選考で落とされやすいNG例もセットで紹介します。
人事・労務の職務経歴書が落とされる3つの理由
人事・労務の職務経歴書が書類選考を通過できない場合、記述に共通のパターンがあります。採用担当者の視点から見ると、次の3つが典型的な落とされる理由です。
①業務の羅列だけで規模感・数値がない
採用担当者が職務経歴書を確認するのは平均30秒以内といわれます。その時間の中で「即戦力かどうか」を判断できる情報がなければ、書類は次のステップに進みません。
NG例
「給与計算、社会保険手続き、勤怠管理を担当していました。」
何人分を・どのシステムで・何年担当したかが一切不明。採用担当者は判断材料がゼロになります。
良い例文
「従業員250名規模のメーカーにて、月次給与計算(賞与含む)をPCA給与クラウドで担当。5拠点分の勤怠データ集計から社会保険料の控除処理まで一貫対応。」
②担当した組織規模が書かれていない
人事・労務は「何人規模」の組織を担当したかで、業務の難易度がまったく変わります。50名の会社と3,000名の会社では、給与計算の複雑さも法令対応の量も大きく異なるため、採用担当者は「自社の規模に対応できる経験があるか」を職務経歴書で必ず確認します。
採用担当者はここを見ている
- 社員数300名の企業に転職希望の方が、5名のスタートアップでの経験しか書いていないと、採用担当者は担当できるか判断できない
- 規模感が書いてあれば、どの難易度の業務をこなせるのかを即座に判断できる
- 「同程度の規模での経験がある」と分かるだけで、面接に進ませやすくなる
③人事と労務の業務範囲が整理されていない
「人事・労務全般を担当していました」という表現は、採用担当者にとって情報量が多すぎて伝わりにくい記述です。採用担当者が知りたいのは、採用寄りのキャリアなのか、給与・労務管理寄りのキャリアなのかという重心です。
兼務の場合は【採用・教育系】【給与・労務管理系】のように業務カテゴリを分けて記載すると、採用担当者が読みやすくなります。どちらの業務に比重が高かったかが伝わるように書くことが大切です。
採用担当者が人事・労務の職務経歴書で確認する5つのポイント
採用担当者が人事・労務の職務経歴書を読む際、具体的に何を確認しているのかを整理します。
採用担当者はここを見ている
- 人事・労務は資格より実務経験が採否を大きく左右する職種
- 「何人規模の組織で」「どの業務範囲を」「どのレベルまで担当したか」が最大の判断軸
- 法改正対応の経験がある場合は必ず記載すること(他の候補者と明確に差がつく)
①対応規模(社員数・拠点数)
職務経歴書に必ず入れるべき規模感の情報を以下の表にまとめました。
| 情報の種類 | 記載例 |
|---|---|
| 社員数 | 従業員300名(正社員200名・契約・パート100名) |
| 拠点数 | 本社+全国7拠点の給与計算・社保手続きを担当 |
| 担当人数 | 給与計算対象者:250名 |
| 業種 | 製造業・IT・医療など(業界知識の証明になる) |
②担当業務の幅(採用・給与・社保・制度設計など)
担当業務の幅を明示することで、採用担当者は「どの業務はすぐ任せられるか」を判断できます。以下の業務カテゴリを参考に、自分が経験した範囲を整理してください。
- 採用・教育系:求人票作成・媒体管理・面接・内定〜入社対応・研修企画など
- 給与・勤怠管理系:給与計算・賞与計算・年末調整・勤怠システム管理など
- 社会保険系:入退社手続き・産育休給付申請・健康診断管理・障害者雇用管理など
- 制度・規程系:就業規則改定・36協定管理・評価制度設計への関与など
③法改正・制度変更への対応経験
採用担当者が人事・労務の職務経歴書で「差」を感じるのが、法改正対応の記載です。働き方改革関連法・育児介護休業法の改正・同一労働同一賃金対応など、法改正に主体的に関わった経験は高く評価されます。
「〇〇法の改正に対応しました」ではなく、「改正内容を整理し、社内規程の改定と全社説明会を担当」のように、具体的な行動まで書くのがポイントです。
④数値で見える改善実績
人事・労務は成果が数値化しにくい職種という先入観がありますが、実際には数値で書ける実績が複数あります。
- 給与計算の処理時間:〇〇時間→〇〇時間に短縮
- 採用コスト:エージェント経由比率を〇%削減
- 内定承諾率:〇%→〇%に改善
- 残業時間:平均〇時間/月→〇時間/月に削減(労務管理改善の結果)
- 育休取得率:〇%→〇%に向上(制度整備・周知の結果)
⑤使用しているシステム・ツール
採用担当者は「自社が使っているシステムを使ったことがあるか」を確認しています。使用経験のあるシステムは積極的に記載しましょう。
| カテゴリ | 代表的なシステム例 |
|---|---|
| 給与計算 | PCA給与、奉行クラウド、freee人事労務、MFクラウド給与 |
| 勤怠管理 | KING OF TIME、ジョブカン、TimeValue |
| 人事・採用管理 | SmartHR、カオナビ、HRMOS、Workday |
| 社会保険電子申請 | e-Gov、社労夢 |
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →人事・労務の職務経歴書の書き方【項目別解説】
職務経歴書の主要4項目について、人事・労務職に特化した書き方を解説します。
職務要約の書き方
職務要約は採用担当者が最初に読む部分です。200〜300文字程度で、在籍企業の規模・担当業務の幅・実績の概要を伝えます。「〇〇規模の企業で〇年間、採用・給与・社保を担当したスペシャリスト」という全体像が一目で伝わることが理想です。
良い例文
「メーカー(従業員450名)にて5年間、人事・労務業務全般を担当。採用業務(年間新卒10名・中途20名)から月次給与計算(400名分)、社会保険手続き、36協定・就業規則の整備まで幅広く経験。2023年の育児介護休業法改正対応では、社内規程の改定と従業員向け説明資料の作成を主担当として完遂。SmartHR・KING OF TIME・PCA給与を日常的に使用。」
担当業務欄の書き方
担当業務欄は【人事系】【労務系】のように業務カテゴリを分けて記載すると、採用担当者が読みやすくなります。各業務には規模感・対応件数・使用ツールを一言添えましょう。
良い例文(担当業務欄)
【人事系業務】
・中途採用(年間20〜30名):求人票作成・媒体管理(リクナビNEXT・Indeed)・書類選考・面接(一次・二次)・内定通知〜入社対応まで一貫担当
・新卒採用(年間10名):会社説明会・グループ面接・内定者フォロー
・入社オリエンテーション・研修企画(外部講師との調整含む)
【労務系業務】
・月次給与計算(正社員200名・契約50名・パート30名):PCA給与クラウド使用
・賞与計算(年2回)・年末調整処理
・社会保険・雇用保険の入退社手続き:年間80〜100件
・36協定の締結・届出管理(e-Gov電子申請)
・勤怠管理システム(KING OF TIME)の運用・問い合わせ対応
実績・成果欄の書き方
「〜を担当しました」で終わるのではなく、「担当した結果、何が変わったか」を必ず書くことが通過率を高めるポイントです。以下のような実績は、数字を使って具体的に書きましょう。
- 勤怠システムをタイムカードからKING OF TIMEに移行→月次集計工数を8時間から1.5時間に削減
- 中途採用でダイレクトリクルーティング(ビズリーチ)を導入→エージェント経由比率を70%から40%に削減、採用コストを年間約200万円削減
- 育休取得率の低迷を受け、制度説明会と個別面談を実施→男性育休取得率が0%から15%に向上
スキル・資格欄の書き方
人事・労務職で評価される資格と記載のポイントを整理します。
| 資格名 | 記載のポイント |
|---|---|
| 社会保険労務士 | 合格年月を記載。受験中の場合は「〇年〇月受験予定」 |
| 衛生管理者(第一種・第二種) | 取得年月と種別を記載 |
| FP(ファイナンシャルプランナー) | 給与・社保の理解度を示す補足資格として有効 |
| Excel(VLOOKUP・ピボット等) | 資格ではないが「具体的なスキル」として記載有効 |
業務別の例文【採用担当・給与計算・社会保険手続き】
業務別に良い例文とNG例を対比して紹介します。自分の経験に近いものを参考に書き直してみてください。
採用担当の書き方と例文
NG例
「採用業務全般を担当。新卒・中途採用を行っていました。」
年間採用人数・使用媒体・面接段階への関与など、採用担当者が判断できる情報がゼロです。
良い例文
【採用業務】
・新卒採用:年間15名(理系技術職8名、営業職7名)
・中途採用:年間25名(月2〜3件のカジュアル面談〜最終面接まで一貫担当)
・採用媒体:マイナビ、リクナビNEXT、LinkedIn、ダイレクトリクルーティング(ビズリーチ)
・2023年:中途採用の内定承諾率を65%から82%に改善(条件提示タイミングの見直しとフォロー面談の導入)
・採用管理システム:HRMOS
職務経歴書の作成に時間がかかる場合は、職務経歴書の自動作成ツールを活用して効率的に仕上げる方法もあります。

給与計算・労務管理の書き方と例文
NG例
「給与計算担当。毎月社員の給与を計算していました。」
何名分を・どのソフトで・どの範囲まで担当したかが不明です。
良い例文
【給与計算・労務管理】
・月次給与計算(対象:正社員200名+パート80名):PCA給与クラウド使用
・賞与計算(年2回)、年末調整処理(全従業員対象)
・36協定の締結・届出管理(特別条項適用チェック含む)
・2022年:タイムカードから勤怠システム(KING OF TIME)へ移行。月次集計工数を8時間から1.5時間に短縮。
社会保険手続きの書き方と例文
NG例
「社会保険の手続きをしていました。」
年間何件・どの種類の手続き・何のシステムを使ったかが不明です。
良い例文
【社会保険手続き】
・入退社に伴う社会保険・雇用保険の資格取得・喪失手続き:年間60〜80件
・産休・育休取得者の給付申請(年5〜10件):e-Gov電子申請
・障害者雇用率の管理・ハローワークへの申告
・2023年:育児介護休業法改正に対応し、社内規程の改定と全従業員向け説明資料を作成・配布
こんな場合はどう書く?よくある3つの疑問
人事と労務を兼務していた場合
「人事・労務全般」とまとめずに、【採用・教育系】【給与・労務管理系】のようにカテゴリを分けて記載します。兼務の場合でも、どちらの業務に比重が高かったかが伝わるように書くと、採用担当者の判断がしやすくなります。
たとえば「採用6割・労務4割」という実態であれば、採用業務を先に・多めに記載し、労務をその後に続けるのが自然な書き方です。業務比率を(例:採用業務60%・給与労務40%)と明記する方法もあります。
未経験から人事・労務を目指す場合
未経験転換の場合は、現職での経験の中から人事・労務に関連するスキルを掘り起こす作業が必要です。
- 経理職からの転換:給与計算・社保との親和性が高い。Excelスキルと数値処理への慣れが強みになる
- 総務職からの転換:社会保険手続き・入退社対応の経験があれば積極的に記載する
- 営業職からの転換:採用担当への転換が比較的スムーズ。「面談力」「情報収集力」「数値目標の管理経験」をアピールポイントにできる
未経験の場合は「なぜ人事・労務を目指すのか」という志望動機を職務経歴書の最後に一言添えると、採用担当者への印象が変わります。
在籍期間が短い(2年以内)場合
在籍期間が短い場合でも、担当業務と習得スキルを丁寧に記載することで短期在籍の印象を薄めることができます。退職理由は職務経歴書に書く必要はありません(面接で問われたときに答えます)。
「1年間在籍したが、月次給与計算・社会保険手続き・新卒採用を一通り担当した」という経験の濃さを伝えることが重要です。期間の短さよりも担当範囲の広さ・深さを見せましょう。
提出前セルフチェックリスト
職務経歴書を完成させたら、提出前に以下の項目を確認してください。
- 対応した社員数・規模感が明記されているか
- 担当業務が【人事系】【労務系】に分けて整理されているか
- 各業務に規模・件数・使用システムが書かれているか
- 数値化できる実績・改善事例が最低1つ以上あるか
- 法改正・制度変更への対応経験(あれば)が記載されているか
- 資格・使用ツール・システムが明記されているか
- 誤字・脱字がないか(特に社名・日付・法令名)
自己チェックに自信がない場合は、職務経歴書の有料添削サービスを活用して第三者にチェックしてもらう方法もあります。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 人事・労務の職務経歴書は「業務の羅列」ではなく、規模感・数値・システム名を入れて即戦力を示すことが最重要
- 採用担当者は対応規模・業務の幅・法改正対応経験・数値実績・使用システムの5点を確認している
- 担当業務は【人事系】【労務系】に分けて記載し、各業務に対応件数・使用ツールを添えると読みやすくなる
- 未経験転換・短期在籍の場合も、担当業務の濃さと習得スキルを丁寧に書けば書類選考で不利にはなりにくい
職務経歴書は「自分の経験を正確に伝えるための書類」ではなく、「採用担当者が判断するための材料」と考えて書くと、通過率が変わります。
人事・労務の職務経歴書に関するよくある質問
- 社会保険労務士の資格は勉強中でも職務経歴書に書けますか?
-
取得見込みや受験中の場合は「〇〇年〇月受験予定」と記載できます。学習意欲の高さとして評価される場合があります。ただし合格前に「取得」とは書かないよう注意が必要です。
- 給与計算しか経験がない場合、人事・労務全般の求人に応募できますか?
-
給与計算は労務の中核スキルであり、経験者として即戦力評価されます。職務経歴書には担当規模(何名分)と使用システムを明記することが重要です。社会保険手続きへの関与や勤怠管理など関連業務の経験があれば合わせて記載しましょう。
- 採用担当しか経験がない場合、労務職への転換は難しいですか?
-
採用担当経験は労務への転換に不利とはいえません。雇用契約書の作成・入社手続き・勤怠管理など、採用業務の中に労務に繋がる経験が含まれていることが多いです。職務経歴書でその経験を丁寧に記載することが大切です。


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