この記事では、広報・PR職の職務経歴書の書き方を採用担当者の視点から解説します。社内広報・社外広報・未経験転職それぞれの例文と、書類選考で落とされやすいNGパターンをセットで紹介します。
採用担当者が広報の職務経歴書を見て「落とす」判断をする瞬間
広報職の書類選考で落ちる理由の多くは「書き方がわからなかった」のではなく、採用担当者が何を見ているかを知らずに書いたことにあります。
広報はメディア掲載件数・SNSのエンゲージメント・社員の満足度など、成果の種類が職種によって異なります。だからこそ「何を、どう書けば伝わるか」を理解するだけで、書類通過率は大きく変わります。
最初の30秒で確認しているのは2つだけ
採用担当者が書類に目を通す時間は、1通あたり30秒以下と言われることもあります。広報職の採用担当者が最初に確認するのは、次の2点です。
採用担当者が最初に確認する2つのポイント
- 実績(どれだけの成果を数字で示しているか):プレスリリース配信本数、掲載獲得件数、SNSフォロワー増加率など
- 専門性の範囲(どの領域を担当してきたか):社外広報/社内広報/IR広報/SNS運用など、担当していた領域が求人票の要件と重なるか
この2点が書類の前半(職務要約・最初の職務経歴)に書かれていない場合、後半を読まれないまま選考から外れるケースがあります。
業務の羅列だけの書類が即落選になる理由
採用担当者が書類選考で受け取る広報志望者の書類で、最も多い失敗パターンが「業務内容の羅列」です。次のような記載は、何本配信して何件掲載されたかが書かれていないため、採用担当者には「業務をこなしていた」としか読めません。
NG例
「広報部門にてプレスリリースの作成・配信、メディア対応、社内報の編集等を担当しておりました。」
業務を「やっていた」という事実の羅列で、成果も規模も伝わらない。採用担当者はこの書類から「この人に任せると何ができるか」が判断できないため、次の書類に目が移ります。
良い例
「コーポレート広報担当として、プレスリリースを年間40本配信し、日経新聞・業界専門誌等への掲載実績36件を獲得。新製品リリース時のプレス対応では、掲載獲得率を前年の45%から72%に改善しました。」
業務の種類を書くのではなく、「どれだけやって、どんな成果が出たか」を前面に出すことが書類通過の起点になります。
広報の職務経歴書の基本構成と各項目の書き方
広報職の職務経歴書は、次の4つのセクションで構成するのが基本です。「職務要約」「職務経歴(業務内容と実績)」「スキル・ツール」「自己PR」。このうち最もページ比率を割くべきは「職務経歴」ですが、採用担当者が最初に読む「職務要約」の内容で書類全体の印象が決まります。
職務要約──第一印象を決める最重要セクション
職務要約は3〜4行(200字以内)で「何の広報経験があるか」「どんな実績を持つか」「どんな強みがあるか」を凝縮して伝えるセクションです。ここを読んだ採用担当者が「詳しく読みたい」と感じるかどうかで、書類の運命が変わります。
職務要約の良い例
「コーポレート広報・メディアリレーションを5年担当。年間40本のプレスリリース配信と主要経済紙への掲載獲得を主導しました。危機対応PR(製品リコール時の声明発表)も複数経験あり。スタートアップのブランド立ち上げ期から成長期まで一貫して対応できます。」
職務要約では「広報のどの領域か」「何年の経験か」「代表的な実績(数字あり)」「特徴的な経験(危機対応・立ち上げ等)」の4要素を意識して書くと、採用担当者の記憶に残りやすくなります。
職務経歴──業務内容と実績の書き分け方
職務経歴欄は「業務内容(WHAT)」と「実績(RESULT)」を分けて記載することが重要です。多くの書類がこれを混同しているため、分けるだけで採用担当者の読みやすさが格段に上がります。
| 種類 | 書き方のポイント | 記載例 |
|---|---|---|
| 業務内容 | 担当した業務の範囲と規模感を列挙 | プレスリリース作成・配信(年間40本)、メディア対応、社内報の企画・編集 |
| 実績 | 数字と変化量で成果を示す | メディア掲載件数36件獲得、掲載獲得率を45%→72%に改善 |
スキル・ツール欄には使用したPRツール(Meltwater、Cision、PR TIMESなど)やSNS管理ツール(Hootsuite、Sprout Social等)を明記すると専門性の証明になります。海外メディアへのアプローチ経験があれば英語力もここに書いておくことで差別化につながります。
職務経歴書の作成にはAI搭載の自動作成ツールを使うと、項目の漏れや構成の整理に役立ちます。

広報の成果を数値で伝える方法
「自分の仕事は数字で測りにくい」と感じる広報担当者は少なくありません。しかし採用担当者は「数字がない書類」を見ると、成果があったかどうかを判断できないまま次の書類に目を向けます。
広報の仕事は、意識すれば意外に多くの指標を数値化できます。以下の一覧を参考に、過去の業務を見直してみてください。
数値化できる広報の実績一覧
| 業務の種類 | 数値化の例 |
|---|---|
| プレスリリース配信 | 年間配信本数、掲載獲得件数、掲載率(%) |
| メディアリレーション | 接触メディア数、掲載獲得率、インプレッション数(概算可) |
| SNS運用 | フォロワー増加数・率、エンゲージメント率、月間リーチ数 |
| オウンドメディア・社内報 | 記事本数、月間PV数、閲覧率・社員満足度スコアの変化 |
| イベント・記者会見 | 参加者数、メディア来場数、記事化件数 |
| 危機対応PR | 対応件数、対応所要時間、問い合わせ件数の変化 |
「数字がない」ときの代替アピール法
過去の実績に具体的な数字がない場合でも、「件数・本数・人数」という単位で規模感を表現できます。数字がなければ「量(どれだけやったか)」を示すだけでも、採用担当者の評価は変わります。
数字がない場合の良い例
「新規メディアリストを一から構築。接触記者数200名超のデータベースを整備し、自社が認知していなかった専門メディア10誌との関係を構築しました。」
「成果がゼロ」と「成果を書いていない」は、採用担当者には区別がつきません。成果がなくても「規模感」と「自分が関与した範囲の明示」で書類の説得力は大きく変わります。
書類が完成したら、有料の職務経歴書添削サービスを使って採用担当者目線での最終確認を受けるのも効果的です。

広報の職種別・状況別の書き方と例文
広報職といっても「社外広報(メディアリレーション)」「社内広報(インナーコミュニケーション)」「未経験転職」では、アピールすべき内容がまったく異なります。応募するポジションに応じて、どの経験を前面に出すかを意図的に選択することが重要です。
社外広報(メディアリレーション)の場合
社外広報担当者が転職で最もアピールすべきは「メディア接触力」と「掲載獲得の実績」です。採用担当者が知りたいのは「どんなメディアにどれだけ掲載されたか」という具体的な成果です。
社外広報の良い例文
【担当期間】2022年4月〜現在(約2年)
【業務内容】プレスリリースの企画立案・配信(月4〜5本)、記者対応、取材コーディネート、プレスキット作成
【実績】掲載獲得件数は年間平均28件(入社前の同部門比較+40%)。TechCrunch Japan、日経ビジネス等の主要媒体への露出を初年度から獲得。プレスリリース1本あたりの掲載獲得率は62%(社内最高)。
採用担当者はここを見ている
- メディア名が具体的に書かれているか(「全国紙に掲載」という表現では評価しにくい)
- 掲載獲得件数と自分が関与した範囲が明確か(チーム全体の成果か、自分が担当した案件か)
- ピッチングメール・プレスキット作成などの周辺業務の有無(即戦力として単独で動けるかの判断材料になる)
社内広報・インナーコミュニケーション担当の場合
社内広報は「何人の社員に向けて、どんな情報を、どの媒体で届けたか」が主な評価軸になります。加えて、経営方針の社内浸透や組織エンゲージメントへの貢献を示せると、戦略的な広報担当者として評価されやすくなります。
社内広報の良い例文
【担当業務】社内報(月刊・配布先5,000名)の編集長補佐、インタビュー取材(年間24本)、デザイン会社との校正管理
【施策実績】社内アンケートによる社内報満足度スコアが2年間で68点→82点に向上。経営方針浸透プログラムの企画・運営(年2回・対象部長以上100名)を単独で完遂。イントラネット記事の月間PVを6か月で1.8倍に拡大(月15,000PV→27,000PV)。
社内広報の実績は「読了率」「満足度スコアの変化」「社員サーベイのスコア」など、直接的な成果が見えにくい場合があります。その場合は「制作した媒体の規模(配布先人数・本数)」と「実施した施策の内容」をセットで書くだけで、業務の全体像が採用担当者に伝わります。
未経験・他職種から広報転職を目指す場合
「広報の仕事をしてきた」という直接経験がなくても、他職種での経験は広報ポジションへの適性を示す材料になります。大切なのは「前職の業務と広報業務の接点を、採用担当者に見える形で書く」ことです。
- 営業職:メディアや顧客向けのプレゼン・資料作成実績、対外コミュニケーション経験
- マーケティング職:SNS運用・オウンドメディア管理・イベント企画の実績(特に集客数・PV・エンゲージメント)
- ライター・編集職:インタビュー取材・コンテンツ制作実績(本数・媒体名・PV数)
未経験転職の良い例文(前職:営業企画)
「前職(営業企画)では、展示会・セミナーの企画立案と集客を担当(年4回・累計参加者1,200名)。プレス向け配布資料の作成と当日のプレスリリース配信サポートに従事。担当展示会ではプレス来場12社・記事化4件の実績があります。これらの経験から、メディアリレーションと発信業務を担う広報職へのキャリアシフトを目指しています。」
NG例(未経験転職)
「広報の仕事に興味があり、コミュニケーションが得意なので挑戦したいと思っています。」
「興味がある」「得意」という主観的な表現だけでは、採用担当者は判断材料を得られません。必ず「何をやったか(業務内容)」と「どんな成果が出たか(件数・数字)」をセットで書くことが前提です。
書類作成に時間をかけられない場合は、職務経歴書の代行サービスを活用することで、広報職の採用担当者が評価する形式に整えてもらうことができます。

まとめ
- 広報の職務経歴書で採用担当者が最初に確認するのは「実績(数字)」と「専門領域」の2点のみ
- 業務の羅列だけでは落とされる。業務内容(WHAT)と実績(RESULT)を分けて書く
- 成果の数値化が難しい場合は「件数・本数・人数」で規模感を示すだけでも効果がある
- 社外広報・社内広報・未経験転職それぞれでアピールすべきポイントが異なる
- 未経験転職の場合は「前職の何が広報業務の接点になるか」を具体的な実績で示す
広報職の転職市場は経験者優遇の傾向が強い一方で、書類での「見せ方」によって採用担当者の印象は大きく変わる職種でもあります。自分の経験を採用担当者が求める言語に翻訳することが、書類通過への近道です。
広報の職務経歴書に関するよくある質問
- 広報未経験でも職務経歴書でアピールできますか?
-
直接の広報経験がなくても、営業・マーケティング・ライター職での「発信力」「コミュニケーション実績」「メディア接触経験」はアピール材料になります。担当した展示会・SNS運用・取材サポートなどを具体的な件数と成果で書くことで、広報職への適性を示すことができます。「興味がある」という主観的な表現より、「何件・何本・何人」という数字で裏付けた記述のほうが採用担当者の判断材料になります。
- プレスリリースの掲載実績がない場合はどう書けばいいですか?
-
掲載件数がゼロの場合でも、「年間配信本数」「ピッチングしたメディア数」「記者との接触数」など業務活動の量を記載できます。また「なぜその配信戦略を取ったか」という判断の背景を書くことで、成果がなくても思考プロセスを評価してもらえる場合があります。掲載実績がない理由が「担当期間が短い」「立ち上げ期で露出より関係構築フェーズだった」などの場合は、その背景も補足として記載するとマイナス評価を防げます。
- 社内広報と社外広報の両方を経験している場合、どちらを優先して書けばいいですか?
-
応募する企業・ポジションが求めているものを優先してください。社外広報(メディアリレーション)の求人なら社外PRの実績を前半に、社内広報・インナーコミュニケーションの求人なら社内広報の実績を前半に配置します。「どちらも対応できます」という構成より、「御社が必要とする専門領域を軸に書かれた書類」のほうが採用担当者の目に止まります。両方の経験を強みとして伝えたい場合は、職務要約で触れたうえで職務経歴の詳細記述に重みをつける方法が有効です。


コメント