この記事では、転職時の履歴書 職歴欄の正しい書き方を採用担当者の視点で解説します。基本的な記載ルールから部署異動・出向・転籍といった転職特有のケース別例文、採用担当者が実際に落とすNG例と通過できる書き方まで、書類選考を通過するために押さえておくべきポイントをまとめました。
採用担当者が職歴欄で判断していること
履歴書の職歴欄は、採用担当者が書類選考で最も集中してチェックする欄のひとつです。入退社の事実を確認できる唯一の欄として、スキルの一致度と定着性を同時に判断します。採用担当者が職歴欄を確認する目的は、次の3つです。
採用担当者はここを見ている
- スキル・経験のマッチ度:自社が求めるポジションと過去の職歴が一致しているか
- 定着性の判断:転職回数と在籍期間から「入社後すぐ辞めないか」を確認
- 書類の正確さ・誠実さ:法人格・入退社年月・社名の正式名称に誤りがないか
特に転職経験者の場合、在籍期間が短い職歴が続いていないか、業種・職種に一貫性があるかを採用担当者は丁寧に追います。職歴欄の記載内容そのものが「この人を信頼していいか」の判断材料になっています。
職歴欄と職務経歴書の役割の違い
転職では履歴書と職務経歴書を両方提出するケースがほとんどです。それぞれの役割は明確に異なります。
| 書類 | 役割 | 書く内容 |
|---|---|---|
| 履歴書(職歴欄) | 公式の経歴記録 | 入退社の事実を正確・簡潔に |
| 職務経歴書 | 実績・スキルのアピール | 業務内容・成果・担当プロジェクトを詳細に |
「担当した仕事を詳しく書きたい」という気持ちから職歴欄に業務説明を詰め込む方がいますが、それは職務経歴書の役割です。職歴欄は入退社の事実のみを正確に記録する欄と割り切ることが、採用担当者に読みやすい書類を作る第一歩です。
転職履歴書の職歴欄 基本の書き方
職歴欄の書き方には、採用担当者が当然知っているはずと前提にしているルールがあります。知らないまま提出すると「社会人経験が浅い」「書類作成が雑」という印象を与えます。基本を4つに絞って解説します。
会社名は法人格含め正式名称で書く
職歴欄で最も多いミスが会社名の省略・誤記です。採用担当者から「入社した会社の名前を正確に書けていない」と判断されます。
NG例
- (株)〇〇商事 → 「㈱」「(株)」は略称のためNG
- 〇〇商事株式会社 → 法人格は後置きではなく先頭に(「株式会社〇〇商事」が正解)
- 〇〇商事 → 法人格の省略はNG
会社名の正式名称は、入社時に受け取った雇用契約書・採用通知書、または会社のウェブサイト(会社概要ページ)で必ず確認してください。
入社・退社の記載方法
職歴欄は1行目中央に「職歴」と書き、その下に古い順から職歴を記載します。各社の入社と退職を1行ずつに分けて記載します。
- 入社行:「令和元年4月 株式会社〇〇 入社」
- 退職行:「令和5年3月 一身上の都合により退職」
- 部署・役職を補足する場合:入社行の次行に「(〇〇部 営業担当として勤務)」と括弧書きで添える
入退社の年月は元号(令和・平成)か西暦かのどちらかに統一します。「平成30年4月」と「2024年10月」が混在しているだけで採用担当者の確認作業が止まります。
「現在に至る」と「以上」の正しい書き方
在職中の場合、最後の入社行(または部署補足行)の次行に「現在に至る」と記入します。その後に1行空け、右寄せで「以上」と書きます。「現在に至る」と「以上」を同じ行に書くのはNGです。
良い例(2社経験・在職中)
職歴
平成30年4月 株式会社〇〇商事 入社
(〇〇部 法人営業担当として勤務)
令和 3年3月 一身上の都合により退職
令和 3年5月 株式会社△△テクノロジー 入社
(マーケティング部 商品企画担当として勤務)
現在に至る
以上
採用担当者が落とすNGパターン5選
職歴欄での「小さなミス」が書類選考の通過を阻んでいるケースは少なくありません。採用担当者が実際によく目にするNGパターンを5つ挙げます。
NG① 会社名を略称・後置きで書く
「(株)〇〇」「〇〇株式会社」はいずれもNG。採用担当者から「在籍した会社の名前を正しく書けていない」という印象を与えます。法人格(株式会社・有限会社・合同会社など)を先頭につけた正式名称を使います。
NG② 「以上」を書き忘れる
「以上」は職歴欄の終わりを示す記号です。書き忘れると、採用担当者が「職歴が続いている」もしくは「記入が中途半端」と判断します。PC作成の場合に抜けやすいので、提出前の最終確認で必ずチェックしてください。
NG③ 退職理由を詳しく書きすぎる
職歴欄の退職理由は「一身上の都合により退職」で統一が基本です。「上司のパワハラにより」「会社の方針が合わず」などの詳細をここに書いてもプラスにはなりません。説明が必要な場合は面接で行います。
会社の倒産・希望退職・リストラなど会社都合の場合は「会社都合により退職」と書いてかまいません。自己都合より有利に扱われるケースがあります。詳しくは会社都合退職の履歴書の書き方も参考にしてください。
NG④ 転籍を「退職→入社」と書く
グループ会社への転籍や合併による異動を「退職」「入社」と書くと、採用担当者には転職回数が実際より多く見えます。転籍には専用の書き方があります(後述のケース別解説を参照)。
NG⑤ 年号を混在させる
「平成30年4月 入社」「2021年3月 退職」のように元号と西暦を混在させると、採用担当者が時系列を追いにくくなります。元号か西暦かどちらかに統一してください。なお、「H.30」のように年号を省略するのもNGです。

ケース別|転職特有の職歴欄の書き方
転職経験者に多いのが、単純な「入社→退職」では表現できない複雑なケースです。書き方を誤ると採用担当者に誤解されるため、それぞれ正確に記載することが重要です。
部署異動・配置転換がある場合
同一企業内での部署異動は、退職とは扱わず「異動」と明記します。役職が上がった場合も記載しておくと、キャリアの成長が採用担当者に伝わります。
良い例(部署異動あり)
令和元年4月 株式会社〇〇建設 入社(土木部 施工管理担当)
令和 3年4月 技術部へ異動(プロジェクトリーダーに昇格)
令和 5年9月 一身上の都合により退職
NG例
令和元年4月 株式会社〇〇建設 入社
令和 3年4月 技術部に転勤(「転勤」は別拠点への移動。部署異動は「異動」が正確)
令和 5年9月 退職(「一身上の都合により退職」が正式な表記)
採用担当者はここを見ている
- 異動のたびに部署名・役職名が記載されていると、キャリアの積み上がりが一目でわかる
- 「転勤」「移動」など誤った用語は「社内の状況をよく把握していない」という印象につながることがある
出向・帰任がある場合
出向は現在の会社に籍を置いたまま別の会社で勤務する形態です。出向先の会社名と部署名を明記し、帰任後の情報も忘れずに記載します。出向元・出向先・帰任後を3行で整理するのが採用担当者に最も伝わりやすい形です。
良い例(出向・帰任あり)
平成30年4月 株式会社〇〇物産 入社(海外営業部 担当)
令和 2年4月 株式会社△△貿易(グループ会社)へ出向
令和 4年3月 株式会社〇〇物産へ帰任(営業企画部 主任)
令和 5年9月 一身上の都合により退職
出向先での具体的な業務内容・実績は職務経歴書でアピールします。履歴書の職歴欄では「出向先会社名・部署・役職」を簡潔に記載するだけで十分です。
転籍(グループ会社間異動)がある場合
合併・グループ再編・事業譲渡による転籍は、採用担当者に最も誤解されやすいケースです。「退職→入社」と書くのは絶対NG。転籍であることを明記しないと、転職回数が実際より多く見えます。
良い例(会社合併による転籍)
平成29年4月 株式会社〇〇システム 入社(開発部 エンジニア)
令和 2年10月 会社合併に伴い株式会社△△テクノロジーへ転籍
(〇〇システムは消滅、△△テクノロジーに吸収合併)
令和 5年6月 一身上の都合により退職
NG例
平成29年4月 株式会社〇〇システム 入社
令和 2年10月 一身上の都合により退職 ← 転籍なのに退職と書くのはNG
令和 2年10月 株式会社△△テクノロジー 入社 ← 転職に見えてしまう
令和 5年6月 一身上の都合により退職
短期退職(試用期間含む)がある場合
在籍期間が短い職歴も、正社員・契約社員であれば原則としてすべて記載します。意図的に省略した職歴が採用後に発覚した場合、「経歴詐称」として採用取り消しや懲戒解雇の対象になります。
短期退職の退職理由は「一身上の都合により退職」で統一してください。詳しい理由は職歴欄には書かず、面接で聞かれた際に誠実に説明する準備をしておきます。試用期間中の退職も同様の扱いです。

職歴欄に書ききれない場合の対処法
転職回数が多く、履歴書の職歴欄に書ききれない場合があります。「省略していいの?」と不安になる方も多いですが、対処方法があります。
職歴が多い場合の整理方法
まず試みるのは「業務内容の補足(括弧書き)を省く」ことです。入社・退職の事実のみに絞ることでかなりスペースを節約できます。業務の詳細は職務経歴書に任せます。
それでも収まらない場合は、「職歴 別紙参照」と職歴欄に記入し、職務経歴書にすべての職歴を掲載する方法があります。この場合、職歴欄と職務経歴書の内容が矛盾しないよう注意してください。
アルバイト・パートは省略できるか
転職において、雇用形態によって記載の判断が異なります。
| 雇用形態 | 記載方針 |
|---|---|
| 正社員・契約社員 | 必ず記載(在籍期間の長短を問わない) |
| アルバイト・パート(1年以上) | 記載推奨(経歴として評価される) |
| アルバイト・パート(数週間〜3ヶ月未満) | 省略可(ただし採用後に確認されることもある) |
| 学生時代のアルバイト | 社会人転職では原則省略 |
特に、正社員への就職活動中に並行してアルバイトをしていた期間については、採用担当者への説明が難しいこともあります。

職歴に空白期間がある場合
退職から次の入社までの空白期間は、職歴欄にその期間の記載は不要です。職歴欄には「事実のある職歴」のみを記載します。
ただし、空白期間が6ヶ月以上になる場合は採用担当者が必ず確認してきます。本人希望欄や職務経歴書の「特記事項」欄に一言添えておくと、面接の前に疑念を解消できます。「転職活動中」「資格取得のため」「療養のため回復後に転職活動開始」などの一文で十分です。

まとめ
転職時の履歴書 職歴欄は、採用担当者が「この人を信頼できるか」を判断する欄です。ポイントを整理します。
- 会社名は法人格含め正式名称で。略称(㈱)・後置き・省略はすべてNG
- 入退社年月は元号か西暦かどちらかに統一し、混在させない
- 「現在に至る」は在職中のみ使用、「以上」は全職歴の後に右寄せで必ず記入
- 部署異動は「異動」、出向は「出向」「帰任」、転籍は「転籍」と明記して採用担当者に誤解されない書き方を
- 短期退職や試用期間中の退職も原則省略せず記載。省略した職歴の発覚は経歴詐称になりうる
- 書ききれない場合は業務内容の補足を省いて入退社の事実のみに絞り、詳細は職務経歴書に任せる
職歴欄の正確さは、採用担当者に対する「誠実さ」の証明です。提出前に法人格・年号・退職理由の表記を一項目ずつ確認する習慣をつけると、ケアレスミスによる不通過を防ぐことができます。
転職時の履歴書 職歴欄に関するよくある質問
- 職歴欄にはすべての職歴を書かなければいけませんか?
-
正社員・契約社員として勤務したすべての職歴は記載が必要です。省略すると採用後に発覚した場合に「経歴詐称」と判断されるリスクがあります。アルバイト・パートは1年以上の在籍であれば記載推奨、数週間の短期や学生時代のアルバイトは省略が一般的です。
- 退職理由は何と書けばいいですか?
-
自己都合の場合は「一身上の都合により退職」で統一します。詳しい理由を書く必要はなく、面接で聞かれた際に説明します。会社の倒産・希望退職・リストラ等の会社都合の場合は「会社都合により退職」と書いてもかまいません。自己都合より有利に扱われることが多いです。
- 転職回数が多く職歴欄に書ききれない場合はどうすればいいですか?
-
まず業務内容の補足(括弧書き)を省いて「入社・退職の事実のみ」に絞り込みます。それでも収まらない場合は「職歴 別紙参照」と記入し、職務経歴書にすべての職歴を詳しく掲載する方法があります。職歴欄と職務経歴書の記載内容に矛盾がないよう注意してください。
- 転籍と転職は職歴欄でどう書き分けますか?
-
転籍の場合は「〇〇会社へ転籍」と明記し、「退職」「入社」とは書きません。転籍を「退職→入社」と書くと転職回数が多く見え、採用担当者に誤解されます。合併・グループ再編・事業譲渡などの背景は括弧書きで一言添えると正確に伝わります。

