この記事では、総務の職務経歴書で書類選考を通過するための書き方を解説します。採用担当者が実際に確認する3つのポイントと、職務要約・業務内容・自己PRの例文をNG例との比較で紹介します。
総務の職務経歴書が「書けない」と感じる理由
総務の仕事は、勤怠管理から株主総会の準備まで、企業によって担当範囲が大きく異なります。転職活動で職務経歴書を書こうとすると「何を書けばいいかわからない」「全部書くべき?」と手が止まる方が多いのは、そのためです。
また、営業職なら「月間売上〇〇万円達成」のような数字が出しやすいのに対し、総務は成果の数値化が難しく、「これでは採用担当者に刺さらないのでは」という不安を感じやすい職種でもあります。
ただ、これは書けることがないのではなく、書き方がわからないだけです。正しい書き方を知れば、総務の経験は十分に差別化できます。
総務の仕事が幅広すぎて「何を書けばいいか」わからない
総務の業務は大きく以下の6つの領域に分類できます。まずこの分類に当てはめて自分の担当領域を整理することが、職務経歴書作成の第一歩です。
| 業務領域 | 具体的な業務例 |
|---|---|
| 庶務・事務局 | 文書管理、郵便対応、備品・消耗品管理、議事録作成 |
| 人事・労務支援 | 勤怠管理、社会保険手続き補助、入退社対応、健康診断運営 |
| 施設・環境管理 | オフィス移転、設備点検、防災対応、レイアウト変更 |
| 法務・コンプライアンス | 規程管理、契約書の受発信・管理、印章管理 |
| 株主総会・取締役会事務局 | 招集通知作成、議案準備、議事録管理 |
| IT・システム支援 | 社内ヘルプデスク、PC資産管理、セキュリティ対応 |
6つの領域のうち「自分が担当していた領域」を特定し、各領域で「どの規模の組織で・どんな役割を担っていたか」を整理することが、書くべき内容を絞り込む出発点です。
「成果が数値化できない」は思い込みである
バックオフィス系の職種に多い誤解が「数字を出せない=成果がない」という思い込みです。しかし採用担当者が総務の職務経歴書に求めているのは、売上数字だけではありません。
「組織の課題をどう認識し、どう動いたか」という思考と行動のプロセスが見えれば、それだけで十分な評価材料になります。次のセクションでは、採用担当者が何を見ているかを具体的に解説します。
採用担当者が総務の職務経歴書で最初に確認する3つのポイント
採用担当者は、職務経歴書の最初の30秒で「面接に呼ぶかどうか」をほぼ決定します。この時点で確認しているのは以下の3点です。
採用担当者はここを見ている
- 業務の幅と専門性:どの領域を何年担当したか。企業規模(従業員数)も併せて確認する
- 即戦力シグナル:自社が抱えている課題を解決できる経験があるか
- 問題解決の姿勢:ルーティン業務の中に「気づき」と「改善」が見えるか
①業務の幅と専門性:「企業規模×担当領域×年数」で書く
総務の業務経験は、企業規模によって難易度と複雑さが大きく異なります。従業員50名の中小企業と5,000名の大企業では、同じ「総務担当」でも求められるレベルが違います。
採用担当者はまず「従業員何名の会社で、何人体制の総務部の中で、どの領域を担当していたか」を確認します。この情報が職務経歴書に記載されていないと、それだけで評価が下がります。
②即戦力シグナル:「〇〇担当」ではなく「〇〇ができる」で書く
「勤怠管理担当」という書き方では、採用担当者には業務の解像度が伝わりません。どのシステムを使ってどのような管理をしていたか、例えば「freee勤怠を用いた600名分の勤怠管理と月次集計」のように具体性を持たせることで、即戦力として判断しやすくなります。
「担当していた」という受け身の表現ではなく、「〇〇を用いて〇〇を実施していた」という能動的な表現に書き換えるだけで、採用担当者の印象は大きく変わります。
③問題解決の姿勢:「やっていた」より「なぜやったか・結果どうなったか」
採用担当者が総務職に最も期待しているのは、「言われたことをこなすだけでなく、課題を自分で見つけて動ける人材」です。
「業務マニュアルを整備した」という一文でも、「引き継ぎ業務でのミス多発を受けて業務マニュアルを整備し、引き継ぎ期間を3週間から1週間に短縮した」と書けば、問題発見→解決という姿勢が明確に伝わります。
職務要約欄の書き方|採用担当者が30秒でスクリーニングする場所
職務要約欄は、職務経歴書の中で採用担当者が最初に読む箇所です。ここで「この人は会ってみたい」と思わせられるかどうかが、書類選考の合否を大きく左右します。
通過する職務要約に必要な要素は4つあります。
- 経験した企業・業界の規模感(従業員数など)
- 担当した業務領域と年数
- 担当した中で特に実績となるエピソード(1つでよい)
- 現在も継続しているスキル・知識(応募先に即戦力として伝わるもの)
採用担当者に落とされる「NG職務要約」と改善例
NG例
株式会社〇〇の総務部に勤務し、総務全般の業務を担当してきました。幅広い経験を活かして貴社に貢献したいと思います。
このNG例の問題点は3つあります。「総務全般」という曖昧な表現、具体的な規模感の欠如、そして「貢献したい」という意思表明だけで何ができるかが全く伝わっていない点です。採用担当者はこの一文で、次を読む必要がないと判断します。
改善例(通過する職務要約)
従業員400名規模の製造業にて、総務・労務・施設管理を6年間担当。4名体制の総務部で幅広い業務に対応してきました。2023年の本社移転プロジェクトではサブリーダーを務め、15部署との調整を主導して3ヶ月での完了に貢献。現在は規程管理と契約書レビューも兼務しています。
改善例は「規模感→担当領域と年数→実績エピソード→現在のスキル」という4要素が整理されており、採用担当者が自社とのマッチ度を即座に判断できる構成です。
業務内容欄の書き方|総務の仕事を採用担当者が評価する形に変える
業務内容欄で多くの総務担当者が犯すミスは、「やっていたこと」を漫然と列挙することです。採用担当者が知りたいのは業務の羅列ではなく、「その仕事を通じてあなたに何ができるか」です。
業務内容を6領域に分類して整理する
業務内容欄は、先ほどの6つの業務領域に沿って分類して記載することで、採用担当者が「どの領域を何年担当したか」を一目で把握できるようになります。以下の記載例を参考にしてください。
業務内容の記載例(製造業・総務歴6年)
【庶務・文書管理】
契約書の受発信・管理(年間約200件)、社内規程の改訂・整備補助、株主総会の招集通知作成補助
【人事・労務支援】
勤怠管理システム(freee)を用いた400名分の月次勤怠集計・確認、社会保険手続き(入退社・異動)、健康診断の実施運営
【施設・環境管理】
本社(延べ床面積2,000㎡)の設備管理・清掃業者対応、2023年の本社移転プロジェクト(15部署・400名)のサブリーダー対応、防災マニュアルの整備・年次見直し
採用担当者はここを見ている
- 使用しているシステム名・ツール名(freee、SmartHR、WorksApps等)が明記されているか
- 対応規模(従業員数・件数・拠点数)が数字で示されているか
- プロジェクト経験がある場合、自分の役割(主担当・サブリーダー・担当者)が明記されているか
企業規模・役職別の書き方の違い
経験した企業規模によって、職務経歴書でアピールすべきポイントが異なります。自分の状況に当てはめて確認してください。
| 企業規模 | アピールすべきポイント |
|---|---|
| 100名未満 | 幅広い領域を少人数でこなした対応力・柔軟性。「総務一人体制で全領域を担当」という経験自体が強みになる |
| 100〜500名 | 特定領域での専門性と、部署間調整の実績。プロジェクト経験(移転・システム導入等)を重点的に記載 |
| 500名以上 | 法務補助・株主総会・グループ会社対応など高度な業務経験。組織規模感を明示し、分業体制の中での役割を明確に |
実績・成果欄の書き方|数値化できない仕事を「成果」として伝えるコツ
「総務に実績なんて出せない」と思っている人ほど、実は書ける内容が眠っています。採用担当者に伝わる実績の見つけ方と記述法を解説します。
数値化できる指標の見つけ方
総務の業務でも、以下の切り口から数字を引き出せます。自分の経験を振り返りながら確認してみてください。
- コスト削減:「備品調達先の見直しで年間30万円のコスト削減」「クラウド移行による紙・印刷コストの20%削減」
- 工数・時間削減:「申請書のデジタル化で月20時間の処理時間を削減」「FAQ整備により月50件の社内問い合わせを15件に削減」
- 対応実績・スケール感:「株主総会の準備・運営(参加株主約3,000名規模)」「グループ会社5社分の社会保険手続きを集約管理」
- プロジェクト規模:「本社移転(400名、15部署、延べ床面積2,000㎡)のサブリーダー対応」
数値が出ない場合の「プロセス型」記述法
数値が出にくい業務でも、「課題→取り組み→結果」の流れで書けば、採用担当者に問題解決の姿勢が伝わります。
プロセス型記述の例
【課題】引き継ぎ時のミスが多く、業務習得に3週間以上かかっていた
【取り組み】担当業務の棚卸しを行い、チェックリスト付きの業務マニュアルを20本整備
【結果】引き継ぎ期間を3週間から1週間に短縮。後任スタッフからの問い合わせも大幅に減少
このような記述は、数字がなくても「この人は現場の課題に気づき、自発的に改善できる人材だ」という評価を採用担当者に与えます。
自己PRの書き方|採用担当者が「会いたい」と感じる総務担当者の共通点
自己PRは、職務経歴書の中で唯一「あなた自身の言葉で人物像を伝えられる場所」です。しかし多くの総務担当者が書くのは、採用担当者が何百枚も読んできた表現です。
採用担当者が「何百枚も見てきた」NGパターン
NG例
私は総務として組織を縁の下から支えることにやりがいを感じてきました。コミュニケーション能力を活かし、社内外問わず良好な関係構築ができます。幅広い業務経験を貴社でも活かしていきたいと考えています。
「縁の下の力持ち」「コミュニケーション能力」「幅広い経験」——これらは総務職の自己PRで最も多く見られる表現です。採用担当者はこれらを読んでも、あなたの個性も実力も判断できません。何ができるかではなく、何をしたかを具体的に書くことが突破口です。
改善例(通過する自己PR)
総務業務を通じて培ってきた強みは「課題の可視化と仕組み化」です。前職では、社内問い合わせが月50件を超えているにもかかわらず担当者が決まっておらず、対応漏れが頻発していた状況を改善するため、FAQ・業務フローの整備と担当割り当てを主導しました。整備後は問い合わせ件数が月15件まで減少し、担当者の残業も週4時間削減されました。属人化が起きやすいバックオフィス業務を「誰でも対応できる状態」に整えることを、一貫して意識してきました。
改善例は「どんな強みか→それをどう発揮したか→結果はどうなったか」という構造で書かれており、採用担当者が「この人に自社の総務を任せたらどうなるか」をイメージしやすい内容です。
女性総務担当者の自己PR:産休・育休後の書き方
産休・育休取得やブランク期間がある場合、その期間を「空白」として隠そうとするのは逆効果です。経緯を簡潔に説明したうえで「現在は通常勤務に切り替えており転職活動中」と明示する方が、採用担当者からの信頼を得やすくなります。
産休・育休後の自己PR例
2021年〜2022年に産休・育休を取得し、2022年10月に現職に復帰しています。復帰後は時短勤務で総務業務を継続し、勤怠管理・労務手続きを担当。2024年度より通常勤務に切り替えており、現職と同等の業務負荷に対応できる状態です。育児を通じて培ったマルチタスク処理と優先順位の判断は、日々の総務業務にも反映されています。
キャリア別・状況別の職務経歴書例文
以下に、経験年数・役職別の職務経歴書例文を3パターン紹介します。自分の状況に近いパターンを参考に、具体的な数字や業務内容を置き換えてください。
例文①:経験3〜5年(一般総務スタッフ)
職務要約
従業員150名規模のIT企業にて、総務部(3名体制)で庶務・労務・施設管理を4年間担当。勤怠管理システムの切り替えプロジェクトでは社内説明会の運営を担い、150名への説明を3週間で完了しました。
主な業務内容
【庶務】備品・消耗品管理、郵便物発着信、来客・電話対応
【労務】勤怠管理(SmartHR使用・150名分の月次集計)、入退社手続き補助、健康診断の実施運営
【施設】オフィスの設備管理・清掃業者対応、防災備品の管理・年次点検
例文②:経験5〜10年(主任・課長補佐クラス)
職務要約
従業員600名規模の製造業にて、総務部(8名体制)の主任として8年間勤務。労務・施設管理・法務補助を主担当とし、2020年の就業規則全面改訂では法務部・社労士と連携してプロジェクトを推進。後輩3名の育成も担当してきました。
主な業務内容と実績
【労務】社会保険手続き(年間300件超)、勤怠管理、育休・産休対応の一次窓口
【施設管理】本社・工場2拠点の設備管理、2022年の工場増設に伴う施設整備対応
【法務補助】規程管理(社内規程40本の整備・見直し)、契約書の受発信・管理(年間200件)
【実績】就業規則全面改訂プロジェクトのリード(完了まで6ヶ月)、FAQマニュアル整備により社内問い合わせを月30件削減
例文③:マネジメント経験あり(総務課長クラス)
職務要約
従業員1,500名規模の小売業にて、総務部長代理(部員12名)として12年間勤務。庶務・労務・施設管理・コンプライアンス推進を統括。2021年の上場準備に伴う内部統制整備をプロジェクトマネージャーとして主導し、監査法人・法務部と連携して18ヶ月での完了を実現しました。
主な業務内容と実績
【組織マネジメント】部員12名の業務管理・育成・評価。総務業務の専門化推進(領域ごとの担当制導入)
【労務・法務統括】全社の社会保険・労務手続きの管理、社外弁護士・社労士との折衝
【内部統制整備】上場審査に向けたJ-SOX対応(全社プロセス文書化・内部監査対応)
【実績】内部統制整備プロジェクトの完遂(18ヶ月)、文書管理規程の全面見直しによる監査指摘事項ゼロを2期連続達成
職務経歴書の作成に時間をかけたくない場合は、職務経歴書の自動作成ツールを活用する方法もあります。AIが入力をもとに文章を自動生成するため、白紙から書き始めるより効率的です。

まとめ
- 総務の職務経歴書で最も重要なのは「企業規模×担当領域×年数」を明確に書くこと
- 採用担当者が確認する3つのポイントは「業務の幅と専門性」「即戦力シグナル」「問題解決の姿勢」
- 数値化できない業務は「課題→取り組み→結果」のプロセス型で記述することで成果として伝わる
- 自己PRで「縁の下の力持ち」「コミュニケーション能力」という表現を使うと埋もれる
- 書けることがないのではなく、書き方を変えれば総務の経験は十分に差別化できる
職務経歴書を完成させた後は、プロの視点でフィードバックを受けることも有効です。職務経歴書の有料添削サービスでは、転職エージェントとの違いや選び方の基準もわかります。

総務の職務経歴書に関するよくある質問
- 総務の職務経歴書の適切なページ数は?
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A4で2枚が基本です。経験年数が5年未満であれば1枚に収める方が読みやすくなります。経験が10年を超える場合でも3枚以上にはせず、直近5〜7年の経験を中心に整理することをおすすめします。
- 総務の職務経歴書はWordとPDFどちらで提出すべきですか?
-
指定がない場合はPDFが基本です。Wordで提出すると受け取り側の環境によって書式が崩れるリスクがあります。ただし「Word形式で」と指定がある場合はその指示に従ってください。
- 総務未経験から総務職に転職する場合の職務経歴書の書き方は?
-
前職で担ったコスト管理、社内調整、マニュアル整備などの経験は総務業務に転用できます。「経験した業務」を総務の6つの業務領域に対応させ、どのように活かせるかを具体的に書くことが評価につながります。
- 同じ会社に長年勤めていて転職経験がない場合、どう書けばいいですか?
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在籍期間の長さは「信頼性の証明」として評価されます。長期在籍中に取り組んだ改善活動・役職の変遷・担当業務の拡大などを時系列で整理し、「この会社でどう成長したか」を示す構成にすると効果的です。


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