この記事では、履歴書を電子(パソコン)で作成すべきか手書きにすべきかを採用担当者の視点から解説します。業界・状況別の判断基準と、電子作成した場合の印刷マナー、手書きで印象を上げるコツも合わせて紹介します。
結論:電子(パソコン)・手書きどちらでも採用に影響しない
「手書きか電子かどちらにすべきか」という問いに対して、採用担当者のほとんどが「書式よりも内容で判断する」と答えます。厚生労働省が提供するJIS規格モデル様式自体、手書き・PC作成の両方に対応した設計になっており、どちらかが正解という統一基準はありません。
採用担当者が書類選考で本当に確認していること
採用担当者はここを見ている
- 職歴・経歴の一貫性(転職回数・在職期間のバランス)
- 志望動機が自社の求める人物像と合致しているか
- 自己PRが業務に直結した具体的な内容かどうか
- 誤字・脱字・記載漏れがないか
- 写真の品質と身だしなみ
手書きかどうかは、上記のいずれにも含まれていません。採用担当者が選考で見ているのは「この人を採用すべき理由」であり、ペンで書いたかどうかを採否の根拠にする現場はほとんどないのが実態です。
「手書きでないと失礼」という認識が変わった背景
かつては「字を見れば人柄がわかる」という考え方から、手書きが礼儀とされていました。しかし採用担当者の意識は変化しています。求人サイト・転職アプリ経由の応募が主流になり、電子書類が当然のインフラになったからです。
- 求人サイト・転職アプリ経由の応募が主流になり、電子書類が標準化した
- 応募者が複数社に同時応募するのが当然になり、手書きを要求する合理的な理由が薄れた
- テレワーク・リモート面接が浸透し、デジタルで完結する採用フローが増えた
ただし「どちらでもよい」は「どちらでも同じ」ではありません。状況によって手書きが適しているケースは確実に存在するため、次のセクションで整理します。
それでも手書きが適している3つの場面
企業が「手書き必須」と明記している場合
募集要項や応募書類の案内に「手書きでお願いします」と明記されている場合は、手書きの一択です。この指示を無視してPCで作成した書類を送ると、書類の中身以前の問題として「指示に従えない人」という評価につながります。
手書き指示がある場合は、以下の点も合わせて確認してください。
- ボールペンの色(黒が基本。青をOKとする企業もある)
- 修正テープ・修正液の可否(使用不可としている企業が多い)
- 用紙サイズ・様式の指定(B4か、A4か、企業独自様式か)
医療・金融・士業など礼節を重視する業界への応募
伝統的な礼節を重んじる業界では、手書きを評価する慣習が残っています。企業が明示的に指定していなくても、手書きを選ぶことが無難なケースがあります。
| 業界・職種 | 手書きへの傾向 |
|---|---|
| 医療(病院・クリニック・介護施設) | 手書きを好む慣習が残っているケースが多い |
| 金融(銀行・証券・保険) | 企業による。大手はPC可が増加傾向 |
| 士業(法律事務所・会計事務所) | 手書きを評価する事務所が一部ある |
| 公務員・教員採用 | 形式指定がある場合が多い。要確認 |
| IT・Web・スタートアップ | PCが標準。手書きを求めないことがほとんど |
| 製造業・物流・建設 | どちらでも可のケースがほとんど |
応募前に企業のウェブサイトや採用ページを確認し、手書きを推奨する文化的背景があるかどうかを把握しておくことが有効です。
手書きで採用担当者の印象を上げるためのポイント
採用担当者はここを見ている
- 文字の丁寧さ:うまい字よりも「枠に収まっているか」「読みやすいか」が重視される
- 修正の有無:修正液・修正テープが1か所でも使われていると印象が落ちる
- 余白のバランス:各欄の6〜7割を文字で埋めると見た目がまとまる
- インクの状態:かすれ・にじみがないこと。書き終えたら乾燥させてから次の欄に進む
手書きで丁寧さを伝えるには、清書前の準備が欠かせません。具体的な手順は後半の「手書き履歴書を仕上げる実践的なコツ」で解説します。
電子(パソコン)作成が適している場合と注意点
複数社への同時応募・スピードが求められる転職活動
電子作成の最大のメリットは、一度作成した内容を企業ごとに編集できる点です。志望動機や本人希望欄など、企業ごとに変更が必要な部分だけを修正すれば、基本情報の再入力が不要になります。
電子作成が特に有効な状況は以下のとおりです。
- 10社以上への同時応募で効率を優先する場合
- 転職期限があり、短期間での活動が必要な場合
- 応募方法がPDFや添付ファイル送信の企業が中心の場合
- IT・Web系など電子書類が一般的な業界への応募
採用担当者が電子作成で気になるポイント3つ
採用担当者はここを見ている
- テンプレートの使い回し感:志望動機・自己PRが当社向けにカスタマイズされていないと、書類の内容に関わらず「雑に扱われた」という印象につながる
- フォントの不統一:複数のフォントが混在していると「書類管理が雑な人」という印象を与える
- 空白欄の処理:「特になし」「なし」の記入がなく欄が空白のままの書類は、記入漏れと区別がつかない
よくある失敗例
志望動機欄に前の応募先の企業名・サービス名が残ったまま提出してしまうケース。採用担当者から見ると「うちを受けるつもりがない」と判断されます。電子作成は使い回しが容易な分、提出前の見直しは手書き以上に念入りに行うことが必要です。
電子作成の履歴書を印刷するときのマナーと注意点
電子作成した履歴書を紙で提出する場合、印刷の品質が採用担当者の第一印象に影響します。コンビニや家庭用プリンターで印刷する際は、以下の点を確認してください。
フォント・用紙サイズ・文字サイズの正解
| 項目 | 正解 | よくあるNG |
|---|---|---|
| フォント | 明朝体(游明朝・ヒラギノ明朝)またはゴシック体 | デザイン系フォント・手書き風フォント |
| 文字サイズ | 10.5〜11pt(各欄に収まる範囲で) | 8pt以下(判読困難)・13pt以上(窮屈) |
| 用紙サイズ | A4またはB5(書式に従う) | 印刷設定ミスでA3サイズで出力 |
| 印刷品質 | 高品質設定(文字がかすれないレベル) | インク切れのかすれた出力 |
| 写真印刷 | カラー高品質で出力 | 白黒・低解像度(証明写真が粗くなる) |
PC作成時のフォント選びについては、履歴書のフォントは明朝体が基本|サイズ・種類と採用担当者が見るポイントで詳しく解説しています。

PC・手書き別の書体の選び方は、履歴書の書体おすすめ(PC・手書き別)も合わせて確認してください。

コンビニ印刷でよくある失敗と事前チェックポイント
- 「用紙に合わせて縮小」設定で印刷すると、レイアウトが崩れることがある → 100%実寸で出力する
- A4とB5を取り違えて印刷すると、履歴書のサイズが変わる → 印刷前にプレビューで必ず確認する
- コンビニのコピー機はPDF表示に問題が出ることがある → 事前に自宅プリンターで試し刷りするのが理想
- 証明写真を白黒で印刷すると品質が落ちる → カラー設定で印刷する
- 印刷後は裸のまま保管せず、クリアファイルに入れてシワや汚れを防ぐ
PDFでオンライン提出するときのルールとマナー
ファイル名の付け方と提出形式の確認方法
メールで履歴書のPDFを送る場合、ファイル名は採用担当者が管理しやすい形式にするのが基本です。
推奨のファイル名
例:20260619_山田太郎_履歴書.pdf
提出日・氏名・書類名の3要素を入れる。採用担当者が複数の応募者のファイルを管理する際、誰の書類かをすぐに判別できます。
避けるべきファイル名の例
「履歴書.pdf」「resume(1).pdf」「000000.pdf」
ファイル名から誰の書類かが判別できないと、採用担当者の管理作業を増やすことになります。印象の問題ではなく、実務的な迷惑をかけることになる点を意識してください。
送信前に必ず確認すべき5項目
- PDFが正しく開けるかどうか確認する(スマートフォンや別のPCで開いて確認するのが最も確実)
- 提出先が指定しているファイル形式(PDF/Word)と一致しているか確認する
- 証明写真が適切に埋め込まれているか確認する(変換時に画像が抜け落ちることがある)
- パスワードロックがかかっていないか確認する(採用担当者が開けなくなる)
- ファイルサイズが指定の上限を超えていないか確認する(メールサーバーの上限は5〜10MBが一般的)
採用担当者から「Word形式で」と指定された場合は、PDFではなくWordファイル(.docx)で送ることが必要です。指定の形式と異なるファイルを送ると、開封できずそのまま見送りになるケースがあります。
手書き履歴書を仕上げる実践的なコツ
採用担当者が「丁寧さ」を感じる細部
採用担当者はここを見ている
- ペンの種類:黒の油性または水性ボールペンが基本。ゲルインクボールペンは書き心地が良く文字がにじみにくいためおすすめ。フリクション(消えるボールペン)は厳禁
- 日付の表記統一:元号(令和)か西暦かを書類全体で統一する。混在はNG
- 修正の有無:修正液・修正テープは使用しない。1か所でも使用すると「やり直しをしなかった」という印象を与える
- 写真の貼り付け:裏面に必ず名前を記入してから貼る。剥がれた場合に誰のものかを特定するため
- 保管・郵送方法:クリアファイルに入れ、折り曲がり・シワのない状態で封筒に入れる
書き損じを最小限にする準備の進め方
- 記入内容をすべてPCでまとめておく(メモ帳やWordで草案を作成する)
- 履歴書をコピーして「練習用」を1枚作り、一度書いてみる
- 本番用の履歴書に鉛筆で薄く下書きを入れてからボールペンで清書する
- 清書後、消しゴムで下書き線を丁寧に消す(跡が残らないよう慎重に)
- 写真は最後に貼る(貼る前に裏面に氏名を記入する)
草案作成の段階で記入する内容と文字量を確認しておくと、清書時に欄からはみ出したり余白が多くなりすぎる失敗を防げます。
草案作成に使えるツールは履歴書作成ツールおすすめ7選で採用担当者視点の選び方とともに紹介しています。

まとめ
- 採用担当者のほとんどは電子・手書きどちらでも書類評価に影響しないと考えている
- 企業が手書きを指定している場合、伝統的な礼節を重視する業界では手書きを優先する
- 電子作成は効率的だが、使い回しを感じさせる内容は採用担当者に見抜かれる
- 印刷・PDF提出時はフォント・用紙サイズ・ファイル名など細部まで配慮が必要
- 手書きの場合は修正なし・丁寧さ・下書きの活用が評価を上げるポイントになる
書類選考で重要なのは電子か手書きかではなく、採用担当者に「この人と会ってみたい」と感じさせる内容です。形式の選択に時間をかけるより、志望動機・自己PRの中身を磨くことに集中してください。
履歴書の電子・手書きに関するよくある質問
- 電子作成した履歴書を同じ内容でコピーして複数の企業に提出してもいいですか?
-
基本情報・学歴・職歴欄はそのままで構いません。ただし志望動機・自己PR・本人希望欄は必ず企業ごとに書き直してください。前の応募先の企業名や内容が残った状態で提出すると、採用担当者はすぐに気づきます。電子作成は使い回しが容易な分、提出前の確認は手書きより念入りに行うことが必要です。
- 企業に指定がない場合、手書きと電子どちらを選べばよいですか?
-
指定がない場合は、電子(パソコン)作成を選んでも問題ありません。判断に迷う時間があるなら、その時間を志望動機の内容を磨くことに使うほうが選考への影響が大きいです。ただし伝統的な礼節を重視する業界(医療・金融・士業など)への応募では、手書きを選ぶことが無難なケースがあります。
- 手書きで書き間違えた場合、修正液や修正テープを使ってもいいですか?
-
使用は避けてください。修正液・修正テープを使った履歴書は、採用担当者から見ると「書き直しをしなかった書類」という評価につながります。書き損じた場合は、同じ用紙で最初から書き直すことが正解です。1枚を書き終えた後に間違いに気づいた場合に備えて、同じ様式の用紙を複数枚用意しておくことをおすすめします。
- コンビニ印刷と家庭用プリンター、どちらで印刷した方がいいですか?
-
印刷品質に差がなければどちらでも問題ありません。ただし証明写真がある履歴書の場合、コンビニのマルチコピー機(セブン・ファミマ・ローソン)はカラー高品質での出力ができるため、仕上がりがきれいなケースがあります。家庭用プリンターはインク残量に注意し、かすれがないかを試し印刷で確認してから本番用を出力してください。


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