この記事では、医療事務で2社の経験がある方の職務経歴書の書き方を解説します。採用担当者が確認するポイント、1社目・2社目それぞれの書き分け方、職務要約と自己PRの例文まで紹介します。
医療事務の職務経歴書で採用担当者が最初に見る3つのポイント
採用担当者は職務経歴書を平均30秒以内で読み、次の選考に進めるかを判断します。2社の経験がある医療事務の方は「転職回数」より「そこで何を得たか」の方が重要です。書類通過率を上げるには、採用担当者が何を確認しているかを先に知っておく必要があります。
2社の経験を通じて何が得られたかを確認している
医療事務の採用担当者が2社経験者の職務経歴書を見るとき、まず確認するのは「1社目から2社目でスキルや担当範囲がどう広がったか」です。転職回数そのものより、経験の積み上がり方の方が評価対象になります。
クリニックから総合病院へ、または内科クリニックから整形外科クリニックへ移ったという経歴は、それ自体がスキルの幅広さの証明になります。重要なのは「なぜ移ったか」ではなく「移った結果、何ができるようになったか」を書類で示すことです。
レセプト処理の実力は数字で判断する
医療事務のスキルを最も端的に示す指標が、レセプト業務の経験です。採用担当者は「レセプト経験あり」という記述だけでは実力を判断できません。「月○件処理」「1日○件対応」という具体的な数字が書かれていると、処理スピードと正確性のイメージが一気に具体化されます。
採用担当者はここを見ている
- レセプト請求の月間処理件数・担当している保険の種類(社保・国保・組合健保など)
- 担当診療科(内科・外科・整形外科など)による算定の難易度の違い
- 使用したレセコン(オルカ・Medicom・ORCA等)の名称と操作レベル
- 返戻・査定対応の経験有無
「なぜ2社目に移ったか」の一貫性も見ている
転職理由は職務経歴書に直接記載するものではありませんが、書類全体の流れから採用担当者は「なぜ移ったか」を読み取ろうとします。1社目の業務内容から2社目を選んだ文脈が見えると、3社目への応募にも説得力が生まれます。
たとえば「クリニックで基礎を固め、より複雑な算定スキルを身につけるため総合病院に移った」という流れは、3社目の募集要件との整合性が取れていれば非常に好印象を与えます。
医療事務の職務経歴書 基本フォーマットと全体構成
職務経歴書の書き方には大きく2つの形式があります。2社経験の場合、どちらを選ぶかで読みやすさが大きく変わります。
2社分は編年体形式で書く
医療事務の職務経歴書は、原則として「編年体形式」(時系列順)で書くことをすすめます。入社が古い順から新しい順に職歴を並べていく形式で、採用担当者がキャリアの流れをそのまま追うことができます。
| 形式 | 特徴 | 2社経験の場合 |
|---|---|---|
| 編年体形式 | 時系列順(古い→新しい) | スキルの積み上がりが見えやすい。2社には最適 |
| キャリア形式 | 業務の種類や強みで分類 | 転職回数が多い場合(4社以上)向け。2社では必要性が低い |
2社経験であれば、キャリア形式に切り替える必要はありません。編年体で書いた方が、採用担当者はキャリアの流れを把握しやすくなります。
A4用紙1〜2枚にまとめる4つのポイント
2社分の経歴があると情報量が増え、3枚以上になりがちです。採用担当者が読み切れる量はA4で1〜2枚が上限です。以下の4つを意識して情報を整理してください。
- 直近の職歴(2社目)を詳しく書く:採用担当者が最も重視するのは直近の経験です。2社目の記載量を1社目より多くするのが基本です
- 業務内容は箇条書きでまとめる:長文の説明より箇条書きの方が読みやすく、採用担当者の視線を引き止めます
- 数字に変換できる情報は数字で書く:「多数の患者対応」→「1日平均60名の受付対応」のように具体化します
- 職務要約で全体を1段落にまとめる:冒頭の職務要約で2社の経歴をひとつの文章に凝縮することで、採用担当者が全体像を素早く把握できます
【1社目の書き方】施設情報と担当業務を具体的に記載する
1社目の記載で採用担当者が確認したいのは「どのような環境でキャリアをスタートしたか」です。施設の規模や診療科を明示することで、2社目以降のキャリア選択の文脈が明確になります。
施設情報(規模・診療科・病床数)の書き方
職務経歴の冒頭には、施設の基本情報を必ず記載します。採用担当者はこの情報から「業務の難易度」と「患者数の規模」を読み取っています。
1社目 施設情報の記載例
株式会社○○クリニック(内科・消化器科 / 外来のみ / スタッフ15名 / 1日外来患者数70〜90名)
在籍期間:2021年4月〜2023年8月(2年4ヵ月)
記載すべき項目は以下の通りです。
- 医療機関名(正式名称)
- 診療科目(内科・外科・整形外科・皮膚科など)
- 外来か入院か(病床数がある場合は病床数も記載)
- スタッフ規模(医師・看護師・事務スタッフの概数)
- 1日の外来患者数の概数(把握している場合)
- 在籍期間(年月まで記載)
業務内容の記載例(受付・会計・レセプト)
業務内容は箇条書きで記載します。医療事務の業務は「受付・会計」「レセプト」「医師サポート」の3つに大別されるため、それぞれ担当していた内容を具体的に書きます。
良い例文
【担当業務】
- 受付・問診票対応(1日60〜90名)、電話予約管理(1日30〜50件)
- 診療報酬請求(レセプト):月800〜900件、社保・国保対応
- 返戻レセプトの再請求・査定確認(月20〜30件)
- 会計・窓口精算(現金・クレジット・電子決済対応)
- カルテ管理・電子カルテ入力(使用システム:Medicom-HX)
NG例
受付業務、レセプト業務、会計業務などを担当していました。このNG例が落とされる理由:業務名だけでは処理量・スキルレベルが採用担当者に伝わらず、差別化できません。
【2社目の書き方】1社目からの成長を採用担当者に見せる
2社目の記載は1社目と同じ書き方では不十分です。採用担当者が「1社目との違い」を見て、スキルの成長を確認できる構成にする必要があります。2社目の記載量は1社目より多くし、成長した点・新たに担当した業務を必ず記載してください。
スキルアップした点を数字で示す
2社目でスキルアップした事実は、数字を使って表現するのが最も効果的です。「より多くのレセプトを処理できるようになった」という事実も、数字がなければ採用担当者には伝わりません。
| 比較の観点 | 1社目 | 2社目(アピールポイント) |
|---|---|---|
| レセプト処理数 | 月800〜900件 | 月1,500〜1,600件(入院レセプト追加) |
| 診療科 | 内科・消化器科のみ | 整形外科・リハビリ科追加 |
| チームでの役割 | 一般スタッフ | 後輩1名の指導担当 |
| 使用レセコン | Medicom-HX | ORCA(新たに習得) |
このような比較軸が見えると、採用担当者は2社での経験の積み上がりを具体的にイメージできます。
新しく担当した業務・役割の書き方
2社目で初めて担当した業務がある場合は、それを明確に「追加・新規担当」として記載します。採用担当者に「この人は経験を広げてきた」という印象を与えることが目的です。
良い例文(2社目の記載)
医療法人○○整形外科クリニック(整形外科・リハビリ科 / 外来+入院40床 / 1日外来患者数150〜180名)
在籍期間:2023年10月〜現在
【担当業務】
- 受付・会計業務(1日150〜180名対応)、電話・WEB予約管理
- 外来レセプト請求(月1,200件)、入院レセプト請求(月300〜400件)※入院請求は2社目で初担当
- 整形外科特有の算定(リハビリ点数・各種加算)の習得・対応
- 電子カルテ入力(使用システム:ORCA)
- 新人スタッフ(1名)の受付業務OJT担当(6ヵ月間)
【実績・改善】
- 返戻レセプトの再発防止チェックリストを作成。チーム内の返戻率を前月比20%削減に貢献
採用担当者はここを見ている
- 入院レセプトの対応可否(クリニック出身者は外来のみの場合が多いため、入院経験は強いアピールになる)
- 整形外科・眼科・歯科など難易度の高い算定科目の経験有無
- 後輩指導・チームリーダーなどのマネジメント経験
- 業務改善の提案・実行経験(数字で示せる実績)
職務要約で2社の経歴を採用担当者に素早く伝える
職務要約は職務経歴書の最初に置く150〜250文字程度の概要文です。採用担当者はここを最初に読み、詳細を読み続けるかを判断します。2社分の経歴をひとつの文章で整理することが目標です。
職務要約の書き方 3つのポイント
- 何年間・どの環境で働いたかを明示する:「2社・通算○年の医療事務経験」という数字で読者に全体像を伝えます
- 最も強いスキルを1〜2行で言い切る:「レセプト請求(外来・入院)」「整形外科の算定経験」など、読んで1秒でアピールポイントが分かるように書きます
- 応募先の業務に合わせて調整する:職務要約は応募先ごとに変えるのが原則です。「外来専門クリニック」に応募するなら外来対応の件数を、「総合病院」なら入院経験を前面に出します
職務要約の例文(良い例・NG例)
良い例文
内科クリニックと整形外科クリニックで計4年以上の医療事務経験があります。外来レセプト請求(月1,000〜1,600件)と入院レセプト請求を担当し、社保・国保・組合健保いずれにも対応可能です。整形外科の算定(リハビリ点数・各種加算)と電子カルテ操作(Medicom-HX・ORCA)のスキルをもとに、貴院の受付・請求業務に即戦力として貢献します。
NG例
医療事務として2社で働いてきました。受付やレセプトなどを経験しており、医療事務全般の業務に対応できます。このNG例が落とされる理由:具体的な件数・診療科・スキルが一切なく、採用担当者はどのレベルの経験かを判断できません。「医療事務全般に対応できます」という表現はどの候補者も書ける内容のため差別化になりません。
なお、職務経歴書の作成に時間がかかる場合は、職務経歴書の自動作成ツールを活用して下書きを作成し、それを自分の経歴に合わせて修正していく方法も有効です。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →自己PR|2社の転職を「成長の証拠」にする書き方
自己PRは職務経歴書の最後に置く200〜300文字程度の文章です。ここでは「この人を採用すれば職場にどう貢献してくれるか」を採用担当者に伝えます。2社経験者が犯しがちなミスは、転職の説明に文字数を使いすぎることです。採用担当者は理由よりも「今後何ができるか」に関心があります。
自己PRで書くべき3つの要素
- 2社を通じて積み上げたスキルの要約:「外来・入院両方のレセプト請求経験」「複数科の算定知識」など、2社で得た技術を端的に表現します
- 具体的な実績・エピソード:「返戻率削減」「後輩OJT担当」など数字や事実を使った行動実績を1つ入れます
- 応募先への貢献イメージ:「貴院でも即日の業務稼働が可能」「入院算定のスキルを活かして○○に貢献したい」という形で締めます
自己PRの例文(2社経験者向け)
良い例文
内科クリニックと整形外科クリニックを合わせて4年以上、受付・会計・レセプト請求を担当してきました。外来のみの環境から入院設備を持つクリニックへ移ったことで、入院レセプトの請求と整形外科特有の算定(リハビリ点数・各種加算)を習得しました。
2社目では返戻レセプトの再発防止を目的としたチェックリストを独自に作成し、チームの返戻件数を前月比20%削減することに貢献しました。「ミスが起きた後の対処」だけでなく「ミスが起きない仕組みを作る」ことを常に意識しています。
貴院においても、これまでの経験と算定知識を活かし、早期から安定した請求業務を担当できる自信があります。
NG例
私は2社の医療機関で医療事務として働いてきました。最初の会社では内科の受付を担当し、次の会社では整形外科に移りました。医療事務の仕事が好きで、これからも長く続けていきたいと思っています。このNG例が落とされる理由:「何ができるか」の具体的な記述がなく、採用担当者への貢献イメージが伝わりません。「好きだから続けたい」では採用理由になりません。
なお、自己PRや職務要約の内容に自信がない場合は、職務経歴書の有料添削サービスを利用して採用担当者視点のフィードバックをもらうことも選択肢のひとつです。

医療事務の資格・スキル欄の書き方
医療事務の職務経歴書では、資格欄とスキル欄の記載も採用判断に直結します。誤った資格名の記載や、「PC操作可能」だけの曖昧な表記は採用担当者に不信感を与えます。
主要資格の正式名称と書き方
医療事務の資格は民間資格が多く、主催団体によって正式名称が異なります。略称や通称で記載すると採用担当者が確認できないため、必ず正式名称で記載してください。
| 通称 | 正式名称(履歴書・職務経歴書への記載例) |
|---|---|
| メディカルクラーク | 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)2級 合格 |
| 医療事務管理士 | 医療事務管理士技能認定試験 合格 |
| 診療報酬請求事務能力認定試験 | 診療報酬請求事務能力認定試験(医科)合格 |
| 医療事務検定 | 日本医療事務協会 医療事務検定試験 合格 |
| 調剤事務管理士 | 調剤事務管理士技能認定試験 合格 |
資格欄の書き方の詳細については、医療事務の資格を履歴書に書く方法で詳しく解説しています。

レセコンとPCスキルの記載方法
レセプトコンピュータ(レセコン)の操作スキルは、採用担当者が即戦力判断の根拠にします。「PC操作が得意」という記述は評価されません。使用したレセコンの製品名を明記することが重要です。
スキル欄の記載例
【PCスキル・使用システム】
- 電子カルテ:Medicom-HX(2年4ヵ月使用)、ORCA(1年8ヵ月使用)
- Microsoft Office:Word(文書作成 日常的に使用)、Excel(患者データ管理・表作成 日常的に使用)
- タイピング速度:100文字/分程度
2社で異なるレセコンを使用している場合は、両方を記載します。複数のシステムに対応できることは、即戦力として評価される強みになります。
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 採用担当者が確認するのは「転職回数」ではなく「2社を通じたスキルの積み上がり」
- レセプト処理は件数・診療科・保険種別を具体的に記載することで評価が上がる
- 2社分の職務経歴は編年体形式で書き、2社目の記載量を1社目より増やす
- 職務要約は「2社・通算○年・最強スキル」を150〜250文字に凝縮する
- 自己PRは「転職の説明」ではなく「貢献イメージ」で締める
- 資格はメーカー・主催団体が異なるため、必ず正式名称で記載する
医療法人への応募に際し、履歴書の書き方・志望動機の書き方も並行して確認しておくと書類全体の完成度が上がります。

医療事務 2社の職務経歴書に関するよくある質問
- 2社の職務経歴書はA4何枚に収めればいいですか?
-
1〜2枚が基本です。2社経験であれば2枚に収めることが現実的な目標になります。3枚以上になる場合は、1社目の業務内容を簡潔にまとめ、2社目(直近)の情報を詳しく記載する形で調整してください。採用担当者が30秒で読み切れる量が理想です。
- レセプトの月間処理件数が正確に分からない場合はどう書けばいいですか?
-
おおよその範囲で構いません。「月800〜1,000件程度」のように幅を持たせた表記で記載してください。全体の勤務期間と患者数の規模から逆算すると大まかな件数が出せます。「件数不明」のまま空白にするより、概算でも記載した方が採用担当者への情報量が増えます。
- 1社目をやめた理由は職務経歴書に書く必要がありますか?
-
職務経歴書への記載は不要です。退職理由は面接で聞かれるものであり、書類上に記載する義務はありません。ただし、職務経歴の記述全体から「なぜ2社目を選んだか」の文脈が自然に伝わるよう、2社目の施設の特徴(診療科・規模・入院有無)を明記しておくと面接への流れがスムーズになります。


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