この記事では、人事職(採用・労務・人事企画)の職務経歴書サンプルを掲載し、採用担当者が書類を通過させる判断基準から逆算した書き方を解説します。職務要約・業務詳細・自己PRの書き方と、実績を数値化するコツも紹介します。
人事の職務経歴書でよくある2つの失敗
採用の現場に長くいると「どんな書類が落とされるか」が身をもってわかります。人事職として転職する方の職務経歴書には、共通して同じ失敗パターンが見られます。
業務内容を羅列するだけで実績がない
「採用業務・労務管理・給与計算を担当」と書いて終わっている職務経歴書が最も多いパターンです。これは業務一覧であって職務経歴書ではありません。
採用担当者が見たいのは「何をやったか」ではなく「何を変えたか・何を達成したか」です。人事業務の実績は一見数値化しにくく見えますが、採用数・定着率・給与計算対象人数・制度導入件数など、具体的な数字を出せる項目は必ずあります。この部分を曖昧にするかどうかで、書類通過率は大きく変わります。
担当範囲を全列挙して、応募先のニーズが見えない
人事という職種は業務の幅が広い分、「採用から労務、制度設計まで全部やってきました」とすべてを並べたくなります。しかし採用担当者の立場から見ると、情報量が多すぎる書類は「この人が自社でどう活躍するか」が読み取りにくいものになります。
採用担当者はここを見ている
- 応募先企業が求める業務に関する経験が書類の前半に来ているか
- 業務の「幅」だけでなく「深さ」が伝わるか(制度設計・採用戦略立案など高次業務)
- マネジメント経験の有無(特に30代以降は必須事項として確認)
- 採用した人数・管理した社員数など、規模感を示す数字があるか
人事の職務経歴書 基本構成とサンプル全文
職務経歴書は大きく4つのセクションで構成します。以下のサンプルは、採用担当・労務・人事制度を経験した人事ゼネラリストを想定したモデルケースです。自身の経験に合わせて数値や業務内容を書き換えて使用してください。
①職務要約(200字前後で書く)
職務要約は採用担当者が最初に目を通す部分です。「何者か」「何ができるか」「実績は何か」を200字前後で端的に伝えます。詳細な説明は後の職務経歴に委ね、読み手に「もっと読みたい」と思わせることを目的とします。
サンプル:職務要約
製造業(従業員300名規模)の人事部にて、採用業務・労務管理・人事制度設計を一貫して担当してまいりました。採用業務では新卒・中途の一気通貫採用を担い、年間採用数を前年比40%増加(20名→28名)させた実績があります。また、評価制度の見直しプロジェクトに主担当として関わり、管理職の評価スキル向上研修を企画・運営した経験もあります。現在は人事マネージャーとして5名のチームを統括しています。
②職務経歴詳細(企業・期間・業務内容)
直近の職歴から逆年代順に記載します。各企業での担当業務・使用ツール・規模感(人数・件数)を箇条書きで整理します。会社概要(業種・規模)を冒頭に入れると採用担当者がイメージしやすくなります。
サンプル:職務経歴詳細
■ 株式会社〇〇(製造業・従業員300名) 20XX年4月〜現在
【人事部 採用・制度担当 → 人事マネージャー(20XX年〜)】
◆ 採用業務
- 新卒・中途採用の計画立案から内定・入社フォローまで一気通貫で担当(年間採用数20〜30名)
- 採用媒体の選定・求人票の作成、適性検査の導入(SPI3)
- 合同説明会の出展企画・運営(年4回、出展工数を前年比30%削減)
- リファラル採用の社内制度整備と運用(制度立上げから6ヶ月で3名採用)
◆ 労務・給与管理
- 給与計算・社会保険手続き(対象:全社員300名)
- 労働時間管理・36協定管理、労基署対応
- 就業規則の改訂(育児・介護休業規程のアップデート対応)
◆ 人事制度・評価制度
- 目標管理制度(MBO)の運用・評価者研修の企画(対象:管理職40名)
- 評価制度見直しプロジェクトに主担当として参画(20XX年〜20XX年)
- 人事データ分析(離職率・残業時間・採用コスト)によるレポート作成・経営報告
③活かせるスキル・資格
人事職のスキルはツール・法令知識・コミュニケーション力の3カテゴリで整理するとわかりやすくなります。
| カテゴリ | 内容 |
|---|---|
| 業務ツール | 給与計算ソフト(freee・マネーフォワード)、勤怠管理(KING OF TIME)、ATS(採用管理ツール)など |
| 法令知識 | 労働基準法・社会保険関連法規・育児介護休業法 |
| 資格 | 社会保険労務士(合格・登録)、ビジネス実務法務検定2級 など |
| コミュニケーション | 候補者面接・評価者研修ファシリテーション・社内折衝・経営層へのレポーティング |
④自己PR(200字前後)
自己PRは「過去の実績 + 応募先でどう活かすか」で締めます。人事職の場合、「組織の課題を構造的に把握して仕組みで解決できる力」をアピールできれば採用担当者の評価が上がります。
サンプル:自己PR
採用から労務・制度設計まで人事業務全般を経験してきた強みは、「採用しやすい組織を作る」という視点で人事施策を一本化して考えられる点だと自負しています。採用数を増やすだけでなく、評価制度の整備・残業削減・リファラル採用の仕組み化を並行して進めることで、入社後の定着率向上にも貢献してきました。貴社においても、採用と制度の両面から組織の成長を支えたいと考えています。
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人事部門の中でも「どの業務を主担当としてきたか」によって、強調すべき実績と書き方が変わります。以下は業務タイプ別の職務要約サンプルです。自身のキャリアと応募先が求める業務に合わせて使い分けてください。
採用担当者向けサンプル
採用業務特化の場合、「何人採用したか」より「どんな採用を実現したか」が差別化ポイントになります。採用手法の多様性・採用コスト・内定承諾率まで書ければ高評価につながります。
良い例文(採用担当)
IT企業(従業員150名)の採用担当として、新卒・中途・業務委託の採用を一人で担当。求人媒体(Indeed・Wantedly)の運用から面接・クロージングまで一気通貫で対応し、年間採用コストを前年比25%削減(1,200万円→900万円)しながら採用目標を達成。エンジニア採用に特化したダイレクトリクルーティング(Findy・LAPRAS)を導入し、平均内定承諾率を62%から78%に改善。
NG例
採用業務全般を担当しました。新卒・中途採用の面接を行い、採用活動を進めていました。
何人採用したか・どんな手法を使ったか・費用対効果はどうだったかが一切不明。採用担当者が「規模感も実績も見えない」と判断する典型例。
労務担当者向けサンプル
労務担当の場合、「正確性・法令知識・改善実績」の3点をセットで示すことが重要です。給与計算を何名分処理したか、どんな法改正に対応したかが評価軸になります。
良い例文(労務担当)
食品メーカー(従業員500名・グループ合計1,200名)の労務担当として、給与計算・勤怠管理・社会保険手続き・36協定管理を担当。月次給与計算を6年間無事故で遂行。育児・介護休業法改正(20XX年)対応として就業規則の改訂と社内説明会の企画・運営を主導。勤怠管理をExcel運用からクラウド型(KING OF TIME)へ移行し、月次集計工数を20時間削減。
人事企画・制度設計担当者向けサンプル
人事企画は「制度を作る力・課題を構造化する力」がアピールポイントです。どんな課題があり、何を設計して、どんな成果が出たかという「課題→施策→結果」の型で書くと採用担当者の評価が上がります。
良い例文(人事企画・制度設計)
サービス業(従業員800名)の人事企画部門にて、等級制度・評価制度・報酬制度の一体改革プロジェクトをPMとして統括(20XX年〜20XX年・2年間)。課長以上の管理職層(60名)を対象にしたコンピテンシー評価制度を導入し、管理職の離職率を前年比8ポイント低下(22%→14%)。エンゲージメントサーベイの定期実施(年2回)とアクションプラン策定の仕組みを整備。
サンプルをもとに職務経歴書を作成する際、AIツールを活用するとスムーズに下書きができます。職務経歴書の自動作成ツールについては7選を比較した記事も参考にしてください。

実績の数値化と「書けない」ときの表現方法
「人事の仕事は数字で表せない」と感じている方は多いですが、採用担当者が「数字がない」と判断した書類は評価が下がります。人事業務は実は数値化できる項目が多くあります。
業務別・数値化できる項目一覧
| 業務 | 数値化できる項目 | 記載例 |
|---|---|---|
| 採用 | 年間採用数・採用コスト・内定承諾率・定着率 | 年間採用数30名・採用単価80万円・定着率85%(1年後) |
| 労務 | 給与計算対象人数・残業削減率・法改正対応件数 | 給与計算300名・月次集計工数15h→8hに削減 |
| 人事企画 | 離職率の変化・エンゲージメントスコア・制度導入件数 | 離職率12%→7%(制度改革後1年) |
| 教育研修 | 研修実施回数・参加者数・満足度スコア | 年12回実施・延べ参加者数320名・満足度4.2/5.0 |
| 評価制度 | 評価者数・評価実施率・研修参加率 | 評価者40名・評価完了率95%達成 |
数値が出しにくいときの表現方法
「管理職研修を企画した」「就業規則を改訂した」のような業務で数値が出しにくい場合は、「規模(対象人数・期間)」と「課題→施策→結果」の構造で表現すると具体性が増します。
数値が出しにくい業務の表現例
- NG: 「管理職向け評価者研修を企画・実施しました」
- OK: 「管理職40名を対象に評価者研修を年2回企画・実施。評価フィードバックの満足度調査を導入し、被評価者の納得度を測定する仕組みを整備」
書き上げた職務経歴書は、プロの目で添削を受けると通過率が大きく変わります。職務経歴書の有料添削サービスについては無料との違いを含め5選を比較した記事も参考にしてください。

人事の自己PRで差をつける書き方
自己PRは「経験の列挙」で終わらせると採用担当者の印象に残りません。人事職の自己PRで評価が上がるのは、「組織課題をどう定義し、どんな施策で解決したか」という思考プロセスを見せられるものです。
採用担当者が「会いたい」と思う自己PRの型
有効な構成は次の3ステップです。この型に沿って書くと、採用担当者が「この人は人事のプロだ」と感じる自己PRになります。
- ステップ①:担当してきた人事業務の「コア」を一言で定義する(「採用の設計から完遂まで一貫して担う」など)
- ステップ②:その中で自分が「変えた・作った・解決した」ことを1〜2個の実績で示す
- ステップ③:応募先企業でどう活かすかを「貴社の〇〇という課題に対して」と具体的に接続する
良い例文(自己PR)
人事担当として採用・労務・制度設計を経験する中で、「採用した人が定着する組織を作る」ことを一貫したテーマにしてきました。採用数を増やすだけでなく、入社後のオンボーディングプロセスの整備・評価制度の透明化・残業削減施策を連動させることで、3年間で離職率を18%から10%に引き下げた経験があります。貴社のエンゲージメント向上・採用力強化という方針に対して、同様の視点から組織基盤の整備を支援したいと考えています。
NG例
採用・労務・人事制度など人事業務全般を幅広く経験してきました。コミュニケーション能力と調整力には自信があります。貴社においても人事として貢献できると考えています。
具体的な実績がなく「幅広い経験」「コミュニケーション能力」は汎用フレーズ。どの業種・職種でも使えてしまうため、採用担当者の記憶に残らない。
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 人事の職務経歴書は「何をしたか」の列挙ではなく「何を達成したか」の実績記述が必須
- 採用・労務・制度設計・教育研修など業務タイプごとに数値化できる項目は異なるが、どの業務にも必ず数字を入れられる部分がある
- 自己PRは「課題→施策→結果」の構造で書き、応募先企業のニーズと接続すると採用担当者の評価が上がる
- 業務の幅より「応募先が求める業務」を書類の前半に置き、採用担当者が「この人は自社に合う」と判断しやすい構成にする
職務経歴書の完成度が不安な場合は、転職エージェントへの相談か代行サービスの活用も一つの手段です。職務経歴書の作成代行サービスについては無料・有料の選択肢を比較した記事も参考にしてください。

人事の職務経歴書に関するよくある質問
- 人事の職務経歴書は何ページにまとめるのが正解ですか?
-
A4サイズで2枚以内が基本です。経歴が長い場合でも3枚以内に収めます。採用担当者が書類選考にかける時間は平均30〜60秒といわれており、情報を詰め込みすぎると重要なポイントが埋もれます。職務要約→職務経歴詳細→スキル・資格→自己PRの順で整理し、直近3〜5年の経歴を厚く書くと読みやすくなります。
- 採用担当の経験しかない人事が転職するとき、どう書けばいいですか?
-
採用業務に特化した経歴であれば、その深さを徹底的にアピールすることが有効です。採用した職種・採用手法(求人媒体・ダイレクトスカウト・リファラル)・採用コスト・内定承諾率・入社後定着率など、採用担当者ならではの数値実績を具体的に記載してください。また「なぜその採用手法を選んだか」という意思決定のプロセスを書くと、採用企画力の高さが伝わります。
- 社会保険労務士(社労士)は職務経歴書に書いた方がいいですか?
-
労務担当や人事企画として転職する場合は、必ず資格欄に記載してください。社労士資格は労務・法令知識の裏付けになるため、採用担当者の評価が大きく上がります。試験合格のみで登録していない場合でも「社会保険労務士試験 合格」として記載できます。合格年度も添えると実績の証明になります。
- 職務経歴書を一人で仕上げる自信がないときはどうすればいいですか?
-
転職エージェントに相談するのが最も確実です。人材業界のエージェントは職務経歴書の添削を無料でサポートしており、業界ごとの採用担当者が何を見るかを熟知しています。自分で書いたものをプロに見てもらうだけで通過率が大幅に改善するケースも多いです。有料の添削サービスについては別記事で比較しています。


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