この記事では、作業療法士(OT)の職務経歴書フォーマットと各項目の書き方を採用担当者の視点から解説します。施設タイプ別の業務内容の例文、採用担当者が実際にチェックしているポイント、書類選考で落ちやすいNG例も合わせて紹介します。
職務経歴書を作成する前に知っておくべきこと
履歴書との違いと職務経歴書の役割
履歴書は氏名・学歴・職歴・資格などの基本情報を記載する書類です。一方、職務経歴書は「これまでに何をどのように経験し、何ができるのか」を詳細に伝えるための書類です。
作業療法士の転職市場では、経験施設の種類・対応できる疾患・使用できる評価ツールの幅が採用可否を左右します。職務経歴書は、その情報を採用担当者に正確かつ魅力的に伝える唯一の手段です。
| 書類 | 目的 | 記載内容 |
|---|---|---|
| 履歴書 | 基本情報の確認 | 学歴・職歴・資格・写真など |
| 職務経歴書 | 実務能力のアピール | 業務内容・評価スキル・自己PR・担当患者数など |
採用担当者が職務経歴書に何を期待しているか
医療・介護施設の採用担当者が職務経歴書を読む目的は、「この人は即戦力として現場で動けるか」を判断することです。作業療法士の場合、特に以下の3点が判断材料になります。
- 経験した施設タイプと対象疾患:急性期・回復期・生活期・精神科のどの領域を経験しているか
- 使用できる評価ツール・介入技術:FIM・MMSEなどのアセスメントや、感覚統合療法・ADL訓練の経験深度
- チームアプローチへの関与実績:カンファレンス参加・退院調整・他職種連携の経験
これらの情報が具体的に書かれている職務経歴書ほど、採用担当者は書類を読み進める動機を持ちます。
なお、医療法人への転職では履歴書と職務経歴書の両方が必要なケースがほとんどです。医療法人の履歴書の書き方についてはこちらも参考にしてください。

作業療法士の職務経歴書フォーマット(標準的な5項目)
職務経歴書に決まった書式はありませんが、採用担当者が読みやすいA4用紙1〜2枚程度の構成が基本です。以下の5項目を順番に記載します。
①標題・日付・氏名
書類の最上部に「職務経歴書」と記載し、作成日と氏名を右揃えで書きます。
記載例
職務経歴書
作成日:2026年6月17日
氏名:山田 太郎
②職務要約(サマリー)
職務要約は書類全体のダイジェストです。3〜5行程度で「どんな施設で何年間・何を専門に経験したか」を凝縮して書きます。採用担当者が最初に目を通す部分なので、ここで興味を引けるかどうかが勝負です。
職務要約の例文
作業療法士として急性期病院・回復期リハビリ病棟で計8年間の実務経験があります。急性期では脳血管疾患を中心としたADL訓練・高次脳機能評価(MMSE・HDS-R)を担当し、回復期では退院後の生活を見据えた作業活動・自助具提供に携わりました。チームカンファレンスや退院調整会議には毎週参加しており、多職種との連携経験があります。
③職務経歴
勤務した施設ごとに以下の情報をまとめます。記載する順序は「現職(または直近の職場)から逆年代順」が一般的ですが、キャリアの流れを見せたい場合は年代順でも構いません。
- 施設名・所在地・施設規模(病床数・OTの在籍数など)
- 在籍期間・雇用形態
- 担当部署・対象疾患
- 業務内容(評価・介入・カンファレンス参加・後輩指導など)
- 使用した評価ツール・特記事項
業務内容は箇条書きで記載するのが読みやすく、採用担当者がポイントを拾いやすくなります。
④取得資格・活かせるスキル
資格は正式名称で記載します。「作業療法士」の免許は「作業療法士免許(第○○号)」と登録番号を含めて書くのが正式です。資格欄に加えて「活かせるスキル」として、業務経歴では書ききれなかった専門知識・得意領域を箇条書きで追加するとアピール力が上がります。
- 作業療法士免許(第○○号)
- 認知症ケア専門士(2022年取得)
- 福祉住環境コーディネーター2級(2021年取得)
- FIM・Barthel Index・MMSE・HDS-R・COPM・感覚統合評価の実施経験あり
⑤自己PR
自己PRは「これまでの経験で培った強みが、転職先でどう活かせるか」を具体的に伝えるセクションです。300〜400文字程度が適切な長さです。自己PRの書き方は後述の「採用担当者が通過させたくなる自己PRの書き方」セクションで詳しく解説します。
なお、職務経歴書の作成を効率化したい場合は、AIツールの活用も選択肢のひとつです。職務経歴書の自動作成ツールについてはこちらで詳しくまとめています。

採用担当者が職務経歴書でチェックする4つのポイント
作業療法士の書類選考で落とされる多くのケースには、共通のパターンがあります。採用担当者は限られた時間で大量の書類を読むため、「この人の専門性が見えるかどうか」を30秒以内で判断します。
採用担当者はここを見ている
- 担当施設の「機能分野」が読んで30秒で伝わるか
- 評価ツール名・件数・担当患者数などの具体的な数値が含まれているか
- チームアプローチの経験(カンファレンス・退院調整・他職種連携)が明示されているか
- 志望先の施設タイプに合ったスキルが前面に出ているか
①担当施設の「機能分野」が伝わるか
作業療法士が活躍する施設は多岐にわたります。急性期・回復期・生活期・精神科・小児、それぞれで求められるスキルが異なるため、採用担当者は「この人はどの領域の専門家か」を最優先で確認します。
「病院でリハビリを担当していました」では、採用担当者はどの分野のOTかを判断できません。「急性期病院の脳神経外科病棟でADL評価・高次脳機能評価を中心に担当」のように、具体的な機能分野と対象を明記します。
②評価ツール・具体的な数値が書かれているか
作業療法士の専門性を証明する最も有効な方法は、使用した評価ツールを具体的に書くことです。評価ツールの名前を列挙するだけでなく、「何のためにどの評価を実施したか」を簡潔に説明することで深みが出ます。
| 評価ツール | 主な用途 |
|---|---|
| FIM(機能的自立度評価表) | ADL能力の数値化・リハビリ効果の可視化 |
| MMSE / HDS-R | 認知機能のスクリーニング |
| Barthel Index | 日常生活活動能力の評価 |
| COPM(カナダ作業遂行測定) | 患者の作業遂行上の問題を本人視点で評価 |
| AMPS | 作業遂行技能の観察的評価 |
| 感覚統合評価 | 小児の感覚処理・運動協調の評価 |
「月平均○件担当」「回復期病棟在籍時に退院支援に関与した患者数:□□名」のように数値を盛り込むと、採用担当者は業務量の規模感を具体的にイメージできます。
③チームアプローチへの関与が示されているか
現代のリハビリテーション医療はチームで動きます。採用担当者が「この人は連携できるOTか」を確認するのは自然な流れです。カンファレンスへの参加頻度、退院前訪問の実施経験、ケアマネジャーや福祉用具業者との調整経験などを具体的に記載しましょう。
④転職先の施設タイプに合ったスキルを強調しているか
同じ職務経歴書を複数の施設に使い回すのは危険です。回復期病院への転職なら「ADL訓練の実績・FIM向上への貢献」を、訪問リハへの転職なら「在宅での環境調整・家族指導の経験」を前面に出すなど、志望先ごとに自己PRのフォーカスを変えることが書類通過率を大きく左右します。
施設タイプ別・作業療法士の業務内容の書き方と例文
急性期病院で働くOTの書き方
急性期では発症直後から介入が始まるため、スピーディーな評価と環境調整能力が問われます。採用担当者は「どの疾患を、どのタイミングで、どんな目的で介入したか」を確認します。
急性期病院の業務内容 良い例
【担当部署】脳神経外科病棟・整形外科病棟
【対象疾患】脳梗塞・脳出血・大腿骨頸部骨折・上肢骨折
【業務内容】
・発症後3〜7日以内の早期介入(ベッドサイドでのADL評価・上肢機能訓練)
・MMSE・HDS-Rを用いた認知機能評価(月平均30件)
・FIMを用いたADL評価とリハビリ計画立案
・週2回の多職種カンファレンスへの参加・リハビリ進捗報告
・退院調整会議への参加(家屋改修提案・自助具選定・介護保険申請サポート)
NG例
【業務内容】
・入院患者のリハビリを担当しました
・評価・訓練・カンファレンスへの参加
NG理由:何の疾患を、どんな評価で、どんな成果のために介入したかが一切わかりません。採用担当者はこの記述だけでは専門性を判断できないため、書類の印象が弱くなります。
回復期リハビリ病棟で働くOTの書き方
回復期では「退院後の生活」を見据えた介入が中心になります。ADL自立度の向上・自助具の提案・家族指導・福祉用具選定などを具体的に書きましょう。
回復期リハビリ病棟の業務内容 良い例
【担当部署】回復期リハビリテーション病棟(60床)
【対象疾患】脳血管疾患・骨折・廃用症候群
【業務内容】
・1人あたり60〜90分/日のADL訓練・上肢機能訓練を担当(同時担当患者数:12〜15名)
・入棟時・退院前のFIM評価・比較分析(退院時FIM利得の平均:+22点)
・COPM・Barthel Indexを用いた患者本人の目標設定支援
・週1回の退院前訪問(家屋評価・環境調整提案・家族指導)
・ケアマネジャー・福祉用具業者との連携による在宅移行支援
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →生活期(老健・訪問リハ・通所リハ)で働くOTの書き方
生活期では「日常生活の継続・生活の質の維持」が目的です。施設ケアから在宅ケアまで幅広いため、どのセッティングで何を大切にして関わったかを書きます。
老健・訪問リハの業務内容 良い例
【担当】介護老人保健施設(入所・通所) / 訪問リハビリ担当
【対象】認知症・廃用症候群・変形性関節症・脳血管後遺症
【業務内容】
・訪問リハ:1日4〜5件(40分/件)、在宅での実生活動作訓練・環境整備
・MMSE・改訂長谷川式(HDS-R)を活用した認知機能変化の継続観察
・本人・家族へのADL指導・介護負担軽減のためのポジショニング指導
・サービス担当者会議・ケアプラン会議への出席(月2〜3回)
精神科・精神科デイケアで働くOTの書き方
精神科OTは身体リハとは異なるアプローチが求められます。作業活動を通じた精神症状の改善・社会参加支援・生活リズムの構築など、OT独自の視点を明確に示す必要があります。
精神科デイケアの業務内容 良い例
【担当部署】精神科急性期病棟・精神科デイケア
【対象疾患】統合失調症・双極性障害・うつ病・発達障害
【業務内容】
・精神科作業療法(個別・グループ)の企画・実施(週5プログラム運営)
・GAF(機能の全体的評価尺度)・LASMI(精神障害者社会生活評価尺度)を用いた評価
・就労移行支援に向けたSST(社会生活技能訓練)プログラムの実施
・退院後の地域生活を支えるための生活支援計画立案・相談員との連携
精神科領域でのキャリアをお持ちの方は、精神保健福祉士の履歴書の書き方も参考になる部分があります。

書類選考で落ちるOTの職務経歴書|よくあるNG例と改善法
NG例①「作業療法全般を担当しました」では何も伝わらない
最も多いNG例は「作業療法全般を担当しました」という一文で業務内容を済ませてしまうケースです。採用担当者がこの記述を見ると、「専門性の説明を避けている」「何が得意なのか不明」という印象を持ちます。
NG例
「○○病院にて作業療法全般を担当。評価・訓練・カンファレンス参加を経験しました。」
改善後
「○○病院(急性期・200床)脳神経外科・整形外科病棟にて、脳血管疾患・骨折患者を中心にADL評価(FIM)・上肢機能訓練・認知機能評価(MMSE)を担当。月平均25名に対して早期離床支援・退院調整に関与。週2回の多職種カンファレンスに継続参加。」
NG例②評価ツール名だけ並べて内容がない
評価ツールの名称は書いているのに、「何のために・どんな場面で使ったか」が書かれていないケースも多く見られます。採用担当者はツール名ではなく「そのツールをどう使いこなしたか」を見ています。
NG例
「使用できる評価ツール:FIM、MMSE、HDS-R、Barthel Index」
改善後
「FIMを用いた入棟時・退院前ADL評価を実施し、退院時FIM利得の記録・分析を担当。MMSEは認知機能スクリーニングとして入棟全患者に実施(月平均30件)。Barthel IndexはADL訓練の方向性決定に活用。」
NG例③施設をまたいで同じ内容をコピペしている
複数施設の経験をすべて同じ書き方で書いている職務経歴書は、採用担当者の目に「手を抜いている」と映ります。施設ごとに対象疾患・業務の重点が異なるはずですから、各施設での「特徴的な経験」を必ず書き分けましょう。急性期での経験を回復期欄にコピペしても、採用担当者はすぐに気づきます。
採用担当者が通過させたくなる自己PRの書き方
自己PRで伝えるべき3つの要素
職務経歴書の自己PRは「経験の総括→強みの明示→転職先での活かし方」という3段構成が最も採用担当者に伝わりやすい形です。
- これまでの経験の総括:どんな領域で何年、何を専門にしてきたか(1〜2文で凝縮)
- 自分の強みの明示:経験を通じて磨かれた専門的なスキル・判断力・対人支援の特性(具体的なエピソードを添えると信憑性が増す)
- 転職先での活かし方:その強みを志望先でどう役立てたいか(「○○できるOTとして貢献したい」という具体的な貢献イメージ)
自己PR例文(転職先・状況別)
自己PR例文①:急性期→回復期へ転職する場合
急性期病院での5年間、脳血管疾患を中心としたADL評価・上肢機能訓練・認知機能評価を担当してきました。発症直後からの早期介入で培った「患者の身体機能の変化を短時間で把握する評価眼」は、回復期リハビリ病棟における退院に向けた目標設定・訓練計画の精度向上に直接役立てられると考えます。特に高次脳機能障害への対応経験(月平均12件)は、回復期での在宅復帰支援において即戦力として活かせると確信しています。
自己PR例文②:施設勤務→訪問リハへ転職する場合
回復期リハビリ病棟での7年間で、退院前訪問(年間40件以上)と在宅環境整備の経験を積んできました。病院の枠を越えた「生活の中での作業遂行」を支えたいという思いから、訪問リハへの転職を決意しました。対象者が自宅でどう生活しているかをゼロから評価し、本人・家族とともに生活上の課題を解決する力を身につけています。福祉住環境コーディネーター2級の資格も、住環境整備の提案において活かせると考えています。
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 作業療法士の職務経歴書は「標題・職務要約・職務経歴・取得資格・自己PR」の5項目で構成し、A4用紙1〜2枚にまとめる
- 採用担当者は「機能分野の明確さ」「評価ツールの具体性」「チームアプローチの経験」「志望先へのフォーカス」の4点で書類を判断する
- 施設タイプ(急性期・回復期・生活期・精神科)によって書くべき内容が異なるため、志望先に合わせて記述の重点を変える
- 「作業療法全般を担当」「評価ツールの名称羅列」「施設間でのコピペ」の3つのNG例を避け、具体的な数値と疾患名・評価内容を盛り込む
- 自己PRは「経験総括→強みの明示→転職先での活かし方」の3段構成で書くと採用担当者に伝わりやすい
作業療法士の職務経歴書は、OT独自の専門知識と対人支援の幅広さを最大限に見せる書類です。フォーマットを整えるだけでなく、「読んだ採用担当者が会いたくなるか」を基準に、一字一句を見直してみてください。
作業療法士の職務経歴書に関するよくある質問
- 職務経歴書は手書きとPC作成のどちらがいいですか?
-
PC作成を強く推奨します。職務経歴書はA4用紙1〜2枚に情報を整理して記載するため、手書きでは修正が難しく、読みにくくなるリスクがあります。PCで作成すれば複数施設への応募時に内容を迅速に修正でき、書類の印象も格段に上がります。
- 作業療法士歴が短い(1〜2年)場合、職務経歴書に書くことがないのですが?
-
経験年数が短くても書くべき内容はあります。担当した疾患・使用した評価ツール・カンファレンスへの参加経験・後輩指導の有無などを具体的に記載してください。また「経験が浅いからこそ積極的に学んできたこと」(勉強会参加・自主学習の内容など)を自己PRに盛り込むことで、採用担当者に前向きな印象を与えられます。
- 転職回数が多い場合、職務経歴書はどう書けばいいですか?
-
転職回数が多い場合は、各施設での「経験の幅」をキャリアの強みとして提示する視点が有効です。「急性期→回復期→訪問リハと複数セッティングを経験したことで、患者の病期全体を見渡せる視点を持つOTになった」という文脈で自己PRを組み立てると、転職回数をプラスの印象に変えられます。ただし、在籍期間が1年未満の施設が複数ある場合は面接での理由説明も必要になります。
- 作業療法士の資格欄の正式な記載方法を教えてください
-
「作業療法士免許(第○○号)」が正式な記載方法です。資格欄には取得年月と登録番号を記載します。取得年月は国家試験の合格日ではなく、免許証に記載されている登録年月(正式な免許交付日)を書きます。


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