この記事では、中途採用の書類選考を通過するための履歴書の書き方を解説します。採用担当者が職歴欄でチェックするポイント、転職回数・空白期間がある場合の対処法、そのまま使える例文まで順番に確認していきます。
中途採用の履歴書で採用担当者が最初に見る場所
採用担当者が中途採用の書類選考で最初に目を向けるのは、学歴欄ではありません。新卒採用では学力・ポテンシャルを重視するため学歴が重要視されますが、中途採用では「何ができるか」「自社で即戦力になるか」を短時間で判断します。採用担当者の多くは、山積した書類を一通あたり数十秒で審査します。
採用担当者はここを見ている
- 職歴欄(最重要):どの業界・職種でどんな業務を担ってきたか
- 転職回数と退職年月:短期離職のパターンがないか、最近いつ辞めているか
- 志望動機欄:なぜ前職を離れ、なぜ自社に応募しているか
この3点を10〜20秒で確認し、「もう少し詳しく見たい」と思ったときに初めて学歴欄や自己PR欄へと視線が移ります。職歴欄がどれだけ読みやすく書かれているかが、書類選考の合否を左右します。
新卒の履歴書と中途採用の履歴書の3つの違い
「新卒のときに書いた書き方でいい?」と迷う方は少なくありません。結論から言うと、新卒と中途採用では、採用担当者が書類に何を求めているかが根本的に違います。
| 項目 | 新卒 | 中途採用 |
|---|---|---|
| 最重視される欄 | 学歴・自己PR(人柄・ポテンシャル) | 職歴欄(経験・即戦力性) |
| 職務経歴書の要否 | 原則不要 | 多くの企業で必須 |
| 履歴書の主な役割 | 人柄・成長可能性の提示 | キャリアの整合性と実績の裏付け |
新卒の書き方のまま中途採用に応募すると、採用担当者が最も知りたい「職歴の詳細」が薄くなりがちです。転職活動では、職歴欄を中心に書類全体を設計する意識が必要です。
転職用フォーマットの選び方と書式の準備
新卒用と転職用フォーマットの違い
市販・配布されている履歴書には「新卒用(JIS規格)」と「転職用」の2種類があります。新卒用はアルバイト欄が設けられていることが多く、職歴欄のスペースが相対的に狭くなっています。中途採用では職歴欄が広く設計された転職用フォーマットを選ぶことを推奨します。
- 転職用フォーマット:職歴欄が2ページ目の大半を占める設計。複数の職歴を詳しく書ける
- 厚生労働省推奨様式:2021年改定版はシンプルで汎用性が高く、転職にも対応
- 企業指定フォーマット:企業から書式指定がある場合は必ず従う
「書式指定なし」と言われた場合でも、新卒用フォーマットを転職活動で使うのは避けてください。職歴欄が足りず、重要な情報が書ききれなくなります。
転職用の履歴書テンプレートは、無料で使える高品質なものが多数あります。採用担当者が評価するテンプレートの選び方については、履歴書テンプレートの無料ダウンロード先と選び方を参考にしてください。

手書きかPC作成か
企業からの指定がない場合、手書きとPC作成のどちらでも問題ありません。ただし、読みやすさが採用担当者への第一印象を決めるという点では、PC作成に分があります。フォントの乱れや字の上手い・下手が関係ない分、内容の質で判断してもらいやすいためです。
- PC作成が向くケース:職歴が多く、多くの情報を整理して書く必要がある場合
- 手書きが向くケース:企業から手書き指定がある場合、または手書き文化を重視する業界(士業・伝統産業など)への応募
職歴欄の書き方 ── 採用担当者が落とす書類に共通する3つの弱点
競合する応募者との差がつくのは、職歴欄の書き方です。採用担当者が書類を落とす判断をするとき、以下の3つの弱点が共通して見られます。
①事業内容を一言添えて「何の会社か」を伝える
採用担当者が職歴欄を見て最初に困るのが「この会社、何をしている会社なんだろう」という状況です。社名だけでは事業内容は伝わりません。会社名の直後に事業内容を一言添えるだけで、採用担当者の理解スピードが格段に上がります。
良い例文
2018年4月 株式会社〇〇 入社
(従業員数200名・住宅設備機器の製造販売)
営業部に配属。個人住宅向け設備機器の法人営業を担当。
2023年3月 一身上の都合により退職
NG例
2018年4月 株式会社〇〇 入社
2023年3月 退職
何の会社でどんな業務を担ったかが全く伝わらない。採用担当者は「詳細を確認するまで面接に呼べない」と判断します。
事業内容は企業規模と業種が伝われば十分です。「従業員数〇〇名・〇〇業」という形で一行添えるだけで、読み手の理解が大きく変わります。
②転職回数が多い場合の書き方
転職回数が多いと「長く続けられない人」と判断されるリスクがあります。ただし、採用担当者が気にしているのは転職回数そのものではなく「なぜ転職を繰り返したか」の文脈です。在籍期間が短い職場でも、退職理由が一貫していれば評価はむしろ上がります。
採用担当者はここを見ている
- 転職回数より「退職理由の一貫性」を重視している
- 「スキルアップ」「キャリアチェンジ」は実績が伴っていれば評価される
- 在籍1年未満の職歴が複数ある場合は、備考欄に一言理由を添えると印象が変わる
良い例文(短期離職がある場合の備考欄記載)
2022年4月 株式会社△△ 入社(建設資材の商社・従業員数80名)
2023年1月 会社都合により退職(本社部門の組織再編に伴う人員整理のため)
NG例
2022年4月 株式会社△△ 入社
2023年1月 退職
退職理由が一切なく、1年未満で辞めた事実だけが残る。採用担当者は「会社に問題があったのか、本人に問題があったのか」が判断できません。
会社都合退職の場合は特に、その旨を明記することで採用担当者の印象は大きく変わります。会社都合の退職を履歴書に書く方法については、会社都合退職の履歴書の書き方も参考にしてください。
③空白期間がある場合の書き方
退職から次の入社までの空白期間は、何も書かなければ採用担当者の不安を招きます。「この期間、何をしていたんだろう」と思われた状態では、書類選考の段階で印象が落ちます。空白期間は「活動内容を一行で添える」だけで見え方が変わります。
良い例文
2023年3月 ○○株式会社 退職
2023年4月〜11月 転職活動(Webデザインスクールに通いながら技術習得)
2023年12月 株式会社□□ 入社
NG例
2023年3月 ○○株式会社 退職
(空欄のまま)
2023年12月 株式会社□□ 入社
8か月間の空白が説明されていない。採用担当者は「なぜ書いていないのか」という方向で疑念を持ちます。
育児・介護・病気療養・留学・資格取得など、どのような理由でも正直に一行添えるのが正解です。「転職活動中」でも問題ありません。隠すより説明するほうが、採用担当者には誠実な印象を与えます。
学歴欄・志望動機・自己PRの書き方
学歴欄:高校入学から、正式名称で記入する
中途採用の履歴書でも、学歴欄は高校入学年度から記載します。年号・表記ルールを統一することで、採用担当者に「丁寧に書かれた書類」という印象を与えられます。
- 「高等学校」「大学」「学部・学科」は正式名称で記載(「高校」「〇〇大経済」などの略称はNG)
- 年号は西暦か和暦のどちらかに統一(混在はNG)
- 大学院修了の場合は「〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 修了」と記載
- 中退の場合は「〇〇大学〇〇学部 中途退学(〇〇年〇月)」と明記する
志望動機欄:前職経験×応募先への貢献を構造化する
中途採用の志望動機で採用担当者が確認しているのは「なぜ今の会社を辞めるのか」と「なぜ自社に来たいのか」の2点です。どちらか一方しか書かれていない志望動機は、書類選考の段階で弱く映ります。
効果的な志望動機の構造は次のとおりです。
| 構造 | 書く内容 |
|---|---|
| ①前職で培ったこと | 業種・職種・期間・具体的な実績 |
| ②応募先での活かし方 | 応募先の事業・ポジションと自分の経験の接点 |
| ③長期的な貢献イメージ | 入社後にどう貢献したいか |
良い例文
前職では住宅設備機器の法人営業として5年間、年間120件以上の新規顧客を担当しました。御社が注力されているリフォーム向け製品の拡販においても、法人顧客との信頼構築と提案営業の経験を活かし、営業チームの戦力として即日から貢献できると考えています。
NG例
御社の業界でのシェアの高さと安定した経営基盤に魅力を感じました。また、福利厚生の充実も志望の理由の一つです。
前職経験との接続がなく、応募先を選んだ理由が会社側の条件だけ。採用担当者には「どの会社でも同じことを書いている」と映ります。
自己PR欄:即戦力としての強みを80〜120文字で
中途採用の自己PRは「できること」ではなく「どんな成果を出してきたか」を数字で示すことが基本です。採用担当者は、読んだだけで入社後のイメージが湧く自己PRを評価します。
良い例文
法人営業として5年間、新規顧客獲得を担当。担当2年目から3年連続で社内表彰を受け、チームの平均受注件数を1.5倍に伸ばした経験があります。初対面の顧客との関係構築と提案の具体化を強みとしています。(95文字)
NG例
前職では営業職としてさまざまな経験を積んできました。コミュニケーション能力を活かして、御社でも幅広く貢献したいと思っています。
数字がなく「コミュニケーション能力」という抽象的な言葉だけ。「幅広く貢献」は具体的な役割のイメージを持てないNGワードです。
採用担当者が書類を落とすNG例5パターン
内容以前の「書き方のミス」で書類選考を通過できないケースがあります。採用担当者が実際に落とす判断をするNGパターンを5つ確認しておきましょう。
NG① 年号が西暦・和暦で混在している
学歴欄は和暦・職歴欄は西暦、というように年号が混在している書類は「丁寧さに欠ける」と判断されます。書類全体で和暦か西暦のどちらかに統一することが必須です。
NG② 会社名・資格名を略称で書いている
「(株)」「㈱」「TOEIC○○点」の書き方は不正確です。正式名称は「株式会社〇〇」「TOEIC公開テスト○○点 取得」と記載します。資格名も正式名称で書かないと採用担当者が判断できません。
NG③ 退職理由が全て「一身上の都合」のみ
一身上の都合という記載自体は問題ありません。ただし、転職回数が多い方がすべての退職を「一身上の都合」でまとめると、採用担当者は「理由を隠している」と受け取ります。キャリアアップや家庭の事情など、差し支えない範囲で具体的な理由を一言添えると印象が変わります。
NG④ 「現在に至る」の後に「以上」を忘れている
職歴欄の最後は「現在に至る」で締め、その直後に「以上」と記載するのが正式な書き方です。「以上」を入れ忘れると、「まだ記載が続く書類」と誤解を招きます。意外と見落とされやすいポイントです。
NG⑤ 志望動機欄が5行あるのに2行しか書かれていない
フォーマットに設けられた記入欄は、8割以上を埋めることが基本です。空白が目立つと、採用担当者は「この会社への熱意が低い」と判断します。文字数が足りない場合は、前職との接点や入社後に挑戦したいことを追記して欄を満たしてください。
職務経歴書と役割を分担して書類に一体感を出す
履歴書は「事実の記録」、職務経歴書は「実績の証明」
中途採用では、履歴書と職務経歴書を2枚セットで提出するケースがほとんどです。この2つの書類は役割が異なります。履歴書は「いつ、どこで、何をしたか」という事実を記録する書類であり、職務経歴書は「どんな成果を出したか」を証明する書類です。
| 書類 | 役割 | 書く内容 |
|---|---|---|
| 履歴書 | 事実の記録 | 学歴・職歴・資格・志望動機(簡潔に) |
| 職務経歴書 | 実績の証明 | 業務詳細・担当範囲・成果・数字・スキル |
履歴書に「営業担当」とだけ書いても、採用担当者は実力を判断できません。職務経歴書で「年間新規顧客〇件、受注額〇〇万円」という実績を補完することで、はじめて2枚の書類が機能します。
両書類を提出前に突き合わせるチェックリスト
2つの書類の内容に矛盾があると、採用担当者は「経歴を盛っているのでは」という疑念を持ちます。提出前に以下の点を確認してください。
- 履歴書と職務経歴書の会社名・在籍期間が完全に一致しているか
- 担当業務の内容に矛盾や誇張がないか
- 退職理由のニュアンスが2枚の書類で食い違っていないか
- 履歴書に書いた資格・スキルが職務経歴書の業務内容と整合しているか
職務経歴書の作成に時間がかかる方は、自動作成ツールを活用する方法もあります。職務経歴書の自動作成ツールを使えば、ひな型への情報入力だけで体裁の整った書類が作成できます。

添削サポートが必要な場合は、転職エージェントの無料書類添削を利用するか、有料の職務経歴書添削サービスを検討するのも一つの選択肢です。
まとめ
- 中途採用の書類選考では、採用担当者は職歴欄を最初に確認する
- 職歴欄には事業内容・在籍期間・担当業務を一行ずつ明示する
- 転職回数が多い場合・空白期間がある場合は、退職理由や活動内容を一言添えるだけで印象が大きく変わる
- 志望動機は「前職経験×応募先への貢献」の構造で書く
- 履歴書と職務経歴書の内容が整合しているかを提出前に突き合わせる
書類の完成度が上がれば、面接の機会は自然に増えます。今回解説したポイントを一つずつ確認しながら、採用担当者の目に止まる書類を仕上げてください。
中途採用の履歴書に関するよくある質問
- 中途採用の履歴書はどのフォーマットを使えばいいですか?
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職歴欄が広く設計された転職用フォーマットを推奨します。厚生労働省が公表している様式や、各転職サービスが提供する転職用テンプレートが適切です。「書式指定なし」と言われた場合でも、新卒用(JIS規格)ではなく転職用を選ぶと職歴欄に十分なスペースが取れます。
- 転職回数が多い場合、職歴はすべて書かなければなりませんか?
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原則として、正社員として在籍したすべての職歴を記載する義務があります。意図的に職歴を省くと経歴詐称になる可能性があり、採用後の雇用関係に影響します。転職回数が多い場合でも、在籍期間が短い職場ごとに退職理由を簡潔に添えることで、採用担当者への印象はかなり変わります。
- 3か月未満の短期離職の職歴も書く必要がありますか?
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正社員として就業した場合は、試用期間中の退職や在籍3か月未満の職歴も記載するのが原則です。アルバイト・パートは、応募ポジションとの関連性がある場合を除き省略が認められる場合もありますが、不安な場合は記載する方が安全です。短期離職が複数ある場合は、職歴欄への退職理由の記載や、職務経歴書での補足説明を検討してください。


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