この記事では、レストランの職務経歴書の書き方を職種別(ホール・キッチン・店長)の例文とともに解説します。採用担当者が30秒で確認するポイントと、「接客業務を担当しました」から卒業するための数値化テクニックも紹介します。
採用担当者が職務経歴書を開いた瞬間に確認する3つのこと
飲食業界から転職する際、多くの人が職務経歴書に「接客業務を担当しました」「調理補助を行いました」と書いてしまいます。採用担当者はその表現を見た瞬間、「どの店にもいるスタッフ」と判断します。
採用担当者が職務経歴書を開いてから通過・不通過を判断するのは平均30秒未満です。その短い時間で読み手を引き込むには、以下の3点が揃っている必要があります。
①業務内容が「具体的な言葉」で書かれているか
「接客」「調理」「店舗運営」といった言葉は、どのレストランスタッフにも当てはまる表現です。採用担当者が知りたいのは、あなたが「何席規模の店で」「どんな役割を担って」「どんな客層を相手にしていたか」という具体的な状況です。
採用担当者はここを見ている
- 店舗の規模(席数・月間売上・ブランド力)
- 担当業務の範囲(接客のみか、調理・レジ・発注まで担ったか)
- 客層(ファミリー・ビジネス層・外国人観光客など)
- チームでの役割(一般スタッフか、サブリーダー・エデュケーター的な立場か)
②数字が1つでも入っているか
数字のない職務経歴書は採用担当者の記憶に残りません。「接客していました」と「月平均800名の接客を担当していました」では、受け取るインパクトがまるで違います。
レストランの業務は数字化しやすい経験の宝庫です。「数字を入れるのが難しい」と感じる人ほど、実は数字が出やすい経験を持っています。席数・担当テーブル数・1日の来客数・管理スタッフ数——どれか1つ入れるだけで、書類の印象が変わります。
③「レストランの経験」が転職先でどう活きるか伝わるか
採用担当者が最終的に知りたいのは「この人を採用して何ができるか」です。レストランでの経験を羅列するだけでは不十分で、その経験が次の職場でどう活かせるかを示す必要があります。
ただしこの点は、記事後半で解説する「自己PR欄」で書けば十分です。業務内容欄では事実を具体的に、自己PR欄ではその経験の活かし方を書く——という役割分担を意識してください。
【職種別】レストランの職務経歴書の書き方と例文
レストランの職務経歴書で迷う人の多くは、「自分の職種では何をアピールすればいいかわからない」という状態です。ホールスタッフ・調理スタッフ・店長では、採用担当者が重視するポイントが異なります。職種ごとに確認してください。
ホールスタッフの場合
ホールスタッフが採用担当者に伝えるべきことは「接客品質の高さ」だけではありません。業務の範囲の広さと、チームのなかでどんな役割を担っていたかが重要です。
| 記載項目 | 書き方のポイント |
|---|---|
| 勤務先情報 | 店名(ブランド)・席数・業態(イタリアン・和食・居酒屋など) |
| 業務内容 | 接客・オーダー取り・料理提供・テーブルセッティング・レジ対応など具体的に列挙 |
| 数字で書けるもの | 担当テーブル数・月間来客数・スタッフ人数・対応言語 |
| 実績・工夫 | クレームゼロの継続月数・リピーター施策・新人教育の担当経験 |
良い例文(ホールスタッフ)
【株式会社〇〇 / イタリアンレストラン△△(80席)】
在籍期間:2022年4月〜2025年3月(3年間)
雇用形態:正社員
〈業務内容〉
・80席のフロア全体のホール業務(接客・オーダー取り・料理提供・レジ対応)
・ランチ・ディナーピーク時の担当テーブル管理(最大6テーブル)
・英語対応が可能なため、外国人顧客への接客を優先担当
・新人ホールスタッフ3名の教育・OJT担当
〈実績〉
・月間延べ800名超の接客。担当テーブルのクレーム件数ゼロを12ヶ月継続
・外国人顧客への英語対応によりリピート来店が増加(店長コメントより)
・担当した新人スタッフ3名が全員6ヶ月以内に独り立ちを達成
NG例(よくある失敗)
【イタリアンレストランにて勤務】
期間:2022年〜2025年(3年間)
〈業務内容〉
・ホールスタッフとして接客業務を行いました。
・お客様へのご案内・オーダー取りを担当しました。
・その他、日常業務全般を担当していました。
「業務全般」という表現は何もアピールできていません。採用担当者はこの書き方から「この人が具体的に何ができるか」を判断できず、書類を次のステップに回す理由が見つかりません。
キッチン・調理スタッフの場合
調理スタッフは「何ができるか(スキルの具体性)」が最重要です。「料理が好き」「一生懸命取り組んだ」は読み手に何も伝わりません。担当したジャンル・ポジション・1日のカバー数など、客観的な事実を書くことが先決です。
採用担当者はここを見ている
- 担当したポジション(仕込み・焼き物・メイン・パントリーなど)
- 扱ったジャンルとメニュー数(例:フレンチコース全18品のうち前菜5品担当)
- 1日あたりの提供数(例:ランチ80席×2回転=160カバー)
- 衛生管理への取り組み(食品衛生責任者資格の有無など)
良い例文(調理スタッフ)
【株式会社〇〇 / 和食レストラン△△(60席)】
在籍期間:2021年7月〜2025年3月(3年8ヶ月)
雇用形態:正社員
〈業務内容〉
・日本食レストランの厨房スタッフとして前菜・焼き物担当
・ランチ・ディナー合計で1日平均120カバーの調理を担当
・食材仕込み・在庫管理(食材ロス削減施策の立案に参加)
・食品衛生責任者資格を活用した衛生管理チェックの実施
〈実績〉
・仕込み作業の手順見直しにより、ピーク前の段取り時間を15分短縮
・食材ロス削減の提案が採用され、月間廃棄コストを前期比20%削減
店長・副店長の場合
店長・副店長経験者が職務経歴書で最もアピールできるのは「人を動かした実績」です。売上管理・スタッフ育成・コスト管理のうち、どれか1つでも数字で語れる経験があれば、採用担当者の評価は大きく変わります。
| マネジメント経験の種類 | 職務経歴書への書き方 |
|---|---|
| 売上管理 | 月間売上目標〇〇円に対し、〇〇ヶ月連続達成(達成率〇%) |
| 人材管理 | アルバイト〇名のシフト管理・採用面接・OJT担当 |
| コスト管理 | FL比率を〇%から〇%に改善(前年比〇%ダウン) |
| 店舗オペレーション | 新業態導入・メニュー改定・POSレジ切り替えの主担当 |
良い例文(店長)
【株式会社〇〇 / カジュアルダイニング△△(100席)】
在籍期間:2020年4月〜2025年3月(5年間)
役職:副店長(2022年昇格)→ 店長(2023年昇格)
〈業務内容〉
・100席規模の店舗運営全般を統括
・アルバイト15名・社員3名のシフト管理・採用・人材育成
・月次売上予実管理・原価・人件費のFL比率管理
・季節メニューの企画提案から採用決定まで担当
〈実績〉
・店長就任後、月間売上を前年比115%に改善(650万円→750万円)
・スタッフ面談制度の導入により離職率を前年比30%削減
・FL比率60.2%→57.8%に改善(原価と人件費の最適化を主導)
ホテルのレストランで働いていた場合の注意点
ホテル内のレストラン経験は、一般のカジュアルレストランと異なる点を明記すると採用担当者の印象が大きく変わります。
- ホテルブランドを明記する:「〇〇ホテル内レストラン(××席・ダイニングクラス)」と書くことで、求められる接客レベルが伝わります
- 客層を書く:「外国人旅行者・長期滞在ゲスト・宴会ビュッフェ」など、ホテルならではの客層は独自の強みになります
- 英語・多言語対応を明記する:ホテルのレストランでのインバウンド対応経験は、レストラン業界以外の採用担当者にも評価されます
- 宴会・バンケット経験があれば必ず書く:宴会サービスは通常のテーブルサービスと異なるスキルで、差別化できます
「職務要約」は最初の5秒で勝負が決まる
職務経歴書の冒頭に書く「職務要約(職務概要)」は、採用担当者が最初に目を通す箇所です。ここで読み手の関心を引けなければ、その後に丁寧に書いた職歴や自己PRも読まれずに終わります。
職務要約は3〜5行程度で、「誰が・どんな規模の店で・どんな役割を・何年担ったか」を凝縮して書くことが鉄則です。自己PRや志望動機を書く場所ではありません。
NG例
「飲食業界にて3年間、接客業務を中心に担当してまいりました。日々の業務に真剣に向き合い、チームワークを大切にしながら働いてきました。今後も飲食業界でキャリアを積みたいと考えております。」
「真剣に向き合い」「チームワークを大切に」では採用担当者に何も伝わりません。店の規模も役割も実績もゼロの職務要約は、書いていないのと同じです。
良い例(採用担当者を引き込む職務要約)
「80席規模のイタリアンレストランにてホールスタッフとして3年間勤務。月間延べ800名超の接客を担当し、英語対応が可能なため外国人顧客への接客を優先担当。入社2年目よりアルバイト新人3名のOJTを担当し、全員が6ヶ月以内に独り立ちを達成。接客品質の向上と人材育成の両面に強みを持ちます。」
良い例との違いは「誰が読んでも状況が浮かぶかどうか」です。採用担当者は職務要約を読んで「話を聞いてみたい」と感じるかどうかを判断します。
業務内容欄|「接客していました」を卒業する数値化テクニック
「自分の仕事を数字で表すのは難しい」と感じる人は多いです。しかしレストランの業務は数字化しやすい要素が豊富にあります。以下の変換表を参考に、自分の経験を数字に置き換えてみてください。
接客経験の数値化
| 抽象的な表現 | 数値化した表現 |
|---|---|
| 接客業務をしていました | 80席のホールで月平均600名の接客を担当 |
| お客様の対応をしていました | 担当テーブル数:最大6テーブル(1テーブル2〜8名) |
| 外国人のお客様にも対応 | 英語対応でインバウンド客を月20〜30名担当 |
| クレームに対応していました | 担当テーブルのクレーム件数:月平均1件以下を12ヶ月維持 |
記憶があいまいな場合でも「大体〇〇名ほど」「〇〇席規模の店舗」という概算で構いません。ただし概算の場合は「体感ベース」「推計値」と注記を入れる誠実さも採用担当者には好印象を与えます。
調理・厨房経験の数値化
| 抽象的な表現 | 数値化した表現 |
|---|---|
| 料理を作っていました | 和食レストランで前菜・焼き物担当。1日最大120カバーを調理 |
| メニューを担当していました | フレンチコース全18品のうち前菜5品・スープ2品を担当 |
| 仕込みをしていました | 毎日開店前の仕込み2時間担当(食材8種・15品分) |
| 無駄をなくすよう工夫した | 食材ロス削減施策の提案で月間廃棄コストを前期比20%削減 |
マネジメント経験の数値化
「スタッフをまとめていました」は、採用担当者にとって最も曖昧に映る表現のひとつです。以下のように具体化してください。
- 人数を書く:「アルバイト10名・社員3名の計13名のシフト管理を担当」
- 育成結果を書く:「離職率を前年比30%削減(月次面談制度の導入による)」
- 売上との関係を書く:「月次売上目標〇〇円に対し、〇〇ヶ月連続達成(達成率〇%)」
- コスト管理を書く:「FL比率を60%から57%に改善。食材費・人件費の最適化を主導」
同じ接客業であるスーパーの職務経歴書も、数値化テクニックは共通しています。業種をまたいで参考にしてみてください。

職務経歴書の作成自体に時間がかかる場合は、転職エージェントの添削サポートや自動作成ツールを活用する方法もあります。職務経歴書の有料添削サービスと転職エージェントの無料サポートを比較した記事もあわせてご参照ください。

自己PR欄の書き方と例文(職種別)
職務経歴書の自己PR欄は「業務内容欄」と役割が異なります。業務内容欄は「何をしてきたか」の事実を書く場所。自己PR欄は「その経験から何を得て、次の職場でどう活かすか」を書く場所です。
レストランの経験で身につく力は、異業種の採用担当者にも刺さるものが多くあります。ただし「接客を通じて人と関わるのが好きだとわかりました」のような感想は自己PRになりません。「どんな場面で」「何ができるようになったか」「具体的にどう活かすか」の3点セットで書くことが必要です。
ホールスタッフ向け自己PR例文
自己PR例文(ホール経験者)
「80席のレストランでのホール経験を通じて、場の状況を読んで先回りする力が身についています。ランチのピーク時に担当テーブルへの提供が遅れると顧客の不満につながることを実感し、ボトルネックになる工程を事前に処理する段取りを習慣化しました。結果として、担当テーブルのクレーム件数を12ヶ月ゼロに維持しました。場の状況を読んで優先順位をつけながら動くこの力は、御社の〇〇業務でも即戦力として活かせると考えます。」
調理スタッフ向け自己PR例文
自己PR例文(調理経験者)
「和食レストランでの3年8ヶ月の調理経験を通じて、品質を一定に保ちながらスピードを落とさない工程管理の力が身についています。1日最大120カバーの調理ペースを維持するには、仕込みの精度とポジション間の連携が欠かせません。食材ロス削減の提案が店長に採用され、月間廃棄コストを前期比20%削減した経験は、コスト意識を持って現場を改善する行動力の証だと考えています。この工程管理力とコスト意識は、製造・品質管理職でも応用できると考えます。」
自己PRの内容は応募先によって変えることが必要です。同じレストラン業界への転職と、異業種への転職では、アピールすべき経験の切り口が異なります。自己PR作成の土台に困ったら、職務経歴書の自動作成ツールを使う方法も検討してみてください。

まとめ
- 採用担当者は職務経歴書を30秒で見る。「具体的な言葉」「数字」「活かし方」の3点を意識する
- 職種によってアピールポイントが異なる。ホールは接客品質、調理はスキルと数量、店長はマネジメント実績を中心に書く
- 職務要約は「誰が・どんな規模で・何年・何の役割」を3〜5行に凝縮する
- 「接客していました」を卒業し、席数・来客数・スタッフ数などの数字を1つ以上入れる
- 自己PRは「どんな場面で・何ができるようになったか・どう活かすか」の3点セットで書く
書き方がわかれば、次は自分の実績を言語化する作業だけです。採用担当者に「会ってみたい」と思わせる職務経歴書を仕上げてください。
- レストランの職務経歴書はA4何枚が適切ですか?
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経験年数が3年未満の場合はA4・1枚にまとめることを推奨します。3年以上の経験があるか、複数店舗・複数職種にわたる場合は2枚以内が目安です。2枚を超えると読む負担が増えるため、要点を絞り込む必要があります。
- アルバイト経験しかない場合も職務経歴書は必要ですか?
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応募先が「職務経歴書不要」と明示していない限り、アルバイト経験でも職務経歴書を作成して提出することを推奨します。アルバイトでも担当業務・勤務期間・実績(来客数・管理人数など)は記載できます。正社員経験がないことは不利になりません。むしろ「提出する」こと自体が採用担当者への誠実なアピールになります。
- 複数のレストランで働いた経験がある場合、すべて書く必要がありますか?
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勤務期間が1年以上の職歴はすべて記載するのが原則です。6ヶ月未満の短期在籍が複数ある場合は、まとめて記載する方法もあります。ただし空白期間があるように見える部分は採用担当者が疑問を持つため、在籍していた事実は記載したうえで補足を添えるほうが印象は良くなります。
- レストランから異業種へ転職する場合、職務経歴書で何をアピールすればいいですか?
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異業種転職では「どこでも通用するポータブルスキル」を前面に出します。接客経験は「コミュニケーション力・クレーム対応力」、調理経験は「品質管理・工程管理・コスト意識」、店長経験は「チームマネジメント・数値管理・問題解決力」としてアピールできます。いずれも具体的なエピソードと数字を添えることが必須です。

