この記事では、医師が転職活動で提出する履歴書の正しい書き方を解説します。研修医期間の記載方法から医局人事による異動の書き方、採用担当者が最初に確認するポイントと落とされるNG例、志望動機の例文まで、医師転職に特化した視点で紹介します。
医師の転職履歴書が一般と「ここが違う」3つのポイント
医師の転職履歴書は、一般企業の転職者が使う履歴書とは記載ルールが一部異なります。特に初めて転職する医師が見落としやすい3点を確認してください。採用担当者への第一印象は履歴書が決めるため、基本ルールを正確に把握したうえで作成することが大切です。
| ポイント | 一般的な転職者 | 医師の場合 |
|---|---|---|
| 職歴の起点 | 新卒入社の会社から | 研修医の病院から |
| 異動の記載 | 入職・退職で区切る | 医局人事による異動と記載 |
| 資格欄の内容 | 業務に関連する資格 | 医師免許+専門医資格+学会認定も |
①研修医期間を職歴として記載する
初期臨床研修(2年間)と後期研修(専門研修)を経た医師は、この期間を職歴として記載します。研修医の期間を省略したり、学歴欄の続きとして扱ったりする医師がいますが、採用担当者はこの期間の経験を重視しています。
初期研修でどの診療科をローテーションしたか、後期研修ではどの専門領域に進んだかが、採用担当者の「即戦力かどうか」の判断基準になります。研修医期間の記載を省略すると、経歴に不自然な空白が生まれ、採用担当者が疑問を抱く原因になります。
良い例文(研修医期間の記載)
20XX年 4月 △△大学医学部附属病院 初期臨床研修医(内科・外科・救急科・小児科・産婦人科ほかローテーション)
20XX年 3月 初期臨床研修修了
20XX年 4月 △△大学医学部附属病院 消化器内科 後期研修医
20XX年 3月 後期研修修了
NG例
研修医期間を省略し、大学医局への入局(または常勤医としての入職)から職歴を記載している。採用担当者には「なぜ研修医時代が書いていないのか」と疑問を持たれます。経歴に空白があると補足情報を求める手間が発生し、書類選考の印象が下がります。
②医局人事による異動は「退職」と書かない
大学病院で医局に所属し、複数の関連病院を異動した経験のある医師が特に注意すべき点です。医局人事による配置換えは「退職→入職」ではなく、「医局人事による異動」として記載します。
異動のたびに「退職」「入職」を繰り返して書くと、短期間で複数の病院を転職したように見えてしまいます。採用担当者が医局制度を理解していても、見た目の「退職回数」が判断に影響することがあります。
良い例文(医局人事による異動の記載)
20XX年 4月 ○○大学医学部第一内科医局員
20XX年 4月 △△市立△△市民病院 内科 医員(医局人事による異動)
20XX年 4月 □□病院 内科 医員(医局人事による異動)
20XX年 3月 医局退局・上記病院退職
20XX年 4月 ××クリニック 内科担当医(現在に至る)
NG例
各病院への異動ごとに「退職」「入職」と記載している。「3年間で3つの病院を転職した医師」と見なされ、採用担当者に不信感を与えます。医局人事による異動であることを明記するだけで、採用担当者の受け取り方は大きく変わります。
研修医の履歴書作成全般については、こちらの記事もあわせて参照してください。

③専門医資格・学会認定は資格欄に正式名称で記載する
医師の強みは専門性です。取得している資格や学会認定資格は、正式名称で資格欄に漏れなく記載してください。「持っているのに書いていない」のは最大の機会損失です。特に専門医資格を保有している場合、採用担当者への即戦力としての印象が大きく変わります。
| 資格名(略称) | 正式な記載例 |
|---|---|
| 内科専門医 | 日本内科学会 内科専門医 取得(20XX年) |
| 外科専門医 | 日本外科学会 外科専門医 取得(20XX年) |
| 消化器病専門医 | 日本消化器病学会 消化器病専門医 取得(20XX年) |
| 麻酔科専門医 | 日本麻酔科学会 麻酔科専門医 取得(20XX年) |
| 精神科専門医 | 日本精神神経学会 精神科専門医 取得(20XX年) |
| 小児科専門医 | 日本小児科学会 小児科専門医 取得(20XX年) |
採用担当者が最初に確認する3つのポイント
採用担当者はここを見ている
- 志望動機が「なぜこの病院・クリニックでなければならないのか」を具体的に説明できているか
- 職歴に空白期間がある場合、その理由が記載されているか(育児・病気・研究留学など)
- 写真・書類全体の丁寧さ(読みやすいフォント・適切な余白・修正液の有無)
①志望動機が「この病院でなければならない」理由になっているか
採用担当者が最も重視するのが志望動機です。複数の医療機関へ書類を送る際も、内容の使い回しは厳禁です。応募先の診療方針・専門外来・地域への貢献など、具体的な情報を調べたうえで書いてください。
採用担当者は「この医師は本当に当院を選んでいるのか、それとも手当たり次第に応募しているのか」を志望動機で確認しています。病院名を変えただけで使い回せる志望動機は、経験を積んだ採用担当者にはすぐ見抜かれます。
②職歴の空白期間・不自然な点がないか
職歴欄に空白期間がある場合は、必ず理由を記載してください。採用担当者は空白期間を見逃しません。
| 空白期間の理由 | 記載例 |
|---|---|
| 育児・介護 | 育児のため一時休職/介護のため休業 |
| 研究留学・海外留学 | ○○大学への研究留学(20XX年〜20XX年) |
| 体調不良・療養 | 療養のため休職(詳細は面接時にご説明します) |
| 専門医試験の準備 | 専門医資格取得のため準備期間 |
③写真と書類全体の丁寧さ
履歴書の細部は、医師としての仕事への姿勢そのものだと判断する採用担当者もいます。以下のポイントを必ず確認してください。
- 写真は3ヶ月以内に撮影した証明写真(白衣・スーツのいずれも可)
- 手書きの場合は黒のボールペンで丁寧に記載(修正液・修正テープの使用は不可)
- PC作成の場合は明朝体・ゴシック体など読みやすいフォントと適切な文字サイズ(10.5〜11pt)
- 空欄を作らない(関係のない項目は「特になし」「該当なし」と記載)
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →医師の転職履歴書 各項目の書き方と記載例
日付・氏名・写真
| 項目 | 記載のポイント |
|---|---|
| 日付 | 提出日を記載(郵送は投函日)。和暦・西暦どちらでも可、書類内で統一する |
| 氏名 | 戸籍の表記(旧字体・正字体)で記載。フリガナも必ず添える |
| 年齢 | 提出時点の満年齢 |
| 写真 | 3ヶ月以内撮影。白衣・スーツ可。加工・修整なし |
| 住所 | 都道府県から省略せず正確に記載 |
| 連絡先 | 日中に連絡がとれる電話番号とメールアドレス |
学歴欄の書き方
学歴欄は大学入学から記載します。大学名・学部・学科名は省略せず正式名称で記載してください。「医師国家試験合格」は学歴欄には記載せず、資格欄にのみ記載します。学歴と職歴を同じ欄に混在させないことも重要です。
良い例文(学歴欄)
20XX年 4月 ○○大学医学部医学科 入学
20XX年 3月 ○○大学医学部医学科 卒業
NG例
「○○大卒」「医学部卒」など省略した記載。採用担当者は大学名と卒業年度で年次・研修歴を確認するため、省略があると経歴の確認が困難になります。
職歴欄の書き方(研修医〜現職まで)
職歴欄は研修医期間から現職まで、時系列に沿って記載します。病院名・診療科名・役職(研修医・医員・指導医・助教など)を明記し、医局人事による異動は「(医局人事による異動)」と付記してください。
良い例文(職歴欄・医局在籍→常勤医転職の例)
20XX年 4月 △△大学医学部附属病院 初期臨床研修医(内科・外科・救急科・小児科・産婦人科ほか)
20XX年 3月 初期臨床研修修了
20XX年 4月 △△大学医学部消化器内科医局員
20XX年 6月 □□総合病院 消化器内科 医員(医局人事による異動)
20XX年 4月 △△大学医学部附属病院 消化器内科 助教
20XX年 3月 医局退局・上記病院退職
20XX年 4月 ○○病院 消化器内科 常勤医(現在に至る)
研修医として記載すべき内容や採用担当者が確認するポイントの詳細については、こちらの記事も参考にしてください。

免許・資格欄の書き方
資格欄は以下の順序で記載します。
- ①医師免許(取得年月と免許番号)
- ②麻薬施用者免許(取得している場合)
- ③専門医資格(取得順に)
- ④学会認定資格(取得順に)
- ⑤その他の関連資格
良い例文(免許・資格欄)
20XX年 3月 医師免許 取得(第○○○○号)
20XX年 4月 麻薬施用者免許 取得
20XX年 4月 日本外科学会 外科専門医 取得
20XX年 9月 日本消化器外科学会 消化器外科専門医 取得
NG例
医師免許のみ記載し、専門医資格を書いていない。採用担当者は「専門医を持っていない医師」と判断します。資格は多いほど評価に有利なため、取得済みのものはすべて記載してください。
志望動機・自己PR欄の書き方
採用担当者はここを見ている
- 「なぜこの病院・クリニックなのか」の答えが具体的に書かれているか
- 自分のキャリアと応募先の診療方針・専門領域の接点が明確になっているか
- 入職後に何を実現したいかが書かれているか(前向きな動機で終わっているか)
志望動機を書く際は、以下の3ステップで整理してください。
- ステップ1:応募先の強み・特徴を調べる(診療科の特徴・専門外来・地域への貢献など)
- ステップ2:自分のキャリアと応募先の接点を具体的に示す(経験症例・スキル・専門領域)
- ステップ3:入職後に何を実現したいかで締める(前向きな動機で終わる)
文字数は200〜300字を目安に、記入欄の70〜80%を埋めてください。余白が多い履歴書は、採用担当者に「志望度が低い」と判断される可能性があります。
採用担当者に評価される志望動機の例文5選
転職理由や目指すキャリアによって、志望動機の書き方は変わります。5つのパターン別に例文を紹介します。採用担当者に「ぜひ面接で会いたい」と思わせる例文の共通点は、「なぜここなのか」への具体的な答えが必ず入っていることです。
①専門性を深めたい型(キャリアアップ・スキル強化)
良い例文
現在、消化器外科に従事し、腹腔鏡下手術を専門としています。貴院が県内有数の腹腔鏡下手術件数を誇り、難易度の高い膵臓・胆道領域の症例も積極的に取り扱われていることに魅力を感じ、応募いたしました。外科専門医・消化器外科専門医を取得した経験を活かし、貴院の外科チームに貢献できると考えております。(140字)
NG例
「外科・消化器外科でのキャリアを積み、さらなる成長のために転職を希望しています。」応募先への具体的な言及がなく、どの病院にも使えるテンプレートと判断されます。「さらなる成長」という表現だけでは、「では当院でなくてもよいのでは」と採用担当者に感じさせます。
②病院からクリニックへの転職型
急性期病院からクリニックへ転職する場合、「楽な職場を求めている」という印象を与えないための書き方が重要です。慢性疾患管理・かかりつけ医としての役割・地域医療への貢献など、前向きな動機を具体的に示してください。
良い例文
総合病院の消化器内科で6年間、急性期医療に従事してまいりました。今後は地域の患者様に継続的に関わり、かかりつけ医として慢性疾患の管理に携わりたいと考えています。貴クリニックが胃腸科を専門とし、地域の内視鏡検診を積極的に担われていることに共感し、応募いたしました。(130字)
NG例
「ワークライフバランスを改善したく、クリニックへの転職を検討しています。」「楽な職場を求めている」と受け取られるリスクがあります。転職理由がネガティブな逃避であれば、採用担当者に「うちでも同じ不満を言うかもしれない」と判断されます。
医療法人への転職で求められる志望動機の書き方については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

③ワークライフバランス・育児との両立型
育児や家庭の事情を転職理由にする場合は、そのまま「残業を減らしたい」と書かず、入職後の意欲と結びつけて記載してください。家庭の状況を正直に書くことは採用担当者への信頼につながります。
良い例文
子どもの育児に積極的に関わるため、勤務時間が安定した職場への転職を希望しています。貴院が育児支援制度を整備し、育児中の医師が活躍されていることを拝見しました。内科外来での5年間の経験を活かし、育児との両立をしながら長期的に貢献したいと考えております。(122字)
④研究・教育への関与を希望する型(大学病院・教育病院志望)
市中病院から大学病院・教育病院へ転職する際は、臨床経験を活かして研究・教育にも貢献できる旨を具体的に書くことで、採用担当者に「即戦力かつ組織への貢献者」という印象を与えられます。
良い例文
市中病院での臨床経験を8年間積んでまいりました。今後は臨床と並行して研究・教育にも携わりたいと考え、専門医研修プログラムを持つ貴院に応募いたしました。貴院の循環器内科分野での研究実績と、若手医師の育成への取り組みに共感しており、指導医として貢献できると確信しています。(138字)
⑤地域医療・特定地域への定住を希望する型
パートナーの転勤や出身地への帰省など、地理的な理由で転職する場合も正直に書いて問題ありません。その地域で長期的に働く意志を示すことが、採用担当者への訴求力になります。
良い例文
パートナーの転勤に伴い、○○市での長期勤務を希望しています。○○市が医師不足の課題を抱えていることは以前から認識しており、貴院が地域の中核病院として幅広い診療を担われている点に魅力を感じています。内科・救急領域の経験を活かし、地域医療に長く貢献したいと考えております。(136字)
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 研修医期間・医局人事による異動は職歴として正確に記載する
- 専門医資格・学会認定資格は正式名称で漏れなく資格欄に記載する
- 採用担当者が最重視するのは「なぜこの病院・クリニックなのか」を説明できる志望動機
- 職歴の空白期間は必ず理由を添える
- 写真・書類全体の丁寧さも採用担当者の評価対象になる
医師の転職履歴書は、キャリアの特殊性を正確に伝えるための重要な書類です。医局制度・専門医資格・研修歴など、医師ならではの経験を正しく記載し、応募先に合わせた志望動機を準備してください。
医療法人の履歴書作成については、こちらの記事もあわせて参照してください。

医師の転職履歴書に関するよくある質問
- 医師の転職履歴書は手書きとパソコンどちらがよいですか?
-
パソコン作成が一般的です。読みやすく修正しやすいため、特別な指定がなければパソコンで作成してください。手書きを選ぶ場合は黒のボールペンで丁寧に記載し、修正液の使用は避けてください。医療機関側からPC・手書きの指定がある場合はその指示に従います。
- 医局人事による異動の経験がある場合、転職回数が多く見えますか?
-
正しく「医局人事による異動」と記載することで、採用担当者は経緯を正確に理解できます。採用担当者の多くは医師の医局制度を理解しており、異動を転職とは見なしません。逆に異動ごとに「退職」「入職」と記載すると、転職回数が多い医師と誤解されるリスクがあります。
- 専門医資格が申請中の場合、履歴書にどう書けばよいですか?
-
「(申請中)」または「(取得予定:20XX年XX月)」と付記して記載してください。例:「日本内科学会 内科専門医(申請中)」。取得予定年月が確定していれば合わせて記載すると、採用担当者への伝わり方が明確になります。
- 医師の転職で職務経歴書も必要ですか?
-
履歴書に加えて職務経歴書の提出を求める医療機関が増えています。職務経歴書では診療科ごとの経験症例数・手術件数・専門スキルを具体的に記載することで、採用担当者への説得力が高まります。医師の転職エージェントを利用する場合は、職務経歴書の作成サポートを受けられることが多いです。


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