この記事では、病院への転職で提出する医師の履歴書の書き方を採用担当者の視点から解説します。医局人事による職歴の整理方法、病院別の志望動機例文、書類選考で落とされやすいNGパターンまで網羅します。
病院の採用担当者が医師の履歴書から確認していること
病院の採用担当者が医師の書類選考で確認するのは、「経歴の一貫性」と「志望動機の具体性」の2点です。どれほど豊富な臨床経験を持っていても、この2点が伝わらない履歴書は選考を通過しません。
職歴の「流れ」からスキルの文脈を読んでいる
採用担当者は職歴欄を「どこで働いていたか」のリストとして読むのではなく、各病院での診療科・役職・期間を時系列で確認しながら「この医師は何を専門とし、どのようなスキルを積み上げてきたのか」という文脈を読んでいます。
特に医師の場合、医局人事による異動が多く、複数の病院・診療科を経験しているケースが大半です。採用担当者側も医局システムを理解していますが、「なぜこの経歴の流れになったのか」が説明なしでは読み取れないと判断した履歴書は、面接の機会を与えずに書類段階で落とされます。
採用担当者はここを見ている
- 診療科と専門領域:内科・外科系の区別、主な担当疾患・処置内容
- 各病院での役職:医員・副医長・医長など、責任の重さを示す情報
- 異動の理由:医局人事による異動か、自己都合転職かの区別
- 在籍期間:短期間での離職が多い場合、理由の補足が必要
30秒で落とされる履歴書の共通点
採用担当者が書類選考に割ける時間は1人あたり数十秒程度です。この短時間で面接に呼ぶかどうかの判断をしています。以下のパターンに当てはまる履歴書は、内容を精読される前に落とされるリスクがあります。
- 職歴欄に病院名だけが並び、診療科・役職の記載がない
- 医局人事による異動を「一身上の都合により退職」と書いてしまっている
- 志望動機が「貴院の理念に共感しました」の一文で終わっている
- どの病院にも使い回せる汎用的な志望動機になっている
医師の履歴書の項目別書き方
医師の履歴書は、一般の転職者向け履歴書と記載方法が異なる項目がいくつかあります。項目ごとに採用担当者が確認するポイントを押さえながら記入しましょう。
写真・基本情報の書き方
証明写真は3×4cmサイズを使用します。3ヶ月以内に撮影したものが原則で、背景は白か淡い色が適切です。服装はスーツが基本で、白衣での撮影は避けましょう。ただし美容クリニックや一部の専門施設では、白衣撮影が求められるケースもあります。
日付欄は履歴書を提出する日付(郵送の場合は投函日)を記入します。和暦・西暦のどちらかに統一することが必要で、混在はNGです。学歴・職歴欄と日付の元号を揃えます。
学歴欄の書き方
医師の場合、学歴欄は大学医学部からの記載が一般的です。高校からの記載も問題ありませんが、採用判断に直結する情報は大学以降のため、大学入学から記載するスタイルが主流です。大学名・学部・学科は略称を使わず正式名称で記載します。
良い例
2010年4月 ○○大学医学部医学科 入学
2016年3月 ○○大学医学部医学科 卒業
NG例
2010年4月 ○○大学医学部 入学
2016年3月 ○○大学医学部 卒業
「医学科」を省略するのはNG。正式な学科名まで記載すること。
大学院に進学した場合は「○○大学大学院医学研究科○○専攻 修了(博士課程)」のように記載します。大学院在籍中に他の病院で勤務していた場合は、職歴欄と時系列が整合するよう注意が必要です。
職歴欄の書き方(医局人事・常勤・非常勤)
医師の履歴書で最も差がつく項目が職歴欄です。複数の病院を異動してきた医師の場合、「病院名だけ」「入退職日だけ」の記載では採用担当者に経歴が伝わりません。各病院での診療科・役職・異動理由をセットで記載することが必要です。
| 状況 | 記載方法 | 補足の書き方 |
|---|---|---|
| 医局人事による異動 | 入職・退職を通常通り記載 | 退職欄に「医局人事による異動」と明記 |
| 常勤(自己都合転職) | 入職・退職を記載 | 「一身上の都合により退職」と記載可 |
| 非常勤・アルバイト勤務 | 常勤勤務の補足として記載 | 「非常勤」と明記し、担当診療科・期間を記載 |
| 研修医期間 | 「初期研修医」として記載 | 研修先病院名・研修期間を明記 |
非常勤先が多数ある場合は、応募先と関連する診療科・スキルに絞って記載しても構いません。ただし重要な勤務経験の隠蔽と受け取られないよう、「他数施設にて非常勤勤務(内科・外科系)」のように補足する方法も有効です。
研修医として最初の病院に勤務した記録は、職歴として必ず記載します。研修医特有の履歴書の書き方は以下の記事も参考にしてください。

免許・資格欄の書き方(医籍登録番号・専門医資格)
医師の免許・資格欄は、一般的な転職者と記載すべき情報の種類が大きく異なります。記載の順番は「取得年月日が古い順」が基本で、医師免許を最初に記載します。
良い例文
20○○年○月 医師免許取得(登録番号:○○○○号)
20○○年○月 日本内科学会認定内科医 取得
20○○年○月 日本消化器病学会専門医 取得
NG例
20○○年○月 医師資格取得
20○○年○月 消化器専門医 取得
「免許」を「資格」と書くのはNG。専門医は学会名を省略しない。
医籍登録番号の記載は義務ではありませんが、採用担当者が確認する手間を省ける利点があります。記載する場合は「医師免許取得(登録番号:○号)」のように括弧書きで補足します。
志望動機・自己PR欄の書き方
履歴書の志望動機欄は200〜400文字が目安です。以下の3段構成で書くと、採用担当者に意図が伝わりやすくなります。
- なぜこの病院なのか:診療方針・理念・特定の診療体制への具体的な共感(どの病院にも使い回せる内容はNG)
- 自分が貢献できること:過去の診療実績や症例数など数値で裏付けられた根拠
- 今後のキャリアビジョン:この病院でどのような医師になりたいか
医療法人への転職で志望動機を書く際の詳しいポイントは、以下の記事も参考にしてください。

採用担当者はここを見ている
- 「貴院の理念に共感」だけでは選考落ち。どの取り組みに、なぜ共感したのかを具体的に書く
- 「外来患者を週○○名担当」「○○手術の執刀○件」のように実績を数値で示す
- 給与・勤務時間・休日の希望は志望動機欄に書かない(本人希望欄または面接時に確認)
病院別・転職パターン別の志望動機例文
志望動機は、応募先の病院の特性に合わせて内容を書き分けることが必須です。「どの病院にも使える汎用文」は採用担当者に見抜かれます。施設の形態別に、採用担当者が「この人に会いたい」と感じる志望動機の例文を示します。
総合病院・急性期病院への転職
急性期病院への転職では、「幅広い症例への対応力」と「チーム医療への貢献」を志望動機に絡めることが効果的です。採用担当者は「この医師が入職することで現場の戦力になるか」を判断しています。
良い例文
「貴院の救急・急性期診療の充実した体制に魅力を感じ、志望しました。前職の○○病院では外来患者を月平均350名担当し、救急対応も年150件以上経験しました。特に消化器内科の専門性を活かした急性期対応に注力してきました。貴院の消化器・循環器を中心とした急性期診療の体制のもとで、即戦力として地域医療に貢献したいと考えています。」
NG例
「地域の医療に貢献したいと考え、貴院を志望しました。これまでの経験を活かし、貴院の発展に貢献できると考えています。どうぞよろしくお願いいたします。」
数値も、この病院への具体的な共感もない。どの病院にも使い回せる汎用文は書類選考で落とされる。
クリニック・診療所への転職
総合病院からクリニックへの転職では、採用担当者が最も気にするのが「大きな病院から来て、なぜクリニックなのか」という点です。この疑問に正直かつ具体的に答えることが、書類選考通過の鍵です。
良い例文
「在宅医療と予防医療を中心とした貴院の診療方針に共感し、志望しました。前職の急性期病院では入院患者の治療を中心に担当していましたが、退院後の継続的なフォローに限界を感じていました。貴院の訪問診療体制と患者との長期的な関係づくりを大切にする診療スタイルのもとで、地域医療の継続性に貢献したいと考えています。」
医療法人が運営するクリニックや診療所に応募する場合の履歴書全体の書き方は、以下も参考にしてください。

大学病院への転職
大学病院への転職では、臨床実績だけでなく「研究・教育への関与」を志望動機に盛り込むことが重要です。採用担当者は、即戦力の臨床力とあわせて、後進の育成や研究活動への意欲も確認しています。
良い例文
「臨床と研究を両立できる環境に魅力を感じ、貴科を志望しました。前職では○○領域の臨床を担当しながら、○○学会にて○件の発表を行い、○○に関する症例研究を継続してきました。貴科のご専門である○○分野でのさらなる深化を目指すとともに、研修医・若手医師の教育にも積極的に関与したいと考えています。」
採用担当者が通過させたくなる履歴書の特徴
書類選考を通過する医師の履歴書に共通しているのは、「採用担当者が読んで、面接の場で確認したい内容が浮かぶ」という点です。履歴書の目的は内定ではなく、面接への切符を手に入れることです。この意識を持って作成すると、書く内容が変わります。
「この病院でなければならない理由」が書けているか
採用担当者が志望動機欄で最も確認したいのは「なぜよりによってこの病院なのか」という答えです。応募前に以下の情報を確認し、志望動機に具体的に盛り込みましょう。
- 病院ウェブサイトの「基本理念」「診療方針」ページの内容
- 求人票に記載された診療科の特徴や求める医師像
- 当該病院が強みとする診療領域・専門外来の有無
- 地域での役割(地域基幹病院・救急指定・在宅医療の実績など)
職歴欄でよくあるNGパターンと修正例
採用担当者はここを見ている
- NGパターン①「一身上の都合により退職」:医局人事による異動であれば「医局人事による異動」と明記する。「一身上の都合」と書くと自己都合転職と誤解される
- NGパターン②「病院名のみの記載」:病院名に加えて診療科・役職・主な担当業務を必ず補足する
- NGパターン③「短期勤務の省略」:勤務期間が短くても省略せず記載する。後から発覚すると採用取り消しのリスクがある
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →医師の履歴書提出時のマナー
履歴書の内容が正しくても、提出方法やマナーに問題があると採用担当者の印象を下げるリスクがあります。特に病院への郵送では確認すべきポイントがあります。
手書き vs PC作成
応募先から指定がない限り、PC作成・手書きのどちらでも評価には影響しません。ただし医局人事で複数の病院を経験してきた医師の場合は、PC作成のほうが情報を整理しやすく、修正や複数施設への応募時の流用もしやすいためPC作成を選ぶ医師が大多数です。
手書きを選ぶ場合は、ボールペン(黒)を使用し、修正液・修正テープは使わないことがマナーです。書き損じた場合は新しい用紙に書き直します。
封筒の書き方と郵送方法
履歴書を郵送する際は、角形2号(A4が折らずに入るサイズ)の白い封筒を使います。封筒の書き方と郵送前の確認事項は以下の通りです。
- 宛名:「○○病院 人事部 採用担当者 御中」(担当者名が明示されている場合は「○○様」)
- 封筒表面の左下:「応募書類在中」を赤字で記載
- 同封書類の順番:送付状(カバーレター)・履歴書・職務経歴書の順で入れる
- 切手:重量を確認してから貼付。不足分は差出人に返送されるリスクがある
研修医マッチングで提出する志望動機の書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 採用担当者は職歴欄から「スキルの文脈」を読んでいる。病院名だけの記載は書類落ちの原因になる
- 医局人事による異動は「医局人事による異動」と明記する。「一身上の都合」は誤解を招く
- 専門医資格は学会名を含めた正式名称で記載する(「内科専門医」などの略称はNG)
- 志望動機は「この病院ならではの理由」と「数値で示せる実績」の両方を盛り込む
- 施設形態(急性期病院・クリニック・大学病院)に合わせて志望動機の内容を書き分ける
書類選考を通過する履歴書は、採用担当者が「この人の話を直接聞きたい」と感じる内容を目指して作成してください。
病院 履歴書 医師に関するよくある質問
- 医師の履歴書で医籍登録番号は必ず書く必要がありますか?
-
必須ではありませんが、記載を推奨します。採用担当者が確認する手間が省け、信頼性のアピールにもなります。「医師免許取得(登録番号:○○号)」のように括弧書きで補足します。
- 研修医時代の勤務先は職歴に書きますか?
-
職歴として記載します。「○○病院 初期研修医(20○○年〜20○○年)」のように研修医であることを明示することで、採用担当者がキャリアの文脈を正確に把握できます。
- アルバイト先の病院も職歴に書きますか?
-
応募先に関連するスキルを得た非常勤先であれば記載を推奨します。「非常勤」と明記し、担当診療科・勤務期間を記載します。非常勤先が多数ある場合は「他数施設にて非常勤勤務」と補足してまとめても構いません。
- 病院の採用担当者は医師免許の登録番号を確認しますか?
-
確認することがあります。厚生労働省の「医師等資格確認検索」サービスから氏名で検索できます。登録番号を履歴書に記載しておくと、採用担当者側の確認作業がスムーズになります。


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