この記事では、履歴書の健康状態欄の書き方を採用担当者の視点で解説します。業務に支障がある持病がある場合・定期的な通院が必要な場合・うつ病など精神疾患がある場合など、状況別の正しい書き方と採用への影響を例文つきで紹介します。
履歴書の健康状態欄とは?採用担当者が確認していること
履歴書の健康状態欄は、記入方法に迷う求職者が多いセクションです。「良好」と書いていいのか、持病や通院のことはどこまで書くべきか——判断が難しいのは、この欄が何のためにあるかが十分に理解されていないからです。
採用担当者が健康状態欄で確認しているのは、病名や既往歴そのものではなく、業務を継続して遂行できる体制にあるかどうかという一点です。この前提を押さえると、何をどこまで書けばいいかが自然と見えてきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 業務遂行に影響を与える健康上の事情の開示 |
| 記入の基準 | 業務に支障がある場合のみ詳細を記載。支障がなければ「良好」のみでよい |
| 空欄の扱い | 原則NG(記入漏れや隠蔽と判断される場合がある) |
| 病名の記載 | 必須ではない。通院頻度と業務への影響のみ書けば十分 |
| 虚偽記載のリスク | 入社後に発覚した場合、内定取消・懲戒処分の対象になり得る |
履歴書 健康状態欄 基本情報(採用担当者視点)
健康状態欄には「業務への影響」という観点から必要な情報を書く、という原則さえ理解できれば、持病や既往歴があっても記入方法で迷う必要はなくなります。
採用担当者が健康状態欄で確認する3つのポイント
- 業務を継続できる体制にあるか:入職後に突然の長期休業が必要になるリスクを事前に把握したい
- 定期的な通院・配慮が必要か:休暇の取り方や業務分担の調整が事前に必要かどうかを判断する
- 記載内容が正直かどうか:入社後に相違が発覚した場合、信頼関係に深刻な影響が出る
履歴書の健康状態欄で「やばい」と言われる失敗5選
健康状態欄でのミスは採用に影響するだけでなく、入社後のトラブルや信頼失墜にもつながります。よくある失敗パターンを事前に知っておくことが、リスクを避ける最も確実な対策です。以下の5つが特に多い失敗です。
業務に支障があるのに「良好」とだけ書いてしまう
最も問題になるのが、業務への支障があるにもかかわらず「良好」とだけ記載するケースです。持病の通院で定期的に平日休暇が必要な場合や、体力的な業務制限がある場合、「良好」と書くことは事実に反する記載になります。
内定後や入職後に健康診断の結果や業務実態から相違が明らかになると、虚偽記載として内定取消や懲戒処分の対象になるリスクがあります。記載時の不安から「良好」と書いてしまいたい気持ちは理解できますが、長期的には自分を守る正直な記載の方が有利に働きます。
健康状態欄を空欄のままにしてしまう
「書くことが何もない」と思い、健康状態欄を空欄にするケースも問題です。記入欄が設けられているにもかかわらず空欄で提出すると、採用担当者に「記入漏れでは」「何か隠しているのでは」という印象を与えます。
問題のない健康状態であれば「良好」の一言だけで十分です。空欄は記入漏れと見なされる場合もあるため、原則として避けてください。問題がない場合は「良好」または「きわめて良好(〇年間無欠勤)」と明記することで、むしろポジティブなアピールになります。
病名・薬名を詳細に書きすぎてしまう
逆方向の失敗として、病名・薬名・既往歴を詳細に書きすぎるケースがあります。健康状態欄は医療記録を開示する欄ではなく、業務への影響を伝える欄です。「〇型糖尿病、インスリン治療中、併発症として〇〇あり」のような詳細な病状記載は不要です。
採用担当者が必要としているのは「業務にどう影響するか」という情報のみです。病名を書かなくても問題なく、「月1回の通院が必要ですが業務に支障はありません」のように業務への影響の有無と通院頻度だけで十分です。
完治した既往歴をすべて書いてしまう
過去に病気やけがをした経験がある場合、「書かなければ嘘になる」と思いすべての既往歴を記載してしまう求職者もいます。しかし、完治していて現在の業務に影響がない過去の病気・けがを記載する必要はありません。
健康状態欄の判断基準はあくまで「現在の業務への影響」です。10年前に完治した病気や、すでに回復したけがは「良好」と書いて問題ありません。書くべきなのは現在進行形で業務に影響を与えている事情のみと覚えておきましょう。
うつ病・休職歴を隠して採用後に発覚する
うつ病や適応障害などの精神疾患、あるいは休職歴を隠して採用された場合、入社後に業務への影響が明らかになると深刻な問題になります。症状が安定していて業務に支障がない状態であれば「良好」と書いて問題ありませんが、現在も通院・服薬中で業務への影響が予想される場合は通院の頻度など必要な情報を記載することを検討してください。
精神疾患の既往歴・病名は法律上「要配慮個人情報」に該当するため、開示義務はありません。病名を隠すことは違法ではありませんが、業務への影響を隠すことは採用後のトラブルに直結します。「病名は書かないが、業務への影響は正直に書く」というアプローチが双方にとって最善の判断です。
採用担当者が評価する健康状態の書き方・状況別例文
やばい失敗の反対側——採用担当者が好印象を持つ健康状態欄の書き方を、状況別に解説します。ポイントは「業務への影響を具体的に・簡潔に・正直に書く」という3点です。
業務に支障がない場合の書き方
現在の健康状態に特筆すべき問題がなく、通院・服薬・業務制限がいずれも必要ない場合は「良好」のみで十分です。健康をアピールしたい場合は「きわめて良好(〇年間無欠勤)」と記載すると、健康管理ができている印象を与えられます。花粉症や軽度の腰痛のように、業務への影響がほとんどない軽微な持病は記載しなくて問題ありません。
| 状況 | 記載例 |
|---|---|
| 特に問題なし | 良好 |
| 健康をアピールしたい | きわめて良好(〇年間無欠勤) |
| 軽い持病あり・業務への影響なし | 良好(花粉症あり・服薬で管理済み。業務に支障はありません) |
定期的な通院が必要な場合の書き方
持病の管理や経過観察のために定期的な通院が必要な場合は、通院の頻度と業務への影響の有無を簡潔に記載します。病名の記載は必須ではありません。採用担当者が知りたいのは「どのくらいの頻度で、どのような配慮が必要か」という実務的な情報です。
| 通院の頻度・状況 | 記載例 |
|---|---|
| 3か月に1回(半日) | 良好(3か月に1回の定期通院があります。午後半日の休暇をいただければ業務に支障はありません) |
| 月1回・業務時間外 | 良好(月1回の定期検診がありますが業務時間外に受診できます。業務への支障はありません) |
| 月2回・平日午前 | 良好(月2回の通院が必要です。午前半休を定期的にいただければ業務は継続できます) |
既往歴があるが完治している場合の書き方
過去に大きな病気やけがをしたことがある場合でも、現在は完治していて通院や業務制限が一切ない状態であれば「良好」とだけ記載して問題ありません。完治後も定期的な経過観察が続いている場合は、その頻度と業務への影響を添えることをおすすめします。
| 状況 | 記載例 |
|---|---|
| 完治・通院なし | 良好(過去に〇〇を患いましたが完治しており、現在は通院も不要で業務に支障はありません) |
| 完治・経過観察あり | 良好(〇〇の治療後、現在は半年に1回の経過観察のみです。業務に支障はありません) |
うつ病・適応障害・精神疾患がある場合の対処法
転職活動中の悩みとして特に多いのが、うつ病や適応障害などの精神疾患がある場合の健康状態欄の書き方です。法律上の整理を理解した上で、状況別の適切な書き方を選ぶことが重要です。
精神疾患の既往歴は開示義務がないと知っておく
まず整理しておきたいのは、うつ病・適応障害・統合失調症などの精神疾患の病名・病歴は「要配慮個人情報(個人情報保護法第2条第3項)」に該当するという点です。求職者は病名や病歴を採用担当者に開示する法律上の義務はありません。
ただし、「開示義務がない」ことと「業務への影響を隠してよい」ことは別です。病名を書かないことは合法ですが、業務に影響を与える可能性のある情報(通院の必要性・業務制限など)を書かないことは、採用後のトラブルにつながります。また、病気を理由に前職を退職している場合は、退職理由の書き方にも注意が必要です。
精神疾患と健康状態欄の整理
- 書かなくていいもの:病名・薬の種類と量・精神疾患という事実そのもの
- 書いた方がいいもの:業務に影響する通院の頻度、特定業務への制限(夜勤・出張・残業など)
- 「良好」と書ける状態:現在は症状が安定していて通院が不要、または業務時間外に受診できている
症状が安定している・完治している場合の書き方
うつ病・適応障害の治療が完了し、現在は症状が安定して通院も不要な場合は、シンプルに「良好」と記載して問題ありません。面接で健康状態を聞かれた場合も「良好です」と回答できます。
「過去にうつ病を患っていたことを隠しているのでは」と感じる方もいますが、完治していて業務に支障がない状態であれば正確な情報として「良好」と書くことが適切です。健康状態欄は現時点の状態を書く欄であり、過去の病歴を遡って書く欄ではありません。
現在も通院・服薬中の場合の書き方
現在も治療が続いていて定期的な通院や服薬が必要な場合は、病名を書かずに通院の頻度と業務への影響を記載します。以下の記載例が採用担当者に伝わりやすい表現です。
通院中・服薬中の場合の記載例
- 「良好(2か月に1回の定期通院があります。業務時間外に受診できるため業務への支障はありません)」
- 「良好(月1回の通院が必要です。午前半日の休暇をいただければ業務は継続できます)」
- 「現在投薬による管理を継続していますが、症状は安定しており業務に支障はありません(月1回の通院あり)」
障がい者雇用(オープン就労)と一般雇用(クローズ就労)のどちらで転職するかによっても、開示の判断は変わります。障害者手帳を持っている方や、適切な就労形態について迷っている方は、転職エージェントに相談しながら決めることをおすすめします。
健康状態に不安がある人の転職活動の進め方
履歴書の書き方と同時に、健康状態に不安がある場合の転職活動の全体像も整理しておきましょう。どのような状況でどう動くべきか、「良好」で進められる状況と詳細な記載・確認が必要な状況を分類します。
「良好」のみの記載で進めていい状況
- 業務に支障がない軽微な持病(花粉症・腰痛・高血圧など):定期通院や業務制限が不要なもの
- 完治した既往歴:現在の通院・服薬が不要で業務に影響がない場合
- 業務時間外に受診できる定期通院のみ:休暇申請が不要な通院で完結する場合
- 精神疾患の完治後・長期安定期:症状が落ち着いて業務に支障がない状態
詳細な記載と企業への確認が必要な状況
- 平日の定期通院が必要:月1回以上、平日に半日以上の休暇申請が必要な通院がある場合
- 業務に制限がある:重い物を持てない・長時間の立ち仕事が難しいなどの制限がある場合
- 夜勤・出張・残業に制限がある:医師から特定の勤務形態を制限されている場合
- 現在も治療中で症状が不安定:服薬調整中や症状が変動することがある場合
健康状態に不安がある転職者におすすめの転職エージェント
健康状態に不安を抱えながら転職活動をする場合、自分一人で企業の配慮体制や職場環境を調べるには限界があります。転職エージェントを活用すれば、健康状態を事前に伝えた上で配慮が整った求人を紹介してもらうことができます。履歴書の書き方についても、経験豊富なキャリアアドバイザーが個別にサポートしてくれます。
まとめ
履歴書の健康状態欄は、病名や過去の病歴をすべて告白する欄ではありません。採用担当者が必要としているのは、業務継続に関わる具体的な情報です。
- 基準は「業務への影響」:業務に支障がなければ「良好」、支障がある場合のみ詳細を記載する
- 病名の記載は不要:通院の頻度と業務への影響を具体的に書けば十分
- 空欄はNG:問題がない場合は「良好」と明記することで誠実さが伝わる
- 精神疾患の病名に開示義務はない:病名は書かなくていいが、業務への影響は正直に書く
- 完治・安定している場合は「良好」:健康状態欄は現在の状態を書く欄。過去の病歴を遡る必要はない
不安が大きい場合は、転職エージェントに相談した上で企業への情報開示の方法を一緒に考えることをおすすめします。
履歴書の健康状態欄に関するよくある質問(FAQ)
- 花粉症・腰痛など軽い持病は健康状態欄に書く必要がありますか?
-
業務に支障がなければ書く必要はありません。定期通院や業務制限がなく、服薬で管理できている状態であれば「良好」と記載して問題ありません。ただし、花粉の季節に欠勤や早退が頻繁に発生する可能性がある場合は、その旨を簡潔に記載しておく方が入社後のトラブルを防げます。
- うつ病の病名は履歴書に書かないといけませんか?
-
うつ病などの精神疾患の病名は「要配慮個人情報」に該当するため、法律上の開示義務はありません。病名は書かなくても問題ありません。ただし、業務への影響(通院の頻度・業務制限など)がある場合はその点を記載してください。現在は症状が安定して通院が不要な状態であれば「良好」と記載できます。
- 「良好」と書いたのに入社後に健康問題が発覚したらどうなりますか?
-
記載時点で業務に支障がなかったのであれば原則として問題にはなりません。問題になるのは、記載時点ですでに業務に影響する健康状態があったにもかかわらず「良好」と書いていた場合です。そのケースでは虚偽記載として内定取消や入社後の懲戒処分の対象になる場合があります。
- 健康状態欄がない履歴書を使ってもいいですか?
-
問題ありません。厚生労働省が推奨する標準的な履歴書フォーマット(JIS規格)には健康状態欄があります。健康状態を書くことへの不安が強い場合は、健康状態欄のない独自フォーマットの利用も選択肢のひとつです。採用担当者が評価する履歴書の選び方も参考にしてください。ただし、企業から特定の書式を指定されている場合はそれに従ってください。



コメント