この記事では、履歴書と職務経歴書それぞれについて、手書きかパソコンかどちらで作るべきかを採用担当者の視点で解説します。同じ書類でも判断基準は異なるため、正確に使い分けることが書類選考通過への近道です。
【結論】履歴書と職務経歴書、それぞれの答え
履歴書:どちらでも可、ただし条件がある
履歴書は、企業からの指定がない限り手書きでもパソコン作成でも問題ありません。採用担当者が書類選考で評価するのは記入内容の質であり、作成方法そのものではないためです。
ただし、以下の条件に当てはまる場合は選び方が変わります。
- 企業側が「手書きで提出してください」と指定している場合は、必ず手書き
- 金融機関・士業・ブランド系など、書字の丁寧さを重視する業界では手書きが自然
- ITエンジニアやWeb系など、パソコン業務が中心の職種ではパソコン作成が適切
採用担当者はここを見ている
- 指定通りに提出されているか(指示を正確に読み取る力の確認)
- 指定がない場合の自分なりの判断力(状況に応じた選択ができるか)
- 文字の読みやすさとレイアウトの整理(内容が伝わる書類かどうか)
職務経歴書:パソコン作成が事実上の標準
職務経歴書については、手書きよりもパソコン作成が実質的な標準です。これは習慣やマナーの問題ではなく、書類の性質に理由があります。
職務経歴書は職歴・実績・スキルなど多くの情報を構造的に整理して伝える書類です。レイアウトを自由に調整できるパソコン作成の方が、情報の読みやすさが格段に上がります。採用担当者が複数の応募書類を短時間でチェックする現場では、この差は無視できません。
採用担当者はここを見ている
- 情報が構造的に整理されているか(見出し・箇条書きの活用)
- 職歴の期間・会社名・業務内容がひと目でわかるか
- 誤字脱字がなく、修正痕がないか
採用担当者から見た手書き・パソコンの実態
「手書き=誠実」は通用しにくくなっている
かつては「手書きの履歴書は誠意の表れ」と言われていた時期がありました。しかし採用の現場では、この感覚は少しずつ薄れています。
大量の書類を処理する採用担当者にとって、読みにくい手書き文字は書類確認の負担になるケースがあるからです。きれいな字で書かれた手書き履歴書は印象を損ないませんが、「手書きをした=加点」とは限りません。
もちろん、字が整っていて、かつ丁寧に書かれた手書き履歴書は好印象です。しかしその場合に評価されているのは「手書きを選んだこと」ではなく、「書類の完成度そのもの」です。
パソコン作成で「やる気がない」とは見られない
「パソコン作成の履歴書は手抜きに見えるのでは」という不安を持つ方もいます。しかし、これは採用担当者の多数が持つ感覚ではありません。
転職市場ではパソコン作成の書類は標準的なスタイルです。テンプレートを活用していても、内容が練られていれば正当に評価されます。「テンプレートを使った=使い回した」とは判断されません。
書類選考で本当に問われているのは
採用担当者が書類選考で判断する軸は、作成方法の選択ではありません。次の3点が実際の判断ポイントです。
| 採用担当者が見るポイント | 具体的な中身 |
|---|---|
| 経歴の整合性 | 職歴の期間・会社名・業務内容に矛盾がないか |
| 志望動機の具体性 | なぜこの会社か、なぜこの職種かが伝わるか |
| 書類の読みやすさ | 文字の大きさ・レイアウト・誤字脱字の有無 |
手書きかパソコンかを決める3つの判断基準
判断基準①:企業からの指定(最優先)
最初に確認すべきは、企業からの指定です。求人票や応募書類の案内に「手書き」と記載がある場合は、必ず手書きで提出します。
パソコン作成で提出してしまうと、「指示を読まない人」「自分の都合を優先する人」という印象を与えかねません。書類の内容以前の問題になるため、まずここを確認することが最優先です。
指定がない場合の考え方
指定がない場合は、自分が作りやすく、かつ読みやすい書類を作れる方法で選んで問題ありません。迷う場合は②・③の基準を参考にしてください。
判断基準②:業界・職種の特性を確認する
業界や職種によって、手書きかパソコンかの文化的な慣習が異なります。下の表を参考に確認してください。
| 業界・職種 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| IT・Web・エンジニア | パソコン | パソコンスキルの証明になる |
| 金融・保険・士業 | 手書き | 文字の正確さを重視する慣習がある |
| 教育・公務員 | 手書きが多い | 指定があるケースが多い(要確認) |
| 一般事務 | パソコン推奨 | 書類作成スキルのアピールになる |
| 製造・物流・医療・福祉 | どちらでも可 | 内容と読みやすさが優先される |
この表はあくまで傾向であり、最終的には企業の採用ページや求人票で確認することが先決です。
判断基準③:時間と仕上がりのバランスを考える
転職活動中に複数の企業へ同時に応募する場合、毎回手書きで準備するのは現実的に負担です。
パソコン作成なら一度作ったデータを次の応募に活用でき、書き間違いのリスクもほぼゼロです。時間を効率的に使いたい場合は、パソコン作成を選ぶのが合理的な判断です。
一点注意が必要です。データを使い回す際も、会社ごとに志望動機や自己PRの内容を調整することは必須です。フォーマットを使い回すことと、内容を使い回すことは別の話です。
手書きで履歴書を作成するときの注意点
書き損じを防ぐ段取りを組む
手書きで最も注意が必要なのは書き損じです。1か所でも間違えると、原則として書き直しが必要になります。修正テープ・修正液の使用は不可です。
以下の手順で段取りを組むと、書き直しのリスクを減らせます。
- コピーに鉛筆で下書きをして、全体のレイアウトと文字量を確認する
- 完成イメージが固まったら本紙に清書する
- 書き終えたら誤字・抜け・日付を最低3回確認する
ペンの選択と文字の書き方
使うペンは黒の油性ボールペンが基本です。水性ペンやサインペンは雨濡れや経年劣化で滲むリスクがあります。また、消えるボールペン(フリクションなど)は公式書類での使用が禁止されています。
文字の大きさは枠内に均一に収まるよう意識してください。欄ごとにサイズがバラバラな書類は読む側に違和感を与えます。書き始める前に各欄の文字サイズを確認しておくと、後半で文字が窮屈になりません。
修正液・修正テープは絶対に使わない
NG例
書き間違えた箇所に修正液・修正テープを使い、その上から書き直した。これは書類提出のマナー違反です。採用担当者は修正痕の有無を確認することがあります。
良い例
書き損じた場合は、必ず新しい用紙に最初から書き直す。手間でも書き直すことで、細部まで確認できる人という印象が自然に伝わります。
パソコン作成で注意すべきNG5選
NG①:フォントと文字サイズのルールを守らない
フォントは明朝体(游明朝・ヒラギノ明朝など)が推奨です。ゴシック体でも問題ありませんが、明朝体とゴシック体が混在した書類は読みにくくなります。文字サイズは本文10.5〜11pt、項目見出しは12pt程度が目安です。デザイン系フォントや手書き風フォントはビジネス書類では避けます。
フォントの詳しい選び方は、履歴書フォントの選び方と採用担当者が見るポイントで解説しています。

NG②:情報を詰め込みすぎたレイアウト
内容を多く伝えようとするあまり、余白がなくなった書類は採用担当者が読みにくいと感じます。複数の書類を短時間で確認する現場では、視覚的に整理された書類の方が内容を正確に読んでもらえます。
採用担当者はここを見ている
- 余白が確保されているか(圧迫感がなく視線が自然に流れるか)
- 箇条書きと文章が状況に応じて使い分けられているか
- 最後まで読んで経歴の全体像が把握できるか
NG③:「使い回し」を疑われる3つのサイン
同じデータを複数社に送る際の変更漏れや、一般的すぎる志望動機は「使い回し」と判断されることがあります。
- 会社名・部署名が前の応募先のままになっている
- 志望動機に「御社の事業に共感し」以上の具体性がまったくない
- 応募職種と書いてある業務内容が一致していない
パソコン作成の便利さは、同じフォーマットを活用できることにあります。しかし会社ごとに志望動機・自己PRの内容を調整することは、手書きと同様に必須です。
NG④:PDFに変換せずWord形式のまま送る
メールやWebフォームで提出する場合、Word形式(.docx)のまま送ると、受け取り側の環境によってレイアウトが崩れることがあります。提出前にPDF形式に変換することで、作成したレイアウトがそのまま相手に届きます。
NG⑤:証明写真を忘れて提出する
パソコン作成の場合、証明写真の挿入を確認し忘れるケースがあります。提出前に写真が正しく配置されているかを確認してください。印刷して郵送する場合は写真を実際に貼り付け、メール提出の場合はPDF内に写真データを正しく埋め込みます。
写真の選び方やアプリについては、履歴書写真アプリおすすめ7選|採用担当者が見るNGポイントを徹底解説で紹介しています。

職務経歴書こそパソコンで作るべき理由
履歴書は手書き・パソコンどちらでも選択肢がありますが、職務経歴書はパソコン作成が現場の標準です。理由は3つあります。
- 情報量が多く、レイアウトの調整が必須なため
- 転職活動が長期化した場合に内容を更新しやすいため
- 会社ごとに強調ポイントを変えやすいため
転職経験が2回以上ある場合、職務経歴書のページ数は1〜3枚に及ぶことがあります。手書きで毎回書き直すのは現実的ではなく、採用担当者も「手書きの職務経歴書」にはほとんど出会いません。
テンプレートを活用する場合は、自分の経歴の構造(在籍期間・役職・業務範囲)に合ったものを選ぶことが重要です。汎用テンプレートをそのまま使うのではなく、自分の強みが伝わるセクション構成に調整する手間を惜しまないことが、書類通過につながります。
テンプレートや自動作成ツールについては、職務経歴書の自動作成ツールおすすめ7選で詳しく紹介しています。

採用担当者はここを見ている
- 職歴の概要が冒頭でひと目でわかるか(職務要約)
- 業務内容が具体的か(会社規模・担当範囲・実績数値)
- 自己PRと職務経歴のつながりが見えるか
まとめ
- 履歴書は企業からの指定がない限り手書き・パソコンどちらでも可。指定がある場合は必ず従う
- 職務経歴書はパソコン作成が実質的な標準。情報量と更新のしやすさがその理由
- 採用担当者が書類選考で本当に見ているのは作成方法ではなく、経歴の整合性・志望動機の具体性・読みやすさ
- 業界・職種の特性も判断材料になる(ITはパソコン推奨、金融・公務員は手書き指定が多い)
手書きかパソコンかという選択自体で採否は決まりません。どちらを選んでも、内容の質を高めることが書類選考通過への最短ルートです。
履歴書・職務経歴書の手書き・パソコンに関するよくある質問
- 履歴書はパソコン作成でいいですか?
-
企業から手書きの指定がない限り、パソコン作成で問題ありません。転職市場ではパソコン作成が一般的です。業界によっては手書きが慣習の場合もあるため、不安な場合は企業の採用ページや求人票を確認してください。
- 職務経歴書を手書きで提出しても大丈夫ですか?
-
企業からの指定がない限り、手書きでの提出は避けることをお勧めします。職務経歴書は情報量が多くレイアウトの整理が必要なため、パソコン作成の方が採用担当者にとって読みやすい書類に仕上がります。
- 履歴書と職務経歴書で手書きとパソコンを混在させてもいいですか?
-
ルール違反ではありませんが、片方が手書きでもう片方がパソコンという状況は採用担当者に違和感を与える場合があります。指定がなければ、両方の書類を同じ作成方法で統一する方が無難です。
- 手書き履歴書で修正テープを使ってもいいですか?
-
書類への修正テープ・修正液の使用は不可です。書き間違えた場合は、新しい用紙に最初から書き直してください。修正痕のある書類は、提出前の確認が不十分と見られることがあります。


コメント