この記事では、経理の職務経歴書の書き方とサンプルを採用担当者の目線で解説します。月次・年次決算業務の具体的な表現方法から会計システムの記載例、経験年数別の自己PR例文まで、書類選考を通過するために押さえるべきポイントをまとめています。
経理の職務経歴書の基本構成とサンプル
経理の職務経歴書は、5つのセクションで構成するのが基本です。採用担当者はこの構成に沿って書類を読み進めるため、情報が整理されていることが最低条件になります。
採用担当者が30秒で確認する3つのポイント
経理の採用担当者は応募書類を受け取ったとき、最初に3つの観点でざっとスキャンします。この3点が30秒で把握できない書き方をしていると、それだけで書類選考の通過が遠ざかります。
採用担当者はここを見ている
- 決算業務の経験範囲:月次のみか、年次・四半期・連結まで担当しているか
- 使用している会計システム:SAP・Oracle・弥生会計・勘定奉行など具体的なシステム名
- 担当していた会社の規模:連結子会社数、売上規模、経理部の人数
書類を受け取る採用担当者のほとんどは、他の職種の経歴書も合わせて複数枚確認しています。経理職の応募者が多い企業ではとくに、上記3点が冒頭で明確になっているかどうかで読み方が変わります。
5つのセクションで構成する
経理の職務経歴書は以下の5つのセクションを基本とします。この順番で記載すると、採用担当者が経歴全体を把握しやすくなります。
| セクション | 内容の概要 | 目安の量 |
|---|---|---|
| ①職務要約 | 経歴全体の概要を3〜5行で示す | 100〜150文字 |
| ②職務経歴 | 在職期間・会社概要・担当業務・実績 | 最も詳しく記載 |
| ③保有スキル | 会計システム・PCスキル・英語力 | 箇条書き |
| ④保有資格 | 日商簿記・税理士科目・TOEIC等 | 箇条書き |
| ⑤自己PR | 強みと転職理由を1段落で表現 | 200〜300文字 |
職務経歴(②)は全体の中で最も分量を使うセクションです。在籍した会社ごとに「会社概要 → 担当業務 → 実績・改善点」の流れで記載するのが読みやすい構成です。
職務要約の書き方とサンプル
職務要約は採用担当者が最初に目を通すセクションです。全体の経歴を3〜5行にまとめ、「この人はどんな経験を持つ経理担当者か」を一瞬で伝える役割があります。
職務要約で採用担当者の関心を引けるかどうかが、その後の読まれ方を左右します。詳細を読んでもらうための「入口」として機能させることを意識してください。
良い職務要約の例文とNG例
良い例文
小売業上場企業の経理部に7年間勤務。月次・年次決算を4名体制で担当し、うち3年間は連結子会社5社の財務諸表取りまとめを担当しました。会計システムはSAP(S/4HANA・FI/COモジュール)を使用。日商簿記2級・TOEIC720点保有。より複雑な連結・開示業務に携わることを目的に転職活動を行っています。
NG例
経理業務を7年間担当してきました。月次決算・年次決算などを経験しています。ExcelやWord、会計ソフトの操作が可能です。スキルアップのために転職を考えています。
このNG例が採用担当者の目に止まらない理由は、「規模感」「担当範囲」「使用システム」の3点がすべて不明瞭なためです。「会計ソフト」という表現ではどのシステムを使っているか判断できず、「月次・年次決算経験あり」は経理経験者のほぼ全員に当てはまる表現です。
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職務経歴セクションは、経理職の書類選考において最も採否を左右する部分です。「月次決算担当」の一言では、採用担当者は業務内容を具体的に想像できません。担当した業務を細かく分解して記載することが、他の応募者との差を生みます。
月次・年次決算業務の書き方サンプル
決算業務を記載するときは、業務の「種類」と「自分が担当した範囲」を明示します。監査法人対応や申告書作成補助まで関わっている場合は、それも明記することで経験の深さが伝わります。
良い例文:決算業務の記載サンプル
【月次決算業務】
- 仕訳入力(経費精算・固定資産・前払費用・売上計上処理)
- 試算表の作成・差異分析(前月比・予算比・前年同期比)
- 月次レポートの作成・経営会議向け資料整備
【年次決算業務】
- 決算整理仕訳(未払費用・前受収益・引当金繰入・棚卸資産評価)
- 法人税申告のための税務調整(社内・税理士法人との連携)
- 監査法人対応(証憑書類の整備・確認状の発送・質疑応答)
NG例
月次決算、年次決算を担当。「その他経理全般の業務を幅広く経験」という記載は、採用担当者には何も伝わりません。「幅広く」という表現は担当範囲が不明瞭に見え、むしろ「何か一つ深い経験がないのでは」という印象を与えることがあります。
日常経理業務(仕訳・伝票処理)の書き方
仕訳入力や伝票処理などの日常業務は「量」と「対象」を明示することで、業務規模が伝わります。「仕訳入力担当」の一言ではなく、月間の処理件数や対象範囲を加えましょう。
良い例文:日常業務の記載サンプル
- 経費精算処理:月300件・電子申請システム(SAP Concur)を使用
- 仕訳入力:月500件・管理勘定科目は150勘定
- 買掛金管理:仕入先200社・月次支払照合・消込処理
- 売掛金管理:取引先100社・月次回収確認・滞留債権報告
担当範囲を一覧表で整理する
複数年・複数社の経験がある場合は、担当業務を一覧表にまとめると採用担当者が経験の全体像を把握しやすくなります。経験年数とともに記載するのが効果的です。
| 業務区分 | 担当業務 | 経験年数 |
|---|---|---|
| 月次決算 | 仕訳・試算表・差異分析・経営レポート | 7年 |
| 年次決算 | 整理仕訳・税務申告補助・監査対応 | 5年 |
| 連結決算 | 子会社データ収集・財務諸表取りまとめ | 3年 |
| 開示業務 | 有価証券報告書(補助担当) | 2年 |
| 資金管理 | キャッシュフロー管理・資金繰り表作成 | 4年 |
この表のような一覧があると、採用担当者は「連結経験3年・開示補助2年」という情報をひと目で確認できます。長文で説明するよりも、視認性の高い表形式の方が選考の場では有利に働きます。
会計システム・PCスキルの書き方
経理職の書類選考において、会計システムの記載は採用担当者が入社後の即戦力を判断する重要な要素です。システム名だけでなく、使用したモジュールや用途、使用年数まで明記することで説得力が増します。
会計ソフト別の記載例
採用担当者が最も気にするのは「システム名」だけでなく「どのモジュールを使ったか」と「使用年数」です。大手ERPシステムの場合は、どのモジュールを担当していたかを明記します。
会計システム別の記載例
- SAP ERP:SAP S/4HANA(FI・COモジュール)使用歴4年 / 月次締め・原価計算に使用
- Oracle ERP:Oracle E-Business Suite(General Ledger・Payables)使用歴3年
- 弥生会計:弥生会計 プロフェッショナル 使用歴5年 / 仕訳・月次締め・決算整理に使用
- 勘定奉行:勘定奉行クラウド(仕訳入力・月次締め・振替伝票)使用歴3年
- freee会計:freee会計(仕訳・銀行明細連携・月次レポート作成)使用歴2年
- マネーフォワード:マネーフォワード クラウド会計(仕訳自動化・請求書連携)使用歴2年
採用担当者はここを見ている
- システム名だけ書いてモジュール不明 → 「どの程度使えるかわからない」
- 「会計ソフト経験あり」だけの記載 → どのシステムかわからず評価できない
- 使用年数が短い(半年未満)→ 「基本操作だけの可能性が高い」と判断される
ExcelスキルはどこまでアピールするとOKか
「Excel中級・上級者」という表現は採用担当者には何も伝わりません。関数・機能の名前を具体的に列挙し、業務での使用場面とセットで記載するのが正解です。
良い例文:Excelスキルの記載サンプル
- Excel:VLOOKUP・INDEX/MATCH・SUMIFS・ピボットテーブル・条件付き書式を用いた月次レポート作成
- Excel VBA:経費精算データの自動集計マクロを作成・運用(月次処理時間を3時間→1時間に削減)
- Power Query:複数システムからのデータ統合・整形に使用(手作業の集計を自動化)
VBAやPower Queryなど、業務自動化に使えるスキルがある場合は必ず記載します。経理部門のDX化ニーズが高まっている現在、職務経歴書の自動作成ツールを使って効率的に書類作成することも一つの方法です。

自己PRの書き方と経験年数別サンプル
自己PRは経理職の職務経歴書の中で、最も差がつくセクションです。「正確性」「コミュニケーション力」「改善意識」といった抽象的な表現では採用担当者の印象に残りません。具体的な経験と数値を組み合わせて、「この人が来たら何ができるか」が伝わる文章にします。
採用担当者が自己PRで見ているもの
採用担当者はここを見ている
- 「この人が来たら何ができるか」が具体的に想像できるか
- 経理としての強みが「スピード」「正確性」「改善力」のどれか、具体的なエピソードで示されているか
- 転職理由と今後のキャリア目標が一致しているか(「スキルアップのため」だけでは弱い)
- 自社(応募先)での働き方が想像できるか
経験年数別の自己PR例文
経験年数によって強調すべきポイントが異なります。経験が浅い場合は「成長意欲と基礎力」、中堅以上は「実績と次のステージへの意欲」を軸にします。
経験3年前後の自己PR例文
月次・年次決算を中心に3年間経験を積んできました。特に差異分析の資料作成では、部門別の変動要因を視覚化したレポートフォーマットを独自に整備し、経営会議の準備時間を従来比30分短縮しました。日商簿記2級の取得後は、仕訳の判断精度が上がり、上長からのレビュー指摘件数が半減しています。次のステップとして連結決算や有価証券報告書の作成に携わりたいと考え、上場企業への転職を希望しています。
経験7年以上の自己PR例文
月次・年次・連結決算を中心に7年間、上場企業の経理部で経験を積みました。監査法人対応では適時開示のスケジュール管理とドキュメント整備を主導し、過去3期連続で重要な指摘事項ゼロを達成しています。また、Excelマクロを活用した月次レポートの自動化に取り組み、チーム全体の作業時間を月15時間削減しました。マネジメント経験はまだありませんが、後輩指導(2名)の実績があり、経理チームの統括にも挑戦したいと考えています。
NG例:こんな自己PRは読み飛ばされる
経理業務に真摯に取り組み、常に正確な処理を心がけてきました。「正確」「真摯」「誠実」という表現は経理職の応募者のほぼ全員が書く言葉です。これらだけでは「普通の経理担当者」という印象しか与えられません。具体的な数値・システム・エピソードに置き換えましょう。
会社規模・経験レベル別の注意点
経理の職務経歴書は、在籍していた会社の規模によって「何を強調するか」が変わります。中小・ベンチャー経験者と上場企業経験者では、アピールすべきポイントが異なります。
中小企業・ベンチャー経理の書き方
中小企業やベンチャー企業での経理経験は「守備範囲の広さ」が最大の強みです。人数が少ない分、一人でこなしてきた業務の多さを具体的に伝えることが重要です。
良い例文:ベンチャー経理の職務経歴
社員30名規模のスタートアップにて、経理業務を1名で担当(2020年4月〜現在)。
- 日次:仕訳入力(50件/日)・売掛金/買掛金管理・経費精算処理
- 月次:月次決算・試算表・キャッシュフロー計算書の作成
- 年次:年次決算・税務申告補助(顧問税理士と連携)
- その他:給与計算補助(社労士連携)・社会保険手続き連携・経費規程の整備
1名体制での経理経験は、「業務の優先順位を自分で判断できる」「経理全体のフローを把握している」という評価につながります。大手企業に転職する場合も、「少人数でゼロから業務を回してきた経験」は武器になります。
上場企業・大手の経理職務経歴書
上場企業経験者は、担当したセクションの「深さ」と「開示業務の経験」が差別化ポイントです。「大手企業の経理部にいた」という事実よりも、「その中で何を担当し、どの程度の責任を持っていたか」が問われます。
採用担当者はここを見ている
- 「経理部10名にて分担」→ 10名のうち何番手か、どのセクションを担当していたかが不明
- 「有価証券報告書の作成に携わった」→ 補助担当か主担当かで大きく評価が変わる
- 「監査対応の経験あり」→ どの監査(法定監査・内部監査・税務調査)かを明記する
- IFRS・US-GAAPの対応経験があれば必ず記載(外資系・上場企業では高評価)
書き方に自信がない場合や、自分では気づかない強みを引き出したい場合は、職務経歴書の有料添削サービスを活用する方法もあります。経理専門のキャリアアドバイザーによる添削は、書き方の改善だけでなく、自分の経験の棚卸しにも役立ちます。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 経理の職務経歴書は「決算業務の範囲」「使用システム」「会社規模」の3点を冒頭で明示する
- 「月次決算担当」だけでなく、担当した業務の具体的な内容・件数・実績まで書く
- 会計システムは「名称+使用年数+使用モジュール/用途」で記載する
- 自己PRは「抽象的な美徳」ではなく「具体的なエピソード+数値+次のキャリア目標」で構成する
- 中小・ベンチャー経験者は「守備範囲の広さ」、上場企業経験者は「担当範囲の深さ」で差別化する
経理の職務経歴書で差がつくのは、業務の羅列の長さではなく、採用担当者が「この人なら自社で活躍できる」と想像できる具体性です。
経理の職務経歴書に関するよくある質問
- 経理の職務経歴書はA4何枚にすべきですか?
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A4用紙1〜2枚が目安です。経験年数が5年以上あったり、複数の業務領域(月次・連結・開示など)を担当してきた場合は2枚になっても問題ありません。3枚以上になる場合は情報を絞り、業務の優先度が高いものに絞って記載しましょう。
- 簿記2級しか資格がない場合、資格欄は不利になりますか?
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資格の数が少ないこと自体は不利ではありません。日商簿記2級は経理実務への理解を示す基準として多くの採用担当者が参照します。資格の有無より「何年間・どの範囲の決算業務を担当してきたか」の方が採否に直結します。取得年月も正確に記載し、「勉強中」の資格があれば「取得に向けて勉強中」と付け加えても印象は上がります。
- 会計システムの使用経験がほとんどない場合、どう書けばよいですか?
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システム名を書けない場合は、Excelでの業務実績をできるだけ具体的に記載する方法があります。「VLOOKUP・ピボットテーブルを使った月次集計」「VBAで経費集計を自動化し処理時間を半減」など、数値処理への理解を示す内容が代替になります。システムは入社後に習得できる点を前向きに伝え、学習意欲を自己PRに入れることで、採用担当者の懸念を和らげることができます。
- 経理事務と経理職は職務経歴書の書き方が違いますか?
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基本的な構成は同じですが、強調するポイントが異なります。経理事務は「処理件数・スピード・正確性」が評価軸になりやすく、経理職(専任)は「決算業務の担当範囲・会計基準への理解・改善実績」が重視される傾向があります。応募先のポジションが事務寄りか専門職寄りかを求人票で確認し、記載の比重を変えるとよいでしょう。


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