この記事では、総務職の職務経歴書の基本構成・各項目の書き方と、採用担当者が通過させたくなる例文を解説します。数字で実績を出しにくい総務職でも差をつけられる書き方のポイントも紹介します。
総務の職務経歴書の基本構成と各項目の役割
総務の職務経歴書は、一般的に「職務要約」「職務経歴」「活かせるスキル・資格」「自己PR」の4項目で構成されます。それぞれの役割を理解しないまま作成すると、内容が薄くなるか、逆に情報過多で読みにくくなります。
| 項目 | 目的 | 目安文量 |
|---|---|---|
| 職務要約 | 経験年数・担当業務の全体像・強みを3〜5行で伝える | 150〜200文字 |
| 職務経歴 | 企業ごとに担当した業務を具体的に記載する | 1社あたり200〜400文字 |
| 活かせるスキル・資格 | PCスキル・語学・業務関連資格を整理して示す | 箇条書き5〜10項目 |
| 自己PR | 採用企業が求めるポジションに対し自分の価値を示す | 200〜300文字 |
4項目のうち、採用担当者が最初に確認するのは「職務要約」です。この冒頭の数行で「読み続けるか否か」を判断するケースも少なくありません。職務要約が平凡だと、その後の詳細を丁寧に読んでもらえない可能性があります。
テンプレートが「下書き用」にすぎない理由
市販のテンプレートやWordの様式は、記入する「枠」を提供しているにすぎません。問題は「何をどう書くか」であり、テンプレートはその答えを教えてくれません。特に総務職は業務の幅が広く、企業によって担当範囲が大きく異なるため、他職種以上に「自分の経験に合わせた内容の組み立て」が求められます。
- 枠を埋めるだけでは、採用担当者に「この人は何ができるのか」が伝わらない
- 同じテンプレートでも、記載内容の具体性によって通過率は大きく変わる
- 採用担当者は「業務の羅列」ではなく「経験の質と深さ」を見ている
職務要約の書き方|採用担当者が最初の30秒で判断する場所
職務要約は、職務経歴書のなかで採用担当者が真っ先に読む項目です。ここで「自社が求める人材像と合致している」と判断されれば、その後の詳細も丁寧に読んでもらえます。逆に「特に目を引かない」と思われれば、残りの内容を流し読みされる可能性があります。
採用担当者はここを見ている
- 総務としての経験年数と担当してきた業務の範囲
- 自社が求めているポジション(即戦力型か、育成型か)と合致しているか
- 応募動機が経験と自然につながっているか(なぜ転職するのか、なぜ総務なのか)
職務要約で押さえるべき3つの要素
職務要約に盛り込む内容は「経験年数」「担当業務の全体像」「強み・得意領域」の3つが基本です。これらを3〜5行(150〜200文字)で端的にまとめます。
- 経験年数:「総務業務を○年担当してきました」のように最初に示す
- 担当業務の全体像:採用・労務・法務・庶務など担当範囲を簡潔に列挙する
- 強み・得意領域:「組織規程の整備」「社内制度の構築」など、他の応募者との差別化につながる経験を一言で示す
職務要約のNG例と合格例
NG例
「総務として勤務し、幅広い業務を担当してきました。社内外の関係者と連携しながら業務を行い、様々な場面で対応してきた経験があります。これからも総務として貢献できると考えています。」
NG理由:「幅広い業務」「様々な場面」など抽象的な表現が続き、何ができる人なのかが一切伝わらない。採用担当者が「この人は何を担当してきたのか」を読み取れない典型的な例。
合格例
「製造業の中小企業で総務業務を8年担当してきました。採用補助・社会保険手続き・就業規則の改定・オフィス移転など幅広く対応しており、特に労務管理(勤怠集計・給与計算サポート)においては一人担当として体制を整備した経験があります。現在、より規模の大きな組織での制度構築に携わることを希望しています。」
合格例のポイントは、「業種・年数・担当範囲・強み・転職理由」がすべて3〜4文に収まっている点です。採用担当者が読んだ瞬間に「このポジションに合う人かもしれない」と判断できる情報が詰まっています。
業務内容の書き方|総務の「幅広さ」を整理する方法
職務経歴欄(業務内容)は、採用担当者が最も時間をかけて読む項目です。総務の業務は会社によって大きく異なるため、「担当した業務をすべて書き出す」ことが基本スタンスになります。ただし、ただ箇条書きにするだけでは通りません。採用担当者が求めているのは「業務の一覧」ではなく、「その人が何にどの程度関わったか」という情報です。
総務業務を3つのカテゴリで整理する
担当してきた業務が多岐にわたる場合、以下の3カテゴリに分類して整理すると読みやすくなります。採用担当者が「この人は何が得意か」を判断しやすくなる効果もあります。
| カテゴリ | 主な業務例 |
|---|---|
| ①労務・人事系 | 採用補助・社会保険手続き・給与計算・勤怠管理・就業規則改定・入退社手続き |
| ②庶務・施設系 | オフィス管理・備品発注・社宅管理・来客対応・清掃業者等の取引先管理 |
| ③法務・規程系 | 社内規程の整備・株主総会対応・契約書管理・行政手続き・コンプライアンス対応 |
この分類を使って「何年間どのカテゴリの業務を担当したか」を示すだけで、採用担当者は業務の幅と深さを把握しやすくなります。全カテゴリを担当していた場合はそれ自体が強みなので、担当範囲の広さを冒頭に一言添えておくと効果的です。
採用担当者が注目する「プロジェクト型経験」の書き方
日常業務の記載だけでなく、「オフィス移転」「株主総会対応」「社内規程の全面改定」といったプロジェクト型の経験は、採用担当者が最も高く評価する情報です。こうした経験がある場合は業務一覧の上部に配置し、「概要」「規模」「自分の役割」「結果」の4点を簡潔に記載します。
プロジェクト経験の書き方例
- 概要:本社オフィス移転プロジェクト(社員300名規模)
- 自分の役割:総務担当としてレイアウト設計・業者折衝・スケジュール管理を担当
- 結果:工期内に完了。移転後のランニングコストを年間120万円削減
このような記載が1つあるだけで、採用担当者の「この人はプロジェクトを回せる人だ」という印象は大きく変わります。難易度の高い業務やイレギュラーな対応経験は、日常業務と区別して「主なプロジェクト」として別立てにすることをお勧めします。
業務内容欄のNG例と合格例
NG例
「採用業務、社会保険手続き、給与計算補助、備品管理、来客対応、契約書管理、社内規程管理、その他庶務業務を担当。」
NG理由:業務の名称を羅列しただけで、「どの程度の規模か」「どれだけ主体的に動いたか」「何の結果が出たか」が一切わからない。
合格例
【労務・人事系業務(主担当:8年)】
- 入退社手続き・社会保険手続き(月平均3〜5名)
- 勤怠集計・給与計算(従業員70名):給与ソフト「弥生給与」使用
- 就業規則の改定(育児介護休業法改正対応・2023年):社労士と連携して対応
【主なプロジェクト】
- 本社移転プロジェクト(2022年):物件選定から工事立会い・移転当日対応まで主担当として実施。移転後のランニングコスト年間120万円削減を達成。
合格例は「件数」「規模」「使用ツール」「成果」が具体的に記載されており、採用担当者が実務イメージを持ちやすい内容です。職務経歴書の作成に時間がかかる場合は、職務経歴書の自動作成ツールを活用して下書きを作る方法もあります。

実績を数値で示す方法|「書くことがない」は思い込み
「総務は数字で実績が出しにくい」という声はよく聞きます。確かに営業職のように「売上○%増」という明確な数値が出ない業務が多いのは事実です。しかし、採用担当者が求めているのは「結果の数字」そのものではなく、「どれくらいの規模の仕事をこなせるか」「問題解決に向けて主体的に動けるか」という情報です。
総務担当者が見落としがちな「数字の切り口」
実績を数字で示すための視点を変えると、意外と多くの「使える数値」が見つかります。日常業務のなかにある「規模・件数・コスト」に着目してみてください。
| 業務内容 | 数値化の切り口 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 給与計算 | 対象人数・使用ソフト | 従業員80名分の給与計算(弥生給与) |
| 採用補助 | 年間採用人数・媒体数 | 年間12〜15名の採用補助(媒体3社管理) |
| 備品管理 | 年間コスト削減額 | 備品の一元管理導入で購買コスト年間30万円削減 |
| 社内規程改定 | 改定件数・対応した法改正 | 育児介護休業法・パワハラ防止法など5規程を改定 |
| オフィス管理 | 管理対象拠点数・契約管理件数 | 2拠点・賃貸契約12件の管理を担当 |
| 社会保険手続き | 月次処理件数 | 入退社・月変・算定基礎の手続きを月10〜15件処理 |
「実績がない」と感じている人の多くは、業務の「量」や「規模」を見落としているだけです。担当してきた従業員数・処理件数・管理件数を振り返ると、採用担当者にとって十分な情報が見つかるはずです。
数字化できない場合の「状況→行動→結果」フレームワーク
どうしても数値が出ない業務については、「状況→行動→結果」のフレームワークで書くと、採用担当者に行動力と問題解決力を伝えられます。
「状況→行動→結果」の記載例
状況:テレワーク導入に際し、社内規程が実態に対応できていない状態だった。
行動:人事部・情報システム部と連携してテレワーク規程を1から作成。弁護士事務所に内容確認を依頼し、3か月で施行。
結果:テレワーク対象100名への周知と同時に施行し、規程なしで起きていた勤怠トラブルをゼロに抑えることができた。
このフレームワークで書けば、数値がなくても「問題を見つけて主体的に解決できる人」という印象を与えられます。採用担当者が総務職に求める「指示待ちではなく動ける人材」像を示す最も有効な手段です。
自己PRの書き方と例文|採用担当者が評価する2つの能力
総務の自己PRで採用担当者が特に評価する能力は「計画策定・実行力」と「誠実さ・ホスピタリティ」の2点です。この2軸を意識して構成すると、誰でも書きがちな汎用的な自己PRから脱却できます。
自己PRのNG例と合格例
NG例(よくある失敗)
「私はコミュニケーション能力が高く、社内外の関係者と円滑に連携できます。また、幅広い業務を対応する柔軟性と対応力を持っており、どのような環境でも力を発揮できると自負しています。」
NG理由:「コミュニケーション能力」「柔軟性」「対応力」はほぼすべての応募者が書く表現。採用担当者はこれを読んで何も判断できない。具体的なエピソードが一切ない。
合格例(経験ベースで差別化)
「総務として8年間勤務する中で、育児介護休業法改正への対応・オフィス移転プロジェクト・テレワーク規程の新設など、制度や環境の変化に合わせた社内整備を継続的に担ってきました。特に各部門との調整業務では、「決まったことを実行する」だけでなく、問題を先出しして関係者に働きかける姿勢を大切にしてきました。次のステージでは、組織の成長フェーズに合わせた人事・総務体制の構築に貢献したいと考えています。」
女性総務担当者・総務事務経験者向けの自己PR例文
総務には長年女性担当者が多く、派遣から正社員への転換や、「総務事務」から「総務マネジメント」へのステップアップを目指すケースも目立ちます。状況別の例文を参考にしてください。
例文A:総務事務から総務責任者へのステップアップを目指す場合
「前職では総務担当として1人体制で全業務を担当し、採用・労務・法務・庶務の4領域を横断的に対応してきました。小規模ゆえに上長の判断を待たず自分で考えて動く必要があり、行政機関への問い合わせ・弁護士・社労士との連携も単独で行ってきました。この経験を活かし、体制構築や業務フローの整理が求められる環境で即戦力として貢献したいと考えています。」
例文B:育休復帰後・ブランクありの場合
「産育休取得前には総務担当として給与計算・採用・社会保険手続きを5年間担当してきました。復職後は時短勤務で庶務業務を中心に担当していましたが、現在は子どもの成長に伴いフルタイムでの勤務が可能になっています。育休前の経験を活かしながら、より裁量のある環境で総務業務に携わることを希望しています。」
書類の完成度に不安がある場合は、職務経歴書の有料添削サービスを使って、採用担当者視点でのチェックを依頼する方法もあります。

PCスキル・資格欄の書き方
総務の書類選考では、PCスキルと業務関連資格の記載も重要な判断材料になります。特に採用担当者が確認するのは「Excelをどの程度使えるか」という点で、「使えます」だけでは判断できないため、具体的な機能名を記載することが必要です。
Excelスキルの具体的な書き方
| スキルレベル | 具体的な書き方の例 |
|---|---|
| 基礎(SUM・フィルター程度) | Excel:基本操作(集計・フィルター・VLOOKUP程度) |
| 中級(ピボット・関数全般) | Excel:ピボットテーブル・条件付き書式・複数シート集計 |
| 上級(マクロ・VBA) | Excel:マクロ・VBAによる業務自動化(勤怠集計ツール作成実績あり) |
「Excel 中級レベル」という書き方は採用担当者によって解釈が異なります。具体的に使っている機能名を記載するほうが、実力が正確に伝わります。「Word・Excel・PowerPoint使用可」という一文だけで終わらせるのは典型的なNG例です。
総務担当者が持っておくと有利な資格一覧
- 社会保険労務士(社労士):労務管理・人事系業務を担当していた場合に高評価。試験準備中であっても「勉強中」として記載可能
- 日商簿記2級・3級:総務が経理業務も兼務する場合の必須資格として評価される
- 衛生管理者:50名以上の事業所では法定選任が必要なため、資格保有者は即戦力として重宝される
- ビジネス実務法務検定2〜3級:法務・コンプライアンス業務との兼任が多い企業で評価される
- MOS(Microsoft Office Specialist):ExcelやWordのスキルを客観的に証明できる
資格が特にない場合は、「取得に向けて勉強中」という状況を正直に記載しても問題ありません。ただし「○月取得予定」と書いた場合は、実際にその時期までに取得できるよう準備を進めておく必要があります。
まとめ
- 職務要約は「経験年数・担当業務の全体像・強み・転職理由」を150〜200文字で端的に示す
- 業務内容は3カテゴリ(労務・庶務・法務)で整理し、プロジェクト型経験を上部に記載する
- 実績の数字は「従業員人数」「処理件数」「コスト削減額」など規模で代替できる
- 数値化できない業務は「状況→行動→結果」のフレームワークで主体性を伝える
- 自己PRは「計画策定・実行力」か「誠実さ・ホスピタリティ」に絞り、具体的なエピソードで裏づける
- Excelスキルは「中級レベル」ではなく、使っている機能名で具体的に記載する
テンプレートはあくまで書式の枠組みです。採用担当者に「この人に会いたい」と思わせるのは、具体的な業務経験と主体性が伝わる内容です。上記のポイントを参考に、自分の経験を丁寧に掘り下げてみてください。
総務の職務経歴書に関するよくある質問
- 総務の職務経歴書で「書くことがない」場合はどうすればいいですか?
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まず担当してきた業務を3カテゴリ(労務・庶務・法務)に分けてすべて書き出してみてください。次に、各業務で関わった「従業員数」「処理件数」「管理対象件数」などの規模情報を付け加えます。それでも内容が薄いと感じる場合は、「状況→行動→結果」のフレームワークを使って業務改善・制度整備のエピソードを1つ書くと、採用担当者に主体性が伝わりやすくなります。
- 総務経験が1〜2年と短い場合でも職務経歴書は書けますか?
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経験年数が短くても、担当した業務の具体性と学習意欲をしっかり伝えれば採用担当者に評価されます。短期間でどれだけの業務に携わったか、何を自分で判断して動いたかを具体的に書くことがポイントです。今後取得を目指している資格や学習中の内容を記載することで、成長意欲も示せます。書き方に自信がない場合は、転職エージェントに無料で添削を依頼する方法も有効です。
- 「総務事務」と「総務職」では職務経歴書の書き方が違いますか?
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応募先が期待する役割が異なります。総務事務は補助的な業務(データ入力・ファイリング・備品管理など)が中心となるため、正確性・処理スピード・マルチタスク能力をアピールするのが効果的です。一方、総務職(総務担当・総務マネジメント)では、問題発見と制度整備・社内折衝・プロジェクト推進などの主体的な行動が求められます。応募先の求人に記載されている「仕事内容」と「求めるスキル」を確認してから自己PRの切り口を調整してください。


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