この記事では、医療事務の手書き履歴書について、採用担当者が書類選考で実際に確認しているポイントと項目別の正しい書き方を解説します。使うペンの選び方から医療機関固有の記載ルール、資格の正式名称、志望動機の例文まで網羅しています。
医療事務の履歴書、手書きとPC作成で採用評価は変わるか
「手書きで提出したほうが誠意が伝わるか」という問いに対して、採用担当者の多数派は「どちらでも構わない」という立場です。実際、ある調査では採用担当者の約4割が作成方法より内容を重視すると回答しており、手書きかPCかで選考結果が変わるケースは少数派です。
ただし、医療事務は例外的な要素があります。レセプト入力・患者情報管理・保険請求業務など、PC操作が日常業務に欠かせない職種のため、PC作成の履歴書は「パソコンスキルがある」ことを自然にアピールできる側面もあります。
採用担当者はここを見ている
- 作成方法(手書き・PC)より記載内容の正確さと充実度を重視する
- 「手書き指定」がある場合はそれに従っているかを確認する(指定無視は評価を下げる)
- 手書きの場合は「丁寧に仕上げられているか」を医療事務の職務適性の指標として見ることがある
手書きを求める医療機関の特徴
手書き指定や手書きが慣習となっているのは、主に以下のような職場です。
- 個人経営のクリニック・診療所(院長が直接選考するケースが多い)
- ハローワーク経由や紙媒体で求人を出している中小規模の医療機関
- 地域密着型の総合病院(伝統的な採用スタイルを維持している施設)
求人票や採用担当者から特定の指示がない場合は、PC作成でも問題ありません。ただし、「手書きでお願いします」と明示された場合は必ず従ってください。指示を無視した時点で、書類の内容以前に減点されます。
手書きが評価につながるケース
採用担当者が手書き履歴書を好む理由のひとつに、「丁寧に書かれた履歴書は、その人の仕事への姿勢を反映している」という感覚があります。医療事務は患者さんへの窓口対応や診療書類の管理など、丁寧さと正確さが直接求められる職種です。
言い換えれば、丁寧に仕上げた手書き履歴書は、それ自体が「業務への向き合い方」のアピールになります。字が美しい必要はありませんが、読みやすく・修正なく・丁寧に書かれた履歴書は、候補者の印象を大きく高めます。

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手書きの履歴書は、準備段階でのミスが後の書き直しや印象ダウンにつながります。書き始める前に以下の3点を確認してください。
ペンは「黒のボールペン」か万年筆
使用するペンは、黒のボールペンまたは万年筆に限られます。ゲルインクのボールペンはインクが濃く鮮明に書けるため、特に手書きの場合におすすめです。
| ペンの種類 | 使用可否 | 備考 |
|---|---|---|
| 黒のボールペン(油性・水性・ゲル) | ◎ OK | ゲルインクが最も読みやすい |
| 万年筆(黒インク) | ◎ OK | インクがにじまないか事前確認を |
| 消えるボールペン(フリクション等) | × NG | 保管中に高温でインクが消える恐れあり |
| 鉛筆・シャープペンシル | × NG | 消せる=信頼性がないと判断される |
| 黒以外のインク(青・赤など) | × NG | 公式書類のルール違反 |
用紙はJIS規格を選ぶ
履歴書の用紙は、JIS規格(日本工業規格)に準拠したA4またはB5サイズのものを選んでください。市販の履歴書で「JIS規格」と表記されているものが、最も汎用性の高い様式です。
厚生労働省が推奨する「障害者用」を除いた標準様式が、医療事務の応募でも広く使われています。応募先から特定の様式指定がある場合は、必ずその指示に従ってください。また、用紙の紙質は薄すぎるものだと裏面が透けてしまうため、一般的な履歴書専用用紙(市販品)を使用するのが無難です。
書き直し用の予備を2〜3枚準備する
手書き履歴書は修正ができません。書き損じに備えて同じ用紙を2〜3枚用意しておくのが基本です。清書の前に別紙(コピー用紙など)に書き方の順序や文字の大きさを試し書きしておくと、本番のミスを減らせます。
特に「志望動機欄」は文字量の調整が難しく、スペースを使い切れなかったり逆にはみ出したりしやすい箇所です。事前に書く内容を紙に書き出して字数を把握してから清書することで、欄内に収まった読みやすい文章を書きやすくなります。
医療事務の手書き履歴書 項目別の書き方
学歴・職歴欄の書き方と「入職・退職」の正しい使い方
学歴・職歴欄は「学歴」「職歴」それぞれのブロックを分けて記載し、最初の行に見出しを書きます。記載時は和暦・西暦のどちらかに統一し、学校名・施設名はすべて正式名称で書いてください。
医療機関への応募で特に注意が必要なのが、職歴欄の「入職・退職」という表記です。企業には「入社・退社」を使いますが、病院・クリニック・診療所などは会社ではないため「入社」は不適切です。
良い記載例
令和○年○月 医療法人○○会 ○○クリニック 入職
令和○年○月 一身上の都合により退職
NG例
令和○年○月 ○○クリニック 入社
「入社」は医療機関には使わない表記のため、採用担当者の目に止まりやすいミスです。
なお、在籍中の場合は最終行に「現在に至る」と記載し、その下に一行空けて「以上」と書きます。
資格欄:医療事務系資格の正式名称
資格・免許欄は取得年月の古い順に記載し、国家資格→公的資格→民間資格の順が一般的です。医療事務の民間資格は略称で記載するケースが多いですが、履歴書では主催団体名を含めた正式名称で書くことを推奨します。
| 通称 | 履歴書への正式な記載例 |
|---|---|
| 診療報酬試験(最上位資格) | 診療報酬請求事務能力認定試験 合格(公益財団法人日本医療保険事務協会) |
| メディカルクラーク | 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク) 合格(一般財団法人日本医療教育財団) |
| 医療事務検定試験 | 医療事務検定試験 合格(一般社団法人日本医療事務協会) |
| 医科医療事務管理士 | 医科医療事務管理士 合格(技能認定振興協会) |
なかでも「診療報酬請求事務能力認定試験」は、採用担当者から特に評価が高い資格です。合格率が低く(30〜40%前後)、即戦力の証明として機能するため、取得している場合は必ず記載してください。
志望動機欄:手書きだからこそ「内容の密度」が問われる
志望動機欄は、PC作成より手書きのほうが記入できる文字量が少なくなる傾向があります。だからこそ、書く内容を事前に絞り込んで密度を高めることが重要です。
採用担当者が志望動機欄で確認しているのは、次の3点です。
- なぜ医療事務か:「人の役に立ちたい」ではなく、医療事務という職種を選んだ具体的な理由
- なぜこの医療機関か:他の医療機関でなく、ここを選んだ理由(診療方針・立地・診療科などを絡める)
- 何が貢献できるか:自分のスキル・経験・資格がどう活かせるかの具体的な言及
また、応募する医療機関への敬称は「貴院」(病院・クリニック)または「貴所」(診療所)を使います。企業向けの「貴社」は使わないよう注意してください。
本人希望欄
特別な条件がなければ「貴院の規定に従います」と記載するのが基本です。勤務時間・曜日・雇用形態についての要望がある場合のみ、簡潔に記載してください。ただし、希望条件が多すぎると「扱いにくい候補者」と判断されるリスクがあるため、書く場合は最低限に絞ります。

採用担当者が手書き履歴書で本当に確認していること
競合記事の多くは「丁寧に書きましょう」という一般論で終わっています。ここでは、医療事務の採用担当者が手書き履歴書を見る際に実際に何をチェックしているかを具体的に整理します。
前提として、医療事務は「書類の正確な処理が本業」の職種です。レセプト(診療報酬明細書)の作成ミスは医療機関の収益に直結し、患者情報の誤記は医療安全に関わります。採用担当者はそのことを強く意識して選考しています。
言い換えれば、手書き履歴書の完成度は「入職後にどのレベルで書類を扱えるか」の予測材料として機能しています。
採用担当者はここを見ている
- 訂正がないか:修正液・修正テープ・二重線による訂正が1箇所でもあると印象が大きく下がる
- 楷書体で書かれているか:崩し字・走り書きはそのまま「業務中の書類も雑に書く人」という連想に繋がる
- 空欄がないか:記入不要な欄以外をすべて埋めているか。「特になし」「上記の通り」でも空白より評価が高い
- 文字が欄内に収まっているか:欄からはみ出した文字は規定内で収める能力の欠如を示すと判断されることがある
- 誤字脱字がないか:事務職の書類ミスは「業務でもミスする」という直接的なイメージに繋がる
字の美しさは二次的な要素です。字が得意でなくても、楷書体でゆっくり丁寧に書けば読みやすい履歴書になります。採用担当者が最も警戒するのは「訂正の跡」と「空欄」です。この2点をゼロにすることが最優先です。

絶対にやってはいけない手書き履歴書の5つのNG
手書き履歴書に特有のNG事項を整理します。どれも「当然のこと」と思われがちですが、実際に採用選考の現場では頻繁に見られるミスです。
- 修正液・修正テープの使用:書類の改ざん防止の観点から、公式書類への修正液使用は社会的マナー違反です。採用担当者に「書き直してごまかした?」という不信感を抱かせます。
- 消えるボールペンの使用:フリクション等は熱・摩擦でインクが消えます。履歴書の保管中や輸送中に読めなくなるリスクがあり、また採用担当者に「内容を後から消せると思っている」という印象を与えます。
- 鉛筆・シャープペンシルの使用:消せる筆記具はすべてNG。正式書類として認められません。
- 略字・略語の使用:「(株)」「附属→付属」「○○大」など、読み手に「手を抜いている」と受け取られます。正式名称で書いてください。
- 二重線での訂正:二重線と訂正印での修正は法的書類では認められているケースもありますが、履歴書では避けるべきです。採用担当者は「なぜ書き直さなかった?」と感じます。
NG例 → OK例の比較
| 項目 | NG | OK |
|---|---|---|
| 会社名の省略 | (株)○○ | 株式会社○○ |
| 学校名の省略 | ○○医大 | ○○医科大学 |
| 医療機関の職歴 | ○○クリニック 入社 | ○○クリニック 入職 |
| 退職の表現 | 一身上の都合にて退社 | 一身上の都合により退職 |
| 志望動機の敬称 | 貴社では… | 貴院では… |
医療事務の手書き履歴書 状況別の志望動機例文
志望動機は「なぜ医療事務か」「なぜこの医療機関か」「何ができるか」の3点を凝縮して書くのが基本です。以下に状況別の例文を示します。いずれもそのまま転記するのではなく、自身の経験や応募先の特性に合わせて修正してください。
未経験から医療事務を目指す場合
未経験者の志望動機で採用担当者が最も警戒するのは「なんとなく医療事務に憧れた」という文章です。「なぜ医療事務でなければならないか」の根拠を必ず示してください。
良い例文(未経験)
前職での窓口対応を通じ、限られた時間で正確な情報を伝える重要性を実感しました。この経験を医療の現場で活かしたいと考え、現在○○資格を取得中です。貴院の地域密着型の診療方針に共感し、受付業務を通じて患者さんの不安を少しでも和らげることに貢献したいと思い志望いたしました。
NG例(未経験)
医療の現場で人の役に立てる医療事務に憧れを持ちました。未経験ですがやる気があります。貴院で一から学ばせていただきたいです。
「やる気があります」だけでは、採用担当者には何も伝わりません。具体的な前職経験・資格学習・応募先を選んだ理由の記載が必要です。
経験者の転職の場合
経験者に採用担当者が最も確認したいのは「前の職場でなくここで働く理由が何か」という点です。経験年数や担当業務の羅列だけでは評価されません。
良い例文(経験者)
前職では○○病院の外来受付にて○年間、受付・会計・レセプト業務を担当しました。月平均○件の診療報酬請求を担当し、返戻率を○%以下に維持してきました。貴院では○○(診療科目・規模・方針)をさらに深め、より専門的なレセプト管理に関わりたいと考え志望いたしました。
ブランクからの復職の場合
ブランク期間がある場合、採用担当者は「その期間に何をしていたか」と「なぜ今復帰できるのか」を確認します。ブランクを隠さず、その期間に取り組んだことを正直に書いてください。
良い例文(ブランクあり)
出産・育児のため○年間離職しておりましたが、この間に医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)を取得し、医療制度改正の動向に継続して学習してきました。子育てが一段落したことを機に復帰を決意し、地域の医療に貢献できる貴院を志望いたしました。即戦力としてスムーズに業務に入れるよう、入職前研修等があれば積極的に参加いたします。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 手書きとPC作成のどちらも評価に差はないが、手書き指定がある場合は必ず従う
- ペンは黒のボールペン・万年筆のみ。消えるボールペン・鉛筆・修正液はすべてNG
- 医療機関の職歴欄は「入職・退職」が正しく、「入社・退社」は使わない
- 資格は主催団体も含めた正式名称で記載する。「メディカルクラーク」「診療報酬請求事務能力認定試験」など略称での記載は避ける
- 採用担当者が最も確認するのは「修正ゼロ」「空欄ゼロ」「誤字脱字ゼロ」の徹底
- 志望動機には「なぜ医療事務か」「なぜこの医療機関か」「何が貢献できるか」の3点を盛り込む
手書きの履歴書は、書く過程そのものが採用担当者への自己紹介です。丁寧に仕上げた一枚は、医療事務という仕事への適性を示す最初のアピールになります。
医療事務の手書き履歴書に関するよくある質問
- 消えるボールペン(フリクション等)は使えますか?
-
使えません。消えるボールペンは熱や摩擦でインクが消える仕組みのため、保管中に高温にさらされると読めなくなるリスクがあります。また、採用担当者に「内容を書き直した可能性がある」という疑念を与えます。必ず消えない黒のボールペン(ゲルインクが推奨)か万年筆を使用してください。
- 書き間違えた場合、訂正印でいいですか?
-
履歴書には訂正印での修正は避けてください。訂正の跡は採用担当者に「書き直しをしなかった」という印象を与え、医療事務のような精度が求められる職種では不利に働く可能性があります。書き損じた場合は必ず用紙を新しくして最初から書き直してください。そのために予備の用紙を複数枚用意しておくことが重要です。
- 手書き指定でない場合も手書きのほうが評価されますか?
-
一概にそうとはいえません。医療事務はPC操作が日常業務に欠かせない職種のため、PC作成の履歴書はパソコンスキルをさりげなくアピールする機会にもなります。作成方法より内容の充実が最優先です。ただし、手書き指定がある場合は必ずその指示に従ってください。
- 医療事務の資格は略称で書いてもいいですか?
-
略称での記載は避けてください。「メディカルクラーク」は「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)合格(一般財団法人日本医療教育財団)」、「診療報酬試験」は「診療報酬請求事務能力認定試験 合格(公益財団法人日本医療保険事務協会)」のように、主催団体名とともに正確に記載することで信頼性が高まります。


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