この記事では、介護職の職務経歴書の書き方を施設別・状況別の例文で解説します。特別養護老人ホームや訪問介護の経験者から未経験転職・ブランクありまで、採用担当者が書類を判断する視点と、介護経験を数値で伝えるコツも合わせて紹介します。
職務経歴書と履歴書の違い|採用担当者が両方に求める情報
転職活動で提出する書類は履歴書と職務経歴書の2種類が基本です。この2つは採用担当者が確認する「目的」が根本的に異なります。
| 書類 | 採用担当者が確認すること |
|---|---|
| 履歴書 | 年齢・最終学歴・資格の有無・転職回数など「基本情報の確認」 |
| 職務経歴書 | どの施設でどんな利用者をどう支援してきたかという「経験・スキルの詳細」 |
介護職の採用では、履歴書で「この人は介護職員初任者研修を持っているな」と確認した上で、職務経歴書を読んで「特養の夜勤経験がある」「認知症ケアの経験が豊富」といった現場での即戦力を判断します。
多くの応募者が「職務経歴書は履歴書の内容を詳しく書いたもの」と誤解して、ほぼ同じ内容を2枚に渡って書いています。採用担当者が職務経歴書で求めているのは、「この人が現場に入ったとき、何ができるのか」をイメージさせる具体的な情報です。
採用担当者はここを見ている
- どの種別の施設(特養・老健・グループホーム・訪問介護等)で経験を積んだか
- 担当利用者の人数・介護度・ケアの種類
- 夜勤回数や担当件数など、経験の「量」を示す数値があるか
- 保有資格の正式名称と取得時期が正確に記載されているか
介護職の職務経歴書の書き方|5つの項目別ポイント
職務経歴書には決まったフォーマットはありませんが、以下の5つの項目を順番に書くのが基本構成です。
①職務要約(全体像を3〜5行で伝える)
採用担当者は1枚の書類を確認する時間がわずか30秒以内という現場もあります。職務要約は書類の冒頭に置き、「どんな人材か」を一目で伝える要約文です。以下の4要素を盛り込むと効果的です。
- 介護職歴の総年数
- 主に経験した施設の種別
- 担当してきた主な業務内容
- 保有する主要資格
良い例文
特別養護老人ホームで5年間、介護福祉士として従事しました。ユニット担当として認知症を有する高齢者20名の日常生活支援(身体介護・生活援助・認知症ケア)を担当し、介護リーダーとして後輩2名の育成も行っています。夜勤は月8回程度のシフトで対応してきました。
NG例
介護業務全般に5年間従事してきました。利用者様に寄り添うケアを心がけており、チームワークを大切にして業務に取り組んできました。「どこで」「何名に」「どんなケアを」という具体情報がゼロで、採用担当者は判断できません。
②職務経歴欄(施設情報・業務内容を具体的に)
職務経歴欄は最もボリュームが必要な項目です。施設ごとに以下を記載します。
| 項目 | 記載内容の例 |
|---|---|
| 施設情報 | 正式施設名、施設種別(特養・老健・グループホーム等)、定員数、ユニット型の場合は1ユニットの人数 |
| 在籍期間 | 20○○年○月〜20○○年○月(○年○ヶ月) |
| 業務内容 | 担当利用者数、介護度(要介護3〜5など)、具体的なケア内容(入浴・食事・排泄介助、認知症対応、記録、申し送りなど) |
| 数値情報 | 夜勤回数(月○回)、1日訪問件数(訪問介護の場合)、担当者数(リーダーの場合) |
採用担当者が最も重視するのは「施設の種別と規模」と「担当ケアの具体性」です。特養と有料老人ホームでは利用者の状態もケアの内容も異なります。採用側は経験した施設の種別から、現場でどのように動けるかをイメージしています。
③保有資格・免許の書き方(正式名称が最重要)
介護職では資格名の正式表記を間違える応募者が多く、書類選考の判断材料になることがあります。以下の正式名称を確認してください。
| よく使われる通称 | 正式名称と記載ルール |
|---|---|
| ヘルパー2級 | 介護職員初任者研修 修了(「取得」ではなく「修了」) |
| ヘルパー1級 | 介護職員実務者研修 修了 |
| 介護福祉士 | 介護福祉士(国家資格)取得(○年○月) |
| ケアマネ | 介護支援専門員(ケアマネジャー)取得(○年○月) |
「ヘルパー2級」は2013年に「介護職員初任者研修」に名称変更されています。旧名称をそのまま書くと情報更新が止まっている印象を与えます。必ず正式名称で記載しましょう。
また、介護職の履歴書「職業欄」の書き方でも資格表記のルールを詳しく解説しているので、履歴書と職務経歴書の記載内容を揃える際に参考にしてください。

④活かせる能力
業務経験から得たスキルを箇条書きで整理します。介護職で記載する典型的な内容は以下の通りです。
- 身体介護(入浴・食事・排泄・移乗・移動の介助)
- 生活援助(調理・掃除・洗濯・買い物支援)
- 認知症ケア(BPSD対応・回想法・音楽療法補助)
- 介護記録(記録システムへの入力・申し送り)
- ケアカンファレンスへの参加・家族対応経験
- 新人OJTや後輩指導(リーダー経験がある場合)
⑤自己PR(経歴と直結させる)
自己PRで最も多い失敗は「熱意のみで具体性がない」パターンです。採用担当者は「この人は何ができるのか」を知りたいのであって、志望度の高さよりも現場で即戦力になれるかどうかを判断しています。
自己PRには必ず「具体的なエピソード+その結果や工夫+応募先への貢献」のセットで記載しましょう。
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特別養護老人ホーム(特養)経験者の例文
職務要約の例
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム、定員80名・ユニット型)での5年間の経験があります。認知症を有する高齢者が中心のユニット(20名)を担当し、身体介護・生活援助・認知症ケアに従事。2023年より介護リーダーとして新人スタッフ2名の育成も担当しています。
職務経歴の例
2019年4月〜現在 社会福祉法人○○福祉会 ○○特別養護老人ホーム(定員80名・ユニット型)
- 担当利用者20名(要介護3〜5、うち認知症を有する方が約16名)
- 日常生活支援:食事・入浴・排泄・移乗の介助、口腔ケア
- 認知症ケア:BPSD(暴言・徘徊)への個別対応、音楽療法補助
- 夜勤:月8回(1人体制)
- 介護記録の入力、ケアカンファレンスへの参加、家族対応
- 2023年〜:ユニットリーダーとして新人スタッフ2名の教育・育成を担当
自己PRの例
特別養護老人ホームでの5年間、認知症を有する利用者への個別ケアに注力してきました。BPSD が顕著なご利用者に対しては、日課のルーティン維持と環境調整を組み合わせ、担当チームで対応方針を統一することでケアの安定化を図りました。また、リーダーとして申し送りの記録フォーマットを見直し、夜勤帯での情報伝達の精度を高めた経験があります。次の職場でもリーダーシップと認知症ケアの経験を活かし、即戦力として貢献したいと考えています。
訪問介護・デイサービス経験者の例文
職務要約の例
訪問介護ステーションでの3年間と、通所介護(デイサービス)での2年間の経験があります。在宅系サービスを中心に介護職員実務者研修を取得し、身体介護・生活援助の両面でご利用者を支援。訪問介護では1日最大8件を担当しました。
職務経歴の例(訪問介護)
2019年4月〜2022年3月 ○○訪問介護ステーション(登録利用者数:常時80名)
- 身体介護:入浴補助・排泄介助・食事介助・移乗補助
- 生活援助:掃除・洗濯・調理・買い物代行
- 1日の担当件数:最大8件
- ケアマネジャーとの連絡調整・記録作成
自己PRの例
訪問介護での3年間は、1対1のケアを通じて利用者ひとりひとりの生活リズムと個別ニーズを深く把握することを大切にしてきました。「この人はこの時間に○○が必要」という細かな情報をチームで共有する仕組みを提案し、サービスの一貫性向上に貢献しました。施設介護への転職では、在宅での個別対応の視点をチームケアに活かしたいと考えています。
未経験から介護職に転職する場合の例文
未経験での転職では、職務経歴欄に「介護の経験」は書けませんが、前職での経験から介護に活かせるスキルを引き出すことが重要です。採用担当者が未経験者に見ているのは、「コミュニケーション力・体力・継続的に学ぶ意欲」の3点です。
職務要約の例
食品メーカーでの営業職5年間を経て、介護職への転職を希望しています。祖父の在宅介護を3年間経験したことをきっかけに介護の仕事に関心を持ち、介護職員初任者研修を修了しました。営業職で培った傾聴力・問題解決力を現場で活かしたいと考えています。
活かせる能力の例
- 介護職員初任者研修 修了(○○年○月)
- 祖父の在宅介護経験3年間(身体介護・生活援助・通院同行)
- 営業職での対人コミュニケーション能力(50社担当経験)
- チームでの目標管理・後輩指導経験(チームリーダー1年)
自己PRの例
営業職での5年間、顧客の要望を丁寧に聞き取り、課題解決に向けて動く仕事に従事してきました。相手の言葉の奥にある本音を引き出す傾聴力は、介護の現場でも活きると考えています。介護の仕事に本格的に取り組む意志を固めてからは、初任者研修の実技でも積極的に実践を重ねてきました。未経験ではありますが、学ぶ速度と継続力には自信があります。
ブランクがある介護職経験者の例文
介護職を離れていた期間がある場合、「その間に何をしていたか」を正直に書くことが基本です。育児・家族介護・療養など理由はさまざまですが、採用担当者が確認したいのは「現場に戻る準備ができているか」という点です。ブランク中に資格更新や研修受講をした場合は、必ず記載してください。
職務要約の例
特別養護老人ホームでの介護士経験3年間の後、家族の介護のため2年間離職しました。介護職員実務者研修を修了し、現場への復帰準備が整っています。特養での身体介護・認知症ケアの経験と、家族介護で培った視点を活かして、即戦力として貢献できます。
自己PRの例
2年間の家族介護を通じて、施設とは異なる視点——利用者・家族が日常生活で感じる不安や悩み——を深く理解しました。復帰にあたり実務者研修を修了し、知識とスキルのアップデートも済んでいます。ブランク期間も継続的に介護に関わってきた経験から、現場感覚は維持できています。
ブランクの理由を書く際は「家族の介護のため離職(2022年4月〜2024年3月)」のように、期間と理由をシンプルに記載するだけで十分です。詳しい説明は面接で行います。
職歴が多様で書き方に迷う場合、50代パートの職務経歴書サンプルでも状況別の書き方ポイントを解説しています。
採用担当者が職務経歴書で実際に見ている3つのポイント
介護施設の採用担当者が書類を見る際に、特に意識しているポイントを整理します。
ポイント①:施設の種別・規模が明記されているか
「介護施設で5年勤務」という書き方では、採用担当者は何も判断できません。特別養護老人ホームと有料老人ホームでは、利用者の状態も求められるケアのスキルも大きく異なります。
| 施設種別 | 利用者の特徴 | 求められるスキル |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 要介護3以上・重度者が多い | 重度身体介護・夜勤対応・看取りケア |
| 介護老人保健施設(老健) | リハビリ目的・在宅復帰を目指す | リハビリとの連携・在宅支援の視点 |
| グループホーム | 認知症高齢者 | 認知症ケア・生活の場としてのサポート |
| デイサービス | 在宅生活者・通所 | レクリエーション・コミュニケーション力 |
| 訪問介護 | 在宅生活者・1対1 | 自律的な判断力・個別対応力 |
ポイント②:担当業務が数値で表現されているか
介護の仕事は「数字で測りにくい」と思われがちですが、採用担当者が経験の規模を把握するための数値化は必須です。以下の数値を意識して記載しましょう。
- 担当利用者数(例:ユニット担当20名)
- 夜勤回数(例:月8回)
- 1日の訪問件数(訪問介護の場合:例:1日6〜8件)
- 指導した後輩の人数(リーダー経験がある場合)
- 施設の定員数(規模感の把握に有効)
ポイント③:「なぜこの施設に転職するか」の文脈があるか
自己PRや職務要約の最後に「なぜ今の職場を離れ、この施設を選んだのか」の文脈を自然に入れると、採用担当者に入職後の定着意欲を示すことができます。ただし「条件が良かった」「家から近い」は書かず、「経験を活かしてこの職場で何ができるか」を中心に据えてください。
職務経歴書の作成に時間をかけたくない場合は、職務経歴書の自動作成ツールを活用するのも一つの手です。ただし、ツール生成の内容はあくまでたたき台として、施設情報や数値は必ず自分で加筆してください。

介護職の職務経歴書でよくあるNGパターンと改善策
多くの介護職の応募者が繰り返す書き方のミスを、改善例とともに紹介します。
NG例
業務内容:介護業務全般
自己PR:利用者様に寄り添い、チームワークを大切にしてきました。「介護業務全般」「寄り添う」は採用担当者が最も見飽きた表現。具体性がなく書類から外れる可能性があります。
良い例文(改善後)
業務内容:特別養護老人ホームで担当利用者20名(要介護3〜5)の身体介護・認知症ケアを担当。夜勤月8回。BPSDへの個別対応でケアの安定化に貢献。
自己PR:暴言・徘徊傾向の利用者に対し、日課ルーティンと環境調整を組み合わせた対応方針をチームで共有し、インシデント件数を3ヶ月で半減させた経験があります。
以下、よくあるNGパターンをまとめます。
| NGパターン | 問題点 | 改善策 |
|---|---|---|
| 「介護業務全般に従事」 | 何をしたか不明 | 施設種別・担当人数・ケア内容を具体的に記載 |
| 「ヘルパー2級 取得」 | 旧名称・「修了」でなく「取得」 | 「介護職員初任者研修 修了(○年○月)」 |
| 「利用者様に寄り添い〜」 | 具体的エピソードがない | エピソード+工夫+結果のセットで記述 |
| 資格欄に取得年月なし | 最新かどうか判断できない | 必ず取得(修了)年月を記載 |
| 職務要約がない | 読むのに時間がかかる | 冒頭に3〜5行の要約文を必ず置く |
書いた職務経歴書を第三者にチェックしてもらいたい場合は、職務経歴書の有料添削サービスの利用も選択肢の一つです。転職エージェントを利用すれば、無料でプロのアドバイスを受けることができます。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 職務経歴書は「現場で何ができるか」を採用担当者に伝える書類。履歴書の繰り返しにしない
- 施設の種別・定員・担当人数・夜勤回数などを数値で記載することが最重要
- 資格名は「介護職員初任者研修 修了」など正式名称で記載し、取得(修了)年月を必ず添える
- 「介護業務全般」「寄り添う」などの抽象表現は避け、具体的なエピソード+工夫+結果のセットで書く
- 未経験・ブランクありでも、転職理由を正直に書き「現場への準備状況」を示せば書類通過は十分可能
介護職の職務経歴書で差がつくのは、書く内容の「量」より「具体性」です。担当した施設・利用者・業務を正確に言語化する作業から始めてください。
介護職の職務経歴書に関するよくある質問
- 介護職の職務経歴書は手書きとパソコンどちらが良いですか?
-
パソコン作成を強くおすすめします。職務経歴書は履歴書と異なり、フォーマットへの記入ではなくゼロから作成するため、情報量が多くなります。手書きでは修正・更新が難しく、読みにくくなりやすいため、WordやGoogleドキュメントを使って作成し、PDF保存して提出するのが一般的です。
- 介護福祉士の国家試験の合格待ちの状態はどう書けば良いですか?
-
資格欄に「介護福祉士国家試験 合格(○年○月予定)」または「介護福祉士国家試験 受験済み(合否確認中)」のように記載します。合格が確定した場合は、提出前に「介護福祉士 取得(○年○月)」に書き換えて提出しましょう。
- 転職回数が多い場合、職務経歴書でどう対処すれば良いですか?
-
各職場での在籍期間とともに、短期間での退職理由(施設閉鎖・家庭の事情など)があれば一行で添えると採用担当者に伝わりやすくなります。また、複数の施設を経験してきたことで「異なる介護環境に対応できる適応力」というプラスの側面として自己PRに活かすことも可能です。
- 職務経歴書は何枚まで書いて良いですか?
-
A4用紙1〜2枚が基本です。経験が少ない場合(3年未満)は1枚でまとめ、長期のキャリアがある場合は2枚以内にまとめるのが目安です。3枚以上になる場合は内容を精選して圧縮してください。枚数より「読みやすさ」と「具体性」を優先しましょう。


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