この記事では、複数回転職した方向けに職務経歴書のテンプレートと書き方を解説します。編年体式・逆編年体式・キャリア式の3種フォーマット比較から、転職回数・一貫性なし・短期離職のケース別記載例、採用担当者が実際に確認しているポイントまでまとめています。
複数転職でも職歴はすべて記載しなければならない
転職回数が多いほど、「すべて書かなくてもいいのでは」と考える方が増えます。しかし、職務経歴書に職歴の記載漏れがあれば、経歴詐称とみなされるリスクがあります。採用後に発覚した場合は懲戒解雇の対象になるケースもあり、省略は百害あって一利なしです。
在籍期間の短い職歴を隠すと入社後に問題になる
短期離職を隠したくなる気持ちは理解できます。ただし、採用企業はバックグラウンドチェック(身元調査)や雇用保険の加入記録で確認できるケースがあります。採用後に発覚した場合、「虚偽申告」として内定取り消しや解雇理由になります。
在籍期間が短い会社があっても、書き方と説明の工夫で採用担当者の印象は変わります。省くのではなく「そこでも何を得たか」を正直に書く方が、長期的に信頼につながります。
採用担当者が本当に見ているのは「転職回数」ではなく「理由の納得感」
多くの採用担当者が書類を見るとき、転職回数の数字そのものより「なぜ転職を繰り返してきたか」の説明が納得できるかどうかを重視しています。
採用担当者はここを見ている
- 転職のたびに何を得て・何を目指して動いたかの一貫性
- 直前の退職理由が応募先企業への懸念点と重なっていないか
- 各社での具体的な成果・実績(数値で示せているか)
- 在籍期間の短さに納得できる理由があるか
同じ「転職3回」でも、「毎回スキルアップのためにステップアップしてきた」と伝えられる職務経歴書と、理由が不明瞭な職務経歴書とでは、書類通過率が大きく異なります。
複数転職の職務経歴書に使える3種類のフォーマット
職務経歴書のフォーマットは大きく3種類に分かれます。複数の会社を経験している場合、どのフォーマットを選ぶかで「読まれやすさ」と「アピール力」が変わります。
編年体式(時系列順)
古い職歴から順番に時系列で記述するフォーマットです。採用担当者がキャリアの全体像をつかみやすく、日本企業で最も一般的に使われています。
- 向いている人:転職回数が2〜3回程度、もしくは職種・業界に一定の一貫性がある方
- 向いていない人:転職回数が5回以上で、経歴が長くなりすぎる方
逆編年体式(直近の経歴を前面に出す)
最新の職歴から過去へ向かって記述するフォーマットです。直近のスキルや経験をアピールしたいとき、または初期のキャリアと現在の方向性が異なるときに有効です。
- 向いている人:直近の経験が応募先に最も関連性が高い方、中途採用で即戦力をアピールしたい方
- 向いていない人:古い職歴の方が職種として関連性が高いケース
キャリア式(スキル・職種別にまとめる)
業務内容・職種・スキルごとにグループ化して記述するフォーマットです。異業種転職を繰り返してきた方や、複数の職種経験を持つ方が経験の幅をアピールするのに適しています。
- 向いている人:転職回数が多く職歴の整理が難しい方、異業種経験が豊富で幅広いスキルを持つ方
- 向いていない人:職種・業種が一貫しており、時系列の流れでキャリアを見せた方が伝わりやすい方
転職回数別フォーマット選択早見表
| 転職回数・状況 | おすすめフォーマット | 理由 |
|---|---|---|
| 2〜3回・職種に一貫性あり | 編年体式 | 職歴が短く時系列で整理しやすい |
| 4〜5回・直近スキルを活かしたい | 逆編年体式 | 最新スキルを前面に出してアピールできる |
| 5回以上・異業種経験あり | キャリア式 | 職種・スキル別に整理して伝わりやすくする |
| 短期離職が含まれる | 逆編年体式またはキャリア式 | 直近の安定したキャリアで印象を補正できる |
テンプレートで見る複数転職の職務経歴書の書き方
ここでは複数社の経歴がある場合の各セクションの書き方を、採用担当者の視点から解説します。
職務要約の書き方
職務要約は職務経歴書の「顔」にあたる部分です。採用担当者が最初に目を通す箇所で、複数の転職経験がある場合こそ丁寧に書く必要があります。
職務要約は200〜300文字が目安です。これまでの経歴を一文でまとめ、なぜ今の応募先に至ったかの流れを簡潔に示します。
良い例文
「新卒で製造業のルート営業に従事した後、顧客の課題解決に直接関わりたいと考えITサービスの導入支援コンサルタントに転職。その後、営業マネジメント経験を積むため商社のチームリーダーを経験し、現在は5名のチームを統括しています。一貫して『顧客の課題解決×チームマネジメント』を軸に経験を積んできました。」
NG例
「これまで複数の会社で様々な業務に従事してきました。各社でスキルを磨いてきたと自負しています。」
「様々な」「自負しています」だけでは具体性がゼロです。採用担当者は「何を」「どれくらい」が見えない要約を読んでも判断できません。
各社の職歴欄・業務内容の書き方
複数社の経歴を書く際に最も陥りやすい失敗が「全社を同じ分量で書いてしまうこと」です。在籍期間や応募先との関連性に応じて、記述量に差をつけることが重要です。
採用担当者はここを見ている
- 在籍期間が長く応募先と関連性の高い会社:詳しく書く(業務内容・実績・数値・チーム規模など)
- 在籍期間が短い会社や関連性が低い会社:基本的な業務概要のみを1〜3行で記載
- 実績・成果は必ず数値で示す(例:「売上130%達成」「解約率を6%→3%に改善」)
職歴欄のテンプレートとして、各社の情報は以下の順序で記載します。
| 項目 | 記載内容の例 |
|---|---|
| 社名・在籍期間 | 株式会社〇〇(20XX年4月〜20XX年3月、在籍X年Xか月) |
| 事業内容 | ITサービスの開発・販売(従業員数200名) |
| 配属部署・役職 | 営業部 主任(在籍後半の2年間) |
| 業務内容 | ・新規法人顧客への提案営業(担当顧客数50社) ・既存顧客のカスタマーサクセス対応 ・チームメンバー3名のOJT指導 |
| 実績・成果 | ・年間売上120%達成(3年連続) ・解約率を6.2%から3.1%に改善 |
在籍期間に比例した記述量の配分
4社・5社の経歴がある場合、すべてを詳しく書くと職務経歴書が3枚・4枚と膨れ上がります。採用担当者が一読してすぐに把握できる分量は2枚程度が限界です。記述量の配分の目安は次の通りです。
- 直近・関連性の高い会社:1社あたり400〜600文字(実績・数値を具体的に)
- 関連性が中程度の会社:1社あたり150〜250文字(業務の概要と主な経験)
- 在籍期間が短い・関連性が低い会社:1社あたり50〜100文字(業種・役職・主業務のみ)
職務経歴書の作成に不安がある場合は、職務経歴書の自動作成ツールを活用することで、経歴の整理が格段に楽になります。

ケース別|複数転職の職務経歴書をどう書くか
転職回数・経歴の一貫性・在籍期間によって、職務経歴書で重視すべきポイントが変わります。ケース別に対処法を整理しました。
転職回数が4回以上の場合
転職回数が4回・5回以上になると、採用担当者から「なぜそんなに転職しているのか」「また辞めるのでは」という懸念を持たれやすくなります。この懸念に先回りして答えることが、書類通過の鍵です。
職務要約の冒頭に「キャリアの軸」を明示します。「一貫して〇〇という軸でキャリアを選択してきた」という文章を入れることで、転職を繰り返してきた理由に一貫性があると伝わります。
キャリアの軸の示し方 例
「新卒から現在まで、一貫して『ITを活用した業務効率化の提案』というテーマでキャリアを選択してきました。転職のたびに担当領域を広げており、直近では自社内のDX推進リーダーとして〇〇を実現しました。」
退職理由の詳細を職務要約に書き連ねる必要はありません。退職理由は各社の職歴欄に一行添える形式で記載し、詳細は面接で補足します。
職歴に一貫性がない(異業種転職を繰り返している)場合
「飲食→IT→福祉→建設」のように業界がまったく異なるキャリアの場合、一見バラバラに見えても、実は共通して身につけてきたスキルがあるはずです。
「業界」ではなく「スキル」で一貫性を作ります。キャリア式のフォーマットが最も効果的で、「■コミュニケーション・折衝力」「■マルチタスク管理」など、業界を問わずに発揮してきた強みでまとめます。
採用担当者はここを見ている
- 異業種経験を「視野の広さ」「適応力の高さ」として評価する企業は少なくない
- 「どの職場でも発揮できた強み」が明文化されているか
- 応募先が求めるスキルと、自分のいずれかの経験が重なっているか
在籍期間が1〜2年と短い転職がある場合
在籍1年未満・2年未満の職歴があると、採用担当者に「なぜこんなに短期間で辞めたのか」と疑問を持たれます。この疑問に職務経歴書の段階で答えられると、書類通過率が上がります。
短期離職の記載で意識するポイントは次の2点です。
- 退職理由を一行で添える:「会社都合(事業撤退)による退職」「体調不良による退職(現在は完治)」のように、客観的に状況がわかる一行を記載する
- 在籍期間内の実績を必ず記載する:たとえ半年でも「導入件数20社を達成」「立ち上げ期の採用担当として10名採用」など、具体的な数値で貢献を示す
良い例文(短期離職の記載)
株式会社〇〇(20XX年4月〜20XX年12月、在籍9か月、会社都合による事業縮小のため退職)
・新規顧客向けテレアポ業務を担当(月100件)
・短期間ながら受注率を3.2%から5.8%に改善
採用担当者が落とす職務経歴書のNG例
複数転職の職務経歴書でよく見られる失敗パターンを、採用担当者の視点から整理します。提出前に必ず確認してください。
全社の業務経歴を同じ分量で書いている
NG例
第1社目(在籍8年):業務内容3行
第2社目(在籍7か月):業務内容3行
第3社目(在籍5年):業務内容3行
在籍8年と7か月の会社が同じ行数では、採用担当者は優先順位が読み取れません。「この人は何を一番アピールしたいのか」が瞬時にわからないと、読むのを止めてしまいます。
改善策は、在籍期間・応募先との関連性に応じて記述量に3段階の差をつけることです。詳しくはこの記事の「テンプレートで見る複数転職の職務経歴書の書き方」セクションを参照してください。
転職理由をネガティブな表現のまま記載している
NG例
「上司との人間関係が悪化したため退職」「給与が低いことに不満を感じ退職」
良い例文(ポジティブな表現に変換)
「さらなる成長環境を求めて転職」「より専門性を高められるフィールドへの転職のため退職」
退職理由は「前職への批判」ではなく「次のステップに向けた前向きな動機」として表現します。本音が会社批判であっても、職務経歴書にそのまま書くと「この人も同じ理由で辞めるかもしれない」という懸念を与えます。
実績・成果が抽象的すぎて伝わらない
NG例
「売上を大幅に向上させ、チームに貢献しました」
「顧客対応力が高く、チームのムードメーカーとして活躍しました」
「大幅に」「高く」では採用担当者は何も判断できません。職務経歴書に書く実績は、必ず数字で表現することが原則です。
良い例文(数値で表現)
「担当エリアの売上を前年比135%に引き上げ(年間目標120%に対して達成)」
「チーム全体のクレーム件数を月平均12件から3件に削減(対応マニュアルの整備が主施策)」
数値化が難しい業務の場合は「担当顧客数・チーム規模・予算額」などの規模感と「期間内に完結したプロジェクト名」だけでも記載することで、具体性が増します。
職務経歴書の内容に自信がない方は、職務経歴書の添削サービスを活用することで、プロの視点からフィードバックが得られます。

まとめ
- 複数転職の職歴はすべて正直に記載する。省略は経歴詐称のリスクがある
- フォーマットは転職回数・一貫性・応募先との関連性に応じて「編年体式」「逆編年体式」「キャリア式」から選ぶ
- 職務要約で「キャリアの軸」を明示し、転職を繰り返してきた理由に一貫性があることを伝える
- 各社の記述量は在籍期間・関連性に応じて差をつける。全社を同じ分量で書かない
- 実績・成果は必ず数値で表現する。「大幅に」「貢献しました」の表現は採用担当者に何も伝わらない
採用担当者が書類で確認したいのは「転職回数の少なさ」ではなく「この人が自社で活躍できるかどうか」です。テンプレートと書き方のポイントを活用して、経歴の多さを強みに変える職務経歴書を作成してください。
複数転職の職務経歴書に関するよくある質問
- 転職回数が多いと職務経歴書で不利になりますか?
-
転職回数そのものより、「なぜ転職してきたか」の説明の納得感が重視されます。各転職に明確な理由があり、それぞれの職場で成果を出してきたことが伝わる職務経歴書であれば、回数が多くても不利になりません。採用担当者が懸念するのは「また辞めるのでは」というリスクです。職務要約でキャリアの軸を明示することで、この懸念を事前に払拭できます。
- 職務経歴書は何枚まで書いていいですか?
-
基本は2枚以内が目安です。転職回数が多くなるほど枚数が増えがちですが、3枚を超えると採用担当者が読む前に圧倒されてしまいます。在籍期間が短い会社や関連性が低い会社の記述量を絞り、直近・関連性の高い職歴に分量を集中させることで2枚以内に収めてください。
- 在籍期間が3か月の職歴も書く必要がありますか?
-
はい、記載が必要です。雇用保険の記録などで採用後に確認される可能性があり、記載がなければ経歴詐称とみなされるリスクがあります。退職理由(会社都合・体調不良など)を一行添えて、在籍中の業務内容と実績をできる限り具体的に書くことで、短期離職のマイナス印象を最小限にできます。
- 転職理由を職務経歴書に書く場合、どの程度詳しく書けばいいですか?
-
職務経歴書に退職理由を書く場合、1〜2行で簡潔に記載するのが基本です。「さらなる成長環境を求めて退職」「事業撤退に伴う会社都合退職」のように、短くポジティブな表現に変換します。詳細な経緯は面接で説明できるよう準備しておくことが大切です。職務経歴書に長い理由を書き連ねると、かえって弁解がましく見えてしまいます。


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