この記事では、職務経歴書とJIS規格の関係を正確に整理したうえで、採用担当者が実際に評価する3種類のフォーマットと、転職状況に合わせたテンプレートの選び方を解説します。
職務経歴書にJIS規格は存在しない
「職務経歴書のJIS規格テンプレートを探しているのに見つからない」という経験があるとすれば、それは当然です。職務経歴書に対してJIS規格は存在しないからです。JIS規格が定めていたのは「履歴書」の様式であり、職務経歴書は対象外です。
JIS規格とは、もともと「履歴書」の様式だった
JISは「Japanese Industrial Standards(日本産業規格)」の略称で、日本工業標準調査会が制定する国家規格です。かつて一般財団法人日本規格協会が「JIS S 5516」として履歴書の様式例を定めており、文房具店で販売される「JIS規格対応」と記載された履歴書はこれに基づいていました。
しかし、この規格は令和2年7月(2020年7月)に日本規格協会がJIS規格の解説から様式例を削除したことで、事実上の廃規格扱いとなっています。現在は厚生労働省が独自に推奨する「厚生労働省履歴書様式」が普及しており、「JIS規格の履歴書」という表現は過去の名残です。
JIS規格と各書類の関係
| 書類 | JIS規格 | 現在の推奨様式 |
|---|---|---|
| 履歴書 | かつて存在(令和2年7月廃止) | 厚生労働省推奨様式 |
| 職務経歴書 | 規格なし(元々存在しない) | フォーマット自由(形式3種類) |
職務経歴書に様式規定がない理由
職務経歴書は、履歴書では書ききれない職務内容・実績・スキルを自由に表現するための書類です。業種・職種・経歴の多様さに対応するため、意図的に統一様式を設けていないという背景があります。
厚生労働省もハローワーク経由で職務経歴書の作成パンフレットを提供していますが、あくまで「作成の基本」「記載項目の参考」を示すにとどまっており、特定のフォーマットへの統一は求めていません。
「フォーマット自由」だからこそ選択が合否を左右する
様式が自由な分、どのフォーマットを選ぶかで読みやすさが大きく変わります。採用担当者は1枚の職務経歴書を30秒程度で読みます。この短時間でアピールポイントが伝わるかどうかは、フォーマットの選択にかかっています。
履歴書のJIS規格テンプレートについて知りたい場合は、履歴書テンプレートの選び方で詳しく解説しています。

採用担当者が評価する職務経歴書の3つの形式
JIS規格のような統一様式がない職務経歴書には、大きく3つのフォーマットがあります。それぞれに「向いている状況」と「弱点」があるため、自分の経歴に合った形式を選ぶことが重要です。
編年体形式(時系列型)
最も古い経歴から順に時系列で記載するフォーマットです。就職した年から現在まで、どのような経験を積み上げてきたかが一目で伝わります。
- 向いている人:転職回数が少なく、一社での経験が長い方
- メリット:キャリアの積み上げが伝わりやすい
- 注意点:転職回数が多い場合、初期のキャリアが目立ちすぎる
逆編年体形式(最新経歴を先頭に)
最も新しい職歴を先頭に記載し、過去に向かって遡る形式です。転職活動で最も一般的に使われるフォーマットで、採用担当者が直近のスキル・役職を即座に把握できます。
- 向いている人:直近の職歴が最もアピール力が高い方
- メリット:採用担当者が重視する「今の実力」を冒頭でアピールできる
- 注意点:短期離職が直近にある場合、印象に残りやすい
キャリア形式(スキル・職種軸で整理)
職務経歴を時系列ではなく、職種・業務内容・スキルごとに分類して記載するフォーマットです。複数の会社で同種の業務を経験してきた場合に、専門性の深さを効果的にアピールできます。
- 向いている人:複数社で同職種の経験を積んだ方、専門スキルが強みの方
- メリット:スキルの深さが伝わりやすく、専門職への応募で強い
- 注意点:職歴の時系列が分かりにくくなる場合がある
転職状況別・自分に合うフォーマットの選び方
3つの形式の特徴を踏まえて、自分の転職状況に合ったフォーマットを選びましょう。以下の表を参考にしてください。
| 状況 | 推奨フォーマット | 理由 |
|---|---|---|
| 転職回数1〜2回 | 逆編年体 or 編年体 | 経歴がシンプルで読みやすく伝わる |
| 転職回数3回以上 | 逆編年体 or キャリア形式 | 直近の強みを前面に出せる |
| ブランク期間あり | キャリア形式 or 逆編年体 | スキルでカバーしやすい |
| 専門職・ハイキャリア | キャリア形式 | 専門性の深さが伝わりやすい |
| 新卒・第二新卒 | 編年体 | 経験が少ないため時系列が見やすい |
転職回数1〜2回で経歴が分かりやすい場合
転職経験が少ない場合は、逆編年体形式が最も無難かつ効果的です。採用担当者は「直近で何をしてきたか」を最初に見るため、現在に近い経歴を先頭に持ってくることで読み手の労力を最小化できます。
一社での在籍期間が長く、段階的な昇進・役割の拡大がある場合は、編年体形式でキャリアの積み上げを示すことも有効です。どちらを選ぶかは「直近の経歴が最もアピール力が高いか」を基準に判断してください。
転職回数3回以上またはブランクがある場合
転職回数が多い場合や空白期間がある場合は、時系列で見せると「なぜ転職が多いのか」という疑問が先立ちます。キャリア形式で「何ができるか」を前面に出すことで、採用担当者の視点を経歴の詳細よりもスキルに向けやすくなります。
ただし、キャリア形式を選ぶ場合でも、各社の在籍期間が一覧できる「職歴概要」を冒頭に1〜2行でまとめておくと、採用担当者の疑問を先に解消できます。
専門スキルや資格が強みの場合
ITエンジニア・看護師・税理士・施工管理技士などの専門職は、キャリア形式でスキルセットを整理すると採用担当者への訴求力が上がります。「どの会社に何年いたか」よりも「どの技術・スキルを持っているか」が採用判断の軸になるためです。
採用担当者はここを見ている
- 「職務の具体性」:何をどれくらいの規模でやっていたか(数字・チーム規模・担当範囲)
- 「スキルの即戦力性」:今回の募集要件との重なり(使えるツール・資格・言語)
- 「フォーマットの読みやすさ」:文字が多すぎず、スキャンしやすいレイアウトか
採用担当者が通過させたくなる職務経歴書の書き方
フォーマットを選んだあとは、中身の書き方が合否を決めます。フォーマットが同じでも、内容の書き方次第で採用担当者の評価は大きく変わります。
採用担当者がまず確認する3か所
採用担当者が職務経歴書を受け取った際、最初に目を向けるのは主に次の3か所です。
- 職務要約(冒頭1〜3行):どんな経験・スキルの持ち主かが端的に分かるか
- 直近の職務内容:今の業界・職種・レベル感が分かるか
- 保有スキル・資格欄:募集要件との一致点があるか
この3か所で「この人は話を聞く価値がある」と判断されれば、詳細を読んでもらえます。逆にここで引っかかりがなければ、本文がどれだけ充実していても面接に呼ばれない可能性があります。
よくあるNG例と改善策
NG例
「営業業務に従事し、顧客への商品提案を行いました。」
→ 何の商品を何人に何件売ったのかが全く分からない。採用担当者は規模感・成果・担当範囲を知りたいのに、「従事した」「行いました」という表現だけでは情報ゼロに等しい。
良い例
「法人向けソフトウェアの営業を担当。担当顧客50社、月間訪問数30件、年間売上目標1.2億円(達成率110%)。」
→ 規模・成果・達成状況が30秒以内で把握できる。採用担当者が「この人に会ってみたい」と感じる書き方。
数字と具体性が合否を分ける
職務経歴書で最も効果的な差別化は「数字による具体化」です。売上・件数・チーム規模・コスト削減率など、あらゆる業務に何らかの数字が紐づきます。
数字が思い浮かばない場合は次の切り口で考えてみてください。
- 規模:「担当チーム3名」「顧客100社」「月間処理件数200件」
- 改善・変化:「前年比120%」「ミス率を50%削減」「作業時間を週3時間短縮」
- 期間:「3年で主任に昇進」「入社半年でプロジェクトリーダーを任された」
職務経歴書テンプレートの入手先と作成のポイント
JIS規格の様式がない以上、信頼できるテンプレートをどこから入手するかが最初のハードルになります。主な入手先と特徴を整理します。
厚生労働省・ハローワークが提供する様式
厚生労働省はハローワーク経由で職務経歴書の作成パンフレット(PDF)を無料提供しています。様式の指定ではなく「記載項目の参考」として活用できます。公的機関が提供しているという安心感はありますが、デザインはシンプルで必要最低限の構成です。
採用担当者の視点でいえば、公的機関のテンプレートの使用自体は採否に影響しません。「読みやすいか」「内容が具体的か」の方が評価軸として圧倒的に重要です。
転職エージェントの無料テンプレートを活用する
リクナビNEXT・doda・マイナビ転職などの大手転職サービスは、職種別・状況別の職務経歴書テンプレートをWord・Excel・PDF形式で無料提供しています。編年体・逆編年体・キャリア形式それぞれのテンプレートが揃っており、記入例付きのものも多いです。
採用担当者に見せる前に、転職エージェントに書類を添削してもらうのも有効な手段です。テンプレートをそのまま使って提出するより、職務経歴書の自動作成ツールを使って効率化する方法も検討できます。

WordとExcel、採用担当者が見た印象の違い
職務経歴書を作成する際、WordとExcelのどちらを使うべきか迷うことがあります。採用担当者視点で見た違いは次の通りです。
| 形式 | 特徴 | 採用担当者の印象 |
|---|---|---|
| Word | 文章主体の経歴・長文説明に向く | 読みやすい・テキストが扱いやすい |
| Excel | スキル一覧や表形式が整理しやすい | 項目が多いキャリア形式に向く |
| レイアウトが崩れない・提出向き | 最終提出はPDFが無難 |
作成はWordまたはExcelで行い、提出前にPDF変換するのが最も確実です。PDFにすることでレイアウトの崩れを防ぎ、採用担当者がどの環境で開いても同じ表示になります。
書類の仕上げに自信がない場合は、職務経歴書の添削サービスを活用する選択肢もあります。

まとめ
- 職務経歴書にJIS規格は存在しない。JIS規格は「履歴書」の様式であり、令和2年7月に事実上廃止されている
- 職務経歴書には編年体・逆編年体・キャリア形式の3フォーマットがあり、転職状況に合わせて選ぶ
- 転職回数が少なければ逆編年体、転職回数が多いまたは専門職ならキャリア形式が効果的
- 採用担当者は「職務要約」「直近の職務内容」「スキル・資格欄」の3か所を最初に見る
- 差別化のカギは「数字による具体化」。規模・改善率・担当範囲を数字で表現する
- テンプレートは転職エージェントの無料テンプレートを活用し、最終提出はPDF変換が安全
フォーマットはあくまで「入れ物」です。どのテンプレートを選んでも、中身の具体性と読みやすさが採用担当者の評価を決めます。
職務経歴書テンプレートに関するよくある質問
- 職務経歴書にJIS規格のテンプレートはありますか?
-
職務経歴書にはJIS規格の様式は存在しません。JIS規格(JIS S 5516)は「履歴書」の様式として定められていたもので、令和2年7月に日本規格協会が解説から様式例を削除しています。職務経歴書は編年体・逆編年体・キャリア形式の3つのフォーマットから、自分の経歴や転職状況に合ったものを選ぶのが正しい選択です。
- 職務経歴書はWordとExcelどちらで作るべきですか?
-
どちらでも問題ありませんが、文章主体の経歴はWord、表やスキル一覧が多い場合はExcelが作りやすいです。採用担当者への提出時は、レイアウト崩れを防ぐためにPDF変換してから送るのが確実です。
- 職務経歴書の枚数に決まりはありますか?
-
一般的にA4で1〜2枚が目安とされています。3枚以上になると読みにくくなるため、要点を絞って2枚以内に収めるのが採用担当者への配慮です。職歴が多い場合は、直近10年以内の経歴を中心に記載し、それ以前は簡略化するとバランスが取れます。
- 職務経歴書の無料テンプレートはどこでダウンロードできますか?
-
リクナビNEXT・doda・マイナビ転職などの大手転職サービスが、職種別・形式別の職務経歴書テンプレートをWord・Excel・PDF形式で無料提供しています。ハローワークのウェブサイト(厚生労働省)でも作成パンフレットが入手できます。転職エージェントに登録すれば、担当エージェントから専用テンプレートを受け取れる場合もあります。


コメント