この記事では、派遣社員の場合の履歴書の書き方を解説します。派遣元・派遣先の記載方法から、登録型・常用型・紹介予定派遣の例文、複数派遣先・守秘義務などケース別の対応まで、採用担当者の視点を交えて説明します。
派遣の場合の履歴書の書き方|基本のルール3つ
派遣社員の職歴を履歴書に書く際は、正社員と異なるルールがいくつかあります。書き方を間違えると、採用担当者に「職歴を隠している」「記入ミスがある」と判断される可能性があります。まず3つの基本ルールを押さえましょう。
派遣元(派遣会社)と派遣先を分けて記載する
派遣の場合、履歴書の職歴欄には「派遣元(登録した派遣会社)」と「派遣先(実際に勤務した企業)」の両方を記載します。派遣会社に登録しただけで派遣先を書かないと就業実態が不明になり、逆に派遣先だけを書くと雇用主が誰か分からないという問題が生じます。
記載の順序は以下の3ステップです。
- 派遣元の会社に「登録」した年月を書く
- 派遣先の企業に「就業」した年月と会社名・業務内容を書く
- 派遣契約が終了した年月と退職理由を書く
採用担当者はここを見ている
- 派遣元と派遣先が明確に区別されているか:どの会社に雇用されてどこで働いたかを確認します
- 就業期間に空白がないか:派遣元への登録日と派遣先への就業開始日に大きなズレがある場合、理由を確認されることがあります
- 業務内容が具体的に書かれているか:「事務」「製造」だけでは評価できません。何をどの規模でこなしてきたかが判断材料になります
「入社」ではなく「登録」と書く
登録型派遣の場合、派遣会社との雇用関係は「派遣先での就業期間中のみ」です。そのため派遣会社への手続きは「入社」ではなく「登録」と表記するのが正確です。派遣先での就業開始については「就業」または「派遣就業開始」と記載します。
NG例
202○年○月 ○○スタッフィング株式会社 入社
202○年○月 △△株式会社 入社
→ 2社の雇用関係が混在していると誤読される。派遣特有のルールが守られていない。
正しい書き方
202○年○月 ○○スタッフィング株式会社 登録
202○年○月 △△株式会社 経理部に就業(○○スタッフィング株式会社より派遣)
202○年○月 派遣期間満了のため退職
契約終了は「派遣期間満了のため退職」と書く
派遣契約が終了した際の退職理由の書き方は、正社員と異なります。状況別の正しい表記をまとめました。
| 状況 | 正しい表記 | 避けるべき表記 |
|---|---|---|
| 契約期間が満了した | 派遣期間満了のため退職 | 一身上の都合により退職 |
| 自分から契約を終了した | 一身上の都合により退職 | 派遣期間満了のため退職 |
| 派遣先の都合で終了 | 派遣先都合により契約終了 | 会社都合により退職 |
契約満了を「一身上の都合」と書くと、面接で「なぜ自分から辞めたのか」を深掘りされる原因になります。契約終了の実態に合った言葉を選びましょう。
採用担当者が派遣歴を見るときに確認する3つのこと
「派遣歴があると正社員転職では不利になるのでは」と不安を抱える方は多いですが、採用担当者が確認しているのは派遣か正社員かという雇用形態そのものではありません。実際に見られているのは以下の3点です。
- 就業の継続性があるか:長いブランクなく継続的に就業してきたかを確認します。複数の短期派遣でも、空白が少なければ評価につながります。
- スキル・経験に一貫性があるか:異なる企業での派遣でも、職種や業種に一貫性があれば「専門性を積み上げてきた人材」として評価されます。複数の現場で同じ職種を続けてきた場合も同様です。
- 正社員を希望する理由が明確か:派遣から正社員転職を目指す場合、「なぜ正社員なのか」が履歴書の志望動機と一致しているかを採用担当者は確認します。ここが曖昧だと面接で深掘りされます。
つまり採用担当者が派遣歴に対して否定的に評価するのは「派遣だったこと」ではなく、「なぜ正社員になりたいのか説明できない」「スキルの積み上げが見えない」という点です。この視点を意識して職歴欄を書くと、書類選考の通過率が変わります。
派遣の種類別の書き方と例文
派遣には大きく3種類あり、雇用の仕組みが異なるため、履歴書の書き方も変わります。自分がどの形態で働いていたかを確認してから記載しましょう。
登録型派遣の場合
最も一般的な派遣形態です。派遣会社に登録し、仕事が決まった期間中だけ派遣会社と雇用関係が生じます。就業がない期間は雇用関係がありません。
登録型派遣の記載例
202○年○月 ○○スタッフィング株式会社 登録
202○年○月 △△株式会社 経理部に就業(○○スタッフィング株式会社より派遣)
請求書作成・伝票管理・データ入力等を担当
202○年○月 派遣期間満了のため退職
業務内容は「何をしたか」だけでなく、「処理件数」「担当範囲」「使用ツール」など具体的な数字やスキル名を添えると採用担当者の目に止まりやすくなります。
常用型(無期雇用)派遣の場合
常用型(無期雇用)派遣は、就業先がなくても派遣会社との雇用関係が継続します。入社・退社の記載は正社員と同様の書き方ができますが、派遣先での就業内容も記載が必要です。
常用型(無期雇用)派遣の記載例
202○年○月 ○○スタッフィング株式会社 入社
202○年○月 △△株式会社 総務部に派遣就業
庶務全般・備品管理・来客対応等を担当(202○年○月〜202○年○月)
202○年○月 ○○スタッフィング株式会社 退社
常用型の場合は「入社」「退社」と記載できます。ただし派遣先での就業内容は必ず書いてください。派遣先での業務が省略されていると、採用担当者には「何をしていた期間なのか」が分からなくなります。
紹介予定派遣の場合
紹介予定派遣は、一定期間の派遣就業後に直接雇用を前提とした形態です。直接雇用になった場合と、ならなかった場合で書き方が異なります。
紹介予定派遣で直接雇用になった場合の記載例
202○年○月 ○○スタッフィング株式会社 登録
202○年○月 △△株式会社 営業部に就業(紹介予定派遣)
202○年○月 △△株式会社に正社員として直接雇用
法人向け営業として新規開拓・顧客管理を担当
202○年○月 一身上の都合により退職
紹介予定派遣で直接雇用にならなかった場合の記載例
202○年○月 ○○スタッフィング株式会社 登録
202○年○月 △△株式会社 営業部に就業(紹介予定派遣)
202○年○月 直接雇用移行なしのため退職
ケース別|こんな時はどう書く?
派遣経験は人によって状況が大きく異なります。よくある6つのケースについて、それぞれの対応方法を解説します。
1つの派遣会社から複数の企業に派遣された場合
同じ派遣会社に登録したまま、複数の企業に順番に派遣された場合は、派遣元(登録)を1行書いたあとに、派遣先を就業順に記載します。
複数の派遣先がある場合の記載例
202○年○月 ○○スタッフィング株式会社 登録
202○年○月 A株式会社 人事部に就業(○○スタッフィングより派遣)
採用補助・勤怠管理を担当
202○年○月 派遣期間満了
202○年○月 B株式会社 総務部に就業(○○スタッフィングより派遣)
庶務全般・備品管理を担当
202○年○月 派遣期間満了のため退職
職歴欄のスペースが限られる場合は、応募先に関連するスキルが活かせた就業先を詳細に書き、その他は「〇〇株式会社に派遣就業(〇年〇月〜〇年〇月)」と要約する方法があります。
派遣会社が複数ある場合
複数の派遣会社に登録し、それぞれから異なる企業に派遣された経験がある場合は、派遣会社ごとにまとめて記載します。
派遣会社が複数ある場合の記載例
202○年○月 ○○スタッフィング株式会社 登録
202○年○月 A株式会社 製造部に就業(○○スタッフィングより派遣)
部品検査・ライン作業を担当
202○年○月 派遣期間満了のため退職
202○年○月 △△パーソネル株式会社 登録
202○年○月 B株式会社 倉庫部門に就業(△△パーソネルより派遣)
ピッキング・在庫管理を担当
202○年○月 派遣期間満了のため退職
派遣先の会社名を書けない(守秘義務)場合
派遣会社との契約に守秘義務条項が含まれている場合、派遣先企業名を明記できないケースがあります。その場合は業種や企業規模が伝わる表現に置き換えます。
守秘義務がある場合の記載例
202○年○月 ○○スタッフィング株式会社 登録
202○年○月 某大手食品メーカー(守秘義務のため社名非開示)の経理部に就業
月次決算補助・仕訳入力・経費精算管理を担当(従業員数500名規模)
202○年○月 派遣期間満了のため退職
「社名は書けないが、どんな企業でどんな業務をしたか」は伝えられます。業種・企業規模・具体的な業務内容の3点を押さえると、採用担当者が経験の質を判断できます。社名が書けない理由は「守秘義務のため」と明記しておくと、誤解されません。
派遣から直接雇用になった場合
派遣期間中に正式な社員(または契約社員)として採用された場合は、雇用形態が変わったタイミングを明記します。
直接雇用に切り替わった場合の記載例
202○年○月 ○○スタッフィング株式会社 登録
202○年○月 △△株式会社 カスタマーサポート部に就業(○○スタッフィングより派遣)
202○年○月 △△株式会社に契約社員として直接雇用
202○年○月 △△株式会社 正社員に転換
202○年○月 一身上の都合により退職
「派遣先からの引き抜き」や「正社員への転換」という事実は、採用担当者に評価の高い人材だったことを伝えます。省略せずに書きましょう。
正社員と派遣の経験が両方ある場合
正社員として働いた期間と派遣として働いた期間が混在する場合は、それぞれの雇用形態を明確にしながら時系列で記載します。
正社員経験がある場合は、そちらに職歴欄のスペースを多く使い、業務内容を詳細に書くのが基本方針です。採用担当者は正社員としての実績を重点的に確認することが多く、派遣期間はスキルの補足として位置づけられます。
短期・単発の派遣が多くて書き切れない場合
1〜3か月の短期派遣を繰り返してきた場合、すべてを書くと職歴欄に収まりません。以下の方針で整理します。
- 応募先に関連するスキルが活かせた就業先は詳細に記載する
- 単純作業が中心の短期案件は「〇〇スタッフィング株式会社より短期派遣(複数社)」としてまとめる
- 3か月以内の短期派遣が5件以上ある場合は職務経歴書で詳細を補う方法も有効
短期派遣が多い場合のまとめ記載例
202○年○月 ○○スタッフィング株式会社 登録
以降、同社より事務・データ入力系業務に複数社へ短期派遣(計8件)
主な就業先:A株式会社、B株式会社(各3〜6か月)
202○年○月 同登録終了
正社員転職で書類を通す|派遣歴の見せ方3つのポイント
派遣歴があっても正社員転職の書類選考を通過するために、職歴欄で意識すべき3つのポイントがあります。
①業務内容を数字で具体化する
「経理業務を担当」という記述では、経験の深さが採用担当者に伝わりません。具体的な数字や処理量を入れることで、実務能力が明確になります。
NG例
△△株式会社 経理部に就業
経理業務全般を担当
良い書き方
△△株式会社 経理部に就業
月次決算補助・仕訳入力(月200〜300件)・経費精算(月30名分)を担当。Excelのマクロを活用し、処理時間を従来比20%短縮。
②派遣先での評価や実績を書く
派遣でも「契約を延長してもらった」「社員と同等の業務を任された」「複数回同じ企業に呼ばれた」といった事実は、採用担当者に信頼性を示します。
「同社より2回の契約延長を経て計1年6か月の就業」のように記載すると、戦力として評価されていた事実が伝わります。短い派遣歴でも、延長実績は積極的に書きましょう。
③スキルの一貫性を見えるようにする
複数の職場を経験していても、同じ職種や業種に関わってきた場合は「専門性の積み上げ」として評価されます。複数の派遣先が異なる業種だった場合でも、共通するスキル(特定のシステム操作、コミュニケーション能力、業務改善経験など)を軸に据えて書くと、採用担当者に一貫したイメージを持ってもらいやすくなります。
また正社員転職を目指す場合は、志望動機と職歴の内容が一致しているかどうかも重要です。「これまでの派遣経験で培った〇〇のスキルを活かして、正社員として〇〇に貢献したい」という流れで書くと、転職の目的が採用担当者に明確に伝わります。
副業として正社員と派遣を並行していた場合の職歴の書き方は、ダブルワーク中の履歴書の書き方も参考にしてください。

まとめ
- 派遣の場合は「派遣元(登録)」と「派遣先(就業)」を分けて記載する
- 登録型派遣は「入社」ではなく「登録」、退職は「派遣期間満了のため退職」が正確
- 派遣の種類(登録型・常用型・紹介予定派遣)によって記載方法が異なる
- 複数派遣先・守秘義務・直接雇用など、状況別の対応方法を把握しておく
- 正社員転職では「業務の具体化」「実績の明示」「スキルの一貫性」が書類通過につながる
派遣歴の書き方に唯一の正解はなく、自分の就業実態に合った記載を選ぶことが大切です。
派遣の場合の履歴書に関するよくある質問
- 派遣の場合、履歴書に派遣先の会社名は書かないといけませんか?
-
書くのが原則です。派遣先を省略すると就業実態が採用担当者に伝わらず、判断材料が不足します。ただし守秘義務がある場合は「某大手〇〇メーカー」など業種と規模を示す表現に置き換えてください。守秘義務の有無が不明な場合は、事前に派遣会社へ確認することをおすすめします。
- 短期派遣が多くて職歴欄に書ききれません。どうすればよいですか?
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応募先に関連するスキルが活かせた案件を優先して詳細に記載し、残りは「短期派遣(複数社)」としてまとめる方法があります。職務経歴書を別途用意して詳細を補う方法も有効です。スペースに限りがある履歴書では「選んで書く」ことで、読み手に伝わりやすくなります。
- 派遣社員から正社員を目指す場合、志望動機に何を書けばよいですか?
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「なぜ正社員を希望するのか」を具体的に書くことが必要です。「安定を求めているから」という理由だけでは不十分で、「派遣経験で培った〇〇のスキルをより長期的に活かしたい」「特定の職種・業界で専門性を深めたい」など、前向きな理由と応募先との関連性を示すと評価されやすくなります。


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