この記事では、作業療法士が転職で提出する職務経歴書の書き方と、施設別(病院・介護施設・訪問リハビリ・保育園)の自己PR例文を紹介します。採用担当者が書類選考で何を確認しているかを逆算して、経験を数字で伝える方法と、通過率を下げるNG例の改善法も解説します。
採用担当者が作業療法士の職務経歴書を見るとき「最初に確認する3つのポイント」
採用担当者が書類を確認する時間は1件あたり30秒前後が目安です。その短い時間の中で「この候補者は即戦力になりそうか」を判断するために、担当者は決まった順序で書類を読み進めます。
どれだけ丁寧に書いた職務経歴書でも、この3つのポイントが伝わらないと書類通過は難しくなります。書き始める前に確認しておきましょう。
①経験した疾患領域と担当患者数(数字があるか)
採用担当者が最初に確認するのは、どの疾患領域を、何件程度担当してきたかです。「脳血管疾患や整形外科疾患の患者を担当してきました」という記述と、「脳血管疾患・整形外科疾患の患者を月25〜30名担当」という記述では、与える印象が大きく異なります。
施設によっては疾患領域が絞られており、急性期病院で脳血管疾患の経験が豊富な方が回復期病棟に応募する場合は高い評価を受けやすい反面、老健施設に応募する際は「認知症ケアの経験」を補足する必要があります。
採用担当者はここを見ている
- 疾患領域の幅(単科か複数科か)と深さ(何年関わったか)
- 月・年間の担当患者数(あいまいな記述は評価が下がる)
- 経験年数と担当件数のバランス(年数が長いのに件数が少なすぎないか)
②「何をどのくらいやったか」の具体性
「ADL訓練や機能訓練を行いました」という一行で終わる職務経歴書は、採用担当者の記憶に残りません。作業療法士の業務は施設によって大きく異なるため、「何を・どのような対象者に・どのような方法で行ったか」まで具体的に書く必要があります。
たとえば「脳卒中患者への上肢機能訓練・高次脳機能評価(MMSE・HDS-R使用)、退院前の家屋調査と自助具の選定」のように、使用したアセスメントツールや介入の具体的な内容を書くと、経験の深さが伝わります。
③応募先の施設タイプとの一致度
採用担当者は自施設のニーズと候補者の経験が合うかどうかを確認します。急性期病院が「急性期・早期介入の経験者」を求めているのに、職務経歴書に記載されているのが老健での生活機能維持のみであれば、ミスマッチと判断される可能性があります。
応募先に合わせた「強みの切り出し方」が大切です。同じ職歴でも、応募先の施設タイプに合った経験を前面に出す書き方に変えるだけで、書類通過率が上がります。
職務経歴書の基本構成と各項目の書き方
作業療法士の職務経歴書は、以下の4項目で構成するのが基本です。A4用紙1〜2枚に収めることを意識しながら、各項目を整理していきます。
| 項目 | 内容のポイント | 目安量 |
|---|---|---|
| 職務要約 | 経験全体を凝縮して記載。採用担当者が最初に読む | 3〜5行 |
| 職務経歴 | 施設名・期間・疾患領域・担当業務・患者数を具体的に | 職場ごと5〜10行 |
| 保有資格・スキル | 国家資格・民間資格・使用できる評価ツール | 5〜10項目 |
| 自己PR | 経験から得た強みと、応募先での活かし方を明記 | 150〜250字 |
職務要約 — 3〜5行で採用担当者の興味を引く
職務要約は、採用担当者が最初に目を通す箇所です。ここで「詳細を読んでみたい」と思わせられるかどうかで、その後の評価が変わります。
経験年数・経験した施設タイプ・得意とする疾患領域・応募への意欲を示す一文の4点を盛り込み、3〜5行以内にまとめるのが目安です。
職務要約の例文
急性期病院と回復期リハビリテーション病棟で計8年、主に脳血管疾患・整形外科疾患の患者を担当してまいりました。高次脳機能評価からADL訓練・退院前家屋調査まで一貫して関わり、月平均25〜30名を担当してきました。チームアプローチを大切にしており、カンファレンスでの情報共有や家族へのリハビリ指導も積極的に行ってきました。現在は急性期〜回復期の連携が取れる病院にて、即戦力として貢献したいと考えております。
職務経歴 — 業務内容を具体的に書く方法
職務経歴の欄は、施設名・在籍期間・担当業務を記載します。最も直近の職歴から書く「逆年代順」でも、古いものから書く「年代順」でも構いませんが、どちらかに統一します。
担当業務の欄では、以下の要素を意識して書くと採用担当者の評価が高まります。
- 疾患領域:脳血管疾患(脳梗塞・脳出血)、整形外科(骨折・人工関節術後)、認知症 など
- 担当患者数:月○○名、年間○○件など数字を入れる
- 介入内容:ADL訓練・高次脳機能評価・手指機能訓練・感覚統合療法など具体的に
- 使用した評価ツール:MMSE・HDS-R・FIM・Barthel Index・BIなど
- 役割:新人指導(○名)、カンファレンス担当、家屋調査担当など
保有資格・スキル
作業療法士の免許は正式名称で記載します。取得年月も記入しておくと採用担当者の確認がスムーズです。
- 作業療法士(厚生労働大臣免許)◯年◯月取得
- 認知症ケア専門士(取得している場合)
- 福祉住環境コーディネーター2級(取得している場合)
- 普通自動車第一種運転免許(訪問リハビリへの応募では必須)
使用できる評価ツール(MMSE・ADAS・FIM・Barthel Index・VMI・BADS など)もスキル欄に記載すると、即戦力として機能することが伝わります。
自己PR — 「過去の経験」と「入職後の貢献」をつなげる
自己PRのよくある失敗は「〜が得意です」「〜を大切にしています」で終わる記述です。採用担当者が本当に知りたいのは、その強みが自施設でどう活きるかです。
「急性期での早期介入経験を活かして、貴院の回復期病棟での在宅復帰支援に貢献できます」のように、過去の経験と応募先でのアウトプットをつなぐ一文を必ず入れます。
看護師など他の医療職でも、職務経歴書の自己PRを応募先に合わせて書き変える重要性は変わりません。医療職に特有の記載ルールを整理したい方は看護師の職務経歴書テンプレートもあわせて参考にしてください。

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作業療法士の職場は病院・介護施設・訪問リハビリ・保育園と多岐にわたります。それぞれの施設で求められるスキルと経験が異なるため、自己PRの内容も職場の特性に合わせて書くことが大切です。
急性期・回復期病棟の場合
病院での経験をアピールする際は、関わった疾患の幅・評価ツールの使用経験・チームでの役割の3点を中心に記述します。在宅復帰率や担当件数を数字で示すと、実績として説得力が増します。
例文(急性期・回復期病棟)
急性期病棟(脳神経外科・整形外科)にて5年間勤務し、主に脳梗塞・脳出血後の患者に対するADL訓練・上肢機能訓練・高次脳機能評価(MMSE・HDS-R・BADS使用)を担当しました。月平均28名を受け持ち、早期離床の促進と在宅復帰に向けた退院前家屋調査も一貫して行いました。退院先の内訳は自宅復帰が約65%、回復期転院が約30%です。また新人OT1名の指導担当として、評価・記録・カンファレンスでの報告方法を指導した経験があります。多職種連携を基軸とした急性期医療の現場で培った判断力と対応力を、貴院の回復期リハビリ病棟でも発揮できると考えております。
介護老人保健施設・特別養護老人ホームの場合
介護施設では、認知症ケアや生活機能の維持・向上に関わる経験が評価されます。レクリエーションの企画・実施経験や、ご家族との連携実績も具体的に記載すると印象が変わります。
例文(介護老人保健施設)
介護老人保健施設にて3年間勤務し、認知症(アルツハイマー型・レビー小体型)・廃用症候群・脳血管疾患後遺症の高齢者を対象に作業療法を提供しました。担当者数は月15〜20名で、日常生活活動(食事・更衣・排泄)の維持訓練および認知機能維持を目的としたアクティビティを週2〜3回企画・実施しました。HDS-R・MMSE・DBDを用いた認知機能評価を定期的に実施し、介護スタッフとのケアカンファレンスで情報を共有。在宅復帰を目指す利用者への支援では、福祉用具の選定・住環境調整の提案まで一貫して関わりました。ご家族への介護指導も担当し、介護負担軽減に向けた具体的なアドバイスを続けてきました。
訪問リハビリ・訪問看護ステーションの場合
訪問リハビリでは「自宅での環境調整」「ご家族・介護者への指導」「多職種との連携力」が強みになります。1対1でご利用者・家族と向き合う経験と、ケアマネジャーとの連携実績を具体的に伝えましょう。
例文(訪問リハビリ)
訪問看護ステーションに所属し、訪問リハビリ専従として4年間従事しました。担当利用者数は月20〜25名で、脳血管疾患後遺症・変形性関節症・パーキンソン病・認知症などの方を対象に、居宅でのADL訓練・転倒予防・環境調整・福祉用具の提案を行いました。訪問ごとにご家族・介護者の不安をヒアリングし、具体的なケア方法を伝える実践を継続してきました。ケアマネジャー・訪問看護師・ヘルパーと定期的に情報共有を行い、利用者の在宅生活を支える多職種チームの一員として機能してきました。自宅訪問を通じて得た環境調整の視点と、家族支援のスキルを貴ステーションの訪問リハビリ業務に活かしていきたいと考えています。
保育園・児童発達支援センターの場合
小児領域では、成人リハビリとは異なるアセスメントの視点と支援スキルが求められます。感覚統合に関する研修参加歴や、保護者への支援経験があれば必ず記載します。
例文(保育園・児童発達支援センター)
児童発達支援センターにて2年間勤務し、発達障害(自閉スペクトラム症・発達性協調運動障害・注意欠陥多動性障害)のお子さんへの個別・集団での作業療法を担当しました。感覚過敏・感覚探求の特性を持つお子さんへの環境調整・活動設定に取り組み、感覚統合療法の研修(○○研修修了)で得た知識を実践に活用しました。月平均担当児数は個別12名・集団グループ3クラスです。保護者支援も重視しており、定期的な面談での目標共有・家庭でできる関わり方のアドバイスを継続して行ってきました。小児領域での経験を活かし、貴センターのお子さんと保護者への支援に貢献したいと考えております。
職務経歴書の作成が初めての方や、自分一人では書き方に自信が持てない場合は、職務経歴書の代行・作成サポートサービスを利用する方法もあります。転職エージェントを経由すれば無料でサポートを受けられます。

採用担当者が即判断する「落ちる職務経歴書」3つのパターン
書類選考で落ちた経験がある方に多いのが、「量はあるのに読まれない職務経歴書」です。以下の3パターンに自分の書類が当てはまっていないか確認してみてください。
NG①「業務内容」が抽象的すぎる
NG例
「作業療法士として、患者のリハビリを担当しました。ADL訓練や機能訓練を行い、退院支援に携わりました。」
このような記述は、採用担当者にとって「誰でも書ける内容」です。担当した疾患名・使用した評価ツール・患者数・退院先の比率など、具体的な数字と固有名詞を加えるだけで、経験の厚みが一気に伝わります。
改善例
「脳血管疾患(脳梗塞・脳出血)・整形外科疾患の患者に対するADL訓練・上肢機能訓練・高次脳機能評価(MMSE・HDS-R・FIM)を担当。月平均25〜30名を受け持ち、在宅復帰率は担当患者の約70%でした。退院前家屋調査にも積極的に関与し、福祉用具選定・自助具提案まで一貫して携わりました。」
NG②自己PRが「患者思い」だけで終わる
NG例
「私は常に患者さんの立場に立って考え、一人ひとりに寄り添ったリハビリを提供することを心がけています。」
「患者思い」は作業療法士を志した全員が持つ気持ちであり、自己PRとして差別化にはなりません。採用担当者が求めているのは、「なぜその考えを持つに至ったか」の具体的なエピソード、または「その考えを行動に移した結果」です。
改善例
「入職2年目に在宅復帰が難しいと判断されかけた患者様を担当した際、本人の『台所に立ちたい』という目標を起点にADL訓練の内容を組み直しました。結果として3か月後に自宅退院が実現し、この経験から『患者の生活目標を最初に確認すること』を全症例で徹底するようになりました。作業療法の本質は生活を取り戻すことだと実感しており、貴院でもこの視点を大切に実践していきたいと考えています。」
NG③応募先と経験領域がズレている
病院の急性期病棟に応募するのに「老健での認知症ケア中心の経験」だけを前面に出した職務経歴書は、採用担当者に「うちが求めていることができるのか不明」と思わせます。
これは経験そのものの問題ではなく、書き方の工夫で解決できます。老健での経験の中から「急性期対応が必要だった事例(急変時の連携経験など)」「病院との退院調整での連携経験」を切り出して前面に出すことで、ミスマッチの印象を和らげられます。
職務経歴書の内容を一から整えるのが難しい場合、転職エージェント経由での職務経歴書の添削サービスを活用する方法があります。プロのアドバイザーが応募先に合わせた切り出し方を提案してくれます。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 採用担当者が確認するのは「疾患領域・患者数・応募先との一致」の3点
- 業務内容は「何を・どのくらい・どのような方法で」まで具体的に書く
- 自己PRはエピソード+「入職後にどう活かすか」をセットにする
- 例文は施設タイプ(病院・老健・訪問・保育/小児)に合わせて強みの切り出しを変える
- 「患者思い」だけの自己PRは採用担当者の記憶に残らない。具体的なエピソードと結果を添える
職務経歴書は一度書いたら終わりではありません。応募先の施設タイプが変わるたびに「どの経験を前面に出すか」を見直す習慣が、書類通過率を安定させます。
作業療法士の職務経歴書に関するよくある質問
- 作業療法士の職務経歴書はA4何枚にまとめるべきですか?
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1〜2枚が基本です。経験が浅い場合(1〜3年目)はA4・1枚でまとめるのが適切です。経験が5年以上ある場合は2枚まで使えますが、3枚以上になる場合は情報を絞り込んでください。採用担当者が1件あたりにかける確認時間は短いため、簡潔にまとめることが評価につながります。
- 作業療法士の国家資格は職務経歴書にどう記載しますか?
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「作業療法士」が正式名称です(厚生労働大臣免許)。資格・スキル欄に取得年月とあわせて記載します。「OT」のような略称は書類には使用しないことが基本です。認知症ケア専門士・福祉住環境コーディネーターなどの民間資格も保有している場合はあわせて記載します。
- 職務経歴書を初めて書く作業療法士は何から始めればよいですか?
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まず勤務先ごとに「担当した疾患・月の患者数・使用した評価ツール・任された役割」をリストアップするところから始めます。この情報が揃えば職務要約・職務経歴・自己PRのどの欄にも応用できます。スムーズに作成したい場合は職務経歴書の自動作成ツールの活用も有効です。
- 転職回数が多い作業療法士の場合、職務経歴書はどう書けばよいですか?
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転職回数が多くても、各職場で担当した疾患領域・役割・習得したスキルが積み上がっていれば問題になりません。職務要約の冒頭に「複数施設での幅広い経験を持つOT」として切り出し、各職場での習得スキルと担当成果を記載します。職場ごとに「施設タイプを広げるため」「専門性を高めるため」など前向きな理由があれば、自己PR欄に一言添えると誤解を防げます。


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