この記事では、履歴書の学歴欄に中退を記載する際の正式な書き方を採用担当者の視点で解説します。高校・大学・専門学校など状況別の記載例と、書類選考で落とされやすいNGパターン、中退理由の書き方まで紹介します。
履歴書の学歴欄に中退を必ず書かなければならない理由
中退の事実を履歴書の学歴欄に書かないでおくと、「学歴詐称」として内定取り消しや懲戒解雇の対象になるリスクがあります。「ばれないだろう」という判断が、後から取り返しのつかない問題につながることを採用担当者の視点から解説します。
書かないと学歴詐称になる
採用選考では、内定後に卒業証明書・成績証明書の提出を求める企業が大多数です。書類の照合段階で中退の事実が発覚すれば、内定取り消しの対象になります。入社後の発覚であれば、就業規則違反として懲戒処分を受けるケースもあります。
「学歴欄を空欄にしておけばわからない」という考え方も通じません。書類に空白がある時点で採用担当者は確認を行い、空白期間の説明を求めます。最初から正直に記載しておく方が、選考過程全体で自分を守ることになります。
採用担当者は3つのタイミングで中退の事実を確認する
「書類選考では発覚しないのでは」と思う方もいますが、採用担当者が中退の事実を確認するタイミングは一度ではありません。
採用担当者はここを見ている
- 内定後の書類提出時:卒業証明書・在学証明書と履歴書の照合で発覚する
- 面接中の会話:「大学ではどんな研究をしていましたか?」など学歴に触れる質問で矛盾が生じやすい
- 入社後の人間関係・業界のつながり:同業界で働くうち、知人や取引先から知られるケースがある
履歴書の中退の正しい書き方(基本は「中途退学」)
中退を履歴書に書く際に最もよくある誤りが、「中退」という略称をそのまま記載してしまうことです。履歴書では「中途退学」と正式表記するのが原則です。まず5つの基本ルールを確認してください。
絶対に使ってはいけない略称と5つの基本ルール
- 「中退」ではなく「中途退学」と書く
- 学校名は正式名称で書く(「日大」→「日本大学」、「早稲田」→「早稲田大学」)
- 学部・学科名も省略せず正式名称で記載する
- 中途退学した年月を正確に記載する(入学年月だけでは不十分)
- 学歴欄の末尾に「以上」は書かない(通常の卒業履歴と異なり、中途退学で学歴が途中で終わるため)
高校中退の書き方と記載例
高校中退の場合、中学卒業から高校入学・中途退学まで時系列で記載します。「高校」は正式名称である「高等学校」と書くことが必要です。
良い記載例
20XX年 3月 〇〇市立〇〇中学校 卒業
20XX年 4月 〇〇県立〇〇高等学校 普通科 入学
20XX年 X月 〇〇県立〇〇高等学校 普通科 中途退学
NG例
20XX年 4月 〇〇高校 入学
20XX年 X月 中退
→ 学校名の略称・「中退」という略称がNG。採用担当者が証明書類と照合できません。
大学・短大中退の書き方と記載例
大学・短大中退の場合、学部・学科まで正式名称で記載します。学科名が長い場合でも省略は禁止です。
良い記載例
20XX年 3月 〇〇高等学校 卒業
20XX年 4月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 入学
20XX年 X月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 中途退学(家庭の経済的事情により)
NG例
20XX年 4月 〇〇大 〇〇学部 入学
20XX年 X月 中退
→ 大学名の略称・学科省略・「中退」の略称がいずれもNG。
専門学校中退の書き方と記載例
専門学校の場合、「〇〇専門学校」「〇〇科(または〇〇専攻)」と正式に記載します。専門学校には学部制がないため、科・課程・専攻の名称で記載します。
良い記載例
20XX年 4月 〇〇専門学校 〇〇科 入学
20XX年 X月 〇〇専門学校 〇〇科 中途退学
専門学校の学歴欄の書き方については、専門学校の履歴書の書き方と採用担当者のチェックポイントで詳しく解説しています。

大学院中退の書き方と記載例
大学院中退の場合は、「大学院」「研究科」「専攻」「課程(博士前期・後期)」までを正確に記載します。
良い記載例
20XX年 4月 〇〇大学大学院 〇〇研究科 〇〇専攻 博士前期課程 入学
20XX年 X月 〇〇大学大学院 〇〇研究科 〇〇専攻 博士前期課程 中途退学
修士・博士・在学中など状況別の書き方は、大学院の履歴書の書き方完全ガイドを参照してください。

複数回中退している場合の書き方
2校以上を中退している場合も、すべての入学・中途退学を時系列で記載します。採用担当者は内定後の証明書類でも確認するため、省略すると発覚リスクを高めるだけです。
良い記載例(2回中退の場合)
20XX年 4月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 入学
20XX年 X月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 中途退学
20XX年 4月 〇〇専門学校 〇〇科 入学
20XX年 X月 〇〇専門学校 〇〇科 中途退学
中退理由は履歴書に書くべきか|採用担当者が見ているポイント
採用担当者の本音として、「中途退学」とだけ書かれた学歴欄を見ると、理由が気になります。何も記載がない場合、面接で必ず確認することになります。理由を1行添えるだけで採用担当者の「なぜ?」という疑念を事前に解消できます。
書いたほうがよい中退理由・書かなくてよい中退理由
| 中退理由のタイプ | 書くべきか | 採用担当者の見方 |
|---|---|---|
| 経済的な事情(家庭の経済難など) | 書く | やむを得ない事情として理解されやすい |
| 起業・留学・資格取得などの目標追求 | 書く | 積極的な姿勢としてプラスに評価される |
| 病気・療養 | 書く | 誠実な対応として好印象を持たれやすい |
| 精神的な不調・メンタル系の理由 | 状況による | 書かなくてよいが、面接で確認される可能性がある |
| 人間関係の悩み・学校が合わなかった | 書かない | ネガティブな印象を与えやすい |
| 特に理由がない・なんとなく辞めた | 書かない | 説明が難しいため書かない方が無難 |
前向きな中退理由の書き方と例文
前向きな理由で中退した場合は、簡潔に1行で書くのが基本です。「なぜその目標のために大学を辞める必要があったのか」まで書く必要はありません。
良い記載例
- 20XX年 X月 〇〇大学 〇〇学部 中途退学(起業準備のため)
- 20XX年 X月 〇〇大学 〇〇学部 中途退学(海外留学実現のため)
- 20XX年 X月 〇〇大学 〇〇学部 中途退学(プログラミングスクールに専念するため)
やむを得ない中退理由の書き方と例文
経済的事情や病気など、本人の意思だけではどうにもならなかった理由は、積極的に書いておくことをおすすめします。事前に書いておくことで、面接でその話題が出た場合にも落ち着いて話せます。
良い記載例
- 20XX年 X月 〇〇大学 〇〇学部 中途退学(家庭の経済的事情により)
- 20XX年 X月 〇〇大学 〇〇学部 中途退学(療養のため)
- 20XX年 X月 〇〇高等学校 中途退学(家族の介護のため)
「一身上の都合により退学」と書いてはいけない
「一身上の都合」は職歴欄の退職理由に使う定型表現です。学歴欄の中退理由にこの表現を使うと、採用担当者に「本当の理由を隠したいのでは」という印象を与えます。中退理由は「経済的事情」「療養のため」など具体的な言葉の方が、誠実な印象につながります。
NG例
20XX年 X月 〇〇大学 中途退学(一身上の都合により)
→ 採用担当者が「理由を隠しているのでは」と判断する原因になります。
中退後に空白期間がある場合の書き方については、履歴書の空白期間の書き方と状況別例文も参照してください。

採用担当者が書類を落とす「中退」のNG記載5選
中退を履歴書に書く際に多いNGパターンを5つまとめます。どれも実際の書類選考で採用担当者が落とす判断につながる可能性があります。
採用担当者が落とすNG記載5選
- 「中退」という略称を使う → 「中途退学」が正式表記。略称で書くと「基本マナーを知らない」と判断される
- 学校名を略称で書く → 「日大」「慶應」のような通称は証明書類と照合できないため、採用担当者が確認に手間取る
- 学部・学科を省略する → 「〇〇大学 入学」だけでは、どの学部を修めたか採用担当者には判断できない
- 中途退学の年月を書かない → 入学年月だけ記載して退学年月がない場合、採用担当者は「今も在学中では?」と混乱する
- 中退の事実を学歴欄から完全に消す → 入学した事実があるのに記載しない行為は学歴詐称。最もリスクが高いNG
高卒認定(旧大検)を取得している場合の書き方
高校を中退した後に高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)に合格している場合、書き方が変わります。高卒認定は「学歴」ではなく「資格」として扱うため、資格欄に記載します。
よくある誤解として「高卒認定に合格したら高卒と書いてよい」があります。高卒認定はあくまで「高校卒業と同等の学力を証明する資格」であり、学歴上は高校卒業になりません。採用担当者は証明書類を見れば確認できます。
高卒認定ありの場合の記載例
【学歴欄】
20XX年 4月 〇〇県立〇〇高等学校 普通科 入学
20XX年 X月 〇〇県立〇〇高等学校 普通科 中途退学
【資格欄】
20XX年 X月 高等学校卒業程度認定試験 合格
採用担当者はここを見ている
- 高卒認定は「高卒」という最終学歴にはならない点を把握している
- 学歴欄に「高校中途退学」、資格欄に「高等学校卒業程度認定試験 合格」と正確に書いてある場合、誠実な対応として評価する
- 「高卒認定=高卒」と勘違いして学歴欄に「高校卒業」と書くと学歴詐称になる
中退後の空白期間が長い場合の対処法
大学・高校を中退した後、就職するまでに数か月〜数年の空白期間がある場合、採用担当者が最も気にするのは「その間何をしていたか」です。学歴欄に「中途退学」と書くだけでは、空白期間の理由が伝わりません。
- 空白期間中に取り組んだことを職歴欄・自己PR欄に書く:アルバイト・資格取得・独学・ボランティアなど、何かしらの取り組みがあれば積極的に記載する
- 職歴欄で「中退後の就労経験」から始める:学歴欄で中途退学を記載した後、職歴欄でその後の経験を時系列で示す
- 自己PR欄で空白期間を補足する:空白期間に学んだこと・克服したことを自己PR欄で正直に伝えることで、採用担当者の「なぜ空白があるのか」への回答になる
無職期間を含む履歴書の書き方については、履歴書 無職の書き方|空白期間があっても書類通過できる例文付きも参考にしてください。

面接で中退理由を聞かれたときの答え方
中退が履歴書に記載されていれば、面接で確認されると考えておいた方が安心です。採用担当者が「なぜ中退したのですか?」と質問するのは、中退を責めているのではありません。
採用担当者が面接で確認していること
採用担当者が中退理由で確認していること
- 中退の原因となった状況(経済難・精神的不調など)が今も継続していないか
- 入社後に同じ理由で早期退職しないか
- 中退後に何かに取り組み、現在の姿勢・意欲はどうか
つまり、採用担当者が判断しているのは「中退した事実」ではなく「その後の姿勢と現在の状態」です。中退は変えられない事実ですが、その後の行動は自分でコントロールできます。
中退をポジティブに伝える3ステップ
- 中退の事実を簡潔に説明する:言い訳をせず、1〜2文で端的に伝える
- 中退後に取り組んだことを話す:資格取得・就労経験・スキルアップなど具体的な行動を伝える
- この会社で活かす意欲につなげる:中退後の経験がどう仕事に役立つかを語る
良い回答例
「〇〇学部に在籍していましたが、家庭の経済的な事情で学業の継続が難しくなり、中途退学を選択しました。退学後はアルバイトで生活費を賄いながら〇〇の資格を取得し、現在の職場での実務経験も積んできました。この経験で培った〇〇のスキルを貴社の業務に活かしていきたいと考えています。」
NG例
「なんとなく合わなかったので辞めました。特に理由はないです」
→ 採用担当者が「入社後も同じ理由で離職するのでは」と判断する原因になります。
まとめ
- 中退は「中途退学」と正式表記し、学校名・学部・学科・年月を正確に記載する
- 書かないことは学歴詐称にあたり、内定取り消しや懲戒解雇のリスクがある
- 前向き・やむを得ない中退理由は1行添えると、採用担当者の疑念を事前に解消できる
- 「一身上の都合」は学歴欄には使わない(職歴欄の退職理由に使う表現)
- 高卒認定は「学歴」ではなく「資格」として扱い、資格欄に記載する
- 面接では事実を簡潔に伝え、中退後の取り組みを具体的に語ることが評価につながる
中退の事実そのものは変えられませんが、書き方と伝え方で採用担当者に与える印象は変わります。正確な記載と中退後の前向きな行動を組み合わせることで、書類選考を通過する可能性を高めてください。
履歴書の学歴・中退に関するよくある質問
- 「中退」と「中途退学」はどちらで書けばいいですか?
-
履歴書では「中途退学」が正式表記です。「中退」は日常的な略称であり、履歴書の学歴欄には使いません。採用担当者に基本マナーを理解していないと判断されるリスクがあります。
- 高校中退と大学中退では採用担当者の評価に差がありますか?
-
最終学歴が高校中退か大学中退かによって、応募できる求人の幅に差が出ることはあります。ただし、採用担当者が書類選考で重視するのは「中退の事実そのもの」より「中退後に何をしてきたか」です。中退後の経験・スキルを自己PR欄でしっかり伝えることが重要です。
- 複数の学校を中退している場合、すべて書く必要がありますか?
-
はい、すべての入学・中途退学を時系列で記載する必要があります。省略すると、内定後の証明書類の照合で不一致が生じ、採用取り消しや懲戒処分のリスクが高まります。
- 高卒認定(旧大検)に合格していれば「高卒」と書けますか?
-
書けません。高卒認定は「高校卒業と同等の学力を証明する資格」であり、学歴上の「高校卒業」にはなりません。学歴欄に「高等学校 中途退学」と書き、資格欄に「高等学校卒業程度認定試験 合格」と記載するのが正確な方法です。
- 中退の事実を書かずに選考を通過できますか?
-
書かないことは学歴詐称にあたります。内定後の書類提出、面接での会話、入社後の人間関係など複数のタイミングで発覚するリスクがあります。発覚した場合は内定取り消しや懲戒解雇の対象になることがあるため、必ず正直に記載してください。
- 中退後に職歴がない場合、履歴書はどう書けばいいですか?
-
中退後に職歴がない場合でも、学歴欄には中途退学の事実を正確に記載します。その後の空白期間については、自己PR欄で「資格の取得」「独学での学習」「アルバイト経験」など空白期間中の取り組みを補足してください。


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