この記事では、転職の履歴書における職歴欄の書き方を採用担当者の視点から解説します。基本ルール・在職中と退職済みの書き分け方・転職回数が多い場合のケース別例文・書ききれない場合の対処法まで、書類選考を通過するために必要な知識をまとめています。
転職の履歴書の職歴欄を書く前に知っておく4つの基本ルール
職歴欄は、採用担当者が履歴書を開いて最初に確認する項目のひとつです。書き方に乱れがあると、内容を読む前の段階で通過率が下がります。どんな状況でも変わらない4つの基本ルールを押さえてください。
古い順(時系列)に書く
職歴欄は、最も古い職歴から順番に記載するのが原則です。転職歴が複数ある場合でも、入社年月が早い順から書き始めることで、採用担当者がキャリアの流れを把握しやすくなります。
1行目の中央に「職歴」と書き、その下から企業名・入社年月・退職年月を記載する形式が標準です。項目の開始位置が乱れていたり、「職歴」の書き出し位置が左端に偏っていたりする書類は、読む前から採用担当者に雑な印象を与えます。
採用担当者はここを見ている
- 入社・退職の年月が時系列に正しく並んでいるか
- 職歴の空白(何も記載されていない期間)がないかどうか
- 在籍期間の長さと転職回数のバランス
社名・部署名は正式名称で記載する
企業名は登記上の正式名称を使います。「(株)○○」「○○㈱」のような略記は、採用担当者に事実確認の手間を取らせるうえに、「正確な情報を伝える意識が低い人」という印象を与えます。
良い記載例
株式会社○○商事 ◯◯営業部 第一課 入社
NG例
(株)○○商事に入社
「(株)」は略称のため不可。「株式会社」と法人格まで正確に書くこと。
西暦か和暦、どちらかに統一する
年の表記は西暦・和暦のどちらでも問題ありません。ただし、1枚の履歴書の中で混在させることは厳禁です。「2019年4月入社、令和3年3月退職」のような混在は、確認ミスを連想させ、読み手の信頼を損ないます。
転職エージェントや企業が提供するフォーマットに指定がある場合はそれに従ってください。指定がない場合は西暦統一がシンプルで間違いが起きにくく、採用担当者の確認コストも下がります。
最後の行は必ず「以上」で締める
職歴欄の最後の行(在職中なら「現在に至る」の次の行)に「以上」と右寄せで記載します。「以上」がないと、記載が途中で終わっているのか記入終了なのかが採用担当者に伝わりません。記入の完了を示す「以上」は必ず入れるようにしてください。
在職中か退職済みかで変わる職歴欄の書き方
転職活動には「在職中」と「退職済み」の2つのパターンがあり、職歴欄の末尾の書き方が変わります。どちらの状況であっても採用担当者に正確に伝わる記載が必要です。
在職中の書き方:「現在に至る」の使い方
現在も在職中の場合、最後の会社への入社を記載した後に「現在に至る」と書いて改行し、右寄せで「以上」と記します。
在職中の記載例
2020年4月 △△株式会社 入社
◯◯部 ◯◯課 配属(現在に至る)
以上
退職予定日がすでに決まっている場合は、「現在に至る(2026年◯月末退職予定)」のように括弧書きで補足することができます。採用担当者が入社時期の見通しを立てやすくなるため、決まっていれば記載しておくことをすすめます。
在職中の履歴書で悩みやすい入社可能日の書き方と日付の決め方については別記事で詳しく解説しています。

退職済みの場合:退職理由の記載ルール
すでに退職している場合は、退職年月と退職理由を記載します。履歴書の職歴欄に詳細な理由を書く必要はなく、以下の2パターンのどちらかで記載するのが一般的です。
| 退職の種類 | 職歴欄への記載 |
|---|---|
| 自分から退職した(転職・キャリアチェンジ等) | 一身上の都合により退職 |
| 会社側から退職を求められた(倒産・リストラ等) | 会社都合により退職 |
転職回数が多い場合や短期離職がある場合でも、職歴欄に詳細な退職理由を書く必要はありません。詳しい事情は職務経歴書または面接で説明する場を設けてください。
採用担当者が「退職・現在に至る」で実際に確認すること
採用担当者はここを見ている
- 退職から現在までの期間:ブランクが長い場合は書類段階で理由の確認が必要と判断されやすい
- 在職中かどうか:採用後の受け入れ時期を検討する材料になる
- 会社都合退職の記載:正直に「会社都合」と書いてある人は誠実な印象を与える
ケース別・転職で迷いやすい職歴欄の書き方
転職経験者のほとんどが「自分のケースはどう書けばいいか」と悩みます。以下の4つのパターンを状況に合わせて参照してください。
転職回数が3社以上ある場合
転職回数が多いことで書類通過が不利になると心配する方は多いですが、採用担当者が重視するのは「回数」よりも「在籍期間の長さとキャリアの一貫性」です。
職歴欄には原則としてすべての職歴を記載する義務があります。転職回数が多くても省略することは「経歴詐称」にあたるリスクがあり、採用後に発覚すれば解雇事由になりえます。全件を正直に記載したうえで、職務経歴書でキャリアの文脈を説明するのが正攻法です。
転職回数が多い場合の記載のコツ
- 短期離職(1年未満)がある場合は、職務経歴書に「当時の状況(会社倒産・健康上の理由等)」を1行補足する
- 業界・職種に一貫性がある場合は、各社での担当業務を1行ずつ添えてキャリアの流れを見せる
- 職歴欄に「各社での担当職種・部署」を1行補足すると採用担当者が内容を把握しやすい
部署異動・出向・転籍があった場合
同一企業内での部署異動は、退職・入社の表記は不要です。職歴欄に「◯◯部から△△部へ異動」のように1行補足するだけで構いません。
出向の場合は、在籍先企業(出向元)を記載したうえで「△△株式会社へ出向」と添えます。転籍(籍が移動する)の場合は、出向元を「退職」として転籍先を新たな「入社」として記載するのが一般的です。
グループ会社への転籍など複雑なケースの職歴欄の書き方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

派遣社員・アルバイト経験がある場合
派遣社員として複数の企業で勤務した場合、原則として「派遣元(派遣会社)への登録」と「派遣先(就業場所)」の両方を記載します。
派遣社員の記載例
2021年4月 ◯◯派遣株式会社(人材派遣業) 登録
△△株式会社へ派遣就業(事務・データ入力担当)
2023年3月 派遣契約終了
アルバイトは、正社員への転職活動において必ずしも全件を記載する必要はありません。ただし、職歴に空白が生じる期間のアルバイトは記載した方が印象が良くなるケースがあります。
本業と並行してアルバイトをしていた(ダブルワーク)の場合の職歴欄の書き方は、こちらの記事で例文とともに解説しています。

自営業・フリーランスから転職する場合
自営業や個人事業主として働いていた期間も職歴欄に記載します。企業への就職・退職と同様に、「開業・廃業(または休業)」の表記で記載してください。
自営業・フリーランスの記載例
2020年6月 フリーランスとして独立(Webデザイン・グラフィックデザイン業)
2024年3月 一身上の都合により廃業
事業内容・取引先の業種・売上規模などの詳細は職務経歴書に記載してください。履歴書の職歴欄はあくまで「事実の概要」のみを書く場所です。
職歴欄が書ききれない場合の3つの対処法
転職回数が多い場合や一つの会社で複数の部署を経験している場合、市販の履歴書用紙1枚に職歴が収まらないことがあります。その場合は以下の3つの対処法を使い分けてください。
- 対処法①:職務経歴書に詳細を移す
職歴欄には入社・退職の事実(社名・時期・退職理由)だけを記載し、業務内容・実績・担当プロジェクトの詳細は職務経歴書に記載します。これが最も一般的な解決策で、採用担当者も慣れている方法です。 - 対処法②:短期の職歴をまとめて1行に表記する
1〜3ヶ月程度の短期アルバイトなど在籍期間が極端に短い職歴は、「複数社での短期就業経験あり(20XX年〜20XX年)」のようにまとめることができます。ただし、正社員として雇用されていた職歴を省略することは避けてください。 - 対処法③:別紙(追加ページ)を用意する
どうしても1枚に収まらない場合は「職歴続き」として別紙を添付することも可能です。その場合、1枚目の職歴欄の最後に「(別紙に続く)」と記入してください。
退職後に空白期間が生じている場合の職歴欄への記載方法は、こちらの記事で状況別の例文とともに解説しています。

採用担当者が書類選考で落とす職歴欄の3つのNGパターン
採用担当者が一目で「この書類は通過させられない」と判断するポイントがあります。以下の3つは書き方のミスの中でも特に印象を下げやすいパターンです。
NG①:退職から現在までの期間に何も書かれていない
退職年月と現在の間に何の記載もなく、時系列に空白が生じている履歴書は、採用担当者に「何をしていたのか」という疑問を必ず抱かせます。転職活動中であれば「転職活動中」、資格取得のために勉強していたなら「◯◯資格取得のため勉学中」のように、理由を1行添えるだけで印象は大きく変わります。
NG例
2024年3月 ◯◯株式会社 一身上の都合により退職
(この後何も記載がない)
以上
退職から「以上」までの間が空白になっていると「その期間に何をしていたか不明」と判断される。
良い例
2024年3月 ◯◯株式会社 一身上の都合により退職
2024年4月 転職活動中(現在に至る)
以上
NG②:会社名が略称・不正確な表記になっている
「(株)」「A社」「前職」のような略称・不明確な表記は、事実確認ができない情報として書類通過を妨げます。在籍していた当時の正式名称が記憶に定かでない場合でも、登記謄本・源泉徴収票・雇用保険被保険者証などで正確な社名を確認してから記載してください。
NG③:転職回数が多いのに退職理由が「一身上の都合」だけの繰り返し
1〜2社の転職であれば「一身上の都合により退職」のみで問題ありません。しかし3社以上の転職歴がある場合に毎回「一身上の都合」という記載が並ぶと、採用担当者は職務経歴書や面接でさらに掘り下げようとします。
特に会社都合退職が含まれる場合は「会社都合により退職」と正確に記載することが重要です。会社都合を「一身上の都合」と書くことは実態と異なる記載になるため、避けてください。正直に書いてある人の方が、採用担当者には信頼できる印象を与えます。
採用担当者が思わず通過させたくなる職歴欄の特徴
- 年月・社名・退職理由がすべて正確に記載されている(確認作業が不要で読みやすい)
- 各社でどの部署・職種を担当したかが1行でわかる(業務内容の概略がある)
- 空白期間がある場合に理由が添えてある(隠していない誠実な印象を与える)
まとめ
- 職歴欄は「古い順・正式名称・年号統一・以上で締める」の4つが基本ルール
- 在職中は「現在に至る」、退職済みは「一身上の都合」または「会社都合」と記載する
- 転職回数が多い場合でも省略は禁止。職務経歴書でキャリアの文脈を補足する
- 書ききれない場合は職務経歴書に詳細を移し、職歴欄には入社・退職の事実のみ記載する
- 空白期間・略称・退職理由の繰り返しは書類通過を妨げる3大NGパターン
職歴欄は採用担当者がキャリアの全体像を把握するための最初の窓口です。正確な記載と必要な補足で、書類選考の通過率を確実に上げてください。
転職の履歴書・職歴欄に関するよくある質問
- 職歴をすべて書かないといけませんか?短期在籍は省略できますか?
-
原則としてすべての職歴を記載してください。正社員として雇用されていた職歴を省略すると、採用後のバックグラウンドチェックで発覚した場合に経歴詐称と判断されるリスクがあります。1〜3ヶ月程度の短期アルバイトなどは「短期就業経験あり」とまとめる方法もありますが、省略する期間には必ず補足を入れてください。
- 在職中に転職活動をする場合、「現在に至る」とだけ書けばいいですか?
-
はい、在職中であれば「現在に至る」と書いて改行後に「以上」と記載するのが基本です。退職予定日が決まっている場合は「現在に至る(2026年◯月末退職予定)」と補足することで、採用担当者が入社時期を検討しやすくなります。
- 転職回数が多いと書類選考で不利になりますか?
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転職回数そのものよりも、在籍期間の短さや退職理由の説明がないことが不利に働きます。職歴欄に全件を正確に記載したうえで、職務経歴書でキャリアの一貫性と各社での成果を説明することが最も効果的な対策です。
- 退職理由は「一身上の都合」だけで問題ありませんか?
-
自己都合退職であれば「一身上の都合により退職」と記載するのが一般的で問題ありません。ただし会社都合(倒産・リストラ等)の場合は「会社都合により退職」と正確に記載してください。転職回数が3社以上あり毎回「一身上の都合」が繰り返される場合は、採用担当者が面接で掘り下げる可能性が高まります。職務経歴書に簡単な補足を入れておくと安心です。

