この記事では、理学療法士の履歴書に書く志望動機の組み立て方を採用担当者の視点から解説します。急性期・回復期・クリニック・訪問リハビリの施設別例文のほか、転職・新卒・ブランクあり別の例文と、書類選考で落とされるNGパターン4つも紹介します。
採用担当者が理学療法士の志望動機で「本当に見ているもの」
理学療法士の採用では、免許の有無や基本的な施術技術は「最低条件」として扱われます。書類選考の段階で技術の差を判断する方法はほとんどないため、採用担当者が志望動機に求めているのは「この人が長く働いてくれるか」という定着性の見極めです。
採用・育成にかかるコストが大きい職種ほど、採用側は短期退職をもっとも避けたいと考えています。理学療法士もその典型で、入職後1〜2年での離職は施設にとって大きな損失です。
だからこそ採用担当者は志望動機を読みながら「なぜ今の施設では足りないのか」「なぜ当院でなければならないのか」を確認しています。裏を返せば、どこにでも送れる「使い回し文」は、最初の30秒で見抜かれています。
採用担当者はここを見ている
- 「なぜ当院なのか」が施設固有の情報で語られているか
- 前職・前の施設への不満が動機になっていないか(ネガティブ転職の匂い)
- 入職後の具体的なキャリアイメージが描かれているか
- 「人の役に立ちたい」だけで終わっていないか(誰でも書ける内容との差)
理学療法士の履歴書志望動機に必ず盛り込む3つの要素
採用担当者が「読む価値がある」と感じる志望動機には、共通した3つの要素があります。この3点をどの順番で組み合わせるかが、志望動機の骨格になります。
①なぜ理学療法士を目指したか(出発点)
新卒・転職問わず、志望動機の書き出しとして有効な要素です。ただし使う場合は「家族がリハビリを受けていた」「スポーツでケガをして理学療法士に助けてもらった」など具体的なエピソードが必須です。
「人の役に立ちたいから」という抽象的な動機だけを先頭に置くと、採用担当者は読んだ瞬間にスルーします。転職者の場合、すでに理学療法士として働いていることが前提なので、この要素は省略して「現職での経験・気づき」から入るほうが自然です。
②なぜこの施設・職場を選んだか(志望先への理解)
採用担当者が最も重視する部分です。「貴院の理念に共感しました」は、ホームページを30秒見れば誰でも書けます。採用担当者の目に止まるのは、その施設固有の特徴(専門外来・リハビリプログラム・実績・地域連携の取り組み)に言及した文章です。
施設の採用情報や院内報を事前に調べて「○○リハビリプログラムを導入している」「地域包括ケアシステムへの取り組みを早期から進めている」など、他の施設との違いを1点でも具体的に書けると、読み応えが格段に変わります。
③入職後に何を実現したいか(定着意思と貢献)
「○○を学びたいです」で終わる志望動機は、採用担当者に「学校のような使い方をされそう」という印象を与えます。「学びたい」を「貢献したい」に変換する書き方が評価を高めます。
| 弱い書き方 | 強い書き方 |
|---|---|
| 「認定理学療法士の資格を取りたいです」 | 「認定資格を取得し、外来患者への専門的な運動療法を担える理学療法士に成長します」 |
| 「多くの患者さんと関わりたいです」 | 「急性期からの早期介入で患者さんの離床を促進し、在院日数短縮に貢献します」 |
| 「スキルアップしたいです」 | 「訪問リハビリの経験を積み、2年以内に認定資格を取得して地域包括ケアを支えます」 |
上の「強い書き方」に共通しているのは、自分の成長が施設や患者にとってのメリットとして書かれている点です。採用担当者はこの違いを一目で見分けています。
【施設別】理学療法士の志望動機例文
理学療法士の志望動機は、応募する施設の特性に合わせて内容を変えることが必須です。急性期病院と訪問リハビリでは採用担当者が期待する人物像が大きく異なります。以下の例文をそのまま使うのではなく、施設固有の情報を1〜2か所差し替えて使用してください。
急性期病院に応募するとき
急性期では、患者の状態変化に柔軟に対応できる判断力と多職種との連携力が重視されます。採用担当者は「病態を理解した上でリハビリを組み立てられるか」「医師・看護師と対等に情報を共有できるか」を見ています。
良い例文(急性期病院)
現職の療養型病院では回復期患者を中心に担当してきましたが、急性期から患者に介入することで廃用症候群の予防に貢献したいと考えるようになりました。貴院はICU・HCUへの早期リハビリを積極的に取り組まれており、呼吸リハビリの専門チームをお持ちと伺っています。この環境でチーム医療を経験し、急変対応も含めた急性期特有のリハビリ技術を身につけながら、患者さんの在院日数短縮と機能回復に貢献したいと考えています。
NG例(急性期病院)
「貴院は地域の中核病院として知られており、高い医療技術があると伺いました。私はいろいろな疾患の患者さんに関わりたいと考えており、貴院でさまざまな経験を積みたいと思っています。」→「貴院の環境が整っている」と「自分が経験したい」しか書かれておらず、採用担当者に刺さる情報がゼロです。「いろいろな」「さまざまな」は具体性のない表現で、どんな施設にも使える文章のシグナルです。
採用担当者はここを見ている(急性期)
- 「病態に即したリハビリ設計ができる思考を持っているか」
- 「ICU・HCUなどの特殊環境に怯まずに飛び込む姿勢があるか」
- 「多職種の一員として発言・行動できるか」
回復期リハビリテーション病院に応募するとき
回復期では「患者の生活」を中心に据えたリハビリが求められます。ADL改善・自宅退院を目標に、PT・OT・ST・介護スタッフが密に連携する環境です。採用担当者は「患者の生活場面を想像してリハビリを組み立てられるか」を確認します。
良い例文(回復期リハビリテーション病院)
急性期病院で3年間、術後早期リハビリを担当してきました。患者さんが退院後にどう生活するかを見届けられないもどかしさから、在宅復帰を直接支援できる回復期でのリハビリに携わりたいと考えています。貴院は地域連携室との連携が密で、退院前の自宅訪問を積極的に行っていると伺っており、患者さんの生活環境に合わせたリハビリ計画を立てる力を身につけたいと思っています。入職後はまず下肢骨折・脳卒中の患者さんを担当しながら、3年以内に認定理学療法士(運動器)の資格取得を目指します。
採用担当者はここを見ている(回復期)
- 「退院後の生活を見据えたゴール設定ができるか」
- 「家族・介護スタッフとのコミュニケーション力があるか」
- 「チームカンファレンスで積極的に発言できるか」
生活期(老人保健施設・通所リハビリ)に応募するとき
生活期では「維持」と「予防」がリハビリの中心になります。機能回復より、現在の状態を維持しながらその人らしい生活を続けられるよう支援することが求められます。採用担当者は「医療的観点に偏りすぎず、生活者として高齢者を支援できるか」を見ています。
良い例文(老人保健施設・通所リハビリ)
回復期病院での4年間で、退院後の生活期リハビリの継続性がいかに重要かを実感してきました。退院して間もない患者さんが在宅復帰後に活動量を落とさずに暮らし続けるためのサポートを担いたいと考え、生活期での仕事を志すようになりました。貴施設はリハビリとケアスタッフが協働して個別リハビリの回数を確保されていると伺っており、「ただ動かす」ではなく「なぜ動くか」を利用者に伝えられる環境があると感じています。
クリニック・外来リハビリに応募するとき
クリニックの外来リハビリは、スポーツ障害・整形疾患の患者に長期で関わる仕事です。「担当制」を採用している施設も多く、1人の患者との関係を積み重ねる点が特徴です。採用担当者は「患者との継続的な信頼関係を築けるか」「整形外科的な知識の深さ」を見ています。
良い例文(クリニック・外来リハビリ)
急性期病院で整形外科術後患者を担当する中で、退院後の外来リハビリで患者さんの日常生活への完全復帰まで関わりたいという思いが強くなりました。貴院は膝関節・股関節の術後リハビリに特化したプログラムを持ち、担当制でスポーツ復帰支援まで行っていると伺っています。現職でも変形性膝関節症・半月板損傷の患者を多く担当してきた経験を活かし、「また走れる」「また山に登れる」と感じていただけるリハビリを提供したいと思っています。
訪問リハビリ・訪問看護ステーションに応募するとき
訪問リハビリは1人で患者宅を訪問し、病院とは異なる「生活の場」でリハビリを行います。自立した判断力と、家族を含めた包括的な支援力が求められます。採用担当者は「1人で問題を解決する自律性があるか」「限られた道具・環境で工夫できるか」を重視します。
良い例文(訪問リハビリ)
回復期病院での勤務を経て、患者さんが「生活の場」でどのようにリハビリを活かしているかを自分の目で確認し、支援したいと考えるようになりました。訪問リハビリでは生活環境に即した動作指導や家族への介護指導が重要と理解しており、貴ステーションが「生活に根ざしたリハビリ」を理念に掲げ、医療と介護の連携を積極的に進めていることに強く共感しました。個別性の高い対応が求められる訪問の現場で、利用者の「その人らしい生活」を支えていきたいと思っています。
採用担当者はここを見ている(訪問リハビリ)
- 「病院での経験を積んだ上で訪問を選んでいるか(病院勤務なしで応募してくる人は要注意と見られることが多い)」
- 「単独行動への不安がなく、責任感をもって動けるか」
- 「家族・ケアマネジャーとの連絡・調整も担える姿勢があるか」
病院・施設への転職時には、職歴欄の書き方も採用担当者に確認されます。病院への転職時の履歴書職歴欄の書き方も合わせて確認しておくと安心です。

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施設の特性に合わせた内容に加え、自分のキャリア状況によって志望動機の重心を変えることが重要です。新卒・転職・ブランクありの3パターンで何をどう書くかの違いを確認してください。
新卒(国試合格見込みの場合)
新卒の場合、「なぜ理学療法士を目指したか」というエピソードが志望動機の軸になります。ただしエピソードで終わらず、「そこから何を学び、どう活かしたいか」まで書くことが重要です。採用担当者は実習経験から応募者の「思考の深さ」を確認します。
新卒向け例文
大学1年次に祖父の脳梗塞後のリハビリに立ち会ったことが、理学療法士を目指すきっかけです。実習では回復期病院と急性期病院を経験し、患者さんの病態理解がリハビリの質を大きく左右することを学びました。貴院の脳卒中チームは多職種連携に力を入れており、入職後は神経系疾患の患者さんに対する評価力を磨きながら、5年以内に脳卒中認定理学療法士の取得を目指したいと考えています。
転職(施設変更・1〜5年目)
転職時の最大の課題は「なぜ今の施設を離れるのか」という点です。採用担当者は読み進めながら、「前職への不満」か「次のキャリアへの前向きな選択」かを見分けています。
転職理由を志望動機の中で触れる場合は、「現職ではできないことを次の施設でやりたい」という流れで書くことが鉄則です。「給与が低い」「人間関係が悪い」「残業が多い」という言葉が直接書かれていなくても、前職への批判が透けて見える文章は採用担当者に伝わります。
転職向け例文(急性期→回復期)
現職の急性期病院では3年間、術後・ICU退出後の早期リハビリを担当してきました。入院中の回復を見届けた患者さんのその後が見えないことへの課題意識から、退院後の自宅復帰に直接関わる回復期でのリハビリを志すようになりました。貴院は在宅復帰率が高く、退院前の家屋評価にも積極的に取り組んでいると伺っています。急性期で培った病態理解をベースに、生活を視野に入れた包括的なリハビリができる理学療法士に成長したいと考えています。
ブランクありで復職する場合
ブランクがある場合、採用担当者が懸念するのは「技術の勘が戻るか」「また短期で辞めないか」の2点です。この2点に対して志望動機の中で先手を打つことが有効です。
ブランクあり例文(育児復帰)
前職ではクリニックの外来リハビリで5年間、整形外科患者を担当していました。育児のため2年間休職していましたが、この期間も自宅で文献を読み続け、徒手療法の技術維持に努めてきました。育児を経験したことで「患者さんの日常生活の大切さ」をあらためて実感し、復職を機により地域に根ざしたリハビリに携わりたいと考えています。貴院は時短勤務制度が整備されており、まずは週4日勤務からスタートしながら早期にフルタイム復帰できる体制を整えたいと思っています。
医療法人への転職では、施設形態や法人の特性に合わせた志望動機の書き方がポイントです。医療法人の志望動機の書き方と例文も参考にしてください。

書類選考で落とされる志望動機のNG例4パターン
自分の文章が以下のいずれかに当てはまっていないか、書き終わった後に確認してください。採用担当者が「即スルー」または「マイナス評価」に傾く志望動機には、共通したパターンがあります。
NGパターン①:「人の役に立ちたい」で終わる動機
NG例①
「人の役に立ちたいという気持ちから理学療法士を目指しました。患者さんの回復をサポートし、社会に貢献したいと考えています。」→「人の役に立ちたい」は医療職として当然の動機であり、差別化になりません。「誰に」「何をして」「どう役立ちたいか」が具体的に書かれて初めて採用担当者に届きます。
NGパターン②:どこにでも送れる「使い回し志望動機」
NG例②
「貴院の理念である○○に共感し、患者さんに寄り添ったリハビリを提供したいと思います。チームの一員として尽力してまいります。」→施設名を変えれば別の病院にもそのまま送れる文章です。採用担当者はこの判断を数秒でします。施設固有の情報が1つも入っていないことが即バレします。
NGパターン③:待遇・条件が動機の中心になっている
NG例③
「貴院は残業が少なく育児との両立がしやすい環境と伺っています。また給与水準も高いため長く働ける環境だと考えています。」→条件面への言及は本人希望欄または面接で確認する内容です。志望動機に書くと「条件でしか選んでいない」と見なされます。
NGパターン④:前職への不満が動機になっている
NG例④
「前職では専門的な教育体制が整っておらず成長が難しい環境でした。そのため教育制度が充実している貴院への転職を希望しています。」→前職への不満は「志望理由」ではなく「転職理由」です。採用担当者は「うちでも同じことを言いそう」と感じます。「前職で○○ができなかった」を「次の施設で○○を実現したい」に書き換えてください。
志望動機以外にも履歴書には使ってはいけない表現が複数あります。履歴書全体のNGワード一覧と言い換え方も書き終わった後に確認してください。

志望動機を書く3ステップ(構成テンプレート付き)
例文を参考にしながら、自分の状況に合わせた志望動機を組み立てる手順を紹介します。この3ステップに沿って書けば、使い回し感のない個別の志望動機に仕上がります。
| ステップ | 内容 | 目安文字数 |
|---|---|---|
| ① きっかけ・経緯 | PTを目指した原体験 or 現職での気づき(転職者は省略可) | 40〜60文字 |
| ② 施設を選んだ理由 | 応募先固有の特徴(プログラム・実績・地域連携など) | 60〜80文字 |
| ③ 入職後のビジョン | やりたいこと→施設・患者へのメリットとして書く | 60〜80文字 |
合計160〜220文字が履歴書の志望動機欄の目安です。欄の広さに応じて調整してください。ステップ①→②→③の順番は絶対ではなく、転職者の場合は②→③→①(施設の特徴→ビジョン→前職での気づき)の順にすると、より自然な流れになります。
構成テンプレート(転職者向け)
「現職では【①経験・気づき】の経験を積んできました。しかし、【②前職でできないこと・感じた限界】を感じるようになり、【③施設の具体的な特徴・プログラム名】を持つ貴院で【④やりたいこと・貢献】を実現したいと考えています。入職後は【⑤具体的な目標・資格・実績】を目指します。」
同じ医療系職種の志望動機の書き方として、臨床検査技師の志望動機や精神保健福祉士の志望動機も医療・福祉系に共通する書き方のコツを解説しています。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 採用担当者はPTの志望動機から「定着性・長期貢献の意志」を確認している
- 必須の3要素は「なぜPTを目指したか」「なぜこの施設か」「入職後のビジョン」
- 急性期・回復期・生活期・クリニック・訪問と施設の特性に応じて内容を変えること
- 「人の役に立ちたい」「使い回し文」「待遇ベースの動機」「前職への不満」の4NGを避ける
- 転職者は「現職での気づき→次でやりたいこと→施設の特徴」の順で書くと自然に仕上がる
どんなに優れた技術を持っていても、志望動機が使い回し感のある文章では書類選考を突破できません。施設固有の情報を1点だけでも入れることが、通過率を大きく左右します。
理学療法士の志望動機に関するよくある質問
- 理学療法士の履歴書志望動機は何文字が適切ですか?
-
履歴書の志望動機欄は160〜220文字が目安です。欄に対して8割以上埋めることを意識してください。少なすぎると熱意が低いと見なされ、多すぎると要点がぼやけます。職務経歴書に書く場合は400〜600文字程度まで詳しく書けます。
- 新卒で施設を選ぶ明確な理由がない場合、志望動機はどう書けばいいですか?
-
実習で経験した施設形態や、授業・研究で関心を持った専門領域を起点にすると施設選択の理由が組み立てやすくなります。「実習では○○病院でしか経験できなかったが、貴院では○○分野に特化した環境があると知り応募した」のように、実習との比較から動機を作ると具体性が出ます。
- 転職理由(退職理由)を志望動機に書いてもいいですか?
-
転職理由は「退職理由」欄や面接で答えるもので、志望動機欄に書く必要はありません。志望動機欄はあくまで「次の施設で何をやりたいか」を書く場所です。どうしても触れる場合は「現職では○○に特化した経験を積める環境がないため」のように施設の特性上の理由として書き、前職批判にならない表現にしてください。
- 施設ごとに志望動機を全部書き直すのは大変ですが、何を変えればいいですか?
-
全文を書き直す必要はありません。①きっかけ(ステップ1)は共通でよく、②施設固有の情報(ステップ2)と③入職後のビジョン(ステップ3)の部分だけを施設ごとに変えると効率的です。ステップ2の「施設固有情報」を1文書き換えるだけで、採用担当者に与える印象は大きく変わります。
- 理学療法士の資格取得見込みで就職活動する場合、志望動機の書き方は変わりますか?
-
基本的な書き方は変わりませんが、資格欄に「理学療法士国家試験 合格見込み(○年○月)」と明記した上で、志望動機でも「国試合格後の入職を予定しており」と触れておくと採用担当者に誤解を与えません。入職後のビジョンを具体的に書くことで、内定取り消しのリスクへの懸念を払拭できます。


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