この記事では、履歴書の「配偶者の扶養義務」欄に「有」「無」どちらを記入すべきかを、3つの質問で判断する方法を解説します。独身・共働き・パートなどケース別の書き方と、採用担当者がこの欄で見ているポイントもあわせて紹介します。
配偶者の扶養義務とは
履歴書に書かれている「配偶者の扶養義務」は、法律用語としての意味と履歴書での意味が異なります。ここを混同すると「有」「無」の判断で迷ってしまうため、まず違いを押さえておきます。
民法上の扶養義務と履歴書の扶養義務は別の話
民法752条には「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と規定されており、婚姻関係にある夫婦はお互いに扶養する義務があります。この義務は収入の多さに関係なく全夫婦に発生します。
一方、履歴書で問われている「配偶者の扶養義務」は、この民法上の義務そのものではありません。履歴書の欄は「あなたの健康保険の被扶養者として配偶者を扶養しているかどうか」を確認するためのものです。
履歴書で問われているのは「健康保険の被扶養者かどうか」
具体的には、以下の条件をすべて満たす場合に「有」となります。
- 配偶者(法律婚または事実婚のパートナー)がいる
- 配偶者の年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)
- 配偶者が自分の勤務先の健康保険に加入しておらず、あなたの健康保険の被扶養者になっている
企業がこの欄で確認したいのは、入社後に配偶者をあなたの健康保険の扶養に入れる手続きが必要かどうかです。採用の合否とは直接関係のない事務手続き上の情報にすぎません。
採用担当者はここを見ている
- 扶養欄は入社後の社会保険手続きと家族手当の算定に使う情報であり、選考の判断基準ではない
- 欄が空白だと「基本的な書類を埋められない人」という印象になりやすい
- 内容の正誤よりも、空欄にしないことのほうが書類選考では大切
「有」「無」を3つの質問で判断する方法
配偶者の扶養義務欄は、以下の3つの質問に順番に答えるだけで記入内容が確定します。
質問1:配偶者はいるか
配偶者がいない場合(独身・離別・死別)は、この時点で「無」に丸をつけて完了です。配偶者がいなければ扶養義務も発生しないため、質問2以降に進む必要はありません。
質問2:配偶者の年収は130万円未満か
配偶者がいる場合、次に確認するのは配偶者の年間収入です。パート・アルバイト収入、副業収入、年金収入なども含めた合計額で判断します。
- 130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)→ 質問3へ進む
- 130万円以上 → 配偶者は自分の勤務先で社会保険に加入する必要があるため「無」
質問3:配偶者は自分の健康保険の扶養に入っているか
配偶者の年収が130万円未満でも、配偶者が自分の勤務先の健康保険に加入済みであれば「無」になります。たとえばパート先で社会保険の加入条件(従業員51人以上の企業で週20時間以上勤務など)を満たし、すでに自分で保険に入っているケースです。
配偶者が自分で保険に入っておらず、あなたの健康保険の被扶養者になっている場合は「有」。配偶者が自分の勤務先の保険に入っている場合は「無」です。
| 質問 | 回答 | 結果 |
|---|---|---|
| 配偶者はいるか | いない | 「無」で確定 |
| 配偶者の年収は130万円未満か | 130万円以上 | 「無」で確定 |
| 配偶者は自分の健康保険の扶養に入っているか | 入っている | 「有」 |
| 配偶者は自分の健康保険の扶養に入っているか | 入っていない(自分で加入済み) | 「無」 |
ケース別の書き方(独身・共働き・パートなど)
自分がどのケースに当てはまるか確認し、3つの欄(配偶者の有無・配偶者の扶養義務・扶養家族数)をまとめて記入できるようにしましょう。
独身の場合
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 配偶者の有無 | 無 |
| 配偶者の扶養義務 | 無 |
| 扶養家族数(配偶者を除く) | 0人(親や兄弟を扶養していなければ) |
未婚・離婚・死別のいずれの場合も配偶者は「無」です。学生のアルバイトで親に養われている場合でも、自分自身が誰かを扶養しているわけではないため扶養家族数は「0人」になります。
配偶者が専業主婦(主夫)の場合
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 配偶者の有無 | 有 |
| 配偶者の扶養義務 | 有 |
| 扶養家族数(配偶者を除く) | 子どもの人数を記入 |
配偶者が無収入または収入が130万円未満で、あなたの健康保険の扶養に入っている場合は「有」です。子どもがいて扶養に入れている場合は、その人数を扶養家族数に記入します。
共働きで配偶者が正社員の場合
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 配偶者の有無 | 有 |
| 配偶者の扶養義務 | 無 |
| 扶養家族数(配偶者を除く) | 自分の扶養に入れている子どもの人数 |
配偶者が正社員として勤務し、自分の勤務先で健康保険に加入している場合は扶養義務「無」です。子どもがいる場合、夫婦のどちらの扶養に入れるかは年収が高いほうが原則ですが、会社の規定によって異なります。
配偶者がパート・アルバイト(年収130万円未満)の場合
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 配偶者の有無 | 有 |
| 配偶者の扶養義務 | 有(自分の扶養に入っている場合) |
| 扶養家族数(配偶者を除く) | 子どもの人数 |
配偶者のパート年収が130万円未満で、自分の健康保険の被扶養者になっているなら「有」です。ただし、パート先が従業員51人以上の企業で週20時間以上働いている場合は、年収が130万円未満でも社会保険の加入対象になることがあります。配偶者がすでに自分で保険に加入しているなら「無」になるため、加入状況を確認してください。
配偶者がパート・アルバイト(年収130万円以上)の場合
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 配偶者の有無 | 有 |
| 配偶者の扶養義務 | 無 |
| 扶養家族数(配偶者を除く) | 自分の扶養に入れている子どもの人数 |
配偶者の年収が130万円以上であれば、配偶者は自分で社会保険に加入するため、あなたの扶養には入りません。配偶者の扶養義務は「無」です。
扶養内で働くかどうかを履歴書の本人希望欄に書きたい場合は、本人希望欄に扶養内希望を書く方法も参考にしてください。

扶養家族数の数え方と記入例
「配偶者の扶養義務」と混同しやすいのが「扶養家族数(配偶者を除く)」の欄です。この欄には、配偶者以外であなたの健康保険の被扶養者になっている家族の人数を記入します。
扶養家族に含まれる人・含まれない人
| 含まれる人 | 含まれない人 |
|---|---|
| 年収130万円未満の子ども | 配偶者(別欄で記入するため) |
| 年収130万円未満の同居の父母 | 自分で健康保険に加入している家族 |
| 年収180万円未満の60歳以上の同居親族 | 75歳以上の後期高齢者(後期高齢者医療制度の対象) |
| 年収130万円未満の別居の父母(仕送りしている場合) | 年収130万円以上の家族 |
注意すべき点として、75歳以上の家族は後期高齢者医療制度の対象となるため、健康保険の扶養家族には含まれません。同居していても扶養家族数には数えないでください。
子どもや親を扶養している場合の数え方
良い例文
【ケース】妻(専業主婦)+子ども2人を扶養している場合
配偶者の有無:有
配偶者の扶養義務:有
扶養家族数(配偶者を除く):2人
NG例
【ケース】同上の状況で扶養家族数を「3人」と記入
配偶者は扶養家族数の欄には含めません。配偶者は別欄(配偶者の扶養義務)で回答済みのため、扶養家族数には子どもの人数のみ記入します。
共働きで子どもの扶養をどちらに入れるか迷う場合は、年収が高いほうの扶養に入れるのが原則です。ただし企業や健康保険組合によって運用が異なるため、入社後に人事担当者へ確認すれば問題ありません。
大学生のアルバイトで扶養家族数の欄に迷っている方は、扶養家族数の書き方(大学生向け)もあわせて確認してください。

2021年の厚労省新様式では配偶者欄が削除された
2021年4月、厚生労働省は履歴書の新たな様式例を公表しました。この新様式では「配偶者の有無」「配偶者の扶養義務」「扶養家族数」「通勤時間」の4項目が削除されています。
旧様式と新様式の違い
| 項目 | 旧JIS様式 | 厚労省新様式(2021年〜) |
|---|---|---|
| 配偶者の有無 | 記載欄あり | 削除 |
| 配偶者の扶養義務 | 記載欄あり | 削除 |
| 扶養家族数 | 記載欄あり | 削除 |
| 通勤時間 | 記載欄あり | 削除 |
| 性別 | 必須 | 任意記載(未記載可) |
削除の背景には、公正な採用選考を確保する目的があります。配偶者の有無や扶養の状況は、本来採用の判断材料にすべきではないプライバシー情報です。厚生労働省は採用選考においてこれらの情報を把握する必要がないとの見解を示しています。
企業指定の古い様式にはまだ欄がある理由
厚労省の新様式はあくまで「様式例」であり、法的な拘束力はありません。そのため、企業独自の履歴書フォーマットやコンビニ・文具店で販売されている従来型の履歴書には、今でも配偶者欄が残っている場合があります。
欄がある履歴書を使う場合は、空欄にせず正しく記入するのがルールです。市販の履歴書にこの欄がある場合は「新様式だから書かなくていい」とはなりません。欄があるなら必ず埋めてください。
採用担当者はここを見ている
- 新様式の履歴書を使うこと自体は全く問題ない。配偶者欄がなくても減点にはならない
- 旧様式を使っている場合に欄が空白だと「書き忘れ」か「意図的に隠している」と受け取られるリスクがある
- どちらの様式を使うか迷ったら、企業から指定がない限り新様式で提出すれば問題ない
履歴書の「配偶者」欄の基本的な意味や書き方は、配偶者とは?学生バイトの履歴書での書き方で詳しく解説しています。

間違えた場合の訂正方法と採用への影響
「有」と「無」を間違えて記入してしまった場合、提出前か提出後かで対応が変わります。
提出前に気づいた場合の修正方法
パソコンで作成している場合はデータを修正して印刷し直すだけで済みます。手書きの場合は、原則として新しい用紙に書き直すのが最善です。
書き直す時間がどうしてもない場合は、二重線を引いて訂正印を押す方法もあります。ただし、訂正箇所が多いとマイナス印象になるため、できるだけ書き直しましょう。
提出後に気づいた場合の対処法
提出後に間違いに気づいた場合は、面接時に口頭で訂正するか、メールで採用担当者に連絡します。
良い例文
「先日お送りした履歴書の「配偶者の扶養義務」欄に誤りがございました。正しくは「無」でございます。お手数をおかけしますが、訂正いただけますと幸いです。」
扶養欄の記入ミスだけで不採用になることはまずありません。この欄は入社後の社会保険手続きのための情報であり、正確な内容は入社時に改めて申告できます。間違いに気づいたら早めに訂正の連絡を入れれば、誠実さが伝わりむしろ好印象になります。
採用担当者はここを見ている
- 扶養欄の「有」「無」で合否を決めることはない
- ミスに気づいて自ら訂正の連絡をくれる応募者は信頼できると判断される
- 虚偽記載(意図的にウソを書くこと)は入社後に発覚すると問題になるため、間違いは正直に訂正する
まとめ
- 履歴書の「配偶者の扶養義務」は、配偶者が自分の健康保険の被扶養者かどうかで「有」「無」を判断する
- 独身なら「無」、配偶者が専業主婦(主夫)で扶養に入っているなら「有」、共働きで配偶者が自分で保険加入しているなら「無」
- 2021年の厚労省新様式ではこの欄は削除されたが、旧様式に欄がある場合は必ず記入する
- 記入ミスがあっても選考に直接影響しないため、気づいた時点で訂正連絡を入れれば問題ない
扶養欄は採用の合否を分ける項目ではありませんが、空欄にすると書類を正確に作れない印象を与えます。迷ったらこの記事の判断フローに沿って記入してください。
配偶者の扶養義務に関するよくある質問
- 事実婚(内縁関係)の場合、配偶者の扶養義務は「有」になりますか?
-
事実婚のパートナーは健康保険法上の「配偶者」に含まれます。パートナーがあなたの健康保険の被扶養者になっている場合は「有」です。ただし、履歴書の「配偶者の有無」欄は戸籍上の婚姻関係を指すため「無」と書くのが一般的です。事実婚の場合は本人希望欄に補足するか、面接時に口頭で伝える方法もあります。
- 配偶者の扶養義務の「有」「無」で不採用になることはありますか?
-
配偶者の扶養義務の有無で採用の合否が決まることは基本的にありません。この欄は入社後の社会保険手続きと家族手当の算定に使う事務的な情報です。採用担当者が見ているのは「空欄にしていないか」「正確に記入できているか」という書類作成の基本姿勢です。
- 転職先が決まっていて入社前に配偶者の扶養状況が変わりそうな場合はどう書きますか?
-
履歴書には提出時点の状況を記入してください。入社後に配偶者が退職して扶養に入る予定がある場合などは、本人希望欄に「入社後に配偶者を扶養に入れる予定です」と一言添えておくとスムーズです。入社後の変更は人事担当者に申し出れば手続きできます。
- パートの履歴書でも配偶者の扶養義務欄は書く必要がありますか?
-
パート応募の場合も、履歴書に欄があれば記入が必要です。パートの場合は自分自身が配偶者の扶養に入っている(=被扶養者)ケースが多いですが、この欄で聞かれているのは「あなたが配偶者を扶養しているかどうか」です。自分が扶養されている側であれば「無」と記入します。

