事務の職務経歴書は、定型業務が中心のため「書けることがない」と手が止まりやすい書類です。この記事では、採用担当者が実際に見る職務要約・実績の数値化・自己PRの書き方を、一般事務・営業事務の例文とNG例つきで解説します。未経験や派遣経験しかない場合の応用法もまとめました。
事務の職務経歴書で採用担当者が最初に見る3つのポイント
事務職の採用では、応募者の多くが「正確に業務をこなしました」といった似た内容を書いてきます。だからこそ採用担当者は、抽象的な人柄ではなく具体的な業務実績で正確性・効率化・サポート力を証明できているかを見ています。特に冒頭の職務要約は、最初の30秒で「読み進めるかどうか」を判断される場所です。
採用担当者はここを見ている
- 処理量とスピード:どれくらいの業務量を、どのペースでさばいていたか
- 正確性の裏づけ:ミスを減らす工夫やチェック体制を自分で作っていたか
- サポートした範囲:営業何名分・部署何人分を支えていたか
この3点はいずれも「数字」で表せます。逆に言えば、数字がまったく入っていない職務経歴書は、それだけで他の応募者に埋もれます。次の章では、その数字をどう見つけるかを具体的に説明します。
「書くことがない」を解消する|事務の業務・実績の棚卸し
事務職で「書くことがない」と感じるのは、担当業務が特別ではないからではありません。毎日当たり前にやっていた作業を、実績として言語化できていないだけです。まずは日々の業務を「工夫」と「数字」の2つの角度で洗い出します。
定型業務を「工夫・改善」に翻訳する
同じ業務でも、書き方を変えるだけで印象は大きく変わります。「言われたことをやった」ではなく「自分で考えて動いた」に翻訳するのがコツです。
| そのままの業務 | 工夫・改善に翻訳した書き方 |
|---|---|
| 請求書を作成していた | 請求書フォーマットをExcelで見直し、作成時間を1件10分から5分に短縮 |
| 電話・来客対応をしていた | よくある問い合わせを一覧化し、他メンバーも即対応できる体制を整備 |
| データ入力をしていた | 入力ルールを統一しダブルチェックを導入、月間の入力ミスを半減 |
| 備品を発注していた | 在庫管理表を作成し、発注漏れと過剰在庫を防止 |
ポイントは、業務の裏にある「なぜそうしたか」「何が良くなったか」をセットで書くことです。公務員や特殊な職場から民間へ移る場合の言語化のコツは、「書くことがない」業務を職務経歴書に落とし込む方法も参考になります。

数字で語れる実績の見つけ方
「うちの事務仕事に数字なんてない」と思っても、次の観点で振り返ると必ず何かしら出てきます。完璧な成果でなくてかまいません。事実として言える範囲で書くことが大切です。
- 量:1日◯件の伝票処理、月◯件の請求書発行、◯名分の勤怠管理
- 期間:◯年間、無遅刻・大きなミスなく継続
- 効率化:作業時間を◯%短縮、残業を月◯時間削減
- 規模:営業◯名・従業員◯名の会社をバックオフィスから支援
NG例
「幅広い事務業務を正確に担当してきました」。具体的な数字も業務内容もないため、採用担当者は何ができる人か判断できません。抽象的な形容だけの一文は、書いていないのとほぼ同じ扱いになります。
事務の職務経歴書の書き方【項目別・例文つき】
ここからは、職務経歴書の各項目を上から順に、事務職向けの例文つきで解説します。用紙はA4で1〜2枚、日付と氏名は右寄せ、タイトルは「職務経歴書」と入れるのが基本の形です。
職務要約(200字程度)
職務要約は、これまでの経歴を200字程度でまとめる「冒頭のあいさつ」です。採用担当者が最初に読む部分なので、応募先が求める経験を先に持ってくると効果的です。
良い例文(営業事務)
大学卒業後、商社の営業事務として5年間従事しました。営業担当8名の受発注処理・見積書作成・請求管理を担当し、Excelの関数とマクロで受注処理の時間を約30%短縮しました。正確なデータ管理と柔軟な電話対応で、営業が商談に集中できる環境づくりに努めてきました。
NG例
「これまで事務職として、さまざまな業務に真面目に取り組んできました。今後も頑張りたいと思います」。何の事務を、どの規模で担当したのかが一切わからず、意欲表明だけで終わっています。要約は決意ではなく実績を書く場所です。
職種別に職務要約を作り込む手順は、職務要約の書き方を例文で解説した記事も合わせて確認してください。
職務経歴・業務内容
勤務先ごとに、会社名・在籍期間・事業内容・従業員数を書き、その下に担当業務を箇条書きで整理します。事業内容や従業員数を添えると、どのくらいの規模の環境で働いていたかが伝わります。
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 期間 | 2020年4月〜2025年3月 |
| 会社概要 | 株式会社◯◯(精密機器の製造・販売/従業員120名) |
| 担当業務 | 受発注処理(月約200件)/見積書・請求書作成/来客・電話対応/備品発注・在庫管理 |
| 実績 | 受注管理表をExcelで再構築し、処理時間を1件あたり約3分短縮 |
担当業務は「やっていたこと」を並べるだけで終わらせず、最後に必ず1〜2行の実績を添えます。この一手間が、他の応募者との差になります。
活かせる経験・知識・スキル
事務職で評価されやすいのはPCスキルです。ただし「Word・Excelができます」では弱く、どの機能をどのレベルで使えるかまで書くと具体性が出ます。
- Excel:VLOOKUP・ピボットテーブルを用いた集計、簡単なマクロ作成
- Word:差し込み印刷を用いた案内状・ラベルの一括作成
- その他:会計ソフト(弥生・freeeなど)、基幹システムでの受発注処理
- 資格:MOS、日商簿記3級、秘書検定など(正式名称で記載)
自己PR(良い例・NG例)
自己PRは「応募先で活かせる強み → その根拠となるエピソード → 入社後どう活かすか」の順で組み立てます。事務職なら、正確性・改善力・サポート姿勢のどれか1つに絞ると伝わりやすくなります。
良い例文(改善力をアピール)
前職では、属人化していた請求業務のマニュアルを自主的に作成しました。手順を標準化した結果、繁忙期でも新人が対応できるようになり、月末の残業を平均15時間から5時間まで減らせました。決められた作業をこなすだけでなく、周囲が働きやすい仕組みを考える姿勢を、貴社のバックオフィスでも活かします。
NG例
「明るく前向きな性格で、誰とでもすぐ打ち解けられます」。人柄の説明だけで、事務職としての行動や成果につながっていません。性格は、業務でどう役立ったかという事実とセットにして初めてアピールになります。
タイプ別|一般事務・営業事務・医療事務の書き分け
ひとくちに事務職といっても、応募先が求めるものは異なります。同じ経歴でも、応募先のタイプに合わせて前面に出す実績を変えると通過率が上がります。
| タイプ | 前面に出すと効く実績 |
|---|---|
| 一般事務 | 正確な書類処理・スケジュール管理・部署横断のサポート範囲 |
| 営業事務 | 受発注・見積・請求の処理量、営業◯名を支えた体制、納期厳守 |
| 医療事務 | レセプト・受付対応の件数、患者対応の丁寧さ、専門用語への理解 |
採用担当者はここを見ている
- 募集要項に書かれた業務と、応募者の経験がかみ合っているか
- 使える経験を前に、関連が薄い経験を後ろに並べ替えられているか
持っている経験は同じでも、募集要項のキーワードに合わせて並び順と表現を調整するだけで「この仕事に合いそう」という印象が生まれます。
状況別|未経験・派遣/パート・転職回数が多い場合
「自分の状況では通用しないのでは」と不安になりやすいケースこそ、書き方で挽回できます。それぞれの状況で押さえるポイントを整理します。
事務未経験から応募する場合
事務経験がなくても、前職に事務と共通する要素は必ずあります。接客での正確なレジ・在庫管理、営業での見積作成や顧客データ入力などは、そのまま事務職の適性の証明になります。
良い例文(販売職から事務へ)
アパレル販売の傍ら、店舗の在庫管理表と日次売上報告をExcelで作成していました。数字を扱う正確さとPC操作には自信があり、事務職として書類・データ管理の面から店舗運営を支えたいと考えています。
派遣・パート経験しかない場合
雇用形態は不利になりません。むしろ複数の職場を経験していれば、環境が変わってもすぐ戦力になれる適応力の証明になります。派遣先の企業名は「大手製造業」など業種で書き、担当した業務と実績を正社員と同じ基準で書きます。
転職回数が多い場合
回数を隠す必要はありません。各社で共通して担当してきた業務を軸にまとめると、一貫した専門性として読ませることができます。短期離職が続く場合は、職務要約で「事務のスキルを一貫して積んできた」という軸を先に示すと印象が整います。
自分で書き上げた後は、第三者の目を通すと完成度が上がります。効率よく仕上げたい場合は職務経歴書の自動作成ツール、通過率を本気で上げたい場合は職務経歴書の添削サービスの活用も選択肢になります。

まとめ
事務の職務経歴書は、特別な実績よりも「当たり前の業務をどう言語化するか」で差がつきます。
- 採用担当者は処理量・正確性・サポート範囲を数字で確認している
- 定型業務は「工夫・改善」に翻訳し、必ず数字を添える
- 職務要約は決意ではなく実績、自己PRは人柄でなく行動と成果で書く
- 応募先のタイプに合わせて実績の並び順と表現を調整する
書けることがないと感じたら、まず1日の業務を紙に書き出し、量・効率化・規模の3つで数字を探すところから始めてください。
事務の職務経歴書に関するよくある質問
- 事務の職務経歴書は何枚が適切ですか?
-
A4で1〜2枚が目安です。経験が浅い場合は1枚、複数社の経験がある場合でも2枚に収め、担当業務と実績を優先して記載します。3枚以上になると要点がぼやけ、読み飛ばされやすくなります。
- 事務職はアピールできる実績が少ないのですが、どうすればいいですか?
-
華々しい成果は不要です。処理件数や作業時間の短縮、無遅刻での継続年数など、日常業務の中の「量」「効率化」「正確性」を数字にすれば、それが立派な実績になります。
- 手書きとパソコン作成のどちらがよいですか?
-
事務職の職務経歴書はパソコン作成が基本です。PCスキルそのものが評価対象になるため、Word・Excelで整った書類を作れること自体がアピールになります。指定がない限り手書きは避けて問題ありません。
- 未経験でも事務職の職務経歴書は書けますか?
-
書けます。前職での数字管理・PC操作・正確な作業など、事務と共通する要素を抜き出してアピールします。事務そのものの経験がなくても、適性を示すエピソードがあれば十分に評価されます。


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