この記事では、同じ会社でパートから正社員になるときの履歴書の書き方を、採用担当者の視点から解説します。転職と違って勝手が分からず手が止まりやすい職歴欄の記載ルールを中心に、パート経験を強みに変える志望動機・自己PRの例文、そして「不採用になったら職場に居づらくないか」という不安への向き合い方まで具体的に紹介します。
同じ会社でパートから正社員へ|そもそも履歴書は必要?
すでに働いている会社で正社員登用が決まった、あるいは登用試験に応募する。このとき多くの人が最初につまずくのが「そもそも履歴書を出すのか」という点です。転職のように一から応募するわけではないため、必要な書類のイメージが湧きにくいのは当然です。
履歴書・職務経歴書は提出を求められる?
正社員登用の際に履歴書の提出を求めるかどうかは、会社によって異なります。法律で提出が義務付けられているわけではありません。ただし、雇用形態がパートから正社員へ切り替わることは、労働条件も社会保険の扱いも変わる大きな節目です。そのため正式な記録として履歴書を求める会社は多いのが実情です。
提出を求められる書類は、主に次のいずれかです。役割が異なるため、どちらを準備するのか事前に確認しておくと安心です。
| 書類 | 役割 |
|---|---|
| 履歴書 | 氏名・学歴・職歴・志望動機など、あなたの基本情報を伝える |
| 職務経歴書 | パート期間に何を担当し、どんな実績を出したかを詳しく伝える |
登用試験で両方の提出を求められるケースもあります。職務経歴書の書き方に不安がある場合は、書類で落とされる人が見落としているポイントもあわせて確認しておくと、書き分けがしやすくなります。

「同じ職場だから大丈夫」が一番危ない理由
「毎日顔を合わせている上司が読むのだから、履歴書は形だけでいい」と考えるのは危険です。正社員登用の書類は、あなたを直接知らない人事部門や役員の目に触れることが少なくありません。現場での働きぶりを知らない人にとって、判断材料は書類がすべてです。
採用担当者はここを見ている
- いつからパートで働き、いつ正社員になる(なりたい)のかが時系列で分かるか
- パート期間にどんな責任を担い、何を達成してきたか
- 正社員として長く働き、責任ある役割を担う意欲があるか
この3点が書類から読み取れないと、現場の評価が高くても「登用の判断がしづらい」と受け取られます。だからこそ、次に説明する職歴欄の書き方が合否を左右します。
履歴書の職歴欄|同じ会社での正社員登用の正しい書き方
同じ会社での登用でつまずきやすいのが職歴欄です。「同じ会社だから1行でまとめていいのか」「正社員登用とだけ書けばいいのか」と迷う人が多いのですが、ここには明確な正解があります。
基本は2行|「アルバイト入社」と「正社員登用」を分けて書く
同じ会社であっても、パート(アルバイト)としての入社と正社員への登用は改行して2行に分けて記載します。雇用形態が変わるタイミングは、採用担当者が「いつから正社員としての責任を負う立場になるのか」を判断する重要な情報だからです。次のように書きます。
| 年月 | 職歴 |
|---|---|
| 令和3年4月 | 株式会社〇〇 アルバイトとして入社 |
| 令和6年7月 | 同社 正社員として登用 |
| 現在に至る |
これを1行で「株式会社〇〇 勤務」とだけ書いてしまうと、パート期間と正社員期間の区別がつかず、経歴が正しく伝わりません。部署が変わる場合は「同社 総務部へ異動」のように、異動も1行で書き加えると経歴の流れが明確になります。
NG例
令和3年4月 株式会社〇〇 入社(正社員登用)
パート入社と登用を1行にまとめると、いつから正社員になったのかが伝わりません。また「アルバイト」の記載を省くと、経歴を隠しているような印象を与えることもあります。
「同社」「現在に至る」の正しい使い方
2行目以降で同じ会社を指すときは、社名を繰り返さず「同社」と書きます。ただし1行目は略さず正式名称で書くのが基本です。細かい点ですが、採用担当者は書類の正確さから仕事の丁寧さを推し量ります。
- 社名は「(株)」と略さず「株式会社〇〇」と正式に書く
- 2回目以降の同一社名は「同社」でよい
- 在職中は最終行に「現在に至る」、その右下に「以上」を書く
複数の職場でパートを掛け持ちしていた期間がある場合の書き方は、ダブルワークの職歴欄の書き方で詳しく整理しています。

【雇用形態別】職歴欄の書き方パターン一覧
正社員になる前の雇用形態によって、職歴欄の書き方は少し変わります。特に派遣社員から正社員になった場合は、派遣元と派遣先を書き分ける必要があるため注意が必要です。自分の状況に近いパターンを確認してください。
| 登用前の雇用形態 | 職歴欄の書き方 |
|---|---|
| 直接雇用のパート・アルバイト | 「アルバイトとして入社」→「同社 正社員として登用」を改行して2行で書く |
| 契約社員 | 「契約社員として入社」→「同社 正社員として登用」と書く |
| 派遣社員から直接雇用 | 「〇〇派遣株式会社に登録」→「株式会社△△へ派遣」→「株式会社△△に正社員として入社」と3段階で書く |
派遣の場合、給与を支払っていたのは派遣会社(派遣元)で、実際に働いた場所は派遣先です。この関係を書き分けないと、採用担当者は経歴を正確に把握できません。直接雇用に切り替わった時点を明記することで、正社員としてのスタート地点がはっきり伝わります。
書く前に確認しておきたいこと
- 入社年月・登用年月を給与明細や雇用契約書で正確に確認する
- 和暦・西暦は履歴書全体で統一する
- 部署異動・役割変更があれば時系列で書き加える
パート期間は立派な職歴|経験を「即戦力」に変える自己PR
「パートだったから大したことは書けない」と考える人が多いのですが、これは大きな誤解です。すでにその会社の業務を経験しているあなたは、外部から応募する人にはない即戦力です。採用担当者もそこを評価しています。問題は、その経験を書類でどう見せるかです。
現場実績を数字で表す
自己PRで説得力を持たせる最も確実な方法は、数字を使うことです。「まじめに頑張った」ではなく、「何を、どれだけ」やったのかを具体化します。次の3点を意識すると、パート経験が実績に変わります。
- 期間:何年・何か月その業務を担当したか
- 役割:シフト管理・新人教育・レジ締めなど任された責任
- 成果:作業時間の短縮・売上・指導した人数などの数字
良い例文
パートとして勤務した3年間、レジ業務と在庫管理を担当してきました。締め作業の手順を見直して1日あたり約20分の短縮を実現し、新人スタッフ5名の教育も任されました。現場の流れを理解しているため、正社員としてすぐに戦力になれると考えています。
NG例
これまでまじめに一生懸命働いてきました。正社員になっても頑張りたいと思います。
具体的な役割や成果がなく、誰にでも当てはまる内容のため、現場を知らない人事担当者にはあなたの強みが伝わりません。
子育てや介護などでパートを選んでいた時期がある場合は、その期間の伝え方も気になるところです。ブランクの見せ方は空白期間の書き方で状況別に整理しています。

同じ会社だからこそ刺さる志望動機の書き方と例文
「すでに働いているのに、今さら志望動機に何を書けばいいのか」。これは同じ会社での登用で最も多い悩みです。ポイントは、外部の応募者には書けない内部を理解しているからこその動機を言葉にすること。会社の理念や現場の課題に触れられるのは、中で働いてきたあなたの強みです。
志望動機は、登用のきっかけによって書き方が変わります。自分がどちらのケースかを確認してください。
「声をかけてもらった」ケースの例文
良い例文
販売スタッフとして3年間、接客と在庫管理を担当してまいりました。担当売場の改善提案にも関わるなかで、より責任を持って店舗運営に携わりたいと考えるようになり、店長よりお声がけいただいたことをきっかけに正社員を志望いたしました。これまで培った顧客対応の経験を活かし、後輩の育成や売上向上にも貢献したいと考えています。
声をかけられた場合でも「勧められたから」で終わらせず、自分の意思で正社員を選んだ理由を必ず添えます。受け身の印象を残すと、意欲の面で不安を持たれます。
「自分から応募した」ケースの例文
良い例文
事務スタッフとして2年間、受発注処理と電話対応を担当するなかで、部署全体の業務フローに関心を持つようになりました。現場を理解しているからこそ見える課題に、責任ある立場で取り組みたいと考え、今回の正社員登用に応募いたしました。これまでの業務知識を活かし、業務改善と後進のサポートで会社に貢献したいと考えています。
NG例
安定した収入がほしいためです。今後も長く働きたいと考えています。
条件面の希望だけでは、会社にどう貢献するのかが伝わりません。自分の待遇改善だけを理由にすると、意欲が低いと受け取られます。
採用担当者はここを見ている
- 会社の理念や事業内容を理解したうえでの動機になっているか
- 「自分の待遇」ではなく「会社への貢献」に触れているか
- パート経験を今後どう活かすかが具体的に書かれているか
不採用が怖い人へ|提出前に知っておきたいこと
同じ会社での登用ならではの不安が「もし不採用になったら、その後も働き続けられるのか」という点です。毎日顔を合わせる相手に評価されるからこそ、落ちたときの気まずさを心配する人は少なくありません。
不採用でも職場の関係が壊れないための心構え
登用試験は、現時点での適性や社内のポスト状況など複数の要素で判断されます。不採用は「あなたを否定する評価」ではなく、タイミングや枠の問題であることも多いものです。次の点を意識しておくと、結果に関わらず落ち着いて臨めます。
- 登用は一度きりではなく、次の機会に再挑戦できる会社が多い
- 書類でしっかり実績を示しておけば、次回以降の評価材料として残る
- 結果が出なくても、これまでのパートとしての契約が変わるわけではない
正社員登用と無期転換ルール(5年ルール)の違い
正社員登用とよく混同されるのが「無期転換ルール(5年ルール)」です。同じ会社で有期契約が通算5年を超えると、本人の申し込みで無期契約に転換できる制度ですが、これは正社員になることとは意味が異なります。
| 項目 | 正社員登用 | 無期転換(5年ルール) |
|---|---|---|
| 雇用形態 | 正社員に変わる | 非正規のまま |
| 契約期間 | 無期 | 無期 |
| 給与・待遇 | 正社員の基準に変わることが多い | 原則それまでと同じ |
| きっかけ | 会社の登用制度・試験 | 通算5年超で本人が申し込む |
無期転換は「契約が無期になる」だけで、仕事内容や待遇が自動的に正社員並みになるわけではありません。正社員としての待遇を得たいなら、登用制度を利用するのが基本です。自分がどちらの制度で動いているのかを把握しておくと、書類や面談での受け答えにも一貫性が出ます。
まとめ
- 同じ会社での登用でも、正式な記録として履歴書を求められることが多い
- 職歴欄は「アルバイト入社」と「同社 正社員登用」を改行して2行で書く
- 自己PRはパート経験を数字で示し、即戦力であることを伝える
- 志望動機は内部理解を活かし、会社への貢献意欲を具体的に書く
- 正社員登用と無期転換ルールは別物なので、違いを理解しておく
すでに現場を知るあなたの経験は、外部の応募者にはない強みです。その事実が正しく伝わる書類を用意すれば、登用のチャンスは着実に近づきます。
同じ会社でパートから正社員を目指す履歴書のよくある質問
- 同じ会社の登用でも職歴欄は書く必要がありますか?
-
はい、必要です。同じ会社であっても、いつパートとして入社し、いつ正社員になるのかは採用担当者にとって重要な情報です。「アルバイトとして入社」と「同社 正社員として登用」を改行して2行で記載してください。
- パートと正社員の職歴は1行にまとめてもいいですか?
-
まとめないでください。1行にすると、いつから正社員としての責任を負う立場になったのかが伝わりません。雇用形態が変わるタイミングは必ず行を分けて書きます。
- すでに働いているのに志望動機は何を書けばいいですか?
-
内部を理解しているからこその動機を書きます。会社の理念や現場の課題に触れ、パート経験を今後どう活かすかを具体的に述べると説得力が出ます。「安定したいから」など条件面だけの理由は避けてください。
- 登用試験に落ちたら、これまでのパートは続けられますか?
-
登用に不採用でも、それまでのパートとしての契約が変わるわけではありません。多くの会社では次の機会に再挑戦できます。結果はタイミングやポストの状況にも左右されるため、過度に心配せず臨んで問題ありません。


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