この記事では、中小企業の経理経験を持つ方が転職活動で職務経歴書を書く際に、採用担当者が実際に確認しているポイントと、書類選考を通過するための書き方の5ステップ、状況別の例文3選を解説します。書き方がわからず手が止まっている方は、ぜひ順を追って確認してください。
中小企業の経理職務経歴書が「書類選考で落とされやすい」3つの理由
経理の実務経験があるのに書類選考で落とされる原因は、職務経歴書の書き方にあることがほとんどです。中小企業の経理経験者に共通する落とし穴を3つ紹介します。
業務内容を「やること」の羅列で終わらせている
採用担当者は一人の書類を30秒〜1分で判断します。「仕訳入力・月次決算・経費精算・給与計算など経理全般を担当」という一文で終わらせると、業務量・担当範囲の深さ・正確性がまったく伝わらないまま書類が山積みの中に埋もれていきます。
NG例
「仕訳入力・月次決算・経費精算・給与計算・社会保険手続きなど経理全般を担当。」
→ 何件処理していたか、規模感、精度、使用ツールが一切不明。採用担当者には「経理経験あり」としか読めない。
良い例
「月次決算(締め翌5営業日)・年次決算を主担当として実施。売掛金・買掛金管理(取引先約60社)、経費精算(月平均120件)、給与計算(対象35名)を担当。弥生会計で仕訳入力から試算表作成まで一貫対応。税理士との年次申告書類連携も担当。」
企業規模・業務範囲の具体情報が抜けている
採用担当者が必ず確認するのは「どれくらいの規模の会社でどれだけの業務量を処理していたか」です。年商3億円の中小企業と年商100億円の中堅企業では、同じ「経理担当」でも業務の複雑さや責任範囲がまったく異なります。
職務経歴書の会社概要欄には、資本金・従業員数・年商規模・経理担当者数を必ず明記してください。これだけで採用担当者の「この人はどれくらいの仕事をしてきたか」という疑問に即座に答えられます。
「幅広さ」だけを書いて「深さ」を伝えていない
中小企業経理の強みは「一人でなんでもできること」です。ただし、これをそのまま羅列すると「どれも浅い」と判断されるリスクがあります。
業務の種類を並べるだけでなく、「その業務を通じて何ができるようになったか」「どんな工夫や改善をしたか」を最低1〜2件含めることが重要です。業務の幅広さと一つひとつの質の高さを両立して伝えられると、採用担当者に「即戦力」として評価されやすくなります。
採用担当者が中小企業経理の職務経歴書で最初に見る3つのポイント
採用担当者が実際に書類を見るとき、最初の30秒で「面接に進めるかどうか」の判断をほぼ決めています。中小企業の経理担当採用において、採用担当者が最初に目を向ける3つのポイントを確認しておきましょう。
使用している会計ソフト・ツールのスキルレベル
中小企業では、会計ソフトの切り替えや移行に時間を割けない場合がほとんどです。そのため、自社で使っているソフトに近い経験を持つ候補者が即戦力として高く評価されます。「弥生会計を使っていた」だけでなく、どの機能をどの程度使いこなしていたかまで記載することが求められます。
| ソフト・ツール名 | 習熟度の目安 | 記載例 |
|---|---|---|
| 弥生会計 | 初級〜上級 | 「月次決算・年次決算まで単独対応(7年)」 |
| freee会計 | 初級〜中級 | 「仕訳・経費精算・レポート出力(2年)」 |
| マネーフォワード クラウド | 初級〜中級 | 「経費精算・請求書・給与計算(1.5年)」 |
| Excel | 初級〜上級 | 「VLOOKUP・ピボットテーブル・マクロ作成」 |
月次・年次決算の「担当範囲と規模感」
経理職の採用で最も重視されるのが決算業務の経験です。ただし「月次決算を担当していた」という記載だけでは不十分です。採用担当者が知りたいのは「どこまで自分で担当したか」「税理士や会計士との連携のどこを担っていたか」「締め日がどれくらいか」という点です。
採用担当者に刺さる決算業務の記載例
「月次決算(締め:翌5営業日)を主担当として実施。仕訳・試算表作成・残高確認まで対応。税理士事務所へのデータ提供・調整を担当(年次決算時の申告書類連携含む)。決算前後の棚卸確認・固定資産管理も兼務。」
経営者・税理士・他部門との関わり方
少人数体制の中小企業では、経理担当者が財務情報の「社内唯一の窓口」になることが多いです。採用担当者が確認したいのは「ルーティン業務をこなすだけか」「経営判断に必要な情報を社長・役員に提供できるか」という点です。
採用担当者はここを見ている
- 社長・役員への月次業績報告資料の作成・説明経験の有無
- 税理士事務所との折衝・情報収集を自分で担っていたか
- 資金繰り表・予算実績管理への関与度合い
- 営業・総務など他部門との請求書・経費データのやり取り
中小企業経理の職務経歴書の書き方・5つのステップ
ここからは実際に職務経歴書を書くときの手順を5つのステップで解説します。各ステップを順番に進めることで、採用担当者が読みやすく、かつ自分の強みが正確に伝わる書類が完成します。
①会社概要と業務範囲を数値で示す
職務経歴書の冒頭に記載する「会社概要」は、採用担当者が経験の規模感を把握する唯一の手がかりです。以下の情報を必ず盛り込んでください。
NG例
「株式会社〇〇(食品卸売業)/ 経理部に所属し、経理業務全般を担当。」
→ 企業規模が一切わからないため、採用担当者が経験の重みを判断できない。
良い例
「株式会社〇〇(食品卸売業 / 資本金5,000万円・従業員42名・年商12億円)
経理担当2名体制で、月次決算・給与計算・税務申告補助を一人で完結対応。経理リーダーとして後輩1名の指導も兼務。」
②業務内容は「日次・月次・年次」の流れで整理する
業務内容をランダムに列挙するより、時間軸(日次・月次・年次)で整理すると読みやすく、担当範囲の全体像が伝わりやすくなります。
- 日次業務:現金出納・入出金管理・仕訳入力・振込処理・請求書の受発行
- 月次業務:月次決算(試算表作成・残高確認)・売掛金・買掛金照合・経費精算・給与計算・社会保険手続き
- 年次業務:年次決算・固定資産管理・減価償却計算・税理士事務所への申告書類連携・法人税・消費税申告補助
③使用ツール・ソフトは種類と習熟度まで明記する
会計ソフトやツールは「使っていた」だけでなく、何年使っていたか・どの機能まで使いこなせるかを具体的に記載することで、即戦力の判断材料になります。下記の形式を参考にしてください。
| ソフト・ツール | 使用年数 | 活用範囲 |
|---|---|---|
| 弥生会計 | 8年 | 仕訳入力・試算表・月次決算・年次決算まで単独対応 |
| freee会計 | 1年 | 仕訳・経費精算・レポート出力 |
| Excel | 10年以上 | VLOOKUP・ピボットテーブル・VBAマクロ作成 |
| 給与奉行 | 5年 | 給与計算・賞与計算・社会保険料更新 |
④「なんでもやる」経験を改善・効率化実績に変換する
「なんでもやっている」という事実は、裏を返せば「非効率な部分を自分で発見して対処してきた」という強みでもあります。職務経歴書に少なくとも1件、業務改善・効率化のエピソードを加えると採用担当者の印象が大きく変わります。
NG例
「日々の業務改善に努めました。」
→ 何をどう改善したか伝わらず、採用担当者には「特に何もしていない」と受け取られる。
良い例
「Excelによる経費精算集計をVBAマクロで自動化し、月次集計作業を従来の3時間→30分に短縮(月間2.5時間の工数削減)。削減した時間を月次決算の精度確認に充当し、計上誤りの早期発見件数が前年比3件→0件に改善。」
⑤自己PRは「中小企業で求められる人材像」に合わせて設計する
中小企業が経理担当者に求めるのは「即戦力」「柔軟性」「自走力」の3つです。この3軸を意識した自己PRを書くことで、採用担当者の「この人は入社後すぐ動ける」という確信につながります。
- 即戦力:現在使っているソフト・業務の進め方・決算経験など、すぐ活かせる経験を具体的に示す
- 柔軟性:経理業務以外にも総務・労務・バックオフィス全般に対応してきた経験を添える
- 自走力:上司や税理士に指示される前に、自ら課題を発見して対処してきたエピソードを盛り込む
職務経歴書の作成に時間がかかっている場合は、自動作成ツールを活用して土台を素早く整えるのも選択肢のひとつです。

状況別・中小企業経理の職務経歴書 例文3選
実際の職務要約欄に使える例文を3パターン紹介します。自分の状況に近いものをベースに、具体的な数値・ソフト名・実績に差し替えて活用してください。
①中小企業経理経験者が同規模・同職種に転職する場合
同規模の中小企業への転職は、即戦力として評価されやすい一方で「なぜ転職するのか」「この会社で長く働けるか」が問われます。現在の経験の具体性と、転職先で貢献できる点を明確に示すことがポイントです。
例文①(職務要約)
食品卸売業の中小企業(従業員42名・年商12億円)で経理担当として8年間勤務。月次決算・年次決算を主担当とし、仕訳入力から試算表作成・税理士対応まで一貫して担当。給与計算(対象35名)・社会保険手続き・経費精算(月平均120件)を並行対応。弥生会計を8年間使用し、VBAマクロによる集計自動化で月次業務を月20時間以上削減した実績あり。中小企業の経理業務をほぼ全領域カバーした経験を活かし、即戦力として経理体制の強化に貢献します。
②中小企業経理経験者が上場企業・大手に挑戦する場合
上場企業の採用担当者が中小企業経理経験者を評価するのは「業務の幅広さ」「自走できる姿勢」「ルールを自分で作ってきた経験」です。大手では分業されている業務を横断的に経験してきた点を前面に出しましょう。
例文②(職務要約)
製造業の中小企業(従業員60名・年商18億円)で経理担当として6年勤務。月次決算・年次決算・給与計算・社会保険手続き・資金繰り管理・予算実績管理まで、経理業務全領域を2名体制(リーダーポジション)で担当。社長への月次業績報告資料の作成・説明を毎月担当し、財務数値の読み解きと経営目線での報告に慣れています。中小企業で「経理のすべて」を経験した視野の広さと、スモールチームで培った自走力を、より大きな組織環境で発揮したいと考えています。
③大企業経理経験者が中小企業に転職する場合
大企業から中小企業への転職では「なぜ中小企業に転職するのか」「専門業務しかできないのでは?」という懸念を払拭することが最大の課題です。「業務の幅に対応できる」「スモールチームで自走できる」ことを具体的なエピソードで示しましょう。
例文③(職務要約)
上場IT企業(従業員800名・連結売上200億円超)の経理部で7年間勤務。主担当は月次・四半期・年次決算の仕訳計上・残高確認・開示書類の数値確認。部内ではサブリーダーとして4名の進捗管理も担当。在籍中に個人で取り組んだ業務改善(Excel集計フロー見直し)で月20時間の工数を削減した経験あり。より経営に近い場所で経理の全領域に携わりたいという思いから転職を検討。弥生会計・freee会計は自習での習得経験があり、即日業務対応が可能です。
完全無料の履歴書・職務経歴書作成ツール
「サクレキ」質問に答えるだけで、選考書類がカンタンに完成
- 自己PR・志望動機も例文付きで安心
- スマホからでもOK。たった3分で履歴書・職務経歴書が完成
- 自動フォーマットで書き間違いゼロ
\ 完全無料・簡単3分で完成! /
無料で履歴書・職務経歴書を作成する →中小企業経理の職務経歴書でよくある「NGパターン」と改善策
書類選考で落とされる職務経歴書には、共通したパターンがあります。自分の書類に当てはまるものがないか、照合しながら確認してください。
NG1:「経理全般を担当」という一行だけの職歴
NG例
「経理全般を担当。」
→ 採用担当者には「何も書いていないのと同じ」に見える最悪のパターン。書類選考の最初のフィルターで確実に弾かれる。
改善策:「日次・月次・年次」の時間軸で業務を整理し、各業務に「件数・規模・頻度」の数値を加える。最低でも5〜8行は記載することを目標にしてください。
NG2:会社規模・資本金・従業員数の記載忘れ
会社概要欄に「株式会社〇〇(サービス業)」だけ書いて規模情報を省略するケースは意外に多いです。採用担当者は「どんな規模の経理を担っていたか」で候補者の経験レベルを推測します。以下の4点を必ず記載してください。
- 資本金:会社の規模感を示す基準
- 従業員数:給与計算・社会保険処理の件数規模の目安
- 年商規模:売掛・買掛・決算の複雑さの目安
- 経理担当人数:どこまで自分で担っていたかの指標
NG3:資格欄に書いた簿記を職歴欄で活かしていない
日商簿記2級・3級を資格欄に記載しながら、職務経歴の本文に簿記の知識を活かした具体的な記述がないケースが多いです。資格と実務の接続が見えないと、採用担当者は「資格は持っているけど実務で使っているのかな」と疑問を持ちます。
改善策:職歴欄の業務内容に「日商簿記2級の知識を活かした複式簿記による仕訳・決算処理」「借方・貸方を正確に把握した残高確認」など、資格と実務の接続を明示してください。
中小企業経理が転職で差をつける「自己PR」の書き方
自己PR欄は、職務経歴欄では伝えきれない「人柄・強み・仕事の進め方」を補足する場所です。中小企業の経理経験者が採用担当者に評価される自己PRには、3つの型があります。
- 改善型:「〇〇の業務に問題を感じ、△△を実施することで□□%改善した」という実績エピソード
- 幅広さ型:経理だけでなく総務・労務・バックオフィス全般に対応してきた経験の具体的な列挙
- 連携型:経営者・税理士・営業部門など社内外の関係者とどう連携・調整してきたかの実例
自己PR 良い例文
「中小企業の経理担当として、仕訳入力から月次・年次決算・給与計算・税務申告補助まで一人で担当してきました。少人数体制のため、経営者への月次報告資料作成・税理士事務所との調整・他部門との経費確認まで幅広く対応しています。業務の中でExcelマクロによる集計自動化を主導し、月次業務の工数を20時間削減しました。指示を待つのではなく、課題を自分で見つけて改善する姿勢を大切にしており、貴社でも経理体制の強化・効率化に貢献できると考えています。」
職務経歴書の内容に自信がない場合は、専門家による添削を受けることも有効な選択肢です。書き上げた書類をプロの目でチェックしてもらうことで、見落としていた改善点が見つかることも多いです。

完全無料の履歴書・職務経歴書作成ツール
「サクレキ」質問に答えるだけで、選考書類がカンタンに完成
- 自己PR・志望動機も例文付きで安心
- スマホからでもOK。たった3分で履歴書・職務経歴書が完成
- 自動フォーマットで書き間違いゼロ
\ 完全無料・簡単3分で完成! /
無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 業務内容は「やること」の羅列ではなく、件数・規模・ソフト名などの数値を加えて具体的に書く
- 会社概要欄に資本金・従業員数・年商規模・経理担当人数を必ず記載する
- 採用担当者が最初に見るのは「会計ソフトの習熟度」「決算の担当範囲」「社内外との連携実績」の3点
- 「幅広さ」と「深さ」を両立させるため、業務改善・効率化のエピソードを最低1件含める
- 自己PRは「即戦力・柔軟性・自走力」の3軸で設計し、具体的な行動実績で裏付ける
中小企業の経理経験は、業務の幅広さと自走力という点で他の候補者にはない強みを持っています。職務経歴書でその経験を正確かつ読みやすく伝えることができれば、書類選考の通過率は確実に上がります。
中小企業経理の職務経歴書に関するよくある質問
- 中小企業の経理経験しかない場合、上場企業への転職は難しいですか?
-
難しくはありますが、十分に可能です。上場企業の採用担当者が中小企業経理経験者を評価するのは「業務の幅広さ」「自走できる姿勢」「ルールを自分で作った経験」です。職務経歴書では担当範囲の広さを具体的に示し、業務改善の実績を加えることで差別化できます。日商簿記2級以上の資格があればさらに評価が高まります。
- 経理経験が3年未満でも中小企業の経理に転職できますか?
-
3年未満でも転職は可能ですが、月次決算の経験の有無が重要な判断基準になります。月次決算まで担当しているなら、使用ソフト・処理件数・担当範囲を具体的に職務経歴書に記載することで評価されます。決算未経験の場合は、日商簿記2級の取得と並行して転職活動を進めることを検討してください。
- 職務経歴書に書けるような成果・実績がない場合はどうすればいいですか?
-
「成果」は大きな改革でなくても構いません。「月次決算の締め日を1日短縮した」「経費精算の確認漏れを防ぐチェックリストを自作した」「請求書管理ファイルを整備してバックオフィス全体の確認効率を上げた」なども立派な実績です。日常業務の中で「改善したこと」「自分が作ったもの」「習慣として取り組んでいること」を書き出してみてください。そこに実績の素材が必ず見つかります。


コメント