この記事では、職務経歴書の「事業内容」欄に何を書くべきかを解説します。業務内容・職務内容との違い、採用担当者が事業内容から判断していること、業種別の例文まで順番に説明します。書き方のルールから守秘義務の注意点まで網羅しています。
職務経歴書の「事業内容」とは何か
職務経歴書における「事業内容」とは、過去に在籍した会社が「どのようなビジネスをしている会社なのか」を採用担当者に伝えるための情報です。企業名だけでは業界・規模・ビジネスモデルが分からないため、会社のプロフィール欄として設ける項目がこの「事業内容」です。
職務経歴書の冒頭には通常「会社概要」として、勤めていた会社の基本情報をまとめます。事業内容はその核となる情報であり、採用担当者が「この人はどんな業界・環境でキャリアを積んできたか」を把握するための最初の手がかりになります。
業務内容・職務内容との違い
「事業内容」と「業務内容(職務内容)」を混同してしまうケースが多くあります。両者の主語が異なります。
| 項目 | 主語 | 記載内容 |
|---|---|---|
| 事業内容 | 会社 | 会社全体がどんなビジネスをしているか |
| 業務内容・職務内容 | 自分 | 自分が個人として担当していた仕事の内容 |
事業内容欄には「自分が何をしていたか」ではなく、「会社が何をしているか」を書きます。
NG例と良い例
NG(業務内容と混同):「新規顧客獲得・既存顧客のフォロー・提案営業」
→ これは自分の業務内容であり、事業内容ではない
OK(事業内容の正しい記載):「国内外のメーカーから食品素材を調達し、加工食品メーカーへ卸売する事業。売上高:年間80億円、従業員数:320名」
→ 会社全体のビジネス概要が伝わる
採用担当者が事業内容で確認していること
採用担当者が事業内容を読む目的は、応募者のスキルを評価するための「文脈」を把握するためです。
たとえば「3年間の営業経験」という情報だけでは判断できません。どんな業界・どんな顧客・どんな価格帯の商品を売っていたかによって、その営業経験の性質は大きく異なります。事業内容は、業務内容を正しく評価するための土台として機能しています。
事業内容の書き方と記載項目
事業内容の記載には決まったフォーマットはありませんが、採用担当者が短時間で状況を把握できるよう、必要な情報を簡潔にまとめることが基本です。
基本の記載項目一覧
職務経歴書の会社概要欄に記載する基本項目は以下の通りです。すべてを記載する必要はなく、採用担当者がイメージしやすい情報を優先して選ぶという姿勢が大切です。
| 項目 | 記載例 | 補足 |
|---|---|---|
| 事業内容 | 食品素材の調達・卸売事業 | 1〜2行で簡潔に(必須) |
| 設立年 | 1985年設立 | 西暦表記が一般的 |
| 資本金 | 資本金:5,000万円 | 公開情報のみ記載 |
| 従業員数 | 従業員数:320名 | 連結・単体の区別を明記 |
| 売上高 | 売上高:年間80億円 | 非公開なら省略可 |
業種によって追加すると分かりやすくなる情報もあります。ホテル・旅館は「客室数」、病院・クリニックは「病床数・診療科目数」、飲食チェーンは「店舗数・展開エリア」などを加えると、採用担当者のイメージが具体的になります。
書き方の3つのルール
- ルール1:30〜60文字程度に収める
会社のホームページの「会社概要」「事業内容」ページの冒頭文をベースに、ひと目で伝わる内容に要約する。丸写しは読む気をなくさせるため禁物。 - ルール2:在籍していた当時の情報を書く
会社が現在どうなっているかではなく、自分が在籍していた期間の情報を記載する。合併・社名変更・倒産などがあっても、在籍時の事業内容で書いて問題ない。 - ルール3:BtoB/BtoCが伝わる表現にする
「何を売っているか」だけでなく「誰に売っているか」が分かると、採用担当者はスキルの転用可能性を判断しやすくなる。
採用担当者が見る事業内容:通過する書き方のコツ
事業内容の記載内容は、採用担当者の評価に直接影響します。「会社概要だから適当に書いておけばいい」と思いがちですが、採用担当者はこの欄から多くの情報を読み取っています。
採用担当者が事業内容から判断する3つの要素
採用担当者はここを見ている
- 業界・市場の文脈:「製薬会社」と「調剤薬局チェーン」では、同じスキルでも業務環境が全く異なる。どんな市場・顧客層の中で経験を積んだかを把握する
- スキルの再現性:自社と近い業界・ビジネスモデルの出身者は即戦力として期待しやすい。全く異なる業界からの転職者は「この人のスキルが自社で通用するか」をここで判断する
- 会社規模・経験環境:中小企業の総合職と大企業の専門職では求められる能力が異なる。従業員数・売上高などの数値がその判断材料になる
特に業界が異なる転職の場合、事業内容欄は採用担当者に「なぜ自社でも活躍できるか」をイメージさせる最初の機会です。業種・ビジネスモデル・顧客規模が自社と近ければ、採用担当者は業務内容を読む前から「この人は話を聞いてみたい」と感じます。
よくあるNGパターンと改善例
NG例①:事業内容が一言すぎる
NG:「事業内容:製造業」
OK:「事業内容:自動車部品(プレス・溶接)の設計・製造。国内自動車メーカー3社へ納品(ティア1)。従業員数:450名」
「製造業」だけでは業種すら判断できない。何を・誰に・どのくらいの規模でという3点がそろって初めて文脈として機能する。
NG例②:業務内容と混同している
NG:「事業内容:新規顧客獲得、既存顧客管理、提案営業」
OK:「事業内容:中小企業向けクラウド会計ソフトの開発・販売・導入支援(SaaS型)。ARR非公開、従業員数:150名(2015年設立)」
NGの記載は自分の業務内容であり、会社のビジネス説明になっていない。採用担当者は「事業内容欄の意味を理解していない」と判断することがある。
NG例③:情報が多すぎる(丸写し)
NG:公式サイトの会社概要ページをそのまま転記(200文字超)
OK:核心情報(業種・商品・顧客・規模)を30〜60文字でまとめる
採用担当者は職務経歴書を短時間で確認する。事業内容が長すぎると読み飛ばされ、本来伝えるべき業務内容が目に入りにくくなる。
業種別・状況別の例文集
業種によって事業内容に含めるべき情報が異なります。以下の例文を参考に、自分の職歴に合わせて書き換えてください。会社名・具体的な数値はすべて仮の情報です。公式サイトで実際の数値を確認してから記入してください。
IT・SaaS系
例文(IT・SaaS)
中小企業向け勤怠管理SaaS「〇〇」の開発・販売・カスタマーサクセス。主要顧客:従業員数50〜500名の製造業・小売業(BtoB)。設立:2015年、従業員数:150名
IT系はARR(年間経常収益)を公開している会社も多く、規模感が伝わりやすくなります。ARRが非公開の場合は「ARR非公開」と明示して問題ありません。また「SaaS型」「パッケージ型」「受託開発型」など提供形態を明記すると、採用担当者が業務環境をイメージしやすくなります。
製造業
例文(製造業)
自動車用電子部品(ECU・センサー類)の設計・製造。取引先:国内大手自動車メーカー(ティア1)。売上高:年間240億円、従業員数:1,200名(連結)。設立:1965年
製造業では「何を作っているか」「誰に納めているか」「サプライチェーンのどの位置にいるか(ティア1か2か)」が採用担当者の判断に直結します。特に自動車・電機系のメーカー経験者は、この情報で技術的背景が大きく変わるため、具体的に記載することが重要です。
飲食・サービス業
例文(飲食チェーン)
首都圏・関東エリアで居酒屋・ダイニングバー(32店舗)を展開するFC加盟企業。客単価:2,500〜3,500円。従業員数:正社員85名・スタッフ含む280名。設立:2005年
飲食は店舗数とエリアが規模の判断材料になります。チェーン本部か加盟FC(フランチャイズ)かも明記すると、業務の独立性が伝わります。客単価を入れると業態の方向性(大衆向け・高単価)が明確になります。
医療・福祉
例文(総合病院)
病床数380床(うちICU12床)を有する急性期総合病院。診療科:32科。外来患者数:1日平均580名。職員数:2,000名(医師・看護師・コメディカル含む)
医療・福祉は施設の種別(急性期・回復期・介護など)と規模感の両方を記載します。看護師・医療事務・理学療法士など職種を問わず、病床数・診療科目数・外来患者数が採用担当者にとって最も判断しやすい指標です。
看護師の場合、職務経歴書には診療科目の記載も重要な要素になります。診療科目の詳しい書き方については看護師の職務経歴書|診療科目の書き方と採用担当者が見るポイントも参考にしてください。

小売・アパレル
例文(アパレル)
20〜40代女性向けカジュアルアパレルの企画・製造・販売。自社ECサイト+百貨店・ファッションビル(全国42店舗)で展開。年間売上:120億円、従業員数:380名
小売は実店舗とECの両方を展開している場合、両方を記載します。主要顧客層(年齢・性別・価格帯)を明記すると業態の方向性が採用担当者に伝わります。スーパーやドラッグストアなど食品・日用品系の小売業の場合は、店舗数・エリアが規模の主要指標です。
スーパーなど小売業での職務経歴書の具体的な書き方については、スーパーの職務経歴書の書き方|採用担当者目線の例文付きもあわせて参照できます。

転職回数が多い場合の書き方
転職回数が多く、複数の会社を経歴欄に書く場合は、すべての会社概要を同じ詳細度で書くとページが間延びします。以下の方針で対応してください。
- 直近2〜3社は詳しく書く:在籍期間が長い、現在のスキルの根拠になる会社を中心に、従業員数・売上などの情報を記載する
- それ以前の会社は最小限に絞る:「事業内容:食品卸売業(従業員数:120名)」のように、業種と規模感のみを1行で記載する
- キャリアが一貫している場合はまとめ形式も可:「同業の食品卸売3社での営業職経験」のようにグループ化し、共通の事業内容を一括で記載する
事業内容が分からないときの調べ方
過去の職歴であっても「事業内容をどう書けばいいか分からない」状況は起こりえます。特に以下のケースで迷う方が多いです。
- 短期間しか在籍していなかった会社
- 会社が複数事業を持っていた(どの部分を書けばよいか迷う)
- 倒産・合併・社名変更した会社
公式サイト・有価証券報告書の活用
事業内容を調べる最初の手段は、その会社の公式サイトの「会社概要」「事業概要」ページを確認することです。ここに記載されている内容を要約する形で、30〜60文字程度にまとめます。
上場企業であればEDINET(金融庁のデータベース)から有価証券報告書を入手できます。有価証券報告書には「事業の内容」として詳細なビジネス説明が記載されており、正確な情報を取得できます。
会社が複数事業を持っている場合は、自分が所属した部門に絞って説明するのが有効です。
部門が特定の事業に限られていた場合の書き方
例:「全社事業は食品・化粧品・医薬品の3部門。私が所属した食品部門は、国内菓子メーカーへの食品素材卸売を主事業とし、年間売上:80億円(部門単独)」
倒産・合併している会社については、在籍していた当時の事業内容を書けば問題ありません。現在の状況を無理に調べる必要はなく、「(現・〇〇社)」のように補記する形で対応できます。
守秘義務に注意すべきケース
事業内容として書いてよい情報は公開情報の範囲内のみです。以下の情報は職務経歴書に記載しないでください。
| 書いてはいけない情報 | 理由 |
|---|---|
| 非公開の売上数値・利益率 | 守秘義務違反・会社の機密情報 |
| 未発表の新製品・プロジェクト名 | 守秘義務違反 |
| 取引先の名称(非公開の場合) | 取引先との守秘義務違反 |
| 具体的な原価・仕入れ先情報 | 会社の競争優位に関わる情報 |
判断基準は「誰でも調べれば分かる情報かどうか」です。公式サイト・有価証券報告書・プレスリリースで公開されている範囲で書けば、守秘義務上の問題は生じません。
職務経歴書を効率よく作成したい場合は、自動作成ツールを活用する方法もあります。職務経歴書の自動作成ツールおすすめ7選では、採用担当者に刺さる仕上げ方と合わせてツールを比較しています。

まとめ
- 「事業内容」とは会社全体のビジネス説明であり、自分の「業務内容・職務内容」とは主語が異なる
- 記載の基本は「業種+商品・サービス名+顧客(BtoB/BtoC)+規模感(従業員数・売上)」のセット
- 30〜60文字程度に簡潔にまとめ、公式サイトの文章を要約する形で書く
- 守秘義務の観点から、記載できるのは公開情報の範囲内のみ
- 転職回数が多い場合は直近2〜3社を詳しく、それ以前は最小限に絞る
事業内容欄は職務経歴書全体の「導入部」として機能します。ここで採用担当者にスキルの文脈を伝えられるかどうかが、業務内容の評価に直接影響します。公式サイトで情報を確認し、上記のポイントに沿って簡潔にまとめてください。
職務経歴書の事業内容に関するよくある質問
- 事業内容の記載を省略してもいいですか?
-
省略しても書類選考が即座に不利になるわけではありませんが、書いたほうが採用担当者の理解が深まります。特に知名度が低い会社や、会社名だけでは業態が分かりにくい場合は必ず記載することを推奨します。採用担当者が「どんな会社に勤めていたか」を確認するために別途調べるという手間をかけさせることは、印象上マイナスになることがあります。
- 現職(在籍中の会社)の事業内容はどう書けばいいですか?
-
過去の会社と同じルールで書いて問題ありません。公式サイトや会社案内から公開情報を引用し、守秘義務の範囲内で記載します。在籍期間は「〇〇年〇月〜現在」と記載し、非公開の数値は「非公開」と明示するか省略します。現職の事業内容には特別なルールはなく、他の会社と統一した形式で書きます。
- 本社と事業部で事業内容が異なる場合、どちらを書けばいいですか?
-
自分が実際に携わっていた事業部の内容を中心に書きます。会社全体の事業概要を1〜2行で示してから、「そのうち〇〇部門に所属し〜の事業を担当」という補足を加えると採用担当者にとって分かりやすくなります。特に大企業や多角経営企業の場合は、「全社事業の概要」と「自分が関わった部門の内容」を区別して書く形式を推奨します。


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