この記事では、保育士等キャリアアップ研修の修了を履歴書に正しく記載する方法を解説します。資格欄への正式名称・分野別の記載例・複数分野受講時の書き方から、採用担当者が処遇改善加算の観点で評価するポイント、自己PR欄への活かし方まで紹介します。
保育士等キャリアアップ研修とは
保育士等キャリアアップ研修は、2017年に厚生労働省が創設した公的な研修制度です。保育現場における職位・役割の明確化と処遇改善を目的としており、各都道府県が実施または認定した機関が研修を提供しています。eラーニング形式での受講も可能で、在職中でも取り組みやすい仕組みになっています。
研修を修了すると、園内の役職(職務分野別リーダー・専門リーダー・副主任保育士)に就くための要件を満たすことができ、国の処遇改善加算を通じた給与アップに直結します。
8つの研修分野と受講要件
研修は全8分野で構成されており、1分野あたり15時間以上の受講が修了の条件です。マネジメント分野のみ、経験年数おおむね7年以上が対象となっています。それ以外の分野は経験3年以上から受講できます。
| 研修分野 | 受講時間 | 対象経験年数の目安 |
|---|---|---|
| 乳児保育 | 15時間以上 | 3年以上 |
| 幼児教育 | 15時間以上 | 3年以上 |
| 障害児保育 | 15時間以上 | 3年以上 |
| 食育・アレルギー対応 | 15時間以上 | 3年以上 |
| 保健衛生・安全対策 | 15時間以上 | 3年以上 |
| 保護者支援・子育て支援 | 15時間以上 | 3年以上 |
| マネジメント | 15時間以上 | 7年以上 |
| 保育実践 | 15時間以上 | 3年以上 |
修了で就ける役職と処遇改善手当
研修修了は、園内の役職に就くための要件となり、国の処遇改善等加算Ⅱの対象となります。役職ごとに月額の加算額が異なります。
| 役職 | 主な要件 | 処遇改善手当の目安 |
|---|---|---|
| 職務分野別リーダー | 経験3年以上・1分野修了 | 月額5,000円 |
| 専門リーダー | 経験7年以上・4分野以上修了 | 月額40,000円 |
| 副主任保育士 | 経験7年以上・マネジメント含む4分野以上修了 | 月額40,000円 |
手当の金額は国が定めた基準です。実際の支給額は各施設の処遇改善計画によって決まりますが、副主任保育士・専門リーダーへの就任で月4万円の加算が見込めるのは、保育士の処遇としては大きな違いです。
キャリアアップ研修を履歴書に書くと採用でどう評価されるか
せっかく研修を修了しても、履歴書への記載が「ただ書いた」にとどまると採用担当者への印象は薄くなります。採用担当者がキャリアアップ研修の記載をどう読んでいるかを把握することが、書類選考を突破するための出発点です。
採用担当者はここを見ている
- 処遇改善加算の対象人材かどうか:研修修了者は入職後すぐに職務分野別リーダー以上の職位に就けるため、園の加算対象として即戦力になる
- 向上心の客観的な証明:研修は自発的に受けるものであり、「学び続ける姿勢」の裏付けとして評価される
- 修了分野と保育方針との一致:応募先が注力している保育分野(障害児保育・食育など)と研修分野が合致していると、採用担当者の目に留まりやすい
採用担当者がとくに評価するのは、研修修了の事実だけでなく、それを現場でどう実践しているかが自己PR欄で伝わる応募書類です。「資格欄に書いて終わり」では、研修修了者が増えている現在の保育士市場では差別化になりません。
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →資格欄への書き方|正式名称と修了年月の記載ルール
正式名称の書き方:「等」を省略するとNG
最も多いミスは、「等」を省略して「保育士キャリアアップ研修」と記載してしまうことです。制度の正式名称は「保育士等キャリアアップ研修」です。「等」が含まれる点が重要です。
「等」は「保育士のほか、幼稚園教諭など関連職種も対象に含む」ことを意味しており、制度を正確に把握しているかどうかが採用担当者に伝わります。資格欄に記載する際は、必ず「保育士等キャリアアップ研修」と書きましょう。
NG例
2024年3月 保育士キャリアアップ研修 乳児保育分野 修了
→「等」が抜けており、制度の正式名称ではない。
修了年月・分野名は省略しない
「保育士等キャリアアップ研修 修了」だけでは、採用担当者は何の分野を修了したのかを確認できません。資格欄には以下の4要素をすべて記載します。
- 修了年月:和暦・西暦のどちらかに統一(履歴書全体の表記に合わせる)
- 研修名:「保育士等キャリアアップ研修」(「等」を省略しない)
- 分野名:受講した分野を正確に記載(例:「乳児保育分野」「マネジメント分野」)
- 「修了」:合格・取得ではなく「修了」と書く
分野別の記載例
各分野の書き方は以下の通りです。分野名は正式名称をそのまま使い、略称は使わないことが原則です。
良い例文(分野別の記載例)
- 2023年3月 保育士等キャリアアップ研修 乳児保育分野 修了
- 2023年9月 保育士等キャリアアップ研修 幼児教育分野 修了
- 2024年3月 保育士等キャリアアップ研修 障害児保育分野 修了
- 2024年6月 保育士等キャリアアップ研修 食育・アレルギー対応分野 修了
- 2024年9月 保育士等キャリアアップ研修 保護者支援・子育て支援分野 修了
- 2025年3月 保育士等キャリアアップ研修 マネジメント分野 修了
「食育・アレルギー対応」や「保護者支援・子育て支援」のように、正式名称が長い分野はそのまま省略せずに書くことが大切です。採用担当者は研修修了証の内容と照合するケースがあり、略称だと確認が取れません。
複数分野を修了した場合の書き方
全部書くべき?書く順番のルール
複数の分野を修了している場合、すべての分野を履歴書に記載することが基本です。研修修了は国が認める公的な実績であり、省略する理由はありません。
書く順番は修了年月の古い順(時系列)が基本です。採用担当者がキャリアの流れを把握しやすくなります。副主任保育士や専門リーダーとして在籍している場合は、マネジメント分野を含む複数分野の修了が役職就任の根拠になるため、全分野の記載が特に重要です。
採用担当者はここを見ている
- 分野の組み合わせから、保育士としての専門領域と経験の幅を読み取っている
- マネジメント分野が含まれているかどうか(副主任保育士の要件を満たすか)を確認している
- 応募先の保育方針(障害児保育に注力・食育に力を入れているなど)と合致した分野を修了しているかを見ている
複数分野受講時の記載例
良い例文(3分野修了・副主任保育士の場合)
- 2022年9月 保育士等キャリアアップ研修 乳児保育分野 修了
- 2023年3月 保育士等キャリアアップ研修 幼児教育分野 修了
- 2024年3月 保育士等キャリアアップ研修 障害児保育分野 修了
- 2024年9月 保育士等キャリアアップ研修 マネジメント分野 修了
副主任保育士の職位に就いている場合は、職歴欄の役職欄にその職位を明記したうえで、資格欄に要件となった研修分野をすべて記載します。役職の記載と研修修了の記載がそろっていることで、「入職後も同じ役職に就ける人材」と採用担当者に伝わります。
研修受講中の場合の履歴書への書き方
「受講中」の表記方法
研修がまだ完了していない場合でも、受講中であれば履歴書に記載できます。採用担当者が入職後のスケジュール感をつかめるよう、修了予定時期を添えておくと親切です。
良い例文(受講中の場合)
2025年4月 保育士等キャリアアップ研修 幼児教育分野 受講中(修了予定:2025年9月)
修了予定時期が未定の場合は「受講中」のみで構いません。「修了予定:未定」と書く必要はなく、シンプルに「受講中」と記載します。
受講前(まだ申し込んでいない)の場合は記載しない
「受けたいと思っている」「調べている段階」では、履歴書に記載できません。記載できるのは受講が始まっている状態からです。研修を受けていない段階で記載すると、事実と異なる情報を提出することになるため、記載しないのが原則です。
自己PR欄でキャリアアップ研修を最大限に活かす方法
資格欄にキャリアアップ研修を正しく記載しても、採用担当者が「で、この人は現場でどう使っているの?」と感じたままでは書類選考を突破しにくくなります。自己PR欄に研修内容と現場での実践をつなぐ記述を加えることで、はじめて「即戦力になれる人材」として評価されます。
採用担当者が評価する自己PRの3要素
キャリアアップ研修を活かした自己PRは、次の3要素で構成します。この順序を守ることで、「修了した事実」から「現場での実力」へと読み手の理解が自然につながります。
- ①どの分野を修了したか:研修分野を明示(複数ある場合は応募先の保育方針に関連する分野を中心に)
- ②現場でどう実践したか:研修で学んだことを具体的な業務にどう取り入れたか(数値やエピソードを添えると説得力が増す)
- ③応募先でどう活かすか:応募先の保育方針・課題に自分の専門性がどう貢献できるかを1文で明示する
【良い例文】研修×現場実践を結びつけた自己PR
良い例文(乳児保育分野修了の場合)
保育士等キャリアアップ研修の乳児保育分野を修了し、0〜1歳児クラスの担当として月齢別の発達支援を深めてきました。研修で学んだ「月齢に応じた身体接触と声がけの質」を日常の抱っこ・授乳サポートに取り入れた結果、保護者から「子どもが保育士さんに安心して笑顔を見せるようになった」というフィードバックをいただきました。貴園でも低年齢児保育に携わりながら、乳児クラスの専門性を発揮したいと考えています。
良い例文(保護者支援・子育て支援分野修了の場合)
保育士等キャリアアップ研修の保護者支援・子育て支援分野を修了し、連絡帳や個別面談でのコミュニケーション設計を見直しました。面談で「子どもの課題を報告する場」ではなく「保護者と一緒に考える場」に転換したことで、面談後のアンケートで満足度が前年比2割向上しました。貴園でも保護者との信頼関係を土台にした保育を実践したいと考えています。
保護者支援・子育て支援分野を修了している方は、子育て支援員の資格と組み合わせることで、地域の子育て支援業務への適性も幅広くアピールできます。子育て支援員の資格を履歴書に記載する方法は、子育て支援員の履歴書の書き方で詳しく解説しています。

食育・アレルギー対応分野を修了している方で、食育インストラクターの資格取得も検討している場合は、資格欄の書き方が異なります。食育関連の資格の履歴書への記載方法は食育インストラクターの履歴書の書き方で詳しく解説しています。

【NG例】よくある失敗パターン
NG例①:研修名を羅列するだけ
「保育士等キャリアアップ研修の乳児保育・幼児教育・障害児保育分野を修了しています。」
→ 「修了した事実」しか伝わらず、現場での実践力が見えない。採用担当者は「それを現場でどう使っているの?」と感じる。
NG例②:研修の学習内容を要約するだけ
「乳児保育分野の研修では、月齢別の発達理論や離乳食の段階的な対応方法、睡眠環境の整備について学びました。」
→ 研修の内容説明は採用担当者が知りたいことではない。「現場でどう実践し、何が変わったか」を書かなければ採用担当者には伝わらない。
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 正式名称は「保育士等キャリアアップ研修」(「等」を省略しない)
- 履歴書の免許・資格欄に「修了年月・研修名・分野名・修了」の4要素をすべて記載する
- 複数分野を修了している場合は、修了年月の古い順にすべて記載する
- 受講中の場合は「〇〇分野 受講中(修了予定:〇年〇月)」と記載できる
- 自己PR欄に「研修分野 → 現場での実践 → 応募先への応用」を盛り込むことで、採用担当者への印象が大きく変わる
キャリアアップ研修の修了は、処遇改善加算の対象として採用担当者に確実にプラス評価される実績です。正しく記載し、自己PR欄で現場での実践力を具体的に伝えることで、書類選考通過の可能性が高まります。
保育士等キャリアアップ研修の履歴書に関するよくある質問
- 保育士等キャリアアップ研修は資格欄に書いていいですか?
-
はい、履歴書の免許・資格欄に記載できます。正式名称は「保育士等キャリアアップ研修 〇〇分野 修了」です。国が認める公的な研修であり、処遇改善加算の根拠となる実績として採用担当者に伝わります。
- 受講中の研修は履歴書に記載できますか?
-
記載できます。「保育士等キャリアアップ研修 〇〇分野 受講中(修了予定:〇年〇月)」と記載します。修了予定時期を明記することで、入職後のスケジュール感を採用担当者に伝えられます。受講前(申し込み前)の段階では記載しません。
- 複数分野を修了した場合、全部書く必要がありますか?
-
はい、すべての分野を記載することをおすすめします。分野の組み合わせから、採用担当者は保育士としての専門領域と経験の幅を読み取ります。特に副主任保育士・専門リーダーの役職に就いている場合は、要件となった全分野の記載が重要です。書く順番は修了年月の古い順(時系列順)が基本です。
- 「保育士等キャリアアップ研修」の「等」は省略してもいいですか?
-
省略しないでください。「等」を省いた「保育士キャリアアップ研修」は制度の正式名称ではありません。採用担当者が正確な研修名を確認できるよう、「等」を含めた正式名称で記載してください。


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