この記事では、私立大学の履歴書学歴欄への正しい書き方を採用担当者の視点から解説します。大学名に「私立」を付けるか否かという基本から、学部・学科の正式名称の確認法、転職・新卒・中退・編入など状況別の記載例、採用担当者が実際に気にするNGミスまで網羅します。
私立大学の履歴書への書き方──まず知っておくべき基本ルール
大学には「私立」を付けない(高校とはルールが違う)
結論からいえば、大学名の前に「私立」を付ける必要はありません。大学の正式名称には「私立〇〇大学」という形式は存在せず、名称そのものに設置形態(国立・公立・私立)は含まれていないためです。厚生労働省が推奨する履歴書様式でも、大学は大学名のみで記載するよう示されています。
採用担当者はここを見ている
- 大学欄に「私立」があっても直ちに減点ではないが、担当者によっては「履歴書の基本ルールを知らないのか」と感じることがある
- 実際に問題になるのは「私立」の有無より、学部・学科の省略・誤字・年度のミス
- 書類1枚の確認時間は30〜60秒程度。不要な情報が目に入ると余計な印象を与える
ただし、中学校・高等学校の場合はルールが異なります。高校は公立・私立・国立の区別を明示するのが正しい書き方です。詳しくは後述します。
学部・学科・専攻は省略せず正式名称で書く
大学名だけ書けばいいわけではありません。採用担当者が学歴欄でチェックするのは「どのような専門教育を受けたか」です。学部・学科・専攻まで正式名称で記載することで、初めて学歴欄の記載が完成します。
よくある省略パターンと正解を確認してください。
- 「〇〇大学 法学部」→ 正しくは「〇〇大学 法学部法律学科」(学科まで記載)
- 「〇〇大学 文学部」→ 正しくは「〇〇大学 文学部日本文学科」(専攻まで記載)
- 「〇〇大学 経済」→ 「経済学部経済学科」と省略しない
学部・学科名は大学ごとに異なります。大学の公式サイトの「学部・学科一覧」か、卒業証書に記載された名称を必ず確認してください。卒業後に学部・学科名が変更された場合は、卒業当時の名称で記載して問題ありません。
入学・卒業の両方を書く。「以上」で締める
学歴欄は「〇〇大学 〇〇学部 入学」と「〇〇大学 〇〇学部 卒業」の2行で1セットです。入学のみ、または卒業のみの記載では情報が不完全になります。
最後の行の末尾(右詰め)に「以上」と書くのも忘れずに。この1文がないと、書類全体が未完成に見えます。年号表記は西暦・和暦どちらでも構いませんが、履歴書全体で統一してください。学歴欄は和暦、職歴欄は西暦という混在は採用担当者への印象を下げます。
採用担当者が即座に落とす「学歴欄の3つのNGミス」
採用担当者が履歴書を確認する時間は、書類1枚あたり平均30〜60秒程度です。その短時間で学歴欄を目にした際、以下の3つのNGミスがあると「書類の丁寧さが足りない」という判断に直結します。
NG①「私立〇〇大学」と大学名に「私立」を付けてしまう
NG例
平成○年4月 私立早稲田大学 政治経済学部経済学科 入学
→「私立」は大学名の正式名称に含まれないため不要です
正しい書き方
平成○年4月 早稲田大学 政治経済学部経済学科 入学
「私立を付けた方が丁寧では?」と思う方もいますが、採用担当者の目線では「基本ルールを理解していない」という印象を与えます。大学名は正式名称そのものだけを記載してください。
NG②学校名・学部名を略称で書く
NG例
平成○年4月 早大 経済学部 入学
→「早大」は通称です。正式名称での記載が必要です
正しい書き方
平成○年4月 早稲田大学 政治経済学部経済学科 入学
「早大」「慶大」「日大」などの通称・略称は日常会話では通じても、書類上は不適切です。採用担当者によっては「他の書類でも雑に扱うのではないか」という懸念につながります。学部名も「経済学部」だけでなく「経済学部経済学科」と学科まで書くのが基本です。
NG③卒業年度の計算ミス・西暦と和暦の混在
意外と見落とされがちなのが年度のミスです。浪人・留年・休学・編入などの経歴がある場合、在籍年数がずれてしまうケースが多くあります。また、学歴欄は平成表記なのに職歴欄は西暦表記といった混在も、採用担当者に「書類の確認が甘い」という印象を与えます。
採用担当者はここを見ている
- 卒業年度と入社予定時期に矛盾がないか
- 学歴の年度と職歴の年度が整合しているか
- 年号表記が書類全体で統一されているか(西暦か和暦かどちらか一方に統一すること)
年度の確認は、大学の成績証明書や卒業証明書と照らし合わせるのが確実です。提出前の最終確認として、学歴欄と職歴欄を通しで読み返す習慣をつけてください。
【状況別】私立大学の履歴書記載例
私立大学出身者の学歴欄は、状況によって書き方が変わります。自分のケースを確認してください。
基本形(4年制私立大学・卒業)
4年制大学を標準的な期間で卒業した場合の記載例です。入学から卒業まで、同じ大学・学部・学科名を一字一句正確に揃えることが重要です。
記載例(西暦表記)
2003年 3月 私立〇〇高等学校 卒業(私立高校の場合は「私立」を付ける)
2003年 4月 〇〇大学 〇〇学部〇〇学科 入学
2007年 3月 〇〇大学 〇〇学部〇〇学科 卒業
以上
入学と卒業で同じ大学・学部・学科名を書きます。大学名と学科名で表記が1文字でも異なると採用担当者から問われることがあるため、卒業証書と照らし合わせて確認してください。
私立大学院まで進学した場合
大学院は「修士課程」「博士課程」の区分と、研究科・専攻まで書きます。最大の注意点は、大学院は「卒業」ではなく「修了」と書くことです。採用担当者にとってすぐに気づく誤りのため、必ず確認してください。
記載例(修士課程修了)
2007年 4月 〇〇大学大学院 〇〇研究科〇〇専攻 修士課程 入学
2009年 3月 〇〇大学大学院 〇〇研究科〇〇専攻 修士課程 修了
博士課程の途中で就職する場合は「博士課程 在学中」と記載します。退学した場合は「博士課程 中途退学」です。
私立大学を中退した場合
大学を中退した場合、その事実を必ず学歴欄に記載してください。書かないと、入学年度と次の職歴開始年度に空白が生じ、採用担当者からの確認が入ります。意図的に隠したと判断されると、後のトラブルにつながります。
記載例(私立大学中退)
2015年 4月 〇〇大学 〇〇学部〇〇学科 入学
2017年 3月 〇〇大学 〇〇学部〇〇学科 中途退学
「退学」ではなく「中途退学」が正式な表記です。退学理由の詳細は本人希望欄での補足か、面接での説明に備えて準備しましょう。退学理由の書き方はこちらの記事でも詳しく解説しています。

私立大学に編入した場合
短大・専門学校・他大学から編入した場合は、元の学校の卒業(または修了)と、編入した大学への入学を両方記載します。
記載例(短大から4年制大学へ編入)
2017年 4月 〇〇短期大学 〇〇科 入学
2019年 3月 〇〇短期大学 〇〇科 卒業
2019年 4月 〇〇大学 〇〇学部〇〇学科 3年次編入学
2021年 3月 〇〇大学 〇〇学部〇〇学科 卒業
「3年次編入学」のように何年次からの編入かを明記すると、学業経歴が正確に伝わります。「編入学」と「入学」は区別して書いてください。
私立中学・高校出身者の学歴欄の書き方
大学には「私立」を付けないルールがある一方、中学・高校は状況が異なります。この使い分けを間違えると、採用担当者から「基本的なルールを知らない」と判断されるリスクがあります。
中学・高校には「私立」を付ける
高等学校・中学校は、公立・私立・国立を明示するのが正しい書き方です。下の表で設置形態別の書き方を確認してください。
| 学校の種類 | 書き方 | 例 |
|---|---|---|
| 公立中学校 | そのまま書く | 〇〇市立〇〇中学校 |
| 私立中学校 | 「私立」を先頭に付ける | 私立〇〇中学校 |
| 国立附属中学校 | 「国立」を先頭に付ける | 国立〇〇大学教育学部附属中学校 |
| 公立高等学校 | そのまま書く | 〇〇県立〇〇高等学校 |
| 私立高等学校 | 「私立」を先頭に付ける | 私立〇〇高等学校 |
| 大学(私立含む) | 「私立」は付けない | 〇〇大学 〇〇学部〇〇学科 |
「高校」という表記は正式名称ではありません。必ず「高等学校」と書くのが採用担当者への正確な記載です。校種の正式名称について詳しくは、以下の記事も参考にしてください。
履歴書の校種(学校の種類)の正しい書き方を採用担当者目線で解説した記事もあわせてご覧ください。

中高一貫私立校の記載方法
同じ学園の中学・高校に通った場合でも、「中学校入学」と「高等学校卒業」はそれぞれ別の行に記載します。1行にまとめることはできません。採用担当者は在籍期間の整合性を確認するため、両方の記載が必要です。
記載例(中高一貫の私立校)
2001年 4月 私立〇〇中学校 入学
2007年 3月 私立〇〇高等学校 卒業
中学校と高等学校で学校名が変わる場合でも、それぞれの正式名称をそのまま書きます。通称の「〇〇中高」といった表記は不可です。中学校の学歴欄の書き方についてはこちらでも解説しています。

採用担当者が「通したくなる」学歴欄の書き方
正しく書けているだけでは、他の候補者との差がつきません。同じ大学・同じ学部でも、採用担当者の目を引く学歴欄にできるかどうかは以下の3点で変わります。
学部・学科の正式名称を大学HPで確認する
大学の学部・学科名は、見た目が似ていても正式名称が大学ごとに異なります。「法学部」一つとっても「法律学科」「法律・政治学科」「法政策学科」など、表記は様々です。
正式名称の確認手順は次のとおりです。
- 大学の公式サイトにアクセスする
- 「学部・学科」または「学部構成」のページを開く
- 自分が在籍していた年度の学部・学科名を確認する(組織変更がある場合に注意)
- 卒業証書・成績証明書の記載と照合する
卒業後に学校名や学部名が変更された場合は、卒業当時の名称で記載するのが原則です。「〇〇大学 〇〇学部 卒業(現:△△学部)」と注記を加えると、採用担当者に状況が伝わります。
ゼミ・専攻を添えて専門性を伝える
履歴書にゼミ・専攻の記入欄がある場合、ここは専門性を伝えられる貴重な場所です。採用担当者が見ているのは「学部名」だけでなく「どんな問題意識を持って学んだか」です。
ゼミ・専攻欄の書き方例
〇〇ゼミ(企業法務・M&A取引を主テーマとした研究ゼミ。判例分析と模擬交渉を中心に演習を実施)
ゼミのテーマと志望職種が接続できれば、書類選考の段階から面接官の関心を引くことができます。ゼミ欄の詳しい書き方はこちらも参照してください。

留学・休学は必ず記載する
交換留学・語学留学・休学の期間がある場合は、必ず学歴欄に記載してください。書かないと、入学から卒業までの年数が標準より長くなり、採用担当者から「空白があるのでは?」と疑念を持たれます。
交換留学の記載例
2017年 4月 〇〇大学 〇〇学部〇〇学科 入学
2018年 8月 交換留学のため渡航(カナダ・ブリティッシュコロンビア大学)
2019年 7月 帰国
2021年 3月 〇〇大学 〇〇学部〇〇学科 卒業
交換留学の経験は、採用担当者の目に「積極性・行動力」として映ります。期間・渡航先・所属先の大学名をセットで書くことで、具体性が増します。休学を伴う場合の書き方はこちらでも解説しています。

まとめ
- 大学名の前に「私立」は付けない。「私立」を付けるのは中学校・高等学校のみ
- 学部・学科・専攻は省略せず、大学公式サイトまたは卒業証書で正式名称を確認する
- 入学・卒業は両方書き、最後に「以上」で締める。年号表記は書類全体で統一する
- 採用担当者が最も気にするNGは「略称」「年度ミス」「学科の省略」
- 中退・編入・大学院・留学など特殊な経歴は隠さず、正確に記載する
学歴欄で採用担当者の目に留まるのは「書かれている内容」より「どれだけ正確に書けているか」です。提出前に卒業証書や成績証明書と照合する一手間が、書類選考の通過率を上げます。
履歴書の私立大学の書き方に関するよくある質問
- 大学名に「私立」と書いてしまった場合、採用に影響しますか?
-
直ちに不合格になるわけではありませんが、採用担当者に「履歴書の基本ルールを理解していない」という印象を与える可能性があります。手書きの場合は書き直し、PC作成の場合は修正してから提出することをお勧めします。
- 都道府県名は大学名の前に記載する必要がありますか?
-
一般的な私立大学では不要です。ただし「〇〇市立大学」「〇〇県立大学」のように都市名・都道府県名が大学の正式名称に含まれている場合は省略できません。大学の公式サイトで正式名称を確認してください。
- 学校法人名(〇〇学園・〇〇学院)は書く必要がありますか?
-
不要です。履歴書には学校の正式名称(〇〇大学)のみを記載します。「学校法人〇〇学園」は設置法人の名称であり、大学名とは異なります。省略してください。
- 浪人した場合、卒業年度の計算はどうすればいいですか?
-
浪人期間は学歴欄に書く必要はありません。大学入学年度が1〜2年ずれていても、採用担当者から説明を求められることはほとんどありません。留年した場合は実際に在籍した年度(卒業が延びた年まで)を正直に記載してください。
- 卒業後に大学名や学部名が変更された場合はどう書けばいいですか?
-
自分が卒業した当時の学校名・学部名で記載します。その後に名称が変更された場合は「〇〇大学 〇〇学部 卒業(現:△△学部)」と注記を添えると、採用担当者に状況が伝わります。卒業証書や大学の公式サイトで卒業当時の正式名称を確認してください。


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