この記事では、経理の仕事内容を職務経歴書にどう書けばよいかを解説します。日次・月次・年次業務の正しい記載方法から、採用担当者が即落とすNG例文、書類選考を通過する例文パターンまでをまとめます。
経理の職務経歴書は「どこまで担当したか」が最初の選考基準
経理の転職市場では、採用担当者は職務経歴書を受け取った段階で「この人は日次業務止まりか、月次決算まで担当しているか、それとも単体・連結決算まで経験しているか」を最初に判断します。業務経験の深さが採用可否に直結するため、記載内容の粒度が勝負を分けます。
採用担当者が経理の職務経歴書で最初に確認する3つのポイント
採用担当者はここを見ている
- 決算業務の対応範囲:日次のみ・月次決算・年次(単体)決算・連結決算のどこまで担当したか
- 企業規模と業種:売上高・従業員数・業種によって業務の複雑さが変わる。「中小企業での経理一人担当」と「上場企業の経理部門スタッフ」では評価軸が異なる
- 使用ツール・会計ソフト:freee・マネーフォワード・弥生・SAPなど、即戦力として動けるかをソフト名で判断する
この3点を読み取れない職務経歴書は、採用担当者の精読対象から外れます。詳細なスキルや実績を書く前に、まずこの3点が伝わる構成になっているかを確認しましょう。
経理のキャリアレベル別・採用担当者の見方
採用担当者は、経験年数だけでなく「担当業務の深さ」で候補者をふるい分けます。自分がどのレベルに該当するかを把握した上で、職務経歴書の重点箇所を決めることが重要です。
| 経験レベル | 担当業務の目安 | 採用担当者のジャッジ |
|---|---|---|
| 1〜2年 | 日次業務(仕訳・伝票・経費精算)中心 | 補助スタッフとして採用可否を判断 |
| 3〜5年 | 月次決算・年次決算の補助まで | 即戦力候補として書類通過しやすい |
| 5年以上 | 単体決算・税務申告・管理会計まで | 中核メンバーとして重点的に精査 |
| マネージャー | 連結決算・開示・チームマネジメント | 管理職候補として経歴全体を総合評価 |
「何をしたか」ではなく「どこまで担当したか」を明確に示す書き方が、経理職務経歴書の第一原則です。担当範囲を曖昧にしたまま提出すると、経験年数に関わらず見送られるリスクが上がります。
経理の仕事内容を職務経歴書に書くための基本ルール
経理の職務経歴書で最も多い失敗は、「仕事内容をそのまま書いただけ」の状態です。業務の羅列は採用担当者に「何ができるのか分からない」という印象を与え、書類落ちの直接原因になります。日次・月次・年次の業務サイクルごとに、正しい記載の型を身につけましょう。
日次業務の書き方
日次業務は経理の基礎であり、単体では差別化になりにくい領域です。ただし、処理件数・処理精度・使用ツールを数値で示すことで「基礎力が高い人材」として評価を上げられます。
日次業務の主な種類は以下の通りです。
- 仕訳入力・伝票処理(現金取引・銀行取引・売掛金・買掛金)
- 現金・預金管理(残高確認・照合)
- 経費精算対応(申請確認・仕訳計上)
- 請求書の発行・受領・保管
- 売掛金・買掛金の残高管理
NG例
・伝票処理
・現金出納管理
・経費精算対応
→ 件数・規模・ツールが一切なく、アピール情報ゼロ
良い例文
・仕訳入力・伝票処理(月間約200件):弥生会計を使用し、処理精度100%を3年間維持
・経費精算対応(社員約50名分):申請受付から仕訳計上・支払いまでの一連フローを担当
・現金・預金管理(3口座):毎日の残高確認と差異発生時の即時報告を徹底
月次・年次業務の書き方
月次・年次業務は、採用担当者が最も注目する領域です。「担当した」と書くだけでは不十分で、「主担当・補助・チェックのどれか」と「どこまでのフェーズを担当したか」を明記することが求められます。
| 業務種別 | 主な業務内容 | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 月次業務 | 月次決算・試算表作成・給与計算・社会保険対応 | 締め日・担当範囲・主担当か補助かを明記 |
| 年次業務 | 年次決算・税務申告補助・固定資産管理・監査対応 | 税理士・監査法人との連携経験を入れると差別化に |
| その他 | 予算策定・管理会計・資金繰り表作成 | 経営層への報告経験があれば必ず記載 |
NG例
・月次決算対応
・年次決算補助
→ 何をどこまで担当したか、どんな規模の決算かが一切わからない
良い例文
・月次決算(主担当):勘定科目の照合・試算表作成・上長への報告資料作成まで担当。決算締め日を前任比3営業日短縮
・年次決算(補助):税理士との連携、法人税・消費税申告書の一部作成補助、固定資産台帳の管理
使用ツール・会計ソフトの書き方
会計ソフトとExcelのスキルは、採用担当者が「即戦力かどうか」を判断する重要な情報です。スキル欄に簡潔にまとめ、職務経歴欄でも実際の用途とセットで記載しましょう。
| カテゴリ | 記載例 |
|---|---|
| 会計ソフト | 弥生会計(5年)、マネーフォワード クラウド会計(2年) |
| Excel | VLOOKUP・ピボットテーブル・IF関数を実務で使用(5年)、マクロ作成(2年) |
| ERPシステム | SAP(FIモジュール)利用経験あり(1年) |
| 給与計算ツール | 給与奉行(3年) |
| その他 | 勘定奉行、freee、OBIC7、ORACLE EBS |
複数のソフトを使った経験がある場合は、「弥生会計からfreeeへの移行プロジェクトを担当」のように、ソフト同士の移行経験もアピールポイントになります。
採用担当者が30秒で見抜く経理職務経歴書のNGパターン
経理の採用担当者は、書類選考で職務経歴書を平均30秒以内に一次評価します。以下のNGパターンに当てはまると、内容を精読されないまま見送り判断されるリスクが上がります。
NG①「経理全般を担当」の丸投げ表現
NG例
「経理全般を担当しておりました。日次・月次・年次業務に対応し、幅広い業務を経験しています。」
→「全般」は何も言っていない。採用担当者は「具体的に何を担当したのか不明」と判断する
採用担当者はここを見ている
- 「全般」という言葉は採用担当者に「詳細が書けない理由があるのでは」と疑念を生む
- 「幅広い経験」も同様。むしろ「浅く広い人材」という印象を与えやすい
- 勘定科目・業務フェーズ・担当範囲を具体的に列挙することが採用担当者が求めていること
NG②「数値なし・成果なし」の業務羅列
NG例
・売掛金管理
・買掛金管理
・経費精算
・月次決算
・税務対応
→ タイトルを並べただけ。採用担当者は「本当に担当したのか」と疑問を持つ
「数値なんて出せない」と思う方も多いですが、以下の観点で整理すると多くの場合に数値化できます。
- 月間の処理件数(「仕訳入力:月150件」「請求書処理:月80件」)
- 担当勘定科目数・対象先数(「仕入先100社分の買掛金管理」)
- 業務改善の成果(「Excelマクロ導入により月次締め作業を2日短縮」)
- 担当した社員数・部署数(「50名分の経費精算」「3事業部の売上管理」)
- 精度・ミス率(「月次決算をミスゼロで5年間維持」)
NG③ 主担当か補助かが不明な記述
経理の職務経歴書でよく見られるのが「経験」という単語の乱用です。「決算業務を経験」「税務対応を経験」という書き方は、採用担当者から見ると「見ていただけなのかもしれない」と受け取られます。
NG例
「年次決算業務を経験」
→「経験」は曖昧。主担当なのか、見学程度なのかが判断できない
良い例文
「年次決算(補助:試算表作成・固定資産管理担当):税理士との連携業務を含め、決算前後約3ヶ月間を主担当1名・補助2名の体制で担当。決算資料の8割を自分が作成した」
補助であっても「何を担当したか」を具体的に書けば、採用担当者は正当に評価します。補助だからといって曖昧にするのが最も損です。
経験レベル別・経理職務経歴書の例文
以下の例文は、「業務内容の羅列」から「採用担当者に刺さる書き方」へ変換した実践パターンです。自分の経験年数・担当範囲に近いパターンを参考にしてください。
経理1〜3年(日次・月次中心)の職務経歴書例文
職務要約の例文
食品メーカー(従業員80名・売上高20億円規模)の経理部門にて2年間、日次業務から月次決算補助まで担当。弥生会計を使用し、月間約180件の仕訳処理をミスゼロで遂行。月次決算では上長のサポートのもと試算表の作成補助・勘定科目照合を担当。Excelの集計帳票を自動化し、作業時間を月3時間削減した実績あり。
経験が浅い場合でも評価を上げる書き方のポイントは3点です。①企業規模(従業員数・売上高)を明記して業務の複雑さを伝える、②数値(処理件数・削減時間)で具体性を出す、③「補助」であっても担当範囲と自分の貢献を具体的に書く。これだけで「主体的に動ける人材」という印象を残せます。
経理5年以上(単体決算まで経験)の職務経歴書例文
職務要約の例文
製造業(従業員300名・売上高120億円)の経理部門にて6年間、月次・年次決算の主担当として従事。月次決算の締め日を入社1年後に前任比4営業日短縮(15日→11日)。年次決算では法人税・消費税の申告補助のほか、固定資産管理・減価償却計算を単独対応。SAPを使用した原価管理レポートの作成も担当。
5年以上の経験者でよく見られる失敗は、「決算まで担当」という表現で止めることです。決算の「どの部分を」「主担当か補助か」「何日で締めたか」まで書くと、採用担当者の目を引きます。特に「締め日の短縮」などの改善実績は最優先で記載しましょう。
転職複数回・管理職経験者の職務経歴書例文
職務要約の例文
IT企業2社(いずれも従業員500名以上・東証プライム上場)の経理部門を経て、現職では経理マネージャーとして部下3名を統括。連結決算(国内3子会社)の主担当として、開示書類(有価証券報告書)の作成・監査法人対応を担当。前職IPO準備フェーズでの内部統制整備(J-SOX対応)経験あり。
管理職経験者で評価を落とす最大の原因は、過去の経験を羅列するだけで「何を解決したか」を書かないことです。業務改善・制度整備・チーム育成の具体的な成果を1〜2行加えるだけで、書類通過率が大きく変わります。
職務経歴書の作成が難しいと感じる場合は、職務経歴書の自動作成ツールを活用するのも一つの方法です。入力に沿って経歴を整理できるため、何から書けばよいか分からない段階の初期整理に役立ちます。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →職務要約・自己PRの書き方
職務要約と自己PRは、採用担当者が職務経歴書を開いて最初に目を通す箇所です。ここで印象を作れないと、詳細欄をほとんど読まれないまま終わります。
職務要約(職務概要)の書き方と例文
職務要約は、自分の経歴全体を3〜5行(200字以内)でまとめるセクションです。以下の4要素を含めることで、採用担当者に「この人は何ができる人か」が即座に伝わります。
- ①勤務先の規模・業種(例:製造業・売上100億円規模)
- ②担当業務の範囲と年数(例:月次・年次決算を主担当として5年)
- ③使用ツール・会計ソフト(例:SAP・弥生会計・Excelマクロ)
- ④実績・改善エピソード1つ(例:決算締め日を3日短縮、月次作業を2時間削減)
NG例(よくある失敗)
「経理として8年間の経験があります。日次から年次業務まで幅広く対応しており、簿記2級を保有しています。」
→ 規模・数値・改善実績がなく、「よくある経理経験者」と同等の印象しか残らない
なお、日商簿記2級以上の資格保有者は、職務要約の末尾か資格欄に必ず記載しましょう。簿記3級については記載するかどうか迷う方も多いですが、簿記3級を履歴書に書いていいか判断する基準について別途解説しています。
自己PRで「採用担当者に刺さる」視点の入れ方
経理の自己PRで差がつくのは、「正確性・几帳面さ」をアピールする人と、「経理から見た経営への貢献」を語れる人の差です。採用担当者が本当に採りたいのは「作業をこなす経理担当者」ではなく「経営の数字を正確に映し出し、意思決定に貢献するパートナー」だからです。
採用担当者に刺さる自己PRの例文
「前職では月次決算の早期化に取り組み、締め日を12日から8日まで短縮しました。数字の確認スピードが上がったことで、経営判断に使えるデータを月次5営業日で提供できる体制を整えました。数字を正確に処理するだけでなく、経営に使える情報に仕上げることに価値を感じており、貴社でも同様の貢献をしたいと考えています。」
自分の経歴から「経営への貢献」の視点を見つけるのが難しい場合は、職務経歴書の専門添削サービスを活用することで、第三者の視点から「伝わっていない強み」を引き出してもらえます。転職エージェントの添削サービスは無料で使えるものも多く、特に応募先が決まっている段階では積極的に活用しましょう。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 経理の職務経歴書は「どこまで担当したか(日次・月次・年次・連結)」を明確に示すことが最優先
- 「経理全般」「幅広く担当」などの抽象表現は採用担当者に刺さらず、書類落ちの直接原因になる
- 数値(処理件数・削減日数・担当規模)と使用ツールを入れることで即戦力感が伝わる
- 「補助」でも担当範囲と自分の貢献を具体的に書けば採用担当者は正当に評価する
- 自己PRは「正確性のアピール」より「経営への貢献」視点を入れると採用担当者の印象が変わる
職務経歴書の完成度は、書類選考の通過率に直結します。上記のポイントを踏まえ、採用担当者が「会いたい」と思う内容に仕上げましょう。
経理の職務経歴書に関するよくある質問
- 経理の職務経歴書に資格(簿記)は必ず書いたほうがよいですか?
-
日商簿記2級以上は必ず記載することを推奨します。3級については中小企業への応募では記載してよいですが、規模の大きな企業では「2級以上」が暗黙の基準になるケースが多く、3級単独では評価されにくい場合があります。ただし資格より実務経験が重視されることが多いため、資格欄より職務経歴欄の充実を優先しましょう。
- 経理の経験が浅い場合、職務経歴書で何をアピールすれば採用されますか?
-
経験が浅い場合は「業務の正確性」より「業務改善への姿勢」と「吸収力」を示すことが有効です。「Excelの関数を独学して集計帳票を自作した」「月次処理の精度を上げるためにダブルチェック体制を提案した」など、受け身ではなく主体的に動いたエピソードを一つ入れましょう。数値があるとさらに効果的です。
- 複数の会社で経理を経験しています。どの会社から書けばよいですか?
-
原則として「直近の職歴から逆時系列」で記載します。採用担当者が最初に見るのは直近の経験であるため、最も重要な職歴を先頭に持ってきます。ただし、古い職歴に応募先が求める経験が集中している場合は「業務経験サマリー」を職務要約の直後に設け、経験を横断的に見せる工夫をすると効果的です。
- 業務改善の実績がない場合、職務経歴書にどう書けばよいですか?
-
業務改善の「実績」がなくても、「正確性の維持」「処理件数」「担当範囲の広さ」を数値化して伝えることは可能です。「月次決算を毎月期日内に100%完了」「仕訳処理を月200件、ミスゼロで3年間維持」なども立派な実績として機能します。「何もなかった」のではなく「言語化できていなかっただけ」というケースがほとんどです。


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