この記事では、経理の職務経歴書における実績の書き方を、採用担当者が書類選考で実際に見るポイントから逆算して解説します。日常業務を数値化する7つの方法と、良い例・NG例の対比、経験年数別の例文も掲載しています。
採用担当者が経理の職務経歴書で実績欄を見る「3つのポイント」
採用担当者が職務経歴書を確認する時間は平均30秒〜2分とされています。経理職の場合、「どんな業務をしてきたか」だけでなく、「何をどのくらいの規模で、どう改善してきたか」を短時間で判断しています。
実績欄を見る目的は、過去の成果確認だけではありません。採用後に自社の業務にフィットするかどうかを確認するためです。経理業務は企業規模・業態によって内容が大きく異なるため、担当してきた業務の「スコープ」と「深さ」が判断基準になります。
採用担当者はここを見ている
- 担当してきた決算・業務のスコープ(売上規模・連結/単体/グループ会社数)が明示されているか
- 業務の改善・効率化・コスト削減など何らかの貢献があったか(大小問わず)
- 使用している会計ソフト・Excelスキルなど即戦力として機能できるかの指標があるか
チェックポイント①:決算・業務の規模が伝わるか
経理業務は「月次決算を担当していました」だけでは採用担当者に判断の材料を渡していません。同じ「月次決算」でも、売上高5億円の中小企業と年商500億円のグループ企業では、難易度も経験値も大きく異なります。
採用担当者が最初に確認するのは、「自社の業務規模と候補者の経験規模のマッチング」です。業務内容の説明に加えて、会社の規模(売上高・従業員数など)を記載するだけで、採用担当者の判断が大幅にスムーズになります。
チェックポイント②:改善・効率化の成果があるか
「決算業務を正確にこなしてきた」という事実は重要ですが、採用担当者にとって「それだけ」では他の候補者と差がつきません。どんな小さなことでも、業務プロセスを変えた・ミスを減らした・時間を短縮したという経験があれば、それは立派な実績です。
「大きな改革でなければ書けない」という思い込みが、実績欄を空白にしてしまう最大の原因です。Excelの集計を手作業からピボットテーブルに切り替えた、月末の照合チェックリストを自作してミスを0件にした——そういった日常の改善こそが、採用担当者の目に止まります。
チェックポイント③:使用ツール・システムの記述があるか
経理職の採用では、入社後すぐに会計ソフトやERPを操作できるかどうかが重要な判断基準です。「会計ソフトを使用していました」という記述では採用担当者に何も伝わりません。
| 記述レベル | 例 | 採用担当者の評価 |
|---|---|---|
| NG | 会計ソフトを使用 | 何のソフトか不明。判断できない |
| 普通 | 弥生会計を使用 | 基本的なスキルはある |
| 良い | 弥生会計(5年)/勘定奉行(3年)、Excel VBAで月次レポート自動化 | 即戦力として具体的に評価できる |
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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →「実績がない」と感じる経理担当者が陥るNGパターン3選
「自分には特筆すべき実績がない」と感じる経理担当者の多くは、実績の定義を誤っています。採用担当者の目線で見ると、問題は「実績がないこと」ではなく、「実績の書き方がNGになっていること」です。
NGパターン①:業務内容の羅列で終わる
最も多いNGは、業務内容の説明だけで実績を書かずに終わるパターンです。採用担当者は「何をしてきたか」と「どんな成果を出したか」をセットで確認したいと考えています。業務内容だけ書いても「担当したこと」しか伝わりません。
NG例
月次決算・年次決算業務、仕訳入力、請求書処理、銀行振込業務を担当。成果や改善の記述が一切なく、「誰でもできる業務一覧」に見えるため、他の候補者との差がつかない。
NGパターン②:「〜しました」で成果が見えない
「コスト削減に取り組みました」「業務効率化を進めました」という記述は、取り組んだ姿勢は伝わっても成果は伝わりません。採用担当者は「どのくらい削減できたのか」「何時間の効率化になったのか」を知りたいのです。
NG → OK の比較
| NG(成果が見えない) | OK(成果が伝わる) |
|---|---|
| 消耗品費のコスト削減に取り組みました | 発注先の見直しにより消耗品費を年間約80万円削減(前年比15%減) |
| 月次決算の効率化を進めました | Excelマクロ導入により月次決算の集計工数を月8時間削減 |
NGパターン③:「一般的な業務しかしていない」という思い込み
「自分がしてきた業務は、経理なら誰でもやること」という思い込みが実績記述を妨げます。しかし採用担当者の実態として、「連結決算まで経験している」「税務申告書類の作成を担当した経験がある」といった経験は、多くの候補者が持っていません。当たり前だと思っている経験が、相手にとっては希少価値を持っている場合があります。
迷ったときは、自分の業務経験の中で「他の人には難しいかもしれない」と感じたことをすべて書き出す作業から始めると、隠れた実績が見つかります。
経理の実績を書けるようにする7つの数値化メソッド
実績を書けない最大の理由は「数字がない」という認識です。しかし経理業務には、探せば必ず数字にできる要素があります。以下の7つのメソッドを使えば、どんな経理担当者でも実績の記述に使える数字が見つかります。
①処理件数・処理量で示す
経理業務は「量の多さ」や「ミスなしの継続」も立派な実績です。特に、処理件数が多い業務を担当していた場合は必ず記載しましょう。
- 月平均の請求書処理件数(例:月600件の請求書処理をミスなく継続)
- 月次仕訳件数(例:月平均1,200件の仕訳入力を担当)
- 年間の振込処理件数や経費精算件数
②時間短縮・工数削減で示す
業務プロセスを少しでも改善したなら、改善前後の所要時間を比較してください。「1日かかっていた集計が半日になった」という改善でも、時間数で表すと説得力が生まれます。
- 月次決算のクローズ日数短縮(例:7営業日→5営業日に短縮)
- 集計・レポート作成時間の削減(例:月間12時間→4時間に削減)
- 経費精算処理にかかる時間の短縮
③コスト削減・改善金額で示す
経費の発注先見直し、振込手数料の削減、業者交渉など、経理担当者が関与したコスト削減は金額で表せます。「金額が小さいから書かない」という判断は不要で、年間10万円でも定量化できれば実績として機能します。
- 発注先見直しによる経費削減金額(年間)
- 振込手数料・銀行手数料の削減額
- 不要な契約・ツールの解約による削減額
④担当業務の規模(売上高・従業員数)で文脈を示す
自分の行動は変えられなくても、担当してきた業務の「スケール感」を示すことは誰でもできます。これは実績ではなく「背景情報」ですが、採用担当者の判断精度を大幅に上げる効果があります。
- 担当企業の売上規模(例:年商約30億円の製造業)
- 連結対象の子会社数(例:国内外10社の連結決算を担当)
- 経理チームの人数・自分の役割(例:3名チームのリーダーとして)
⑤達成率・精度で示す
ミスなし・期限遵守・正確性の維持という「当たり前」も、継続した事実として記録されていれば実績になります。
- 決算期の提出期限遵守(例:3年間にわたり決算期限を1件も超過せず)
- 外部監査の指摘事項件数(例:前任者引き継ぎ後、監査指摘を0件に)
- 経費精算の審査エラー率低下(例:エラー率を月平均5%→1%以下に改善)
⑥前後比較で改善の「落差」を示す
改善した事実があれば、「改善前の状態」と「改善後の状態」をセットで書くことで、成果の大きさが明確に伝わります。改善後だけ書いても、それが当たり前なのか大きな成果なのかは判断できません。
- (例)月次集計を手作業のExcelから会計システムに移行 → 集計工数が月20時間→8時間に削減
- (例)勘定科目のコード体系を再整理 → 仕訳エラーを月平均15件→2件以下に低減
⑦どうしても数字が出せない場合の「状況→行動→結果」型
どうしても数値化できない業務経験は「状況→行動→結果」の3点セットで記述します。数字がなくても、採用担当者が判断できる情報量を渡せます。
「状況→行動→結果」型の例
(状況)前任者退職により引き継ぎが不十分なまま月次決算を単独担当することになった。(行動)不明点を過去の帳票・仕訳から独力で整理し、業務フロー図を自作して属人化を解消した。(結果)2か月以内に安定した決算クローズを実現し、外部監査でも特段の指摘なし。
経理の職務経歴書 実績の書き方【良い例・NG例の対比】
実際の記述例を良い例・NG例で対比します。採用担当者が「通過させたい」と感じる記述と「読み飛ばしてしまう」記述の違いをつかんでください。
月次・年次決算業務の実績
NG例
月次決算・年次決算業務を担当。規模も改善も成果も書かれておらず、採用担当者が何も判断できない記述。
良い例
年商50億円規模の製造業にて、単体の月次・年次決算業務を担当(2名チーム)。Excelマクロを用いた集計テンプレートを自作し、月次クローズ日数を7日→5日に短縮。外部監査では2年連続で重要な指摘事項なし。使用会計ソフト:勘定奉行(4年)、Excel(VLOOKUP・ピボット・マクロ)。
業務改善・システム導入・移行の実績
NG例
会計システムの移行プロジェクトに参加しました。「参加しました」では具体的な役割も成果も伝わらない。
良い例
旧システム(弥生会計)から新システム(SAP B1)への移行プロジェクトに経理担当として参加。マスタデータの洗い出しと移行ルールの策定を主導し、移行後3か月間の導入サポートも担当。移行後、月次集計工数を月20時間から10時間に削減。
経費管理・コスト削減の実績
NG例
経費管理を担当し、コスト意識を持って業務に取り組みました。「コスト意識」は姿勢であり、実績ではない。具体的な成果が何もない。
良い例
全社の間接費管理を担当。消耗品・オフィス用品の発注先を3社から1社に集約し、年間約120万円(前年比22%削減)のコスト削減を実現。翌年度以降の予算設計にも貢献。
経験年数別 経理の実績例文
経理歴によって書ける実績の「深さ」と「視点」は変わります。以下の例文を参考に、自分の経験年数に合った実績の書き方を確認してください。
なお、記述した実績の内容に不安がある場合は、職務経歴書の有料添削サービスや転職エージェントへの相談も選択肢になります。

経理歴1〜3年(担当者レベル)の実績例文
経理歴が浅い場合、「規模の大きな成果」よりも「担当した業務の正確さ」と「改善への姿勢」を前面に出すことがポイントです。
経理歴1〜3年の実績例文
【担当業務】年商10億円規模の小売業(従業員50名)にて、月次仕訳入力・請求書処理・経費精算審査を担当(月平均500件)。
【実績】経費精算のExcelチェックシートを自作し、入力ミスによる差異を月平均8件→1件以下に改善。処理スピードも個人比で約20%向上。
【スキル】弥生会計(2年)、Excel(VLOOKUP・ピボットテーブル)。
経理歴3〜7年(リーダー・主任相当)の実績例文
経験を積んだこの年代では、「担当の深さ」と「周囲への貢献」を実績として表現できます。後輩指導やプロジェクト参加経験があれば積極的に書きましょう。
経理歴3〜7年の実績例文
【担当業務】年商70億円規模の製造業(連結子会社3社含む)にて、月次・年次決算、税務申告サポート、キャッシュフロー管理を担当。経理2名チームのリーダーとして後輩1名の育成も兼任。
【実績】①Excelマクロ導入により月次集計の工数を月15時間削減。②後輩指導体制を整備し、自分の業務の属人化を解消。③税務申告資料の事前整備を強化し、税理士への追加照会件数を年間20件→5件以下に削減。
【スキル】勘定奉行(5年)、MFクラウド会計(2年)、Excel(マクロ・VBA)。
経理歴7年以上(マネージャー・管理職相当)の実績例文
マネジメント経験がある場合は、チームの成果・組織への貢献を軸に記述します。個人の業務改善に加えて、「部門全体として何が変わったか」を意識して書きましょう。
経理歴7年以上の実績例文
【担当業務】年商200億円規模の商社(連結子会社8社含む)にて、経理部門のマネージャーとして5名のチームを統括。連結決算・税務申告・IR資料作成・内部統制対応を担当。
【実績】①決算スケジュールを再設計し、連結決算クローズ日数を15日→10日に短縮(部門全体)。②ERPシステム(SAP)導入プロジェクトのスコープオーナーとして経理側の要件定義を主導。稼働後に月次レポート自動化を実現し、レポート作成工数を部門全体で月40時間削減。③新任経理メンバー向けの業務マニュアルを整備し、引き継ぎリスクを低減。
【スキル】SAP FI/CO(3年)、Excel(VBA)、日商簿記2級。
職務経歴書の作成に時間がかかっている場合は、職務経歴書の自動作成ツールを活用する方法もあります。AIを活用したツールで雛形を作成し、実績の部分だけ自分でカスタマイズするアプローチは時間の節約になります。

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無料で履歴書・職務経歴書を作成する →まとめ
- 採用担当者が経理の実績欄で見るのは「業務の規模感」「改善・成果の有無」「使用ツール」の3点
- 「実績がない」と感じる原因の多くは、実績の定義を狭く捉えすぎていることにある
- ルーティン業務でも、処理件数・時間削減・コスト改善・規模感など7つのアプローチで数値化できる
- 数字が出せない業務は「状況→行動→結果」型の記述で代替できる
- 良い例・NG例の対比を参考に、採用担当者が判断しやすい記述を目指す
実績の書き方に迷ったときは、「採用担当者が何を判断したいか」を出発点にして記述を見直すと、必要な情報が自然に整理されます。職務経歴書全体の精度を上げたい場合は、職務経歴書の代行サービスを利用するという選択肢もあります。

経理の職務経歴書の実績に関するよくある質問
- 経理の職務経歴書で実績が何もない場合、どうすればいいですか?
-
「実績が何もない」という状態はほぼありません。処理した請求書の件数、ミスなく続けてきた期間、担当してきた会社の規模など、数字にできる要素は必ず見つかります。まず「処理量」「継続期間」「担当規模」の3つの切り口で業務を振り返ると、実績の記述材料が見つかりやすくなります。
- 経理の実績を数値化する際、正確な数字がわからなければ書いてはいけませんか?
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概算でも問題ありません。「月平均500件程度」「年間約100万円の削減」のように「約」「程度」という表現を添えることで、不確かな数字でも誠実な記述になります。ただし、実態と大きく乖離した数字は面接で確認されたときに説明できなくなるため、実態に近い概算を心がけてください。
- 経理の実績欄はどのくらいの文字数で書けばいいですか?
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実績欄の文字数は、1〜2行の箇条書きを3〜5点列挙するのが目安です。1点あたり50〜100字程度を目標にすると読みやすくなります。長すぎると採用担当者が読み飛ばしてしまうため、「①担当業務の規模、②改善の内容と結果、③使用ツール」の3要素をコンパクトにまとめることを意識してください。
- 経理の職務経歴書で実績を書くとき、誇張した内容は問題になりますか?
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事実と乖離した記述は面接で必ず確認されます。「年間1億円のコスト削減」と書けば、面接でその内容を詳細に問われます。事実を正確に書いたうえで、最大限わかりやすく・魅力的に表現することが重要です。誇張は入社後にも発覚するリスクがあり、雇用関係にも影響します。


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