この記事では、翻訳者の履歴書テンプレートの選び方と、採用担当者が書類選考で落とす理由を解説します。資格欄・志望動機欄の書き方とNG例、フリーランス・正社員別の使い分けも紹介します。
翻訳者が応募で用意する書類の種類
翻訳の仕事に応募する際、必要な書類は応募形態によって異なります。正社員・派遣翻訳者とフリーランス翻訳者では、用意する書類の数が変わります。まず全体像を把握してから、テンプレート選びに進みましょう。
正社員・派遣翻訳者が提出する2種類の書類
翻訳会社や事業会社の翻訳部門に正社員・派遣社員として応募する場合は、以下の2種類を用意します。
- 履歴書:氏名・学歴・職歴・資格・志望動機などの基本情報をまとめた書類
- 職務経歴書:翻訳経験・専門分野・語学ペアなどを詳述する書類
この2種類を用意できれば、ほとんどの求人に対応できます。履歴書は「事実のサマリー」、職務経歴書は「翻訳スキルの詳細」という役割分担を意識してください。
フリーランス翻訳者は翻訳実績表も必要なケースがある
翻訳会社にフリーランスとして登録・応募する場合は、履歴書・職務経歴書に加えて翻訳実績表の提出を求められることがあります。翻訳実績表とは、これまでに手がけた翻訳案件の実績を一覧形式でまとめた書類です。
| 書類 | 正社員・派遣 | フリーランス登録 |
|---|---|---|
| 履歴書 | 必須 | 多くの場合必須 |
| 職務経歴書 | 必須 | 必要なケースあり |
| 翻訳実績表 | 不要 | 会社によって必須 |
フリーランスとして複数の翻訳会社に登録する予定がある場合は、事前に翻訳実績表も準備しておくと、応募がスムーズに進みます。
翻訳者の履歴書テンプレートの選び方
「翻訳者専用のテンプレートを使わないといけないのか」と思う方もいますが、そうではありません。テンプレートの選び方は、応募する雇用形態によって変わります。
基本はJIS規格テンプレートで問題ない
正社員・派遣翻訳者として応募する場合は、JIS規格に準拠した一般的なテンプレートで十分です。厚生労働省が推奨するフォーマットや、転職サイトが提供する標準様式も広く使われており、翻訳会社の採用担当者が見慣れている形式です。
テンプレートの形式(手書き・PC作成)については、特に指定がない限りPC作成をおすすめします。翻訳業務はPC作業が中心のため、PC作成の履歴書は間接的にITスキルの高さを示します。フォント選びや余白の整え方にも気を配ると、書類全体の印象が上がります。
無料で使えるテンプレートは複数の媒体から提供されています。選び方の詳細は採用担当者が教える履歴書テンプレートの選び方と注意点でまとめています。

フリーランスは志望動機欄なしのテンプレートも選択肢
翻訳会社へのフリーランス登録の場合、志望動機欄への記入を求めないケースがあります。フリーランス翻訳者の採用では「実力と専門分野の一致」が判断基準であり、一般的な転職応募と評価の視点が異なるためです。
応募する翻訳会社の指示に従い、志望動機欄なしのシンプルなフォーマットが指定された場合はそれに従いましょう。指定がなければ、志望動機欄付きの一般的なJIS規格テンプレートを使うほうが無難です。
採用担当者が履歴書で最初に確認する3つのポイント
翻訳の求人に応募が集中する翻訳会社では、書類選考の段階で多くの応募者がふるいにかけられます。採用担当者が短時間で判断するポイントを理解しておくことが、書類通過への第一歩です。
採用担当者はここを見ている
- 翻訳・通訳に関連する専門分野(医療・法律・ITなど)の経歴があるか
- TOEICスコアや英検など、語学力が客観的に証明できるか
- 翻訳技能検定などの翻訳関連資格があるか
専門分野に関連する経歴の有無
翻訳の仕事は、語学力だけでなく専門分野の知識が品質を左右します。採用担当者が最初に注目するのは、応募者のバックグラウンドが翻訳専門分野と一致しているかどうかです。
たとえば、医療翻訳の求人に応募する場合、医療職・薬学・看護などの職歴や理系の学歴があると有利に働きます。法律翻訳なら法学部卒や法律事務所での勤務経験、IT翻訳ならシステムエンジニアやIT企業での経験が評価されます。
翻訳経験がない場合でも、前職で培った専門知識は翻訳業務に直結する強みです。学歴・職歴欄に専門分野が読み取れる情報を書くことが、採用担当者の関心を引く鍵になります。
語学力の証明(TOEICスコア・英検など)
翻訳職の採用担当者は、語学力を客観的に判断できる資格・スコアを重視します。「英語力があります」という自己申告だけでは、書類選考を通過するのは難しいのが現状です。
英語翻訳の場合、TOEIC900点以上が一つの目安とされています。スコアがある場合は、必ず資格欄に点数を記載してください。英検は1級が翻訳職への応募で最も評価される水準です。
| 語学資格 | 翻訳職での評価目安 |
|---|---|
| TOEIC L&R | 900点以上が理想。800点台でも専門性で補える |
| 英検 | 1級が最も評価される。準1級でも専門分野次第で通過 |
| 通訳案内士(全国通訳案内士) | 語学力の証明として有効 |
| TOEFL iBT | 100点以上が目安 |
翻訳・通訳に関連する資格
語学資格に加えて、翻訳に特化した資格があると採用担当者の目に止まりやすくなります。日本で取得できる主な翻訳関連資格は以下の通りです。
- 翻訳技能検定(日本翻訳連盟主催):翻訳専門職の実力を証明する検定。1〜4級があり、1・2級は即戦力の証明として機能する
- JTA公認翻訳専門職資格(日本翻訳者協会):翻訳業界での実務能力を証明する資格
- 医療翻訳専門職資格・法務翻訳専門職資格などの分野別資格:専門分野の翻訳力を具体的に証明できる
これらの資格を持っていなくても書類選考を通過できますが、資格があれば語学力と翻訳スキルを同時に証明できるため、有利に働きます。
翻訳者の履歴書 各欄の書き方と例文
テンプレートを用意したら、次は各欄の記入です。翻訳者の履歴書では、一般的な職種の書き方と異なる点がいくつかあります。各欄のポイントを確認してから記入してください。
学歴・職歴欄の書き方
学歴欄は、最終学歴の専攻・専門分野を明記するのが翻訳者の履歴書のポイントです。外国語学部・理工学部・法学部など、翻訳業務に関係する専攻であれば、学校名とあわせて専攻を書きます。
良い例文(学歴欄)
20XX年3月 ○○大学 外国語学部 英語学科 卒業
職歴欄は、これまでの職歴を時系列で記載します。翻訳業務に直接関連する職歴がある場合は、担当した翻訳の分野と語言方向(英日・日英など)が伝わるよう一言添えると効果的です。
良い例文(職歴欄:翻訳会社勤務の場合)
20XX年4月 ○○翻訳株式会社 入社(英日・日英の医療・製薬分野翻訳を担当)
20XX年3月 同社 退職
良い例文(職歴欄:フリーランス翻訳の場合)
20XX年4月 フリーランス翻訳者として独立
主な翻訳実績:英日(IT・ソフトウェア分野)、翻訳量 月平均20,000ワード
フリーランスとして活動してきた期間は、必ず「フリーランス翻訳者として独立」と記載してください。空白のまま放置すると、採用担当者に「何もしていなかった期間」と誤解される可能性があります。翻訳分野と翻訳量の目安を一行添えるだけで、活動の実態が伝わります。
免許・資格欄の書き方(翻訳技能検定・TOEIC・英検)
翻訳者の履歴書において、資格欄は採用担当者が最も注目する欄の一つです。語学資格とスコアを正確に記載することが、書類通過への直接的なポイントになります。
資格は取得年月順に記載し、スコアがある場合は必ず点数を明記します。スコアが古い場合(3年以上前など)は、最新スコアを取得し直してから記載するほうが採用担当者に好印象を与えます。
良い例文(資格欄)
20XX年XX月 実用英語技能検定1級 取得
20XX年XX月 TOEIC® L&Rテスト 920点
20XX年XX月 翻訳技能検定2級 取得
NG例
20XX年XX月 英検準1級 取得
20XX年XX月 TOEIC 受験済み
「受験済み」の記載はNG。スコアを書かない場合、採用担当者は「低スコアを隠している」と受け取ります。スコアが低い場合でも、受験時の点数をそのまま記載してください。
志望動機欄の書き方
翻訳者の志望動機で採用担当者が確認しているのは、「なぜ翻訳か」ではなく「なぜこの会社・分野の翻訳か」です。どの翻訳会社にも使い回せる内容では、書類が埋もれます。
志望動機を書く際は、以下の3要素を盛り込むことを意識してください。
- 専門分野との一致:自分のバックグラウンドが、応募先の翻訳分野とどう結びつくか
- これまでの実績・経験:具体的な翻訳経験や語学力の証拠
- この会社を選んだ理由:翻訳会社としての特徴・強みと自分のキャリア目標の一致点
良い例文(志望動機:医療翻訳の場合)
前職では製薬会社のMRとして5年間勤務し、医薬品の添付文書や治験資料の翻訳補助に携わりました。その経験から医薬翻訳の精度と専門知識の重要性を実感し、専業翻訳者としてのキャリアを目指すようになりました。貴社は医療・ライフサイエンス分野に特化しており、私の専門性を最大限に活かせると考え、応募いたしました。TOEIC920点・翻訳技能検定2級を活かし、即戦力として貢献します。
良い例文(志望動機:IT翻訳の場合)
システムエンジニアとして8年間、ソフトウェア開発に携わった経験から、技術文書を正確かつ自然な日本語で伝えることへの関心が高まりました。英日翻訳を個人学習で積み上げ、翻訳技能検定3級を取得後、フリーランスでIT・ソフトウェア分野の翻訳案件を受注してきました。貴社のIT分野における実績と品質基準の高さに共感し、さらに高い水準での翻訳に携わりたいと考え、応募いたしました。
採用担当者が指摘する翻訳者の履歴書NG例と改善策
翻訳者の書類選考で落ちる履歴書には、共通したパターンがあります。以下のNG例を確認しておくことで、採用担当者が「次のステップへ」と判断する書類に近づけられます。
NG例1:語言ペアを書いていない
職歴欄に「翻訳業務に従事」とだけ書くのはNGです。採用担当者は「英日なのか日英なのか」「どの専門分野なのか」を確認するために書類を読みます。「英日翻訳(医療・製薬分野)」「日英・英日翻訳(IT・ソフトウェア)」のように、語言方向と専門分野をセットで記載してください。
NG例2:フリーランス期間を空白にしている
フリーランスとして翻訳活動をしていた期間を職歴欄に記載しないと、採用担当者には「空白期間」に見えます。「フリーランス翻訳者として独立(20XX年〜現在)」と明記したうえで、主な翻訳分野や翻訳量の目安を一行添えると、活動実績が伝わります。正社員時代の翻訳会社勤務と、その後のフリーランス期間をどちらも記載することで、キャリアの連続性が見えます。
NG例3:CATツールへの言及がない
現代の翻訳会社では、CAT(Computer Aided Translation)ツールの使用が一般化しています。Trados・memoQ・Wordfast などの使用経験がある場合は、本人希望欄や職務経歴書に記載してください。「PCスキル」として履歴書の備考欄に一行添えることも有効です。使用ツールと使用年数を明記すると、実務経験の厚みが伝わります。
NG例4:すべての翻訳会社に同じ志望動機を送っている
翻訳会社ごとに専門分野や強みが異なります。「御社の翻訳品質の高さに魅力を感じ」という表現は、採用担当者にとって「どの会社にも送っている」と伝わります。応募先が医療・法律・IT・映像などのどの分野に強いかを調べたうえで、自分の専門性との一致を具体的に書くことが、書類通過への近道です。
まとめ
- テンプレートは一般的なJIS規格フォーマットで問題なく、正社員・フリーランス登録で使い分ける
- 採用担当者が最初に見るのは「専門分野の一致」「語学力の証明」「翻訳関連資格」の3点
- 資格欄にはTOEICスコアを必ず数値で記載し、「受験済み」だけの記載は避ける
- 職歴欄には語言ペア(英日・日英など)と専門分野をセットで書く
- フリーランス期間は必ず職歴欄に記載し、翻訳分野と翻訳量の目安を添える
翻訳者の履歴書は「語学力を持っているかどうか」より「その語学力と専門知識をどの分野で使ってきたか」を伝えることが、採用担当者の判断を変える最大のポイントです。
- 翻訳者の履歴書は手書きとPC作成どちらがよいですか?
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特に指定がなければPC作成が推奨です。翻訳業務はPC作業が中心であるため、PC作成の履歴書はITスキルの高さを間接的に示します。ただし、翻訳会社によっては手書き指定のケースもあるため、応募前に確認してください。
- 翻訳経験がない場合、履歴書に書けることはありますか?
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翻訳実務経験がなくても、語学学習歴・翻訳スクールへの通学歴・試訳への取り組みを記載できます。また、前職の専門分野(医療・IT・法律など)は翻訳の専門知識として訴求できます。「なぜその分野の翻訳を目指しているか」が伝わる志望動機と組み合わせることで、未経験でも書類選考を通過するチャンスが生まれます。
- 翻訳者の履歴書にTOEICスコアは必ず書くべきですか?
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スコアを持っている場合は必ず書いてください。英語翻訳では900点以上が書類選考での一つの目安になります。スコアが低くても、専門分野の強みや翻訳関連資格で補うことは可能です。「受験済み」のみの記載はかえってマイナスになるため、スコアが手元にある場合は必ず点数まで明記します。


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