この記事では、履歴書の本人希望欄への勤務地の書き方を解説します。勤務地の希望を書くかどうかの判断基準から、介護・育児・通勤距離などの事情別の例文、採用担当者が実際にどう見ているかまでをまとめています。希望が特にない場合の書き方についても触れます。
本人希望欄の「勤務地」、書いていいかどうかの判断基準
本人希望欄は、入社後の勤務条件について事前に伝えるための項目です。「何を書いてもいいのか」「書きすぎると印象が悪くなるのか」という不安を持つ方は多いですが、本人希望欄に書くべきは「入社にあたって絶対に譲れない条件」に限定するのが原則です。
書くべき場合とそうでない場合
勤務地の希望を本人希望欄に書く場合と、書かない方がいい場合を整理します。
| 状況 | 記載の判断 |
|---|---|
| 介護・育児など家庭の事情がある | 書く(理由とセットで) |
| パートナーの転勤・転居予定がある | 書く(時期や柔軟性も添える) |
| 持ち家・通勤距離に制約がある | 書く(理由を簡潔に) |
| 単に「この地域がいい」という希望 | 原則書かない |
| 特に制約がない | 「貴社の規定に従います」と記載 |
採用担当者はどう見ているか
「勤務地を書いたら落とされるのでは」と気にする方は多いですが、採用担当者が重視するのは「書いてあるかどうか」よりも「どう書いてあるか」です。
採用担当者はここを見ている
- 条件の「理由」があるか:介護・育児・持ち家など、客観的に理解できる理由があれば、選考への影響は最小限に抑えられる
- 「柔軟性」が感じられるか:「〜以外は無理」という断定表現より、「〜を希望しますが、ご相談させてください」という表現の方が好印象
- 条件の数:勤務地以外にも勤務時間・曜日・給与など複数の条件を並べると、「採用しづらい応募者」と判断される可能性がある
希望が特にない場合の書き方
「貴社の規定に従います」が基本の一文
勤務地について特に制約がない場合は、「貴社の規定に従います」と記載するのが正解です。この一文には、会社のルールを尊重する姿勢と、どこにでも配属される柔軟性の両方が含まれています。採用担当者にとっても「この人は制限なく配属できる」と判断しやすいため、選考においてプラスに働くことがほとんどです。
希望がない場合の基本例文
貴社の規定に従います。
転職活動中であることを伝えたい場合は、連絡事項をあわせて記載するとより親切です。
連絡事項を合わせて伝える例文
貴社の規定に従います。
なお、現在在職中のため、面接のご連絡は平日18時以降または土日にいただけますと幸いです。
空白にしてはいけない理由
「特に希望がないから空欄にする」という判断は避けてください。記入漏れと誤解される可能性があり、書類確認が甘い人という印象を与えかねません。「貴社の規定に従います」という一文を書くだけで、丁寧さと誠実さを伝えられます。「特になし」という記載も同様に避けてください。「深く考えなかった」という印象につながるため、必ずひと言書きましょう。
【事情別】勤務地希望の書き方と例文
やむを得ない事情がある場合は、その理由を簡潔に添えて、柔軟な姿勢を示しながら勤務地希望を伝えます。事情の種類によってポイントが異なるため、自分の状況に合ったパターンを参照してください。
介護・育児など家庭の事情がある場合
親の介護や子どもの送迎など、家庭の事情で勤務地を制限せざるを得ない場合は、事情の概要を一言で添えた上で、希望エリアを具体的に記載するのがポイントです。「〇〇市以外は対応できない」ではなく、「〇〇エリアを希望する理由」として伝えることで、採用担当者も理解しやすくなります。
介護がある場合の例文
父の介護があるため、勤務地は首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)を希望しております。ご相談の余地がある場合はご連絡ください。
育児がある場合の例文
子どもの保育園の送迎があるため、〇〇市または隣接する市町村内の勤務地を希望しております。入社後の状況により相談できる場合はご連絡いただければ幸いです。
パートナーの転勤・転居予定がある場合
配偶者の転勤で近い将来転居が見込まれる場合は、転居予定の時期やエリアを明示します。採用側にとっては「入社後に定着するかどうか」が判断材料になるため、転居先での継続勤務の意志があることを伝えることが重要です。転居後も同じ会社で働けることへの意欲を言葉にすると、採用担当者の不安を和らげられます。
転居予定がある場合の例文
配偶者の転勤に伴い、〇〇年〇月に大阪府への転居を予定しております。転居後も継続して勤務できるポジションがございましたら、ぜひご相談させてください。
通勤時間・持ち家など物理的な制約がある場合
持ち家があって転居が難しい場合や、通勤時間に制約がある場合も、その理由を添えることで採用担当者の理解を得やすくなります。「持ち家があるから転勤できない」という表現は印象が硬くなるため、「現住所から通勤できるエリアを希望」という形で伝えるほうが自然です。
持ち家・通勤制約がある場合の例文
現住所(〇〇市)から通勤可能な範囲の勤務地を希望しております。転居を伴う異動については、家族と相談した上でご回答できます。
複数の希望勤務地候補を挙げる場合
求人票や面接で「希望勤務地を複数挙げてください」と指示された場合は、優先順位をつけて記載します。第1希望から第3希望までを明示することで、企業側が配属を検討しやすくなります。「上記以外も相談可能」と一言添えると、さらに柔軟な印象を与えられます。
複数希望勤務地の例文
希望勤務地:第1希望 東京都内 / 第2希望 神奈川県内 / 第3希望 埼玉県内
上記以外の地域も、状況によりご相談に応じます。
勤務地を書く際の3つのポイント
例文を参考にしながら、以下の3つの書き方の原則を意識すると、採用担当者に好印象を与えやすくなります。
①理由を添えて「柔軟性」を示す
勤務地の希望を書く際は、なぜそのエリアを希望するのかの理由を一文添えることが大切です。理由のない希望は「わがまま」に映ることがありますが、介護・育児・転居予定など客観的な背景があれば、採用担当者も状況を理解した上で選考を進めてくれます。
さらに、「〜を希望しますが、ご相談に応じます」という一言を添えることで、柔軟に対応できる姿勢を示せます。この一文があるかどうかで、採用担当者が受ける印象は大きく変わります。
②「できません」という表現を避ける
「〇〇以外は勤務できません」「転勤は一切不可」のような断定的・否定的な表現は避けてください。同じ内容でも、「〇〇エリアを希望しております」と表現するだけで、印象は大きく変わります。「できない」を「希望する」に言い換えることが、本人希望欄の最重要テクニックです。
③書く条件は「勤務地」だけにとどめる
勤務地の希望を書く場合、同時に勤務時間・曜日・給与・雇用形態などの条件も並べたくなるかもしれません。しかし、条件が多いほど採用担当者の印象は「制約が多い応募者」になります。書く条件は本当に必要なものだけに絞るのが原則です。どうしても複数書く場合でも2項目以内にとどめてください。
よくあるNG例と正しい書き方
本人希望欄の勤務地記載でよくある失敗パターンを、修正例とあわせて紹介します。提出前のセルフチェックに活用してください。
NG例①:断定的すぎる表現
「転勤は不可です。東京のみ勤務可能です。」
「不可」「のみ」は採用担当者にとって交渉の余地がない印象を与えます。条件を突きつけているような受け取り方をされる場合があります。
→ 修正例:「勤務地は東京都内を希望しております。転居を伴う異動については事前にご相談できますと幸いです。」
NG例②:空欄・「特になし」
「(何も記載しない)」「特になし」
空欄は記入漏れ、「特になし」は雑な印象を与えます。特に希望がない場合でも「貴社の規定に従います」と必ず記載しましょう。
NG例③:条件が多すぎる
「勤務地:東京都内希望 / 勤務時間:9〜17時希望 / 給与:月30万以上 / 残業:月10時間以内希望」
条件を多く並べるほど「採用しづらい応募者」と判断されるリスクが高まります。本当に譲れない条件のみに絞ること。
NG例④:理由のない勤務地希望
「勤務地は渋谷区を希望します。」
理由がない勤務地の希望は「単なる好み」と受け取られることがあります。やむを得ない事情がない場合は「貴社の規定に従います」の方が適切です。
まとめ
- 希望がない場合は「貴社の規定に従います」と記載:空白・「特になし」にすると記入漏れや雑な印象を与える
- 書くべきは「譲れない条件のみ」:やむを得ない事情(介護・育児・持ち家・転居予定等)に限定する
- 理由と柔軟性をセットで伝える:「〇〇の事情があるため〇〇を希望しますが、ご相談に応じます」が基本の型
- 断定的な表現を避ける:「不可」「のみ」より「希望」「ご相談」という言葉を使う
- 書く条件は1〜2個まで:複数の条件を並べると採用担当者の印象が悪くなる
本人希望欄は「希望を押しつける欄」ではなく「状況を正直に伝える欄」です。採用担当者と対話するつもりで、理由と柔軟性を添えて記載してください。
本人希望欄の勤務地に関するよくある質問
- 勤務地希望を書くと選考に不利になりますか?
-
やむを得ない事情(介護・育児・持ち家など)を理由と柔軟性とともに記載する場合は、大きな不利にはなりません。一方、特段の理由がない勤務地希望は「単なる好み」と受け取られる可能性があるため、その場合は「貴社の規定に従います」と記載するのが安全です。
- 勤務地希望を書く場合、どのエリアまで書いていいですか?
-
都道府県単位または通勤可能なエリアを具体的に記載するのが一般的です。「〇〇市内」「関東圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)」のように、狭すぎず広すぎない範囲で記載してください。あまり狭く限定しすぎると採用担当者が対応しにくくなるため、柔軟な表現を心がけましょう。
- 現在の住所と希望勤務地が離れている場合、どう書けばいいですか?
-
転居の可否について明示するのが誠実な対応です。「入社後に転居を予定しています」「転居については家族と相談した上でご回答します」など、現住所と希望勤務地が離れている理由や対応方針を一言添えると、採用担当者が判断しやすくなります。
- 「特になし」と書いてはいけませんか?
-
「特になし」という記載は避けてください。「書くことがなかった」「深く考えなかった」という印象を与えることがあります。特に希望がない場合は「貴社の規定に従います」と記載するのが正解です。この一言で、採用担当者へ柔軟性と丁寧さを伝えられます。


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